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政策と見解

和装産業を始めとした伝統地場産業振興条例大綱の発表にあたって

1998/12/07 更新
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1998,12,7 提案

 京都の伝統・地場産業は、千年をこえる「都」としての歴史、文化と結んで発展してきました。西陣織や京友禅、清水焼をはじめとしたこれらの産業は、京都の風土と調和した技術性にとみ、暮らしになじんだ文化の香りたかい、世界にも誇る「京もの」をつくりだしてきました。
 また、繊維機械、電気機械、精密機械、セラミックス、エレクトニクスなど、先端産業の発展にも、大きな役割をはたしてきました。そして、これら伝統・地場産業が、多くの府民の雇用の場となり、京都経済と府民の暮らしを支えてきました。
 しかし、今日、長引く不況と無秩序な海外生産、逆輸入、規制緩和の影響などにより、深刻な経営危機に直面するとともに、その伝統ある技術を継承することすら危ぶまれ、産地の崩壊が危惧される事態となっています。
 和装産業はいずれも70年代はじめのピーク時からみて、その生産量は大幅な減少となっています。西陣の主力製品である帯が780万5千本から220万本へ28%に減少、丹後のちりめんも996万反が185万5千反へと19%に、友禅は1625万反から176万反へと、わずか11%にまで減少するという、きわめて深刻な事態です。そのうえ、いまの戦後最悪ともいわれる不況が拍車をかけているのです。そして、これら和装産業を担う従事者数も減少の一途をたどり、伝統工芸士の資格をもつ職人さんも、職を離れざるをえない事態が急速に進行しています。
 こうした事態は和装だけではなく、伝統的工芸品として指定を受けている清水焼でも、1995年から97年の3年間だけでも、生産額が67億円から51億円へと大幅に減少、従事者も4分の1も減少しています。
 今日、京都の伝統・地場産業の振興、再生をはかることは、全国一落ち込んでいる京都経済を立て直すうえで、緊急の課題となっています。いま、これまでの大企業を中心にした「規格品の大量生産」の時代から、「個性ある商品」をつくりだす、地域の特性を生かした「ものづくり」の時代へと変化しようとしています。だからこそ、世界に誇る文化と技術に裏打ちされた京都の伝統・地場産業は、21世紀にむかって花開かせる大きな可能性をもっています。また、若い女性の中にも「きものを着たい」との願いは強いものがあります。このときに、京都の誇る和装産業をはじめ、伝統・地場産業の振興、再生をはかることは、京都府と関係自治体の重大な責務ではないでしょうか。
 今回の提案は、京都府として、「和装産業をはじめ京都の伝統・地場産業の振興をはかるための条例」を制定し、京都市をはじめ各市町村と連携し、広く府民の理解と協力をえてその振興と再生をはかろうとするものです。
 日本共産党府会議員団、および日本共産党京都府委員会は、これまでにも京都府にたいし「伝統地場産業振興条例」もしくは「和装産業振興条例」の制定を求め、和装産業をはじめ、伝統地場産業の振興のための数々の提案をおこない、その実現のため関係者のみなさんと共同して力をつくくしてきたところです。
 今回の「振興条例大綱」の提案は、こうした府民の共同のとりくみのうえにたって、伝統・地場産業をとりまく事態が深刻さを増しているとき、京都府としての全面的で抜本的な対策を講じるための基本を定める条例の制定の具体化をはかろうとするものです。
 多くの関係者のみなさんの積極的なご意見をお寄せいただき、より充実させるとともに、「条例」制定と京都の誇る伝統・地場産業の振興と再生のための共同のとりくみを広くよびかけるものです。

「和装産痰をはじめ伝統・地場産業振興条例大網」

1、条例の目的
 世界に誇る京都の伝統産業と京都経済の担い手である地場産業の振興をはかるため、経済的社会的不利を是正し、関係業界団体および事業者・従事者の創意工夫を尊重し、その自主的な努力を支援する関係自治体と連携した京都府の責務を定める。

2、対象産業および対象事業者・従事者
 「伝統的工芸品産業め振興に関する法律」で指定された伝統的工芸品生産にかかわる産業はもちろん、地域経済のなかで一定の役割をはたしている地場産業で、それに従事する中小零細企業・事業者・従事者とする。

3、京都府の施策
 京都府は、伝統・地場産業の振興をはがるため、関係市町村と連携のうえ、次の各号にかかげる事項の実施に努めなければならない。
① 府は、伝統地場産業の振興をはかるため、業種・産業別の基本指針を策定する。基本指針の策定にあたっては、業種別に行政関係者、業界関係者、学者・研究者などからなる「○○産業振興対策協議会」を設置し、調査、研究、協議のうえ策定するものとする。

② 府はい伝統・地場産業の実態を調査、把握し、その振興策を不断に充実させる。
③ 府は、伝統的技術・技法の継承、改善のための方策および後継者育成策を講じる。
④ 府は、新商品の開発、販路の拡大、技術の高度化、経営の合理化、創業支援対策など、試験研究機関の充実、経営指導体制の強化をはかる。
⑤ 府は、伝統・地場産業従事者の就労と生活の安定に寄与する施策および伝統・地場産業が息づく街づくり対策を講じる。
⑥ 府は、伝統・地場産業にかかわる事業者の経営安定と改善のため、協同組合などへの指導と支援、税負担の軽減、制度融資をはじめとした金融対策を講じる。
⑦ 府は、不公正な下請け取引きや海外生産・逆輸入、無秩序な規制緩和など、伝統・地場産業の振興に阻害となる要因の是正に努める。
⑧ その他、伝統・地場産業の振興をはかるうえで必要な事項


4、事業者の責務
① 事業者は、伝統・地場産業の振興のため、創意工夫を発揮し、技術の継承・発展、新製品の開発、従事者の福祉の向上に不断の努力をしなければならない。
② 事業者は、関係事業者との協同で、伝統・地場産業の振興に努めなければならない。
5、府民の理解と協力
 府民は、伝統・地場産業の振興が、府民生活の安定と向上及び京都の歴史と文化を世界に発信することに寄与することを理解し事業者及び京都府、自治体と協力して、伝統・地場産業が息づくまちづくりに努めるものとする。

〈財政措置について〉
この条例にもとづく施策を実施するうえでの財政措置は
① 国の中小企業対策予算の大幅増額を求めます。
 いま、国の中小企業対策予算は、今年度1858億円と前年より7億円削減し、予 算にしめる割合も中小企業基本法制定以後最低(1963年度0.41%)の0.239%へとなっています。これを大幅に増額させること、あわせて「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」にもとづく伝統的産業の振興をはかるにふさわしく増額するよう強く求めます。
② 京都府の予算編成にあたっては、従来の「大型公共事業や大型プロジェクトで地域活性化をはかる」地域振興策から、地域経済の立て直しのため、伝統・地場産業の振興をはかることを重点とした予算編成へと転換をはかります。
 すでに、先の知事選挙で「学研都市の公園建設に200億円、管理費に1億円。和装産業振興予算は、その100分の1にも満たない年間約1億8千万円。これでまともな振興策といえるのか」ときびしい批判を受けています。この転換をはかれば、財政は確保できます。
 さらに、出資金・出えん金でも、大型プロジェクト中心を改めることが必要です。
 現在、和装振興財団500万円、伝統産業振興協会600万円、中小企業振興公社500万円など、伝統産業や和装産業関連への出資金・出えん金は、きわめて低額です。ところが、京都駅ビル株式会社3億円、丹後リゾート総合企画株式会社1億円、さらに学研都市開発関連では、「株式会社けいはんな」に15億円、地球環境産業技術研究機構17億円、学研都市推進機構1億2500万円などとなっています。これらをあらためるなら、和装振興財団などの財政基盤を強化することは十分できます。

西陣織などの和装品の輸入規制の発動を国に求めよ


1998.6.11 代表質問

 深刻な事態におちいっている西陣・友禅や丹後などの和装産業を守るためにどうするか、もっとも効果的な緊急対策をどう打つかということです。
 その第1は、京都の重要な産業である和装産業振興を京都府政の重要課題として明確にし、その振興策への行政の責任や対策を示した和装産業振興条例を制定し、行政と業界があげてその振興をはかる方向を示すべきであります。このことが、「もう和装産業は、国からも府からも見離された」など悲痛な声をあげておられる和装産業関係で働く多くの府民を励ますことにもなるのではないでしょうか。
 また、何もかも業界まかせでなく、府として賃機や労働者、関連業種も含めた実態調査をおこない、研究機関の協力もえて総合的な対策をいまこそたてるべきではありませんか。
 次に、独自の問題に限っていえば、セーフガード・輸入規制の発動を緊急に国に求めることです。海外生産は西陣織で2割をしめ、ちりめんにいたっては丹後の生産量に匹敵する輸入がされているのです。これでは西陣や丹後で減産しても、海外からの輸入がつづけば、在庫調整も効果をあげることはできません。
 もともと中小企業基本法22条には、「輸入によって中小企業に重大な損害を与える場合は、輸入の制限等必要な措置を講ずる」とされており、セーフガード、輸入規制の発動が国際的に認められ、さらに通産省も発動の手続きを定めた規定もつくっています。ところが実際には、発動に踏みきらない、ここをどうこじ開け通産省を動かすか、これがいま本府に求められていることです。商工部長は2月議会でも、「国に強く要望している」と答弁しましたが、この程度では通産省は動かないことはすでに明らかです。
 そこで私は、京都府がもっと踏み込んだ行動をとるべきだと考えます。絹織物生産の6割を占める京都府が海外生産の影響調査をおこない、全国の和装産地にも呼びかけて国に働きかける、それくらいのことをやるべきではありませんか。調査すらしようとしない本府の姿勢には、これで京都の和装産業を守ろうとの熱意かおるのかと疑問を感ぜざるをえません。おこたえください。


【知事答弁】これまでから京都西陣夢まつりや着物サミットをはじめ、業界の積極的需要開拓等のとりくみに対し、行政としてできる限りの支援をしてきている。さらに今回、新しい視点から着物愛好家グループ等のとりくみへの支援もおこなっていきたい。和装業界の実態調査については、京都府、京都市、西陣織工業組合が連携して蜷川府政の初期の昭和30年以来、3年ごとに継続して西陣の実態調査をおこなっているところで、平成9年は15回目あたる。また産地や業界のみなさまのご意見をきめこまかくお聞きするなかで、和装振興体策にとりくんでいるところ。
 海外生産の実態については、西陣の実態調査や絹製の帯等に関する税関統計などにより、状況の把握に務めている。こうしたなかで京都府議会の意見もふまえ、帯・帯地の原産国表示の義務化や生糸輸入の完全自由化と、それが実現するまでの間の輪入規制措置等の強化などについて、産地や関係市長のみなさんといっしよに私も先頭になって国に強く要望している。


京友禅振興、後継者育成など和装産業の振興策の強化を

1998.6.16 一般質間

室町・友禅業界の実態や休業・解雇に追い込まれている労働者の実態調査と府の対策を

 先日、京都染色協同組合連合会のまとめが発表されました。京友禅の生産量は3年間連続2桁の減少が続き、97年度は前年度に比べ21.9%の大幅な減少となりました。過去30年間で最高の下落幅で、最盛期の1971年当時の1,652万反から176万反
へ、実に10分のでLまで落ち込んでいます。
 業界関係者の話しでは、まだ売れていた振り袖や留袖などフォーマルまで落ち込んでいる。今の時期は秋冬物が売り出され、売り上げももっともあがるときですが、大手の間屋で去年の6~7掛け、目も当てられない惨状とのことでした。地元の友禅業者を歩いていますと、どこでも一様に「真暗闇の出口のないトンネルに入ったようだ」「仕事がないので手塩にかけて育てた職人を8人から2人に減らした。それでも、仕事がなく、2人の職人に仕事を保証するために、自分は中央市場で夜8時から明け方5時までアルバイトをしている」「シミ抜きの同業者がもう3人も自殺した」など、深刻な声がだされています。
 室町の問屋ではいま、大規模なリストラが進行しています。「リストラをしなければ金

 

 西京区、京田辺・綴喜」であった。これに背を向け党利党略から、これには手を付けず、市内部で定数削減をするという自民党などの提案が、道理なく、受け入れられなかったのは当然である。

 今後とも、議会を住民から遠ざけ、民主主義を後退させる議員削減は許さず、地方自治法と公職選挙法にもとづく定数是正のため奮闘するものである。