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政策と見解

荒巻知事の重油流出災害対策の無責任な態度を批判する

1997/02/21 更新
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1997年2月21日

日本共産党京都府議会議員団
団長 西山 秀尚

1、地元住民や自治体関係者の願いにまったく背を向ける荒巻知事
 今定例会は、来年度予算の審議とともに、大きな被害をもたらした重油流出災害に対し、京都府がどのような対策を講ずるかが重要な課題であり、このことを地元自治体や多くの府民が注目していました。
 わが議員団は、高橋進議員を代表質問にたて、「いまのように回収・除去などを地元まかせ、ボランティアまかせにせず、本府として全面的な責任をはたすべきだ」と知事の態度を厳しく批判し、対策の抜本的強化を求めました。
 ところが荒巻知事は「役割分担をして対応している」「自分たちの地域は住民自らの力で、回収作業を通じて、連帯意識、防災意識を高めていきたという考えをもっておられ、地方自治の原点をふまえたもっともなものであり、尊重している」などと、重油の回収・除去の作業は「地元の役割」との態度を表明しました。
 これは、回収作業で犠牲者までだし、健康に不安を抱え、仕事を休んで作業に参加し、「もうこれ以上は無理だ。限界」と悲鳴に近い声をあげている地元住民の願いにまったくこたえない、冷たい態度をあらためて示したものです。
 さらに、財政負担についても「京都府も被害者の一人、まず船主にガンとやって、足らないときには国にお願いする。またその結果をみて市町村に国からお金をもってくる。そういうことが順序だ」と答弁し、地元自治体や被害者に対する財政補償は、船主と国次第で、府としては、財政的にも、まともに責任をとろうとしない、ひどい態度を表明しています。
 このような知事の態度は、今回のような災害にまともな備えもとらず、そのうえ被害対策にもまったく無責任なものであり、地元住民はもちろん、多くの自治体関係者。さらには多くの府民のいっそうの厳しい批判を受けざるをえないものです。
 わが議員団は、「安全・安心」を口先でもてあそび、「住民の安全を守る」という地方自治体の本来の責任を放棄した、こうした荒巻知事の態度を厳しく糾弾するものです。

2、無責任な態度を覆い隠す、すりかえの反共攻撃
 同時に知事は、自衛隊問題でまったくすり替えの反共攻撃をおこない、自らの無責任さをおおい隠そうとする卑劣な態度をとりました。
 高橋議員は、回収・除去作業が長期化し、岩場など未回収箇所が多くのこされ、そのまま放置されかねない深刻な事態となっていること、地元住民の「知事はなぜ自衛隊の出動を要請してくれないのか」と切実な声をあげていることを示し、国・府の公的な支援体制の強化を求めました。
 荒巻知事は自衛隊の災害救助活動への出動問題では、今回は「自衛隊を単なる労働力にすべきでない」と出動を要請しない、「回収・除去は地元で」との態度に固執し、これまで自衛隊幹部との懇談を「災害時の応援依頼の意志疎通のため必要」と強弁してきたことと矛盾した姿勢をとっています。これは自衛隊をもっぱら戦争準備の軍隊として位置付けているからにほかなりません。
 また、荒巻知事は、高橋議員の質問に対し「自衛隊の解散を主張する日本共産党が、自衛隊の出動をいうのは奇異に感じる」などと反共攻撃を行なったが、これは自らの地元住民の願いにこたえない、矛盾した態度を誤魔化そうとするものです。
 日本共産党は、自衛隊は憲法違反の軍隊であり、対米従属の性格をもつもので、国民合意のうえで解散などの措置をとることを主張していまず。同時に、歴代政府が「大規模災害には自衛隊の出動がすべて」という態度をとっているもとで、自衛隊は、もともと消防や災害救助の専門的能力をもった組織ではなく、災害救助のためには専門の救助隊を府県単位に設立することこそ必要との政策を明らかにしてきました。
 しかし、救助隊が設立されず、市町村消防の充足にさえ事欠く現在、人命にかかわる大災害などの緊急事態に際し、住民や関係自治体から自衛隊の災害救助活動への出動要請がある場合は、これに反対する態度はとっていません。わが議員団が、本府の防災計画で自衛隊出動を規定しているのを認めてきたのもこの立場からです。これこそ府民の期待にこたえる道理ある態度といえます。
 荒巻知事の今回の態度は、自らの従来の主張にも反し、しかも「自衛隊を単に労働力にすべきでない」「自分たちの地域は住民自らの手で」と住民が助けを求めていも、これに背をむける冷たい態度をとっているのです。
 わが議員団は、今後も地元住民の苦難を解決するために、本府がとり得るあらゆる対策を講じることを求めて奮闘するものです。