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議会を終えて(談話)

府政報告 1629 京都府議会2月定例会を終えて(談話)

2000/03/28 更新
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2月定例府議会が3月24日閉会しました。日本共産党京都府会議員団は閉会にあたり、
「談話」を発表しました。
京都府議会2月定例会を終えて(談話)
2000年3月27日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

● 2月21日から、開かれていた2月定例会は、3月24日閉会した。
 今定例会は、「財政危機」が深刻になるもとで、府民の暮らしと営業を守ること、介護保険実施を目前に控え、安心できる体制をととのえることなど、多くの府民の願いに応えながら、財政の立て直しをはかる2000年度予算を審議する重要な議会であった。
 予算案については、すでに、今定例会冒頭に、団長談話で指摘したとおり。「財政危機」の原因である無駄な大型公共事業にはメスを入れず、「財政危機」を囗実に、府民と職員に犠牲を押し付けるものとなっている。
 わが党議員団は、本会議での質問や討論、予算委員会での各部局審査でも、府民の要求をもとに、「地方自治の精神を発揮し、今日の財政危機の根本問題にしっかりメスを入れ、自治体本来の役割である住民の暮らし、揚祉を充実させる方向」への転換を求め奮
闘した。

●今日、国・地方とも膨大になった「借金」をどうするか、国・地方の財政をどう立て直すかが、重要な課題となっているが、荒巻知事はこのことに、まったく無責任な姿勢であることがあらためて浮き彫りになった。
 府財政は、すでに99年度補正で1兆円を超える借金残高をかかえ、新年度予算でも、新たな借金が774億円で、これから毎年1千億円以上も返済しなければならない状況に陥っている。
 ところが知事は「他府県に比べてまだ少ない方」と居直り、新年度予算でも、丹後リゾート関連や学研都市開発、舞鶴・和田埠頭。市内高速道路、関空出資金など、不便・不急、無駄な大型開発事業を、ほとんど借金に頼り、今後も「借金漬け」の財政運営をつづける姿勢を示した。
 また、多額の借金について、知事は「いずれは国が面倒を見てくれる」としているが、国会の論戦でも明らかなように、小渕・自自公内閣は、国・地方あわせて645兆円にも上る借金則政の立て直しの計画はまったく持っておらず、今後さらに1千兆円を超えるという天文学的数字になることが明らかとなっている。結局、消費税の大増税や大インフレを国民に押し付ける破滅型の財政運営であり、知事の態度は、国に追随して、破滅への道を進んで行こうとするものである。
 さらに、知事をはじめ与党各会派は、「安定的な財源確保のために、外形標準課税の導入を」国に要求しているが、審議の中で、わが党議員は、「政府税調が検討している外形
標準課税を導入した場合、京都の95.7%を占める資本金5千万円以下の法人は、大増税になること。業種別に見ても京都の主要産業である繊維産業、小売業、サービス業などが大増税となる」ことを明らかにして、追及した。これに対し、知事も「共産党の意見に賛成するわけではないが、外形標準課税は、必ず小さな企業の問題、その他がでてくる」と認めざるを得なかった。こうした外形標準課税の導入を求めることは、京都経済の再生にも、府財政の立直しにも逆行するものであることは明らかである。

● 今回の審議では、府がこれまで「4府総」の名ですすめてきた大型開発、大型公共事業が破綻し、行き詰まっていることが、いっそう明白となった。
 丹後リゾート開発では、進出するはずの「民間特定施設」が、府税の「特例措置」を延長した四年問をみても1件も進出せず、結局、今回「特例措置」を廃止することとなった。網野町のCCZ計画も、海に消える砂に5億3千万円もつぎ込み、総工事費50億円以上かけながら、人工の砂浜は完成せず、民間施設の進出もまったく見込めないまま「2000年度で一旦事業は終結する」こととなった。丹後リゾート公園建設も、民間企業の進出が破綻し、用地買収も完了しない事態の中でまったく頓挫している。結局、1千億円を超える投資を行ったが、丹後リゾート開発は、宿泊客が減少している事態も明らかになるなと完全に破綻している。
 学研開発でも、「学研公園」の管理費に毎年1億1千万円も使いながら、入場料収入はわずか4百数十万円であり、もっぱら宅地開発業者の宣伝に使われている状況で、わが党議員団が当初から指摘してきたとおり、「学研開発」ではなく「宅建開発」であることが浮き彫りになっている。
 桂川右岸雨水斡線事業(「呑竜」計画)でも、すでに128億円投入し、新年度予算で4億5800万円計上しているが、2000年度に1期工事分の暫定供用開始後「今後については、財政状況や施工条件などを踏まえながら着実にすすむよう努めたい」と、実質は、全体計画について見直し、先送りせざるを得なくなっている。これもわが党議員団が「新川、西羽束師川などの河川面修を急ぐことこそ、早く、安上がりでできる治水対策」と指摘してきたことが正しかったことを証明している。乙訓地域の治水対策については、府が「呑竜計画」を向日市などの従来の「治水計画」を変更させてまで押し付けてきた経過から見て、関係市町の「治水計画」の見直しとその遂行を全面的な支援をすべきである。
 この他、木津川右岸運動公園についても「とりあえず要望の強い広場の整備をすすめる」として、巨大スタジアム建設の先送り、運輸省による舞鶴・和田埠頭の見直し、さらには、過大な需要見込みで進められてきた関電の舞鶴火電建設の先送りなど。府がすすめてきた大型開発・大型公共事業の破綻がいっそう明白になった。
 「財政危機」「財政立直し」を言うのであれば、こうした大型開発事業・大型公共事業の全面的な凍結、見直しこそを行なうべきである。

● 同時に、こうした大型公共事業が景気回復、雇用確保にも結びつかないことも、明らかとなった。
 知事総括質疑で示したとおり、府内の公共事業が大幅に増えても、労働者延べ就業状況は、大幅に減っており、景気対策としても役立っていないこと、工事規模が大きいほど、工事費百万円あたりの雇用労働者数が少なく、生活密着型の公共事業に転換させてこそ、景気・雇用対策にも役立つことを具体的に示し追及した。
 知事も、このことは否定できず「公共事業は経済対策、雇用対策としての効果もあるが、それだけの意味でやっているのではなく、社会資本の整備のためであり、理解をしてほしい」と弁明したが、今日、社会資本整備と称する大型開発・大型公共事業が破綻しているのであり、全面的な見直し、再検討こそが必要となっている。

●新年度予算案は、府民に多大な犠牲を押し付けるものとなっているが、とくに介護激励金の廃止や私学振興補助金の大幅削減なども、なんら道理のないものであることも明らかとなった。
 介護激励金の廃止について、知事は「介護保険の実施により役割を終えた」としたが、介護保険実施で、これまでの家族介護が、すべて社会的介護となるものでないことは明らかである。だからこそ他府県でも、府下の市町村でも、継続や激変緩和措置をとっているのであり、「廃止」は知事のお年よりに冷たい姿勢を示すものでしかない。
 また、「介護激励金の存続を求める請願」が年金者組合や生活と健康を守る会などから提出され、議会名派や知事あてに、ファックスなどで切実な声が数多く寄せられたが、存続を求める請願を与党会派が不採択とした。さらに、わが党議員団が1提出した「介護激励金の存続を求める決議」も与党会派はこれを否決した。こうした与党会派の府民の願いに背を向ける態度も、きびしい批判を受けざるをえない。
 私学振興助成について、「2000年度、国が行なう単価改定に見合う是正は行なわない」としているが、これも審議で、国の単価改定に見合う財政措置は、交付税と補助金で措置されることから、「当然、是正を行なうべき」とのわが党議員の追及に、総務部長は「交付税措置されるといっても、単価が低い」と答弁したが大型公共事業のための借金は、「国が財政措置をしてくれるから大丈夫」といい、府民の切実な要求に対しては「国の財政措置は、あてにならない」と使い分けをするという、道理のない態度をとった。

●介護保険のスタートにあたって、知事は提案説明で「介護保険制度の円滑な実施に万全を期す」と述べたが審議を通じて、極めて多くめ問題が残されていることが、明らかとなった。
 第1は、基盤整備が大きく立ち後れた状況にあることである。総括質疑で、わが党議員が示したとおり、ホームヘルプサービスでは国の示した初年度40%程度の基盤整備が求められているにかかわらず、全体では27.5%、中部圈域(亀岡、船井、北桑)では20%にも満たないことが明らかになった。ところが、知事は「保健福祉計画をほぼ達成できる。地域間で極端な格差は生じていない」と問題解決に背を向ける態度を取った。
 第2は、高すぎる保険料、利用料についても、僅かな年金で生活をするお年寄りからも保険料を天引きすることについて、減免制度など軽減措置を求めたのに対し、知事は「そんな極端な事例は生じない」と拒否する冷たい態度を取った。しかし、この答弁に対し、テレビを見ていたお年寄りから知事に抗議の電話が寄せられたように、わが党議員の指摘こそ、府民の声であることが明らかである。
 また、利用料についても知事は、「社会福祉法人による減免制度を実施した」としているが、この制度は、市町村・社会福祉法人の姿勢次第で適用を受けられないお年寄りが生まれること、しかも多くの社会福祉法人では、この実施が危ぶまれていること、さらに、訪問看護など医療関係は対象外になることなどから、「公正・公平な」制度とはならないことが明らかとなった。
 こうした具体的な問題の指摘に、知事も「4月1日以降、いろんなケースが出てくると思う。今後とも努力していきたい。」といわざるを得なかった。

●長引く不況に追い打ちをかける酒販店や米穀商、薬局、理美容、タクシーなどの規制緩和について、業界関係者をはじめ多くの府民から、その中止を求める声があげられ、酒販組合から要望書も提出された。わが党議員団は、代表質問でも、総括質疑でも、知事に「国に、規制緩和反対の申し入れをすること」を求めたが、知事は「規制緩和は時代の流れで、そのもとで経営努がをすべき」と規制緩和容認の態度を示した。これは、京都の中小小売商店や業界団体の願いに背を向けるものである。
 こうした知事のもとでも、府議会は、酒販組合の要望書をうけて全会派一致で、国に対し「酒類販売について、免許規制と刊本化した社会的管理のための法整備を求める」意見書を採択した。
 この意見書の採択にあたっては、総務常任委員会で、わが党議員が、酒販組合の要望書をもとに意見書の提出を提案したにかかわらず、自民党など与党会派は、提案者からわが党を排除するというまったく不当な扱いをし、さらに、わが党が提業した酒販組合の要望書そのままで、与党会派案とほとんど同じ意見書案を、日本共産党が提案者だからというだけで否決するという態度を取った。こうした党利党略的な対応は、党派の違いをこえて、「規制緩和の中止を求める」運動の前進を願う小売商店や業界関係者の願いに背を向けるものである。

● 日産の大リストラ計画、2信金の破綻など雇用不安はますます深刻になっている。知事は相変わらず「解雇規制はできない」との態度を取り、「緊急雇用対策事業など対策を行っている」と答弁したが、緊急雇用創出事業でも実際の失業者への雇用確保としては極めて不十分であるだけでなく、本来一般事業で行なうべきものを、雇用対策事業の予算を事実上、流用している状況も明らかとなった。
 府議会には、京都総評、連合京都などから。解雇規制や労働者保護のための法整備を求める請願が提出された。与党会派は京都総評の請願を不採択とするだけでなく、「連合京都」が提出した請願まで継続審議にしてしまった。とりわけ民主・府民連合、公明党、新政会が、紹介議員になりながら、継続審議にしたことは、請願者の願いに背を向けるものである。しかし、こうした態度を取りながら、労働者、労働組合の批判を恐れ、民主・府民連合が「労働者保護の法整備を求める意見書案」、自民党、新政会が、「労働者保護施策の充実を求める意見書案」を提出した。わが党は、それぞれ不十分さがあっても企業の分割や譲渡、合併がすすめられるもとで、労働者の諸権利を守る法整備や施策が前進することを求め、2つの意見書案に賛成をした。

● 同和対策について、特別法期限が終了して3年が経過しているもとでも多くの府単独の特別施策が継続されており、わが党議員団は、その終結と一般対策への移行を求めた。 ところが同和経営指導員が事実上「解同」の専従職員となっている事態や奨学金償還事業のように「自立意識の涵養」に背を向ける事業が多く残されている問題について、理事者は相変わらず「経過措置期間はやむをえない」との態度を取っている。さらに教育行政や個人給付事業などの対象について、誰が同和地区関脳主民として認定しているのか、誰が「同和地域の児童・生徒」と認定しているのかは、理事者も答弁できず、結局、行政が「解同」言いなりで、「新たな差別意識」を作り出していることが浮き彫りになった。

● 今議会には、地方分権関連一括法の成立をうけて関連条例の制定、改正等が提案された。今回の法改正は、国の地方への「関与条項」が、これまでよりも拡大・強化されていることや、財源保障が洞らなされていないことなど、地方自治の拡充に逆行するものとなっている。わが党議員団は、改正条例の運用にあたっては、国の関与規定の強化は認めないこと、財源措置を講じることなどを強く求めた。さらに市町村への権限委譲についても、地方自治の拡充にふさわしい運用はかること、財源補償を行なうことを求めた。
 また、権限委譲に伴って手数料条例の制定が行われたが、建設業許可申請手数料が8万円から9万円に値上げされるなど、25項目、147種も値上げが含まれており、わが党議員団は、暮らしや営業に関わる値上げには反対であることを表明し、条例制定には賛成した。

●今議会では、日野小学校児童殺害事件での対応や相次ぐ不祥事が続く京都府警への府民の厳しい批判の声があげられているもとで、わが党議員団は、日野小事件の真相の徹底解明と不祥事の再発防止のため、公安委員会の情報公開、警備公安偏重とキャリア優遇のゆがんだ警察組織の民主化などを求めた。こうした中で府当局は、公安委員会も情報公開の対象とする方向で検討を進めることを約束した。

●今定例会では、自自公政権への国民の怒りが広がり、日本共産党への期待の高まりの中で、危機感を強める公明党の反共の尖兵としての役割と、なんら道理のない公明党の態度が浮き彫りになった。
 公明党は代表質問で、市長選挙での反共ビラを使って日本共産党攻撃を行なった。わが党議員団は、こうした反共攻撃に対し、「公明党・創価学会こそ、替え玉投票事件や自らへの批判者に盗聴機を仕掛ける、でっち上げ写真で陥れるなど無法な勢力である。」との事実を挙げたきびしい批判を行った。
 これに対し、公明党はさらに一般質問でもとりあげたが、わが党議員団の具体的な批判には何ら答えられなかった。これに対しても、わが党議員は、「公明党と創価学会は一体不二の関係にあり、これが国民のきびしい批判を受けていること」を明らかにし、再度きびしく批判した。
 また、介護激励金の廃止についても、代表質問では「介護保険の実状を見極めてからでも良かったのではないか」といい、部局審査では「せめて今年だけでも、半額でも残せないか」言いながら、一般質問では「やむをえない措置」と容認し、「介護激励金の存続を求める」請願や決議にはことごとく反対する態度を取った。これは、府民の願いを実現する立場ではなく、自分たちに都合のいい方法はないかと混迷した結果である。
 また、児童手当についても、「子育て世代に」曽税をもたらすもの」とのわが党議員の批判に、最終日の討論において、言い訳に事欠いて「年少扶養控除は金持ち減税で、支援が必要な人に減税の効果が及ばない。だから公明党は廃止を主張している」との暴論を持出した。本来、児童手当拡充の財源を増税で賄う必要はまったくない。無駄な大型公共事業や米軍への思いやり予算の一部を削れば十分できることである。公明党は、これにはいっさいものが言えず、財源確保は、国民への増税で行って当然というもので、しかも増税の対象も「年少扶養控除は、不公平税制だから反対だ」という、まったくひどいものである。「年少扶養控除」が、子育て家庭の税負担を軽減するものであることは誰の目にも明らかであり、この廃止を要求して、「少子化対策に熱心な公明党」とはまったくあつかましい言い分と、言わなければならない。
 昨年の地域賑興券、そして今回の児童手当問題は、いずれも公明党の、党利党略のだめには、前後の見さかいなしの党というお粗末さを示すものである。

●議会と行政の関係については、本来は議会が、行政に対するチェック機能を果たすこと、そして府民の要求を反映させることが重要な役割である。ところがオール与党体制が永く続くもとで、与党会派は知事をはじめ理事者の方針をすべて是としたうえで、及び腰で要望を述べるに留まる事態が長年続き、理事者も議会での審議を、通過儀礼のように考える傾向が強まって来ている。この事が端的に表れたのが、今定例会である。
 地方分権一括法関連でもないリゾート関連の府税特例措置の廃止を、一括関連条例の中にもぐりこませるやり方や、介護保険体制の不備を指摘されることをさけるため、本来、明らかにしなければならない資料の公表を隠そうとしたり、さらには、まったく事実に反する答弁を行うなと議会軽視もはなはだしい事態が1起こった。わが党議員団の厳しい指摘に、関係理事者が、議会に謝罪しなければならなかった。こうした事態は、議会活動の軽視であり許されるものではない。
 わが党議員団は、こうした議会と理事者の馴れ合いを許さず、府民の期待に応えた議会活動となるよう全力を尽くすものである。
 4月1日からは、議会も情報公開の対象となる。この措置が住民参加の開かれた議会運営の一歩となるよう奮闘すると共に、委員会傍聴実現など、引き続き努力するものである。

●今日、どの世論調査を見ても、小渕・自自公政権への国民の批判は大きく高まっており、内閣支持率が急速に低下している。もともと自自公政権は、公約違反であり、国民の信を問うことが求められていたものであり、舵取り不能に陥っている自自公政権は、直ちに解散し、総選挙で国民の信を問うべきである。
 わが党は、来るべき総選挙で、21世紀にむかって、国民と心が通い合う新しい日本の政治を実現するため、いかなる反共攻撃をも打ち破り、必ず勝利、躍進するため、全力を尽くすものである。
 また、この4月、4期目の荒巻府政の折り返し点を迎える。荒巻府政は、府民との矛盾をますます激しくしている。わが党議員団は、総選挙など一連の国政選挙、中間地方選挙での一つ一つの闘いの前進で、京都に再び「府民が主人公」の府致を実現する大きな流れをつくるため、多くの府民との共同を広げ、府民要求の実現のため奮闘するものである。

府政報告 1629 京都府議会2月定例会を終えて(談話)[PDFファイル 354KB]