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政策と見解

COP3(地球温暖化防止京都会議)にむけた京都府の地球環境保全行動計画についての見解と提案

1997/05/02 更新
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方向転換したリゾート開発の教訓・問題点を率直に述べよ

(96年12月9日・一般質問)

4府総のきびしい点検を

 つぎに次期全国総合開発計画に関連しておたずねします。さきに国土審議会の中間報告案が報道されましたが、知事が積極的批判的に国に意見も述べ、また4府総のきびしい点検もおこなっていただきたいと考えますが。まず概活的に知事の中間報告案にたいするご所見や今後の取り組みについてお聞かせください。
 中間報告案は、策定手続を国主導ではなく、地域主体に転換したとしています。たしかにこれまでの全総では国がプロジェクトを決め、各都道府県がその地域指定に狂奔する形で推進した結果、全国どこも金太郎アメのように画一的なものとなる欠陥がありました。新産都市やリゾート法などはその典型であり、全国に深い傷跡を残して破綻しました。今回の転換は、地方分権の名で取りつくろうというものであります。

[環境、ゴミ問題]

COP3(地球温暖化防止京都会議)にむけた京都府の地球環境保全行動計画についての見解と提案

(97年5月2日・議員団見解)

《はじめに》

 12月に京都でCOP3(気候変動粋組み条約第3回締約国会議・地球温暖化防止京都会議)が開催されます。京都府は、COP3にむけての一定の予算を組み、地球環境保全行動計画を発表していますが、その内容はおよそ開催地としでの積極性を発揮するにはど遠いものです。
 97年度のCOP3潤連予算については、ほとんどが啓発イベントと会議開催支援の費用で、COP3開催を契機とした本格的な環境保全施策の推進のための予算とはなっていません。なかでも、C02を排出しない新エネルギーの普及促進費は、だったの200万円しかおりません、。行動計画についても、新聞社説で「物足りない」「温室効果ガスの削減について目標数値を掲げず」「抽象的な表現が多く」「お題目を並べただけ」と評せられるほど、意欲性、実効性に乏しいものです。これでは府民や国民をけじめ世界のひとびとの期待にこたえることはできないでしょう。
 いま、府民の立場からCOP3を成功させようと、さまざまな運動やとりくみが広がっています。日本共産党府会議員団は、こうした府民のみなさんのとりくみと力をあわせて、COP3成功と地球環境の保全のために全力をあげる決意です。そこで今回、日本共産党府会議員団として、COP3にむけた京都府の施策と行動計画についての見解とその抜本的な強化方向を提案するとともに、府民のみなさんの積極的な討論ととりくみを呼かけるものです。


 《COP3成功にむけた7つの提案》

①京都府が政府に働きかけてこそ、開催地としての役割が果たせる

C02削減の具体的数値目標での合意こそCOP3成功のキーポイント

 まず第1に今回のCOP3では、地球温暖化をまねく二酸化炭素(C02)などの温室効果ガスを削減するために、拘東力を持つ具体的な数値目標をふくめた国際的な合意をかちとることができるかどうかが、最大の焦点となっています。
 ところが、ホスト国である日本政府は、大企業の利益を優先する通産省の妨害などから、いまだに2000年以降のCO2削減目標や京都会議の「議定書案」すら示せず、各国からきびしい批判を浴びています。
 もともと気候枠組み条約が採択された92年の地球サミットにおいて、C02などの具体的な削減目標の設定が追及されましたが、自国の経済活動を優先するアメリカや日本などの消極的態度によって、条約は「排出量を90年レベルにもどす」というあいまいなものにとどまり、その具体化がその後の交渉にゆだねられたのです。
 したがって、COP3を成功させるたぬには、日本政府が環境保全よりも経済成長を優先する考え方をきっぱりと克服し 90年レベルより「2005年で20%の排出量削減」を求める小島嶼国連合案や「2 0 1 0年で15%削減」とするEU案などもふまえ、国際的な一致をつくりだすために積極的な役割をはたさなければなりません。


日本共産党は20%削減の目標と具体的方針を提案


 日本共産党は、1994年に発表した「新・日本経済への提言」のなかで、生産や生活を向上させながら、生産、流通、消費のすべての面から浪費を排除するとともに、エネルギーの効率的利用と新エネルギーの開発・利用を促進しCO2排出量を2010年までに90年から20%削減することを提案しています。1次エネルギーの3割を消費している電気事業部門では。現在、65%が廃熱として捨てられていますが、その半分を有効に利用すればエネルギー供給量を12%削減でき、C02発生量も1割程度削減できます。産業部門全体ではエネルギー使用を10%強削減するとともに使用効率を10%程度向上させること、運輸部門では自動車燃費の改善とモータリゼーションから鉄道・海運へと切り換えること、民生部門では住宅の断熱性の向上と家電製品の効率向上などをすすめ、エネルギー使用の伸びを押さえることができます。また、現在のエネルギー供給量の10%程度を太陽や風力などの再生可能な新エネルギーで確保します、原子力発電については、技術的にまだ未確立であり、その推進路線をやめさせます。このようにすれば、20%削減は十分に可能です。


京都府は日本政府にたいし、C02削減目標についてきっぱりと意見をのべよ


 このように、ホスト国である日本政府の消極的態度が批判を浴びているときに、京都府は政府にたいしその点でなにひとつ意見をのべていません。3月末、京都を訪れた環境庁長官にたいして荒巻知事は、「PRに努めて会議を盛り上げたい」というだけでした。もっとも肝心な問題ではダンマリのまま、"お祭り"を中心にすすめようとする京都府の態度では、「単なるイベントに終わらせてはなるまい」(京都新聞社説)とのきびしい指摘が出るのも当然でしょう。京都実行委員会の会長である知事は、国にたいして早急に積極的な削減目標をもって会議の成功のために努力するよう、きっぱりと求めるべきです。


②京都府としても全国をリードするC02削減の積極的目標をかかげよ

 第2に、京都府としてもCO2の削減について、開催地にふさわしく全国をリードする積極的な数値目標をかかげてとりくむべきです。府の行動計画では、2010年度排出量を「90年度のレベルから可能なかぎり削減するように努める」との努力目標にとどめる一方、事実上の目標となる将来推計では、総排出量で90年度の392万tC(炭素換算トン)から2010年度の405万tCへ、工人あたりの排出量でも1.51tCから1.54tCへと、削減どころか逆に増加を認めるものとなっているのです。いったい京都府は地球温暖化問題の深刻さと緊急性をどのようにとらえているのでしょうか、これ。ではCOP3の趣旨にも反し、世界のひとびとから笑われます。京都府自身がこのような不十分な目標しか掲げていないから、国にたいしてもきっぱりと意見がいえないのではないでしょうか。


③年間約300万tCものC02を排出する舞鶴石炭火電建設は中止すべき

 第3に、京都府の行動計画は、府民には「お風呂の残り湯は洗濯に、コメのとぎ汁は植木の水やりに」「冷暖房を控えめにして衣服で調整したり、カーテンを効果的に利用しましよう」などと、こと細かく呼びかける一方で、大量に二酸化炭素や有害物質を排出する日本最大級(出力180万kW)の石炭火力発電所を舞鶴に建設することについては、なにひとつふれていません。年間390万トンもの石炭を燃やす舞鶴火電からは、およそ年間300万tCものCO2が排出されるとの試算もあります。重大な問題は、府の行動計画に示されたCO2排出量の将来推計は、「電力は消費ベースで計算する」として、舞鶴火電の膨大なCO2排出量をまったく計算に入れていないことです。これでは、すこしでも地球にやさしいライフスタイルを、との府民の努力は報われません。COP3に逆行するような舞鶴石炭火電逡設け中止すべきです。
 かつての蜷川民主府政は、新宮津火力発電所(出力180万kW)の建設に反対するとともに、エネルギー研究所を設置して環境問題の観点から化石燃料にかわる風力、波力、太陽光などの新エネルギーの研究を提案しました。その後の自民党府政は、関西電力いいなりで火力発電所の建設を強引にすすめるために、出力75万kWの火力発電所を中心に若干の研究施設を併設するかたちをとって現在の「宮津エネルギー研究所」をつくりましたが、がっての民主府政の、時代を先どりするすぐれた先見性の発揮にこそ、学ぶべきではないでしようか。

④京都高速道路をやめて公共交通網の整備に力を入れるなど、環境にやさしいまちづくりへの抜本的転換を

 第4に、直接的な意昧での環境保全の行動だけではなく、地球環境保全の観点から行政や施策のおり方全般についての抜本的な見直しをすすめることです。たとえば、京都府が電気自動車を府下12の地方振興局に1台ずつ(今年度予算では6台だけですが)購入するとしていることは、日本のCO2発生量の約16%をしめる自動車の排ガスを減らしていくうえで結構なことですが、その一方で京都市内に高速道路を建設して渋滞と排ガス汚染をいっそうはげしくする計画はそのままです。
 税金のむだ使いをやめるという観点もあわせて、ゼネコンや自動車会社が喜ぶような大型プロジェクトを根本的に見直し 自転車道路や駐輪場の整備をけじめ、路面電車、郊外に駐車場を設けてそこからバスなどに乗り換えて目的地にむかうパーク・アンド・ライトシステム、中小企業のための総合物流センターなど、公共交通最優先の施策へ京都府が先頭に立って転換をはかり、さまざまな環境にやさしいまちづくりを推進していくことこそ必要です。それをぬきに府民に心得や努力を求めるだけでは、行政としての責任転嫁だとの批判をまぬがれないでしょう。

⑤太陽光発電などの普及に京都府として本格的支援を

 第5に、太陽光発電を既存の建物に導入すれば、日本の年間総発電量の16%に相当する電力がまかなえ、さらに風力や波力、地熱などの再生可能なクリーンエネルギーの本格的利用をすすめれば30~40%にもなるとの試算も示されています。そうなれば、技術的にも未完成でいったん大事故が発生すれば環境に取り返しのつかないダメージを与える原発は、まったくいらなくなります。ところが、国の97年度予算では、エネルギー関係総額1兆1973億円のほとんどは原発と石油に使われ、太陽光発電などのクリーンエネルギー開発費はその100分の1程度にすぎません。その転換を求めつつ、京都府としても火電や原発推進の姿勢を改め、太陽光発電などの新エネルギーの普及を積極的に支援すべきです。
 一つは、学校をはじめ、公共の建物への太陽光発電システムの導入を思い切ってすすめることです。八木町の中学校(これには京都府は1円の補助もしていません)や府農業資源研究センターなどでの導入例はありますが、本格的な活用はまだこれからです。新設の建物についてはシステムの設置を義務付ける、既存の施設についても導入を支援していくことなどは十分に可能です。地域の防災拠点としての自主電源の確保の観点からも、環境教育の教材としても、その価値はきわめて高いでしよう。
 もう一つは、府民の一般住宅への導入にたいする京都府としての支援です。本年度から国の補助制度枠が若干拡大されましたが、補助率は2分の1から3分の1に後退しています。システム価格が下がってきているとはいえ、なお相当の費用がかかります。静岡県富士宮市では国の補助に16%を上乗せする補劫、長野県飯田市では無利子融資をスタートさせるなど、自治体独自の導入促進策が広がっています。こうした先進例に学び、COP3開催地にふさわしく、府営住宅でのモデル住宅の建設や一般住宅への補助をすすめることが必要です。


⑥製造者責任、企業の社会的責任を明確にした京都府の指導を


 第6に企業にたいする指導と規制についてです。ライフスタイルの見直しの問題についても、生産面でのひんぱんなモデルチェンジや使い捨て商品の開発、過剰包装、プラスチック容器のはんらんなど。利潤追及を最優先にした生産と流通のスタイルをあらため、資源の節約と再利用が可能な製品をつくることを原則とするよう、国とも協力して企業を指導していくことです。神奈川県では「環境保全型企業行動マニュアル」を作成して企業の努力を喚起しています。消費者が環境をまもる自覚を高めることはもちろんですが、企業の社会的責任を明確にしていくことが大切です。また、事業所や工場での太陽光発電システムや発電と同時に廃熱を利用するコ・ジェネレーション・システムの導入などの省エネルギー対策も強力に指導すべきです。


⑦立ち遅れている京都府の環境行政の抜本的な改善を

 第7に、企業の環境保金責任にたいする指導と規制という点に関連して、95年に制定された京都府の「環境をまもり育てる条例」の問題を指摘せざるをえません。この条例は蜷川民主府政時代につくられた「京都府公害防止条例」などをとり込むかたちでつくられたものですが、公害防止条例で明記されていた「憲法の精神」「府民の権利」にかんする規定がすべて削除され、企業や行政の責務にかわって「府民の1人ひとりの責任」が強調されるなど。環境問題の責任があいまいにされてしまいました。さらに公害防止のための特定工場の設置の許可制が届け出制に変更されるなど、環境行政の重大な後退を生じかねないものとなっています。
 企業などによる開発の際の環境アセスメントの制度化について乱京都府は大きく立ち遅れています。民主府政時代の1977年に府公害対策審議会が条例の制定を求めてから20年もたつのに、いまだに条例をつくっていません。89年になってようやく府アセスメント要綱をつくりましたが、きわめて不十分なもので、95年の環境審議会答申でもあらためで条例化か指摘されているものです。
 また、情報の公開という点でも問題です。府議会の総務常任委員会での日本共産党議員団の質問にたいし府当局は舞鶴石炭火電の二酸化炭素排出量予測を公表しませんでした。環境問題特別委員会での舞鶴火電建設にともなう「大気拡散シミュレーション」調査の結果についての質問にも、個別企業のデータが入っているからとの理由で公表を拒否しました。府民の理解と協力があってこその環境保全行動なのに、「企業秘密」の名で情報を隠すような府政でどうして府民の理解琳えられるでしょうか。
 こうした企業に甘い京都府の環境行政を、COP3を機に抜本的に改めていかなければなりません。


《さいごに》

 府民のみなさん1人ひとりが毎日のくらしのなかから地球環境を考え、さまざまな工夫をつみかさねていくことはたいへん重要です。しかしライフスタイルの見直しの努力も、日本政府や京都府の環境保全優先の政策への転換と結び付いてこそ、ほんとうに力を発揮するのではないでしようか。
 日本共産党府会議員団は、COP3の成功と京都府の環境行政の拡充に向けて、府民のみなさんのさまざまなとりくみやご提案もふまえて、さらにいっそう奮闘していくものです。

 

汚職問題、東京事務所の官々接待や食糧費非公開が全国都道府県で残っている二つの府県の一つとなっている問題、木津川スタジアム公園の用地取得と買収単価、用地測量の丸なげ委託問題などは、監杏委員が問題点を指摘すべき性格のものです。ましてや「住民の福祉の増進に努める」との特別な留意事項を考えると、わが議員団が何回も指摘した、与謝の海養護学校の給食調理室の天井からの雨漏りが保健所からの指摘も無視して2年以上も放置される事態に至っては、監杏委員の怠慢と言わねばなりません。

 こういうことをなくし、汚職や腐敗を防止するためにも、議会選出監査委員2人のうち1人は野党から選任すべきです。清潔度日本一と言われたかつての蜷川府政時代は、議会選出監査委員の1人を野党の自民党から選任してきました。
 いま国の政治も地方政治も「オール与党」による悪政の強行で、大きな批判が巻き起こっています。府民の立場にたって、本来の監査委員の役割を発揮できるようにするためにも、与党議員の2人提案はすべきでありません。このことを指摘し、私の反対討論を終わります。