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議会を終えて(談話)

府政報告 1593 京都府議会九月定例会を終えて(談話)

1999/10/12 更新
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●日本共産党京都府会議員団は、9月議会を終えての団長談話を発表しました。

京都府議会九月定例会を終えて(談話)
1999年10月12日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

一、京都府議会九月定例会が10月8日閉会した。
 今回の定例会は、長引く不況と雇用不安の拡大のなかで、府民の営業と暮らし、雇用を守ることや、認定申請が始まった介護保険制度のもとで、だれもが安心できる介護保障の確立など、多くの切実な府民の願いにこたえることが求められた。同時に「財政の危機」がいわれるもとで、地方自治の精神を発揮して財政立直しの道をすすむのか、それとも職員や住民に犠牲をおしつける道をすすむのかが問われた。
 わが党議員団は、代表質問で雇用・不況対策、農業振興、介護保険など暮らし、福祉の充実を求めるとともに、ダイオキシン対策や原発問題、警察官による押収覚醒剤の着服や平和の課題など、住民の命と安全を守る問題について取り上げたのをはじめ、一般質問でも、委員会審議でも、府民の願いにこたえた府政を求めて奮闘した。
 雇用対策では、国からの「緊急地域雇用特別交付金」42億円を活用しての事業予算が計上されたが、担当部局や市町村から200億円をこえる事業要望がだされていることから、今後、独自事業を含めこれを拡充すること、さらに現在失業中の伝統工芸士や労働者に仕事が回るようにすること、失業者の就労確保に努力している高齢者事業団や友禅労組などが、事業が受託できるよう公正な運用を求めた。
 またわが党議員団は、事実上、野放しとなっている大企業のリストラ、解雇を規制するための条例の制定を求めたが、知事は「雇用調整は企業経営にかかわる問題で、自由主義経済のもとでは限界がある。京都だけ解雇規制をすると、企業経営が成り立だなくなり京都からでていく。雇用も、税収も減る。」と詭弁を弄した。これは知事の時代遅れの姿勢を示すものでしかない。すでにドイツやフランスをはじめ先進資本主義国では解雇規制の法を制定し、大企業に社会的責任をはたさせるルールを確立しており、京都経済の立直しと雇用の安定を真面目に考えるならば、条例制定は当然のことである。
 また、政府が西陣織や友禅など「特定雇用調整業種」を「雇用調整助成金」の対象から排除し、助成率を引き下げようとしていることについて、継続を求める請願が提出され、わが党は政府への意見書を本会議に提出した。与党会派は雇用対策、和装産業振興を口にしながらこれを否決するという態度をとった。すでに府としても、業界としてもこのことを要望しているにかかわらず、こうした態度をとったことは、今後関係者の厳しい批判を受けざるをえない。
 介護保険問題では、各会派とも代表質問で取り上げ、自民党も現行の認定や介護保険制度に大きな問題点があり、改善を求める質問を行なわざるをえなかったが、知事の答弁は相変わらず「国の動向をみて」に終始した。これは、「住民の福祉」に責任をもつ自治体としての役割を放棄するもので、市町村担当者からも「府はまともな対応をしていない」と批判の声が広がっている。
 また、わが党の追及ではじめて特別養護老人ホーム入所待機者が府下で340人、市内を含め1940人にものぼることが明らかになった。これまで「府下で200人程度」と実態を明らかにせず、特別養接老人ホームが足りているかのような答弁をしてきたことが
ごまかしであったことを示すものであるよ今後、介護保険の認定をうけても、希望する施設に入所できない状況にあることが明らかであり、わが党は、引き続き施設整備の充実に全力をあげるものである。
 府民の安全を守るうえで、不安が広がっているダイオキシン対策の強化が求められており、わが党は、ゴミの減量化、リサイクルの徹底、市町村に「広域化計画」を押しつけないこと、ダイオキシン調査の徹底と検査機器の購入などを求めた。京都府は今回の緊急雇用特別対策事業のなかで「小規模焼却炉実態調査」を実施することを明らかにし、ダイオキシン検査機器についても、設置する方向で「検討する」ことを知事が約束した。これはゴミ・ダイオキシン問題への府民の関心と世論の広がり、わが党のくりかえしての追及で、これまでの態度を変更せざるをえなくなったものである。

一、府議会開会中に、茨城県東海村の核燃料工場で「臨界事故」が発生した。すでに、今議会の代表質問でも「事故続発の原発の運転停止と徹底した調査、プルサーマル計画の中止、府の原発防災計画の見直しを」と要求していたが、このことの重大性を改めて証明するものとなった。委員会の審議でも、わが党の追及で、府が「住民の不安をあおることになる」と放射能事故の避難訓練を行なってこなかったことや、「臨界事故は起こらない」として中性子測定器は設置されていないこと、3時間以内に服用することが求められるヨウ素剤も学校や保育所などには配備されていないことなどが明らかとなった。これは、府の防災計画自身が「安全神話」のもとに作成されていることを示すもので、「原発事故防災計画」の早急な見直しの必要性がいっそう浮き彫りになった、

一、今議会に提案された補正予算で、当局は「府税収入が当初予算より約五〇億円減収」とし、「財政の厳しさ」を繰り返し強調した。
 しかし、これは今日の財政危機の原因が、莫大な借金をして大型公共事業をすすめてきたことにあるにもかかわらず、これにはまったくメスを入れようとせず、職員と府民への犠牲の押しつけへの道をすすもうとするものである。
 今回の予算でも、すでに運輸省・港湾関係事業評価委員会が「経済社会敗勢の変化に対応し、事業効果が発現できる最小限度の施設整備とすべく、施設規模を見なおす」としているにもかかわらず、知事はこれを「見直しとは言っていない。事業は継続する」とし、引き続き和田埠頭整備の予算を計上している。さらに、市内高速道路の建設についても府の負祖だけでも500億円をこえる事業であり、しかも京都市内に交通渋滞と環境破壊をもたらすことは歴然としているにもかかわらず、「渋滞解消とC02削減に役立つ」と世論に背を向ける答弁を行なった。
 また、土木の公共事業で国庫補助事業の増額を口実に、単独事業を50億円削減したがこれは委員会審議で、「中小業者への仕事減はさけがたい」と理事者が答弁したとおり、中小建設業者の仕事を減らすものであり、府民の生活に密着した道路や河川改修などを削減することとなる。わが党は、こうした大型公共事業優先でなく、生活・福祉密着型の公共事業こそ重視すべきことをつよく要求した。
 議案としても「管理職手当のカット」と「早期退職制度」が提案されたが、わが党は、財政危機の原因に本格的にメスを入才しず職員に犠牲を押しつけ、退職強要につながる恐れのある「早期退職制度」を職員団体との合意もなしに提案することは認められない、これらは職員と府民へのいっそうの犠牲押しつけのレールを敷こうとするものとして反対した。
 知事は、わが党の代表質問に対し、「基金をばらまき福祉に使っていたら、今頃、大赤字になっていた。近隣自治体をみれば明らか」と、自治体としての最大の仕事である福祉を敵視する発言を行ない、泉佐野コスモポリスをはじめベイエリアなどの大型開発事業による大阪府の財政破綻を、福祉施策の結果かのように描いた。これは大阪の横山知事と同様に、今後福祉の切り捨てをいっそうすすめようとする態度を表明したものである。
 また、自民党も、議案に対する賛成討論で、財政危機の原因をなんとか不況のせいにし、知事には責任がないかのように抗弁した。しかし、現実にいまの収入不足が500億円から600億円にのぼるのに対し、公債費(借金返済)が、91年に比べ約500億円増となっており、借金を増やし大型公共事業をすすめてきたことが財政危機の大きな要因であり、景気対策として公共事業をすすめたにかかわらず、景気は落ち込み、税収が大幅に後退していることをみれば、財政危機の責任が知事の府政運営にあったことは明白である。
 わが党議員団は、すでに「『財政危機』を口実にした府民と職員への犠牲の押しつけをやめ、地方自治の精神を発揮して、府民の暮らしと財政の立直しを」の見解を明らかにしているが、今後とも住民本位の財政立直しをはかるため全力をあげるものである。

一、今議会では、あらためて請願審査や意見書に対する態度で与党会派の無責任ぶりが露呈された。
 いま、中山間地農業に、深刻な被害をもたらしている有害鳥獣対策について、6月議会では自民党が、本議会では民主・府民会議が代表質問でその対策の充実を求める発言をしておきながら、今議会で中丹地域の農家からだされた請順について、不採択とし、わが党が提案した「有害鳥獣対策のいっそうの充実を求める決議案」に反対した。
 また、結核病床の国立宇多野療養所の廃止計画の中止と結核対策の充実を求める請願が、京都府患者同盟から提出され、民主・府民連合、新政会が紹介議員になりながら、委員会審議ではこれを採択せず、継続審査にし、さらに本会議でも、わが党が提案したこの請願にこたえた意見書案を、自民党などと一緒に否決するという暴挙を行なった。
 さらに、私学助成の充実を求める意見書についても、文教委員会では「一致すれば委員会で提出する」ことが確認され、自民党の案文で、わが党が賛同することを表明したにもかかわらず、民主・府民会議と新政会は「この案文では不満」と委員会提出を妨害しておきながら、与党4会派がまったく同趣旨で、文案も文言の若干の入れ替えだけのものを提案した。これは、「一致する府民の要望の実現のためには、議会あげて取り組んでほしい」との府民の願いに背を向けるものである。
 このように与党会派は、府民の願いをもてあそび、党利党略に利用するという理不尽な態度をとった。こうした態度は、今後、府民の厳しい批判をうけざるをえない。

一、今議会では、府議会の情報公開を、全会派による議員提案で可決した。条例提案にあたっては超党派の「府議会21懇話会」が設置され、検討がすすめられたが、この中で、わが党は積極的な役割をはたした。
 可決された議会の情報公開は、京都府条例に議会を加えるもので、議会独自の「非開示事頃」は一切定めず、不服申し立てによる審査も議会内部の機関で行なうのではなく、有識者による第三者に委ねる形となった。これは他府県の積極的な内容を取り入れたもので、議会時報の公開へ前進した。これによって、これまで委員会審議の内容が公表されず、請願がなぜ否決されたのかなど、請願人にもわからない事態は改善され、審議内容の「要点筆記」が公開されることとなる。
 わが党議員団は、引き続き「府議会21懇話会」のもうひとつの課題として確認されている委員会の一般傍聴を実現するよう全力をあげるものである。

一、議会の最終日に府議会議長室および副議長室に「日の丸」の掲揚が強行された。わが党は、議長、副議長は議会を構成する全会派を代表するものであり、法制化されたとはいえ、世論が二分され、十分な審議が尽くされなかったこと、また、「内心の自由は尊重する」ことは当然であり、議長・副議長寔に「日の丸」を掲揚することには反対との態度を表明した。
 議長はすでに「議場にも設置したい」との態度を表明しているが、許されるものではない。わが党は、多くの府民のみなさんとともに、押しつけを許さないため奮闘するものである。

一、今議会では、わが党も加わった議員提案で、議員の報酬を五%削減する条例が可決された。これは「混迷のつづく今日の経済状況のなかで、とりわけ中小零細企業の多い本府においては、景気回復の足音は未だ遠く、府民の暮らしには明るさがなかなか見えてこない。そのようななかで、現下の厳しい状況を府民と共有するために」(議長コメント)報酬を減額することとしたものである。わが党議員団は、4年前の歳費引き上げの際にも。 「府民の暮らしが厳しいときに、議員や特別職の報酬は引き上げるべきでない」と主張し、引き上げに反対した。今回の報酬減額にあたっては、「引き上げ前に戻すべき」と主張し、提案に賛成した。

一、今議会で設置された決算特別委員会では、わが党議員団の高橋昭三議員が副委員長に選出された。わが党は「議会の運営にかかわる役職は、議会を構成する会派の議員数に応じて配分することが、議会運営の当然のルール」と繰り返し主張してきたが、前期四年問は、与党会派による決算・予算委員会とも正副委員長の独占という事態がつづいた。
 今回も与党会派はわが党排除の方針は変えなかったが、わが党が15名に前進したことにより、排除できなくなったものである。今後とも、与党会派の横暴を許さず、民主的な議会役員の選出と運営に全力をあげるものである。

府政報告 1593 京都府議会九月定例会を終えて(談話)[PDFファイル 236KB]