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申し入れ

府政報告 1464 重油流出災害対策についての申し入れ

1997/02/10 更新
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府政報告
No.1464
曰本共産党京都府議会議員団
97.2.10

◎ 日本共産党京都府議会議員団は、重油流出災害対策について、2月10日、府知事宛て、先の1月10日付け第一次申入れ及び同月28日付け第二次申入れに続き、第三次申し入れを行ないました。

重油流出災害対策についての申し入れ

1997年2月10日

日本共産党京都府議会議員団
団長      西山 秀尚

京都府知事 荒巻 禎一 殿

 重油流出災害が発生して一ヵ月が経過しました。この間、関係自治体、漁協、地元住民などをけじめ多くのボランティアの懸命の努力が続けられてきました。しかし、今なお「先が見えない」状況が続いています。このようななかで去る3日には、すでに除去作業に参加された地元住民の方が尊い命を失うというきわめて重大な事態が発生し、さらに、多くの地元住民や関係者のみなさんが長期化する除去作業をはじめとしたとりくみのなかで、健康不安を訴えられるなど深刻な状況となっています。また、漁業関係の被害とともに旅館や民宿など観光関係でも被害がますます拡大しています。
 これらの状況は、府議会各常任・特別委員会の現地調査のなかで、地元関係者からこもごもに訴えられたところであり、このような事態を一刻も放置せず、緊急に府の責任において適切な対処を行なうことが求められています。
 わが議員団は、すでに二度にわたり本府の対策の強化を知事に申し入れを行なってきたところですが、ここにあらためて緊急に必要となっている以下の諸点について、府として抜本的な対策を取られるよう求めるものです。

一、回収、除去の徹底について
 漂着した重油の除去についての現時点での問題点は、陸上から行けない急傾斜の岩場など、未回収箇所がいまだに多く残されていることである。この未回収重油が荒れで再漂流し、砂浜などに再漂着するという事態を生んでいる。また、砂浜では砂の中に埋まり込んだ重油の除去が最大の問題であり、このためには特別の対策が必要となっている。
 長期化するなかで、「いつまで続くのか」という疲労、焦燥感や、「やれるだけやって自然浄化を待つ以外にない」などの諦めの声も出ているだけに、府として責任をもって除去しきる立場から、要員の確保、資機材の確保、搬送体制など万全の対策を早急に講ずることが必要である。
(1)岩場に漂着した重油の除去は、住民の努力にかかわらず、手付かずのところが多く残され、漁業関係者、地元住民やボランティアまかせでは、かである。府として、政府機関や機動隊の派遣、府下市町村の消防隊の出動要請など、公的な要員派遣を責任をもって行なうこと。さらに、府として、土木建設業界、森林組合などに対し岩場での作業に必要な重機や索道などの提供、作業要員の派遣などを要請すること。
(2) 砂浜の除去作業は、地元住民とボランティアにたよって行なわれているが、砂のなかに重油が潜りこみ、これらの除去には特別の対策が必要となっている。大型篩の作製、活用、洗浄による方法の開発など、あらゆる可能な対策を講じること。作業要員も、地元住民やボランティアだけでなく、府職員をはじめ府下自治体の協力もえて、府として必要な人員の派遣を組織すること。
(3)これらについて、府は「市町からの要請があれば」との態度をとってきているが、これらは当然財政的措置も必要であり、府の責任で要請するなど府としての責任を明確にすること。

二、受け入れ・救護体制について
 他府県を含め多くのボランティアが参加しているが、この受け入れが地元町まかせとなっている。これについても府としての責任ある対応をただちにとること。
(1)ボランティアの受付けや着替え、休憩のためのプレハブ、仮設トイレの設置をただちにおこなうこと。作業に必要な資財の提供、たきだしなどの費用も府が責任をもつこと。
(2)地元住民、ボランティアの健康を守るために、必要な救護所を設置し、医師、看護婦の派遣を府が行なうこと。また注射針など医療廃棄物が重油塊に混入しているなどの状況も報告されているが、これらの対策についても万全を期すこと。

三、被害、休業補償、自治体支援
 関係自治体や地元住民への被害保障、救済措置、所用経費の補填については、万全の対策をとること。
(1)漁業関係者だけでなく、多くの地元住民が仕事を休んで、町対策本部の指示・要請のもとに重油除去作業などに参加している。こうした住民すべてに対する手当てを支給すること。
(2)漁業関係の被害はもちろん、旅館・民宿など観光関係業者もキャンセルや大幅な予約客の減少など、重大な被害を受けている。すべての被害に対し、被害補償と無利子の緊急融資や返済猶予措置をとること。
(3)地元自治体に対して、各自治体の判断のもとにおこなった対策も含め、所用経費はすべて国、府の責任において補填することを明らかにし、財政的不安を取りのぞくこと。
(4)重油除去作業でなくなられた方を国の報償金の対象とするよう政府に要求するとともに、府としても見舞い金を送ること。

四、今後の対策
 報道によれば沈没したナホトカ号からの重油の湧出が、今もつづいている。海上での漂流油塊はほぼ回収したとされるが、「まだ漂流している」との漁業関係者の報告もあり、海上での回収を徹底して行なうよう万全の体制を国に対して要求すること。

以上

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