ごみの減量化・リサイクル化の流れとダイオキシン類削減に逆行する「京都府ごみ処理広域化計画」について
市町村への「広域化計画」の一方的おしつけはやめるべき
京都府は、厚生省が平成9年5月、全国の都道府県に対してダイオキシン類の発生抑制を目的に、ごみ処理の広域化計画を策定するよう指示したのを受けて、2年間にわたる関係機関との協議と検討を経て、本年5月「京都府ごみ処理広域化計画」(以下「府計画」という)を発表し、府下市町村に対しこの計画の実施を求めている。
その中心点は、2008年までにゴミ処理量を15%削減するとともに、府下自治体を7ブロックに分け、「1日100トン以上の大型焼却炉で24時間連続燃焼する」というごみの集約化・大量焼却を基本としている。
わが議員団は、厚生省がごみ処理の広域化計画の策定を各都道府県に求めたときから、この計画が、ゴミの減量化・リサイクルの流れにも、本来のダイオキシン類発生削減にも逆行することを指摘し、府当局が「広域化計画」を市町村に一方的に押しつけることのないようくり返し要求してきた。
ところが、府当局は、市町村のごみ処理の実態や、焼却炉の耐用年数のちがいなど、それぞれが抱えている課題に対応して支援するのではなく、「100トン未満の非連続焼却炉には国の補助金は出ない」として、国いいなりに大型焼却炉の導入を前提とする「府計画」の作成をすすめてきた。こうしたやり方では、各自治体の抱えている課題の解決に役立たないばかりか、府下各地で進んでいるごみの分別収集と再資源化の流れにも水をさすことにならざるを得ない。
このように、「府計画」は、府民の願いと全国の流れに逆行し、むしろこれまでの埋立てと焼却中心のごみ行政の継続・固定化につながりかねない重大な問題点とダイオキシン類の発生抑制のため真に効果ある対策とは言えない問題点を抱えている。加えて「府計画」は、市町村に大きな財政負担を課すことになるものであり、一方的な押し付けはやめるべきである。
「府計画」はダイオキシン発生の源となっている焼却炉の大型化と焼却方式の永続化をはかるもの
ダイオキシン類の発生抑制のためには、大量発生の源になっている全量焼却処理方式からの脱却が避けられない課題であり、当面、可能な限りプラスチック類の焼却量を削減する方策に全力を注ぐとともに、現在運転中の中小型の焼却炉の高温・完全燃焼など燃焼管理の徹底、排煙処理の高度化などによって、ダイオキシン類の発生を削減することが現実的でかつ確実な方策として、全国の自治体でとりくまれている。
ところが、国が当初押し付けてきた「広域化計画」策定指導の内容は、ダイオキシン類の発生総量の抑制については一切問題にしないばかりか、「排出基準値クリア」だけを目的とした「大量・連続燃焼」中心のものであった。「府計画」は、この方向にそって作られたため、「ダイオキシン類の発生総量の抑制・削減」に正面からいどまず、先延ばしするものとなっており、真に実効性のある計画とはなっていない。
このように「府計画」は、ゴミの減量化に逆行するばかりか、広域化、大量焼却方式によって、ダイオキシンの発生源となっている焼却炉の大型化と焼却方式の永続化をはかるものであり、ダイオキシン削減対策としても到底評価できるものではない。
ごみ分別収集を徹底し、ダイオキシン類の削減と総量規制の実現を
本年6月、厚生省は、今後のごみ行政の進め方について、「焼却・埋め立て」方式から「減量・リサイクル化」への転換を打ち出し、100トン未満の焼却炉についても、広域化計画にそって整備する場合は、補助対象にする、との一定の見直しを明らかにした。
さらに、7月には議員立法による「ダイオキシン規制法」が制定され、ダイオキシン類の抑制対策のため「大気・土壌・水質のダイオキシン汚染の安全基準」が設定され、併せて、これまでの「排出基準」のみの規制に加え、新たに「排出総量基準」が設けられ、国と地方自治体に総量削減計画の策定が義務づけられることとなった。
いま、京都府に求められていることは、こうした状況をふまえ、「府計画」の一方的な押しつけをやめ、今後のゴミ行政の展開にあたっての課題や問題点を市町村と十分に協議・調整し、府計画の抜本的見直しを行うことである。
ダイオキシン類の発生総量を規制するためには、制定された「規制法」をも活用し、全国の進んだゴミ行政に学び、わが党議員団の「ダイオキシン削減のための5つの緊急提言」で強調したように、塩化ビニール製品の表示と回収をすすめ、府民とすべての事業者の協力で、分別・リサイクルを徹底して推進することである。
また、全量焼却方式の中で、大量にダイオキシンが蓄積していると考えられる清掃工場、最終処分場周辺、産廃処理施設、「野焼き」現場などの土壌や水質の汚染実態を調査し、その結果を府民に公表するとともに、必要な対策を講ずることも緊急の課題である。そのためにも、府として独自の調査、分析体制を早急に確立すべきである。