資料ライブラリー

議会を終えて(談話)

府政報告 1642 6月定例府議会を終えて(談話)

2000/07/18 更新
この記事は 9 分で読めます。

6月定例府議会を終えて(談話)
2000年7月14日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

一、6月定例府議会は、7月14日閉会した。今議会でわが党議員団は、総選挙での論戦を生かし、公約と選挙中寄せられた多くの府民要求実現のため奮闘した。

一、総選挙で大きな争点となった不況打開と中小企業・業者の営業を守る問題について、わが党は、政府が「新生銀行」(元長銀)のもつ「そごう百貨店」の債権買取り・放棄による税金投入を厳しく批判すると共に、いまこそ「中小企業にこそ救いの手を」と追及した。とりわけ、「みやこ」「南京都」2信金の破綻は、京都の中小企業に重大な影響を与えることを指摘し、①機械的な査定で整理回収機構送りとしないこと、一括返済を求めないことなど強く指導すること。②苦境に対応できる2信金関連の特別融資制度を緊急に創設すること。③保証協会も特別の対応を行ない、「門前払い」「保証渋り」をおこなわないこと。④2信金問題の相談窓口を設置することなど、具体的な対策を求めた。関係する中小業者からは、「日本共産党の提案は、業者の切実な願いにこたえたもの」と共感がよせられた。しかし、知事の答弁は、従来の施策を述べるにとどまり、深刻な事態に陥っている京都経済立直しのための対策を持っていないことを示した。
 さらにわが党は、不況と府民の生活苦につけこみ暴利と違法な貸し出しで儲けている日賦金融業についても、金利の特例の廃止、指導の強化、暮らしの資金の通年化と引き上げなどを要求した。
 また。政府が「景気は回復しつつある」と発表しても、知事も与党会派も「京都は依然として深刻」と言わざるをえない事態となっているが、その解決のための具体的な対策は何ら示せず、府民の期待にこたえられないことがますます明らかとなった。
 わが党議員団は、政府税調の「中期答申」にもとづき、消費税の増税、外形標準課税の導入、課税最低限の引き下げなど、「庶民増税」がたくらまれているいま、広範な府民と共同し、営業と暮らし守り、京都経済を立直すためのだたかいを大きく広げるため、奮闘するものである。

一、4月から開始された介護保険では、多くの矛盾が吹き出している。わが党は、府民の切実な声を紹介し、利用料減免制度をすべての在宅サービスに拡大することや行政の責任で実態調査を行うことなどを求めた。ところが知事は、「順調にスタートした」
 「介護保険は市町村の事業。各自治体が自分の意志で決めること」と、府が何らまともな市町村支援を行っていないことをごまかすため、介護保険法に定める都道府県の役割をも否定する答弁を行った。しかし、この答弁は、厚生労働常任委員会で理事者が、介護保険法第五条に定められた府県の役割を否定できず、「府として財政的にも支援していく」と答弁し、知事の見識の無さを示すものとなった。
 また、実態調査についても、「利用者と施設との契約により利用する制度であることから、その都度状況を把握することは困難」としながらも「サービスの提供状況を把握し、必要な対応を行っていきたい」と実態を把握する必要を認めた。今後、適切な実態調査、把握を行わせ、安心できる介護体制の確立へ、利用料・保険料の減免、基盤整備の充実、介護認定の改善などへ奮闘するものである。

一、府立医大を含む府立4病院について、包括外部監査が実施され、府の財艱難を理由に、一般会計からの繰入金を削減することを最大の柱として、人件費をはじめ「効率化」「経営改善」の名による「合理化」がすすめられようとしている。わが党は、「効率化」のもとで、看護婦や医師に長時間・過密労働が強要され、精神科や結核対策が放棄されようとしていること、民間委託で衛生上回題が生じていることなど、問題を指摘し、府民の命と健康を守る府立病院の果たす役割をさらに充実させることを要求した。理事者は、府立病院の役割を認めながらも「抜本的な経営改善に向けいっそう取り組みを推進する。」「包括外部監査結果を踏まえ、鋭意すすめる」としており、今後、医療関係者、府民との共同した運動の強化が求められている。

一、知事は、不況介護、医療など、府民の命と暮らしを守る本来の役割を果たすことには冷たい態度を取りながら、大型開発、大型公共事業については「府域の均衡ある発展をはかる」ため、さらに必要との態度をとった。そのうえ公共事業を生活密着型に転換することについて、福祉や教育の公共事業をやれば「それを運営するソフトのお金も必要になる」と、生活密着型の公共事業を否定する態度を表明した。今日深刻な雇用状況にあるもとで、これらの分野の公共事業が雇用の拡大にも結びつくこと、そうした方向へ府下の市町村でも努力が始まっているもとで、知事答弁はこれを否定する暴論である。
 その一方で、渋滞と環境破壊をもたらす京都市内高速道路について、「都市活動の活性化を促す社会基盤施設」とし、府の負担額がいくらになるか、わからないままでも推進することを表明している。
 先の総選挙でもムダな大型公共事業への国民の厳しい審判が下されており、今後、知事のこうした態度も、府民の厳しい批判を受けざるを得ない。

一、同和経営指導員については、これまでから「部落解放センターに常駐し、本来の業務を果たしていない」など、わが党議員団や全解連などが、繰り返し、その是正を求めてきたものである。今回、府監査委員が、この異常な事態を是正するよう知事に意見を提出したことは、世諭の広がりのもと、現状のままの継続が困難となっていることを示すものである。
 知事は、「補助金の支出については、返還は求められていない」と居直りながらも「早急な改善を図る」と答えざるをえなかった。部落解放同盟役員と兼務している二名の指導員は退職させ、不補充とすること、勤務場所を「部落解放センター」から「商工会議所・商工会連合会別室」に移すことなどの是正措置が取られたが知事の居直りにもあるように、これまでの部落解放同盟を特別扱いし、制度や規則すら歪める異常なやり方が、根本から反省されたものではない。今後とも、同和行政及び同和教育・啓発の廃止に向け、引き続き奮闘するものである。
 また、亀岡市畑野での違法な採石が放置され、土砂崩れなど災害の恐れが発生している事態について、京都府が「採石法」の定めにもとづくまともな対策を、十年近くも取らなかったことが明らかとなった。理事者は「指導してきた」としているが、採石業者としての登録も行わず、採石の認可も受けていない業者が、長年にわたって違法行為を続け、住民に被害が生じる事態になってから、改善命令をたすという、まったく無責任な対応であったことは明らかである。
 さらに、八木町では14年間運営され、府・町も補助金を支出してきた城山共同作業所に対し、町長の気に入らないからと、難癖を付け、補助金を打ち切るという暴挙が行われている。
 特定の団体や企業には、違法行為を免罪し、適法に運営している障害者団体に、恣意的に補助を打ち切るなど、知事のいう「公正・公平」とは程遠い事態が生まれている。わが党は、こうした不公正を許さず、「住民が主人公」の府政の確立へ全力をあげるものである。

一、意見書について、わが党は、請願を受け「介護保険制度の緊急改善を求める意見書」・「老人保健法の改定に反対する意見書」「輸入木材の削減を求める意見書」を提出したが、与党会派の反則で否決された。
 林業服興のための意見書については森林組合漣合会などの請願を受け全会派一致で採択されたが、この中には、今日、木材価格の下落の要因になっている無秩序な外材輸入の規制は含まれておらず、委員会審議で他会派も、これが大きな課題であることを認めていたものである。今日、自然環境と国土保全のためにも外材の無秩序な輸入を規制することは喫緊の課題であるにもかかわらず、これを否決したことは、与党会派の責任が問われるものである。
 与党四会派は、「揮発油税」「石油ガス税」などの特定の税財源を、高速道路建設など道路整備に当てること引き続き堅持することを求める「道路特定財源制度の堅持に関する意見書」を提案し、わが党の反対のもとで可決した。今日、車中心の交通政策が騒音や大気汚染、さらには、あらたな渋滞をまねく事態となっており、また、「使われない高速道路」の建設など、大型公共事業の自己増殖装置であり、国民の厳しい批判を受けているもので、見直し・一般財源化こそが求められているのである。
 また、JR西日本労組から、JRバスヘの補助制度を求める要望書が提出され、わが党は過疎地域における住民の「足」を守る立場から意見書案を準備した。与党会派は当初、意見書提出の意向を持たなかったが、わが党意見書案に対する対案を提出、わが党も賛成できるものであることから、全会派で提出することを申し入れ、わが党案を取り下げた。ところが与党会派は、全会一致での採択が可能にも関わらず、与党会派案も取り下げるということを行った。住民の請願、要望を党略的に扱うもので府民の厳しい批判はまぬがれない。

一、四月から議会も情報公開の対象となり、委員会審議についても委員会記録が公開されることになった。これは請願をはじめ府民の願いに、どの党が、どういう態度で審議に臨んでいるかを府民の前に、いっそう明白にすることになる。
 また、委員会の傍聴についても、現在協議中であり、その早急な実現のために全力をあげ、議会が府民の期待にこたえ、その役割が果たせるよう奮闘するものである。
 今議会で、各委員会委員の改選が行われた。わが党は、議長、各会派に対して、正副委員長の選出は、与野党の立場に関わらず、民主的運営を保証するためにも、各会派の議席数に応じて配分することを要求したが、与党会派はこれを拒否し、すべてを与党会派で独占した。これは議会の民主的運営の土台を崩すものであり、厳しく批判するものである。
 
一、総選挙では、わが党の躍進を押さえるために、自民・公明党の政権与党による選挙史上例を見ない謀略的な選挙が行われた。わが党は代表質問で、こうした謀略選挙が日本の民主主義を根底から危うくするものであることを指摘し、厳しく批判した。
 今後、こうした謀略選挙を一掃するために、国民的なたたかいを広げるとともに、どんな反共攻撃にも打ち勝ち、参議院選挙で府民の期待に応え、必ず勝利、躍進するため全力をあげるものである。

府政報告 1642 6月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 194KB]