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議会を終えて(談話)

府政報告 1661 12月定例府議会を終えて(談話)

2000/12/18 更新
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● 12月定例会は、12月15日に閉会しました。今号では、団長談話、決算討論、他会派の行った代表質問の大要などをご紹介します。


12月定例府議会を終えて     1ページ
島田議員の議案討論        5ページ
細井拓-(新政会)代表質問    8ページ
採択された意見書        11ページ
請願審議の結果         12ページ

12月定例府議会を終えて(談話)
2000年12月18日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚

1、12月定例府議会は、12月15日閉会した。わが党議員団は、11月に行われた決算特別委員会でも、12月府議会でも、不況対策、農林漁業対策、介護、医療、教育、環境、エネルギー問題など、府民の多面的な切実な要求を取り上げ奮闘した。
 今議会には、99年度決算認定と補正予算案などの議案が提案された。わが党議員団は、決算認定については、長引く不況で府民の暮らしと営業が深刻な事態にあるとき、伝統産業振興や商店街振興の予算の削減大学・高校授業料の値上げなど、府民に犠牲を押し付け、一方では、大型公共事業推進予算は継続・拡大したことなどを批判し、一般会計関連決算などの認定に反対した。
 また、補正予算には賛成したが、その財源を新たな起債に求めるなど、国も地方も、借金をさらに増やしているなどの問題を指摘し、「IT革命」関連事業については、そのもつ「光と影」を見据え、必要な対策と長期的視野に立った対策の充実を求めた。

1、今回の府議会は、二信金の破綻、相次ぐ和装関連企業の倒産、雇用不安の拡大など、深刻な不況の中で年末を迎えた、府民の営業と暮らし、雇用を守り、21世紀を希望をもって迎えられるよう、その対策の強化が求められていた。
 府議会にも「京都府宅建業脇会」から「整理回収機構へ引き継がれた場合、保証も困難になり、融資もストップされ」る、「健全な経営を行ってきた私たちも納得できない」と「府として最大限の努力を」求める請願が提出された。
 わが党は、この間の西山参院議員の国会での追求や関係者の運動で、二信金と取引のあった業者を「特別保証」の対象とすること、整理回収機構・RCC送りとなる業者もその対象となることなど、大きな前進をかちとっだ。ところが、府はこうした対策の関係者への徹底をおざなりにし、京都市などが「RCC送りになる業者は、保証できない」とするなど、冷たい対応をしていることを厳しく批判し、行政としてあらゆる可能性を追求し、業者を救済するよう強く要求した。
 さらに今日の事態に対応し、マル小融資の金利の引き下げと1000万円への引き上げを要求した。これは、自民党議員も決算委員会で「無担保・無保証人で、しかも非課税でも融資が受けられる小企業副資制度の役割は大きい」と引き上げを要求しており、まさに、いまの業者の実状に見合ったものであるにかかわらず、知事は相変わらず「新マル小の活用を」と答弁した。しかし、「新マル小」は、わが党の要求で緩和されたとはいっても「3年に1回は黒字であること」が条件であり、赤字企業70%という状況が5年以上続いているもとでは、多くの業者が活用できない事態になっている。わが党議員は、こうした事態を指摘し「マル小の限度額を引き上げること、また新マル小も再保険を無担保保険で対応するなら納税要件はなくせること。これは知事の決断で実行できる」と迫ったが、知事は答弁不能に陥った。
 また、仕事も収入もない府民が年を越すため、「くらしの資金」の大幅な増額を要求したが、知事は22年間も10万円に据え置いている異常な状況を改善しようとしない態度をとった。
 わが党議員団は、二信金破綻にともなって資金繰りが困難となっている業者をはじめ、RCC送りとなった業者の救済など、引き続き全力をあげるものである。

1、介護保険についても、10月から高齢者の保険料徴収がはじまり、利用料負担とあわせ、低所得者には大きな負担となっている。すでに府内自治体や、全国の多くの自治体で、低所得者への減免制度がつくられているもとで。府として市町村の減免制度支援をおこなうよう求めたが、知事は「市町村の特色、地方分権だ」と拒否したが、これは「地域の自立を強調し、府民の福祉の向上に責任を負う府の役割を放棄しようというものである。
 被爆者の介護保険負担の軽減措置は、被爆者の切実な声であり、国も「都道府県から要望があれば措置する」とし、すでに9都県が要望している。ところが、京都府はこれを要望していない事態を批判し、「府も要望すべき」と求めてきたが、今議会で、理事者は「京都も対象にしてもらうよう要望した」と答え、実現へ前進をかちとった。

1、米価の暴落といっそうの減反の拡大、さらに農林水産物の観入拡大による価格の暴落など、農家の経営と後継者難はますます深刻となっている。わが党議員団は、これを放置するなら、21世紀、国民の食料や国土の保全にとって重大な事態を招くことを指摘し、WTO協定の改定、コメ輸入自由化と減反拡大の中止、セーフガードの発動、価格安定対策などの農家所得の保障などを求めた。
 さらに、中山間地直接支払い制度が、農家所得の保証と農地の保全、農業振興に結びつくよう改善を求めた。
 こうした要求に対し、知事は、農家にいっそうの減反の拡大を押し付ける政府の「緊急総合コメ対策」などでコメ生産農家の経営が守られるかのような答弁を行った。また、野菜のセーフガード発動についても「中央卸売市場の価格変動には様々な要因がある」として、「影響の把握はむずかしい」と、農家の願いに背を向ける態度をとった。
 また、わが党議員団は、決算委員会と今議会を通じて、JA南丹農協発足にかかわる「農協合併」問題を取り上げた。南丹農協合併は、従来とまったく異なり、不採算部門を事前に強引に切捨てたうえで合併する方式がとられた。そのため、農業振興と農家のくらしに欠かせない育苗センターや加工工場の廃止、支所の廃止が強行され農協労働者の団結権や権利を侵害する不当労働行為ともいうべき事態も起こっている。
 こうした合併を指導した府の責任の追及に対し、理事者は「関係者が自主的に判断されたもの」と、農協法に基づく府の指導責任を投け捨てる答弁を行った。しかし、こうした事態は、農家の協同組織としての役割を放棄するものである。わが党議員団は引き続き、農協が本来の役割を果たすよう、関係者と力を合わせて奮闘するものである。

1、今議会には、16万4千を超える署名とともに切実な教育条件整備・改善を求める15件の請願が提出された。30人学級の実現、養護学校の増設、老朽校舎の改築などどれもが、子供たちに基礎的学力の保障と障害児教育の前進ための、当然の要求であったにかかわらず、与党会派はこれらすべてを不採択とした。
 21世紀を迎えるにあたって、「学力危機」ともいわれる事態やいじめ、不登校、少年犯罪など多くの府民がらを痛めている課題について、まともに対応しない与党会派の態度は、21世紀の未来を語る資格がないことを示している。
 また、「府立学院のあり方懇話会」が「中間まとめ」を発表したが、「生徒の個性化・多様化」に対応するためとして「特色ある学校づくり」「多様な教育内容」など、選抜方法のいっそうの複雑化、通学圏の拡大、さらには生徒減少期に向けて「学校数や通学圏の規模の見直し」など、「学校の再編統合」を強調、障害児教育についても「養護学校の再編整備を図る」としているが、父母の切実で強い要求となっている新・増設はふれていないなど多くの問題を抱えたものとなっている。
 わが党議員団は、多くの府民の願いに応えた教育条件の整備と「高校教育制度」実現のため、府民的討論を広げ、広範なみなさんと力をあわせ、今後とも奮闘するものである。
1、今議会に、2001年度から始まる「新しい京都府総合計画」の答申が報告された。
 わが党議員団は、決算委員会でも、今議会でも「豊かさと均衡ある発展をめざして、活力ある地域経済の確立をめざす」とした「四府総」が、府民の暮らしを豊かにするどころか、より深刻にしたこと、「呼び込み型」の大型開発が京都経済をだめにしたことを、具体的に明らかにし、知事の府政運営の責任を追及した。
 知事は、「学研開発」や高速道路などを自慢し、府民の暮らしの困難や京都経済の落ち込みについては「全国的問題」とし、その責任を逃れようとした。しかし、知事がいくら強弁しようと、京都経済が「全国最悪の落ち込み」という事態は明らかであり、京都の産業の実態にもとづかない、大型開発と公共事業で「活性化」をはかろうとしたことが、誤っていたことは明らかである。
 また、「新府総」の答申砲①府民のくらしの実態をまったく反映していないこと、②「自助自立」「地域の自立」が強調され、地方自治体としての京都府の役割を放棄するものとなっていること、③すでに破綻・ゆきづまっている大型開発事業を継続・拡大しようとしており、さらに「ITバザール」など財界の新たな要求に応えるものとなっていること、④財政破綻のもと、「行財政改革」「重点化」の名で、府民犠牲が甲し付けられることなど重大な問題を含んだものである。
 今後、こうした問題を明らかにし、府民が主役の21世紀の京都をつくるため全力を
尽くすものである。

1、また、「市町村行財政研究調査会」から「報告書(骨子)」として、市町村合併のモデル案が提出された。これは自治省が強引に進めようとしている市町村の「平成の大合併」に呼応したもので、従来知事自身が府諾会答弁で、「合併問題を受け皿論で議論すること」や「いくつにするかなどモデルを示すことは適当でない」「住民自治を基本にすべき」と述べてきたことに反するものである。わが党議員団は、今後とも市町村をはじめ関係団体とも協力し、住民自治を踏みにじる「合併促進」を許さず、「地方自治」「住民自治」の前進のため奮闘するものである。

1、今議会で、公明党の松尾忠昌議員、社会福祉協議会やボランティア団体が行う「福
祉バス」などを違法な「白タク営業」として取り締まることを要求する質問を行い、多くの関係者から厳しい怒りの声があげられている。すでに運輸省も「実費程度の負担は違法ではない」としており、法整備と行政のいっそうの支援こそが求められているのである。
 公明党のこうしたやり方は、立場の違いを超えて福祉の充実に取り組む団体に対しても、反共攻撃のためには手段を選ばないという、恥知らずな、反府民・反民主主義的体質を露呈したもので、府民の厳しい批判を受けるものである。

1、今議会に乳幼児医療費助成の就学前までの拡充を求める請願が提出された。わが党議員団は、府内ですでに22自治体が、府の制度を上回る措置をとっていること、少子化対策の上で府民の期待が大きいこと、さらには与党の公明党も拡充を要求していることなどを指摘し、採択を主張した。ところが自民党は、「市町村自治だ」とこれに背を向け、公明党は、自らの主張を棚に上げ、採択に賛成せず、「継続審査」を主張。採決の結果、自民党の不採択の主張は取り入れられず継続審査となった。

1、いよいよ21世紀を迎える。来年夏には参院選挙、さらに1年4ヵ月後に知事選挙がたたかわれる。わが党議員団は、参院選・知事選挙勝利めざし、府民のみなさんと力を合わせて奮闘し、新しい世紀が、府民にとって希望ある世紀となるよう、全力をあげて奮闘するものである。

府政報告 1661 12月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 216KB]