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1997年度京都府予算案について

1997/02/12 更新
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◎日本共産党京都府議会議員団は、1997年度京都府予算案について、2月12日、団長談話を発表しました。


1997年度京都府予算案について

1997年2月12日

日本共産党京都府議会議員団
団長 西山 秀尚

 本日、九七年度京都府当初予算案が発表された。詳細については、後日、本会議質問、予算委員会などにおいて明らかにするが、とりあえずその基本的特徴、問題点などを指摘しておく。

一、府民要求に背を向けた予算案

 知事は去る六日の記者会見で当初予算の概要を明らかにし、「健全財政に配慮したうえで、四府総の総仕上げを念頭に編成したjとして、大規模プロジェクトの推進、環境保全、少子化や高齢化対策などの保健福祉施策の充実、日本海の重油流出事故対策などを強調した。
 しかし、、府税収入はなお八九年度の水準にとどまり、府債も三パーセント増と一千億円の大台に迫り、健全財政とはほど遠いものとなっている。また、不況対策、農家支援対策、福祉・医療対策なども切実な府民要求に応えるものとはなっていない。その一方で、丹後リゾート、学研都市。木津川右岸開発、迎賓館などの大規模プロジェクト推進の姿勢を強く打ち出すなど、才目変わらすの大企業、ゼネコン奉仕型予算案、府民要求に背を向けた予算案となっている。


二、環境保全について
 北部地域での公共残土処理対策、北山の自然環境保全対策、ゴミ処理技術開発など新たな対策に着手しているものの、産廃、残土不法投棄問題をはじめ、地球的規模の今日的課題となっているCO2問題などへの具体的なとりくみは、COP3京都会議関連の形ばかりのものにすぎない。ほかは、まさにCOP3イベント一色となっている。


三、少子化、高齢化対策について
 子育て支援総合対策事業として、「親子ふれあい事業」「子育てテレフォン事業」「ファミリーフォーラム」など目新しい事業がならんでいるが、決して従来の枠を超えるものではない。いまもっとも強く求められているのは、保育、医療、住宅、教育など総合的な体制の整備であり、当面、乳幼児医療費無料化の就学前までの拡大、保育事業のいっそうの拡充などをはかるべきである。
 高齢化対策についても、特養ホーム四ヵ所(二百人)の新設をはじめ、巡回ホームヘルプサービス事業などが計上されているが、特養待機者がなお四百人を超え、ホームヘルプ体制などもまだまだ不十分である。寝たきり老人・痴呆性老人介護者激励金が年間六万円から七万円に引き上げられるが、東京都の五十八万円には遠く及ばず、兵庫県の十二万円と比較してもあまりにも低すぎる。すでに三十二都府県で実施されている入院給食費の助成などをただちに実施することをはじめ、老人医療対策の抜本的強化をはかるべきである。


四、重油流出事故対策について
 補正予算で十億円の緊急対策を講じたうえで、当初予算でひきつづき十六億円を計上し、回収・除去作業、漁業者、旅館、民宿などへの融資対策、環境対策を講じている。これは大被害が沿岸全域に及んでいることからして当然である。しかし、決して十分な対策とはいえず、漁業者と民宿などで融資利率が異なり、前者は無利子、後者はニパーセントとなっているが、当然すべて無利子とすべきである。また、地元自治体への支援対策が国の対策待ちになって当初予算にまったく計上されていないことも問題であり、本府の責任を回避するものといわざるをえない。


五、不況対策、中小企業、農業対策について
 四月からの消費税五パーセントへの引き上げが強行されようとしているなかで、景気の大幅な落ち込みが懸念されており、中小零細企業、商工者にとっては死活問題である。しかし今圃の予算案には、この対策はない。西陣、丹後などの伝統産業を重視するとの知事発言はまったくの空文にすぎない。また、府営水道料金、工業水道料金への消費税増税の転嫁は、不況対策の点からも認められるものではない。
 農業対策も同様で、新食糧法のもと、米価の低落、減反の強化に苦しむ農家への支援は皆無に等しい。京野菜販売対策などが打ち出されているが、総額が減少していることとあわせ、まことに貧弱な予算案となっている。


六、同和行政について
 法期限を迎えて、三十事業を廃止、七十事業を一般行政に移行し、四十事業を五年間に限り経過措置として継続することとされ、教育、就労、啓発などの対策はひきつづき必要として、奨学金制度、同和加配事業などはそのまま残されている。また。一般行政に移行した事業がどのようにすすめられるのかも不明確である。さらに、住宅新築資金貸付事業の償還対策なども大きな問題を残しており、同和行政の一日も早い終結に向けた本府の主体性ある対応が強く求められている。


七、府民要求の実現、府政の転換のために
 わが党議員団が、切実な府民要求と運動をもとにとりくんできた課題について、知事もまったく無視することはできず、その一部が予算案に反映されている。周産期医療対策、へき地医療対策、防災対策、日本映画百年記念事業、私学助成、校舎小規模改修事業、ゴミ処理新技術開発事業などがそれであるが、道理ある要求は必ず実現する。
 今後も府民の要求、運動と結んで、その実現と府政の転換に向けて全力をつくすものである。


以上