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議会を終えて(談話)

府政報告 1611 京都府議会12月定例会を終えて(談話)

1999/12/21 更新
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●府会議員団が発表した談話と、「京都府都計審」での岩田委員の意見の大要をご紹介します。


京都府議会12月定例会を終えて(談話)
1999年12月21日  日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

1、 12月17日、今年最後の府議会12月定例会が閉会した。
 今定例会は、日産の大リストラ計画なと大企業の横暴と長引く不況から府民の暮らしと営業をどう守るのか、東海村での核燃料工場臨界事故の教訓にたって、府民の安全をどう守るか、さらに、「財政危機」のもとで府財政をどう立て直すかなどが問われる重要な議会となった。
 わが党議員団は、これらの課題のひとつひとつについて、積極的な提案と討論をおこない、府民の運動と結んで、その実現のため奮闘した。

1、10月に発表された日産の大リストラ計画は、日産の労働者はもちろん、多くの関係者に衝撃をあたえた。わが党議員団は、ただちに京都府に対し、「日産への計画撤回申し入れをおこなうこと、影響調査を実施すること」など、申し入れるとともに、決算特別委員会、12月定例会で、その対策の強化を求めた。府当局は、関係機関と対策協議会を設置したが、日産に対しては計画の撤回は求めず、事後の対策を検討するに留まっており、しかも下請け関連への影響調査や対策も、極めておざなりなものであった。
 また、今回の事態は、わが党議員団が提案してきた「一定規模以上の解雇や工場移転、閉鎖等について事前の届け出、アセスメントの実施、計画の中止、変更を含む協議などを盛り込んだ」条例もしくは要綱制定の必要性を改めて明らかにしたものである。
 今議会でも、ヨーロッパでの解雇規制の事例を紹介し、日本にも、資本主義としてもあたりまえのルールを作ることを求めたが、知事はあいかわらず「企業活動は自由、規制できない」と大企業の横暴を野放しにする態度に終始した。しかし、こうした姿勢では、日産だけでなく三菱自工、島津、ダイハツなど大企業が相次いで大リストラ計画を進めているもとで、雇用を守れないだけでなく、京都経済のいっそうの落ち込みを招くだけであることは明らかである。
 わが党議員団は、「解雇規制法」をはじめとした労働者保護の法制化を国に求めると共に、京都府に「リストラ規制」の条例・要綱の制定を実現するため、労働者、府民とともに引き続き奮闘するものである。
 また、自殺者までだした悪質な商工ローン「日栄」に対し、社会的に厳しい批判の声が高まっているが、こうした商工ローンに頼らざるを得ない状況をつくりだした、銀行の「貸し渋り」とともに、府の指導のもとにある保証協会の「保証しぶり」、さらに府の融資手続きに「1ヵ月半かかる」事態など、京都府にも重大な責任があることが浮き彫りになった。決算特別委員会でのわが党の具体的追及に、知事も「商工ローンを借りていることだけで、排除することはしない。具体的にあれば言ってほしい」と改善を約束した。

1、東海村・核燃料工場臨界事故は、あらためて「安全神話」に頼ったわが国の原子力安全対策の欠陥を浮き彫りにするとともに、国言いなりで、避難訓練さえ行わない本府の原子力防災対策、「計画」の欠陥をも明らかにした。
 また、わが党議員団が「高浜原発4号機におけるプルサーマル計画の中止」を求めたことに対し、知事は「国、事業者によって安全性は確認されている」と拒否したが、直後の16日に関電および通産省が「MOX燃料データー捏造」を公表したことにより、府民の安全に対する知事の無責任ぶりが露呈された。
 さらに知事は、「原子力新法により立地県並みの扱いがされることになった」と「自慢」し、「府の原子力防災計画の見直し」も表明したが、その内容は極めて不十分なものである。安全対策の体制については「専門家の協力を得て」としているが、その実態は「専門家を新たに職員として配置することは難しい」として、非常勤・嘱託程度ですまそうとするものである。静岡県では職員6人、安全センターには23人、福島県も職員6人、安全センターには20数人配置している。「立地県なみ」というのであれば、安全体制についてもこれら「立地県なみ」の体制をとるべきである。
 また、「防災計画」の対象範囲についても、関電の原子炉設置許可申請書で10~20キロ範囲の美山町でも、1年間の被爆許容量の4倍にあたる4ミリジーベルとなることが明らかにされていることや、立地県でも、隣接県でもない兵庫県が原発防災計画を作成しようとしていることを指摘されても、現行の10キロ圈を拡大することについても「国の動向を見て」という態度に終始した。
 今府議会には「若狭の原発を案じる会」から「MOX燃料資料に偽造の疑いがあり、プルサーマル計画の延期を求める」請願が提出されたが、わが党以外の会派はこれを継続審議とし、さらにわが党議員団が本会議に提案した「プルサーマル計画の中止を求める意見書案」を否決したがこうした府民の不安に応えない態度は世論の厳しい批判を受けざるを得ない。
 わが党議員団は、今後ともプルサーマル計画の中止を求めるとともに、府民の命と安全を守るにふさわしい、安全体制の確立、「防災計画」の抜本的見直しを実現するすすめるため、全力をあげて奮闘するものである。

1、今定例会では、国の補正予算成立を受けて、原子力防災体制の強化、特別養護老人ホームをはじめとした介護施設整備、私学振興補助金の増額などの補正予算が提案された。わが党は、府民要求を一定反映したものとして賛成した。
 私学助成補助金の増額は、9月議会でわが党が要求した授業料成免制度予算を増額したものであり、また運営費助成も国の交付単価の引き上げに伴う増額であり、当然の措置である。
 自民党は、当初予算では、父母負担の軽減に直接つながる私学助成の2億4千万円の削減に賛成し、毎年100万人にも上る私学助成の拡充を求める請願に反対しておきながら、今議会では、私学運営費への助成の増額を求める討論を行った。「私学助成の増額を求める」父母をはじめ私学経営者など世論の広がりの前に、知事に要求せざるを得なくなったものである。
 今回の予算の中には、住民合意のない第二外環の負担金や見直しが求められている舞鶴・和田埠頭関連予算など、相変わらずの大型公共事業予算が含まれており、わが党議員団は、これらについては反対を表明した。また、同じ公共事業でも国庫補助がない単独事業は、この間大幅に削減され、生活に不可欠な道路や橋の工事が中断され、信号機設置予算も昨年29機から、今年は4機に減らされたままとなっていることを指摘し、公共事業を生活密着型に転換するよう求めた。また、府民の要望に応え、府営住宅のエレベーター設置費が計上されたが、この事業を推進していく上で、エレベーターの維持費を入居者に負担させることはやめるよう要求した。

1、いま、中山間地域をはじめ府下各地で、有害鳥獣対策の拡充・強化を求める声が大きく広がり、多くの市町村議会が全会派一致で府への「意見書」を採択している。わが党は、こうした声に応え、本会議でその対策の強化を求めた。理事者も「農家の要望にこたえていく」と前向きの答弁をしたが、今後とも、その充実・強化のため奮闘するものである。
 また、府議会には農協中央会、森林組合連合会、農業会議から請願がだされ、全会派一致で採択された。ところが与党会派は、請願が「京都府の有害鳥獣対策の拡充・強化」を求めているにかかわらず、議会としての意思を示す「決議」を採択することは拒否し、国への意見書の提出にとどめようとした。わが党は、国への意見書の提出に賛成するとともに、「京都における有害鳥獣対策の改善・強化」のための「決議」を提案した。与党会派は、請願を採択しておきながら、その願いを生かした「決議」には反対するという矛盾した態度をとった。これは、府民の切実な願いに背を向け、京都府の不十分な有害鳥獣対策を擁護するものである。

1、京都府は11月「財政健全化指針」を発表したが、その内容は消費税の増税や赤字法人からも税金が取れるように国に要求するとともに、府民サービスは「聖域なし」で削減し、府民に犠|生を押し付けようとするものである。わが党議員団は、これを厳しく批判するとともに、「財政危機」の原因が、国言いなりで大型開発事業をおしすすめ、京都府財政を借金漬けにしたことにあることを厳しく指摘した。これに対し、知事は、「蜷川時代は国の責任をいいながら、今は知事の責任と言う」と泣き言を言ったが、荒巻知事のもとで、90年代に借金を2.8倍、6千億円も増やし、府財政を借金漬けにした知事の責任は明らかである。しかも、第2迎賓館について「建設費は国が負担する」としながらも「利用の形によって負担する」と自ら答弁しておきながら、その金額は「わからない」と開き直っているのである。「則政危機」をいうのなら、運営経費を含む負担も府民の前に明らかにし、その「是非」を議論するのが議会の役割であり、さらに府民が国の財政であれ、府の財政であれ「税金のムダ使いはするな。景観を破壊するな」の声をあげるのは当然である。結局、知事は「財政危機」を言いながら、大型公共事業は負担がどうなろうと推進する、無責任な財政運営をこれからも続けようというのである。

1、わが党議員団は、府下市町村議員団とともに、府下各地で実態調査を行い、住民の切実な願いを各振興局、土木事務所、保健所などへの要求の申し入れを行うとともに、今定例会の一般質問や、委員会審議で積極的にとりあげ、その実現のため奮闘した。
 京都府がすすめる広域ごみ処理計画が、府が策定した「ごみ減量化計画」にも反し、新たな財政負担を地元にもたらすことを明らかにして、その押し付けをやめるよう求めた。
 さらに府警の相次ぐ不祥事や警察官による犯罪を繰り返さない体制の確立など、府民の 暮らしと営業にかかわる問題を取り上げ、知事や理事者の姿勢を追及した。

1、今議会でも、知事は相変わらず答弁に窮すると反共攻撃で逃れようとする醜い姿をさらけだした。第二迎賓館建設については、知事がどう言おうと、京都を愛する人々の中で反対の声が広がりつづけている。知事は、こうした京都を愛する人たちの声を聞こうとしない、自らの官僚的体質とゼネコン奉仕の姿勢を示しているだけである。

1、国政の場でも、自自公政権が国民世論と野党の結束した力の前に、迷走を重ね、府議会においても、財政運営でも、雇用・不況対策でも、原子力安全対策でもなんらまともな対応ができないことを示している。今、京都の市政でも「いっぺん市政を変えよう」の声が大きく広がっている。
 わが党議員団は、年明け早々に行われる京都市長選挙で必ず勝利し、解散・総選挙をかちとり、新しい年を、国民と心が通いあう政治実現へ大きな一歩を踏みだす年とするため府民のみなさんと力を合わせて奮闘する決意である。

府政報告 1611 京都府議会12月定例会を終えて(談話)[PDFファイル 206KB]