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政策と見解

2000年度京都府予算案について〔談話〕

2000/02/29 更新
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●2000年度京都府予算案についての、日本共産党京都府会議員団の談話をご紹介します。
2000年度京都府予算案について〔談話〕

2000年2月

日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

一、2月21日から京都府議会2月定例会が開会された。この定例会には、来年度予算案および、地方分権関連の条例制定・改正などが提案され、審議がはじめられているところである。
 わが党議員団は、「財政が厳しい」もとでも、長引く不況で深刻になっている府民の営業と暮らしを守るとともに、実施を目前に控えた介護保険への対策、子育てや環境保全など、府民の願いに応えた予算となるよう全力をあげるものである。
 また、国と京都府の経済政策の失敗から税収が大幅に落ち込み、府債(借金)残高が1兆円を超えるもとで、地方自治の精神を生かした財政の立て直しをはかるため、積極的な提案も行い、本会議での討論をはじめ、予算委員会で徹底した審議に力を尽くすものである。

一、今度の予算案については、「43年ぶりの『超緊縮型』」とマスコミも報道したとおり、国の予算や「地方財政計画」の伸び率よりも低く、前年度比0.4%増の予算となっており、しかも、借金に頼っての「やりくり」予算となっている。
 来年度の府債の発行は、774億円で、借金残高はついに1兆円を超え、府民1人あたり40万4000円で、マスコミも「驚くべき数字」(京都新聞2月15日)となっっている。また、「医大および付属病院特別会計」などの特別会計を含めると借金残高は1兆1538億円にもなる。
 知事は、本会議答弁で「不況対策や介護保険対策など府民に配慮した。財政立直しヘヘの第一歩が着実に踏み出せた」(2月24日)と述べたが、「財政危機」の原因である「借金に頼って大型公共事業」をすすめてきたことには、まったく無反省で、府民と職員に犠牲を押し付けるもので、府財政をより困難にするものである。
 わが党議員団はすでに昨年九月に「『財政危機』を口実にした、府民と職員への犠牲押し付けをやめ、地方自治の精神を発揮して、府民の暮らしと財政の立直しを」との見解を明らかにし、「京都府財政の立直しをめぐる二つの道」を示した。
 今回の予算案は、その際指摘した、「地方自治の精神を発揮し、今日の財政危機の根本問題にしっかりメスを入札自治体本来の役割である住民の暮らし、福祉を充実させる方向」に背を向けるものとなっている。

一、予算案では、借金を返済するための公債費は、738億円にで、公債費比率13. 6%となった。しかも、元金の返済は406億円で、利子払いが322億円、1日1億円近くもなっている。
 しかも、府債の発行は、これまでの経過を見れば、政府の景気対策に便乗して、年度途中で膨らませつづけ、98年度で、当初の786億円か、年度末で1500億円にもなり、99年度も769億円が、現在1064億円へと増やされている。来年度も、さらに借金が増やされる可能性はきわめて大きい。
 こうした借金漬けのやり方は、今後に多大な負担を府民に押し付けるものであり、財政の硬直化の要因となっているのである。
 また、知事は「有利な起債を使っており、政府が交付税措置してくれる」とのんきなことをいっているが、いま国と地方の借金が645兆円にもなり、景気回復による税収増だけではまかなえず、消費税の大噌税など、府民・国民に大変な負担を負わせることになることは明らかである。
 いま財政の立直しのためには、なによりも、この借金体質の改善がはかられなければならないのに、今度の予算案でも、市内高速道路建設(起債10億8000万円)や舞鶴・和田埠頭建設(起債10億円)、学研建設(起債2億4 0 0 0万円)木津川右岸運動公園(起債二億3500万円)、丹後リゾート関連(起債43億5000万円)など大型開発事業関係は、ほとんどを借金にたよって引き続き事業を進めようというのである。知事は「一般財源の持ち出しはわずかだ」と居直ったが、このことが府民へ負担を増やすことは一顧だにしていないのである。
 知事が、まじめに財政の立直しをすすめようとするのなら、こうした大型開発計画は、すくなくとも財政立直しまでいったん凍結すべきで、それだけでも65億円近く借金を押さえることができるのである。
 さらに、今度の予算では、「投資的経費の重点化」で公共事業費を118億円削減したとしているが、その内容は、月没の公共事業は前年度比98%で、住民の身近な道路や河川の改修に充てる枠的単独事業は70%に削減されている。しかも枠的単独事業は昨年50億円削減し、その分を債務負担行為で先食いしており、今年度は実質65%になる。このことは、住民の身近な道路や河川整備が遅らされるだけでなく、土木部理事者も言うように「中小建設業者の仕事に影響」を与えるものである。大手ゼネコンの仕事確保につながる大型公共事業は借金を増やしてでも確保しながら、不況に苦しむ中小建設業者の仕事は大幅に削るもので、不況対策に背を向けるものである。

一、財政の厳しさの要因に府税収入の落ち込みがあるが、これは、政府の景気対策の失敗、国の「恒久減税」による減収にある。当然、国が地方交付税法にもとづき制度の改正、または交付税率の引き上げを行い、必要な交付税の総額を地方に保障すべきものである。ところが政府はこうしたまともな対策を取らず、財源対策債や、自治体にその半分を負担させる交付税特別会計の借入金でまかなわせている。国から140億円の財源確保を行ったとしているが、府の借金である減収補てん債が120億円で、交付税の改善措置は僅か二十億円となっている。
 知事は、交付税率の引き上げなど本来の対策を政府に求めるのではなく、もっぱら「安定した財源確保」として中小企業と府民の営業と暮らしに大打撃を与える「外形標準課税の導入」や「消費税の引き上げ」を求めている。これでは、財政の立直しどころか、京都経済のいっそうの困難をもたらすものとしかならない。

一、予算案は、府職員、教職員、警察官3万3000人の定期昇給ストップと教員、府職員の260人削減などで、人件費を71億円削減し、さらにこれを担保にした「財政健全化債」百億円で、予算をやりくりしたものとなっている。府職労と京教組は、この定期昇給のストップについては、労働絎台として「府民への犠牲の押し付けを最小限に食い止めるため、やむをえない」との態度を取った。これは「全体の奉仕者」の立場にたつ自治体・教育労働者の役割を発揮したものである。
 知事は、この職員の思いをうけて捻出された財源を府民の暮らしを守る施策に全面的に充てることが求められている。

一、予算案は、財政の立直しと地方自治の確立のにとって必要な対策や、財政危機をまねいた要因には、まともな対策を打たずに、府民には多大な犠牲を押し付けるものとなっている。
 その最大の問題は、介護保険の開始を口実に「介護激励金」6億7000万円余を廃止したことである。介護保険が始まり、在宅サービスが一定前進したとしても、家族介護を行っている家庭の苦労は引き続き残ることは明らかである。また、国の「介護慰労金」の支給は、介護度4~5の要介護者で、介護保険給付を受けないことが条件であり、2001年度からしか支給されないものである。だからこそ、多くの都道府県が今年度は「激変緩和措置」や継続を検討しているときに、ばっさりと廃止を決めたのは、京都など僅か6府県だけである。
 また、私学振興補助金は、昨年、所得制限を導入し、2億4000万円減額したのに続き、今年は国の単価改定が行われても改定しないことで、実質的に3億1000万円削減するものである。長引く不況の中、父母の負担が大変になり、少子化の原因となっている教育費の負担の軽減を求める父母と学院関係者の願いを踏みにじるものである。
 このほか、不況に苦しむ商店街振興対策予算を削減を続け、一昨年に比べ1億1000万円以上の減、北部地域企業振興対策(中小企業振興対策、緊急不況対策・活性化促進)で3500万円、丹後地域観光対策費など、いま強めなければならない不況対策を削減している。
 また、結核対策やガン予防対策、予防接種支援なども削減し、住民の命と健康を守るという、地方自治体のもっとも重要な役割をも後退させている。
 さらに、市町村自治振興補助金(98年から3億円減)、消防団員等激励金(単価の切下げ2000万円減)、地方バス路線維持対策事業(98年から7400万円減)なども大幅に削減し、困難な中、地域を守るために努力している市町村や関係者の願いに背を向けるものとなっている。

一、「財政危機」を口実に、府民に多大な犠牲を押し付ける「聖域なし」の「事務事業の見直し」をすすめながら、同和関連事業では、若干の削減はされたが、同和加配教員を含めれば依然として50億円を超える予算となっている。他府県にない奨学金返済免除措置に1億9000万円、補習学級開設事業1300万円、たった一人の子供会にも40万円支給する子供会補助2 2 0 0万円など、継続している。
 さらに、「世紀をむすんでひらく展覧会」をはじめ2000年ミレニアム記念事業やイベント予算が組まれている。これらについても、財政状況や府民の暮らしから見て、十分な検討が必要である。

一、このような地方自治の精神をなげすてたような予算案にあっても、府民の声をすべて無視することはできない。
 今度の予算案で、多くの府民の願いは切り捨てながらも、運動と世論が大きく広がってきたところでは、府民要求の一定前進をかちとっている。中山間地での党派を超えた関係者の運動で有害鳥獣対策予算(日本シカ適正管理事業含む)が2600万円増額、中小建設業者への仕事確保の声に押されここ数年減らされてきた校舎等小規模改修予算が1億3400万円増額、府営住宅の既設住宅改善事業で三億円余増額、さらに向ヶ丘療育園の改築とあわせ「子ども発達支援センター」の建設、10人以上30人未満の小規模学童保育所への助成措置などを実現した。
 このように、住民の運動と世論で、「則政危機」を口実にした府民への犠牲の押し付けを許さず、地方自治体としてあたりまえの行政を行わせることはできることを示している。
 わが党議員団は、今後も広範な府民のみなさん、そして府職員、教職員のみなさんとも知恵と力を合わせ、財政危機を口実にした犠牲の押し付けを許さず、「地方自治の精神を発揮して、府民の暮らしと財政の立直し」をはかるため、全力をあげるものである。


● 荘司泰男議員のおこなった一般質問の大要をご紹介します。

荘司泰男(日本共産党、右京区)2000、2、28

大企業の異常なリストラ・人減らしから、労働者の雇用と権利、中小・下請け企業をまもる府政への転換を
【荘司】 まず最初に現在府下で進められている大企業のリストラや、工場の移転、閉鎖