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議会を終えて(談話)

府政報告 1652 9月定例議会を終えて(談話)

2000/10/20 更新
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9月定例議会を終えて(談話)
2000年10月20日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

一、9月定例府議会は、10月16日閉会した。わが党は、代表質問や一般質問で消費税、雇用、2信金破綻問題、介護、農林業、平和、30人学級、交通バリアフリー、男女共同参画、京都迎賓館、違法開発問題などを取り上げ、府民要求実現のため奮闘した。
 代表質問で、総選挙後強まっている消費税増税の動きに対し、府民の暮らしと京都経済を守るために、知事が国に対し、消費税増税に反対すること、当面食料品を非課税とすることを求めるよう要求した。ところが知事は、相変わらず「国会と政府において検討されること」としながら、他方では、中小企業に増税を押し付ける「外形標準課税」については「国に強く要望している」と答弁した。これは、知事が消費税回題には「国のことには口出しできない」としながら、増税だけは求めるというもので、府民の暮らしや京都経済を守る立場になく、「地方分権]を語る資格もないことを証明したものである。

一、2信金の破綻と中信への営業譲渡問題が重大な山場を迎えており、中小業者の経営を守るための対策が緊急に求められている。6月議会でわが党が要求した2信金問題の相談窓口を設置については、9月補正予算で特別の相談体制をとることが実現した。また、保証粋があと1000億円足らずとなっているとの指摘に対して、知事も「不足する場合の配慮について国に要請している」と答え、政府が来年3月末で打ち切ろうとしている「貸し渋り特別保証制度」について「対策を国に要望している」と答えた。しかし、こうした府の対応だけでは深刻な事態に陥っている中小業者の経営を守ることができないことは、今議会に商工会議所、商工会連合会からそろって「中小企業者へのいっそうの支援を求める」請願が出されたことでも明らかである。
 わが党議貝団は、実態凋査の実施、2信金に刈応した「特別の緊急融資制度の創設」の実現など、中小業者への支援をいっそう強めるため奮闘するものである。

一、さらに雇用問題もますます深刻となっている。わが党議員団は、知事の「京都だけ規制を厳しくすれば企業が逃げ出す」との言い分を厳しく批判し、解雇規制条例は①雇用対策法に抵触しないこと ②自治体の条例制定が国の立法を動かす力になること③住民の暮らしを守る地方自治体として当然の措置であることなどを指摘し、「条例」制定を求めた。しかし、知事は「法制度上むずかしい」と従来の答弁を繰り返すだけであった。その一方「日産車体や信用金庫の問題のように地域経済や雇用に大きな影響を及ぼす場合には、関係企業に対し雇用の確保に最大限努めるよう強く要請する」と述べた。結局、深刻な雇用問題の解決にはなんら対策を持たず、企業の「善意」に期待するしかないというもので、企業の社会的責任を果たさせるためにも「条例」制定こそがいま求められている。

一、介護保険がスタートして半年たち、高齢者の保険料徴収が始まったが、多くの高齢者から不安と怒りの声が寄せられている。こうしたもとで、八幡市をはじめいくつかの市町村で低所得者への保険料・利用料の減免、助成の制度が実施されており、これを府下の全市町村に拡大することが求められているにもかかわらず、知事は相変わらず「低所得者への対策を国に要望する」にとどまり、厚生省が自治体の保険料減免制度に不当に干渉していることに対しても、「制度の枠内で工夫を」と国に迎合する答弁を行った。6月議会では「介護保険は市町村の事業」と府の支援策を拒否し、国が「保険料減免はため」と地方自治に介入すれば、これを是認すると言う、まったく道理のない態度をとった。
 さらに、被爆者への福祉系サービスの無料化について減免措置を要望すれば国が引政措置を行うことが明らかであるにかかわらず、これを要請しなかったことは、いかに府民に冷たい府政であるかを示すものである。

一、無駄な公共事業の見直しは、大きな流れとなっている。ところが知事は京都市内高速道路について、わが党の代表質問での具体的な批判に答えず、すでに破綻している「交通渋滞解消を緩和することにより、排気ガスの発生を抑制し、環境悪化の防止にも寄与する」との答弁を繰り返した。建設費の膨張については「公団に対し知事名の文書をもって変更理由の十分な説朋とコスト縮減をはじめあらゆる努力により辜業費の増高を抑制することを申し入れた」としながら、216億円もの工事費の膨張を「やむをえないもの」と容認し、府の新たな負担12億円を認める態度をとっている。
 また、第2迎賓館建設についても「京都にとって非常に重要な意義をもつ施設だと考える」として、批判の声に背をむける態度をとりつづけている。
 こうした態度は、「無駄な公共事業はやめろ」との広範な世論との矛盾を、今後いっそう広げざるをえないことは明らかである。
 このように、「財政が厳しい状況にある」としながら、大型公共事業については、無駄が明らかになっても、則政負担が膨れ上がっても、引き続き進めようとするもので、府民の納得を得られるものではない。
 さらに、府の進めている京都縦貫道の綾部・宮津間について、当初の工事費700億円か、綾部・舞鶴間完成時には1100億円、今回は1200億円へと膨れ上がっている。

一、さらに今回、公共事業をめぐって、宮津土木事務所課長が逮捕される事件が発生した。知事は原因の究明と綱紀粛正を強調したが、こねは個々の職員の問題だけではなく、贈賄企業には府の幹部が天下りし、最高幹部の子弟が営業担当でいることなど、特定の企業と京都府の癒着体質にあること、さらにこうした癒着体質に何らメスを入れようとしない知事の姿勢に問題があることは明らかである。
 わが党議員団は、こうした点を厳しく指摘し、癒着体質の克服と入札制度の改善を求めた。その後、マスコミ報道によれば、「今後、予定価格の事前公表を行う」ことが明らかにされたが、これは従来からわが党議員団が要求してきたもので当然の措置である。
 また、今議会には、洛西浄化センターの電気設備についての工事請負契約が提案されたが、この工事を請け負う日新電機は、昨年、贈収賄容疑で逮捕者を出しており、しかも8期にわたる本事業を事実上独占する状況となっている。すでに、京都の中小企業でも受注が可能な工事を事実上、大手に独占させるもので、わが党議員団は、これに反対した。

一、今議会の本会議質問で、16人中11人が教育問題を取り上げる状況が生まれた。これは、不登校や学級崩壊、さらには少年犯罪の発生など府民の教育澗題への関心の高まりを反映したものである。しかし、与党会派は、この解決を「心の教育」に矮小化し、その枠内での質問に終始した。わが党議員団は、どの子にもゆきとどいた、ゆとりのある教育を実現するため、30人学級の実現や講師問題、障害児教育の問題など京都の教育がかかえる具体的問題でその改善を求めた。
 教育長は、文部省の「教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議」が学級規模について各県の判断で少人数学級にすることが出来るとしているにかかわらず、「国の概算要求においても考えられていない」と30人学級実現に背を向ける態度をとった。しかし。京部府の第2次行革大綱で900人の教職員を削減する計画については「新しい国の定数改善計画が策定されれば対応する」とその見直しを言わざるをえなくなっている。

一、意見書について、今国会で最大の焦点になっている参議院比例代表選挙への「非拘束名簿式」導入について、京都自治労連から請願が出され、これは与党会派によって不採択とされたが、民主・府民会議が「非拘束名簿式導入に反対する意見書案」を提出し、わが党議員団は、これに賛成の討論を行い、成立へ奮闘した。しかし、自民・公明などによって否決された。
 「育児・介護休業法の改正などを求める」請願は、連合京都と京都総評から提出されたが連合京都の請願は採択されたが、京都総評の請願は不採択とする党利党略の取り扱いがされた。連合京都の請願についても自民党は当初、「趣旨採択で、意見書を提出することには反対」との道理のない態度をとったがわが党議員の批判のもとで全会派一致で意見書を提出することとなった。
 「私学助成の拡充を求める意見書」については、わが党を除く与党会派で提案されたが今年度、京都府は国が私学助成の単価改定による増額を行っているにもかかわらず、これに基づく増額補正は「実施しない」とし、与党会派もこれを了解しているもので、私学関係者と父母の願いを踏みにじるものである。わが党議員団は「直ちに今年度の単価改定を行うこと」を強く求め、この意見書に賛成した。

一、今議会中に副議長(民主、府民)が辞表を提出し、副議長の改選が行われ公明党議員が塊斤だな副議長になった。これは、昨年の改選後の議会において、与党会派が副議長の椅子をめぐって紛糾し、その解決策として3会派(民主・府民、公明、新政)が3分の1ずつたらい回しする異例の約束に基づいて行われたものである。これは本来、与野党を問わず、議会の民主的運営を行うために、第1党から議長、第2党から副議長をとの当然のルールを踏みにじって、与党が野合によって行ったもので、府民不在の議会運営である。
 わが党議員団は、こうした議会運営を厳しく糾弾するものであり、今後とも議会の民主的運営に全力をあげるものである。

府政報告 1652 9月定例議会を終えて(談話)[PDFファイル 179KB]