資料ライブラリー

政策と見解

2001年度京都府当初予算案について(談話)

2001/03/15 更新
この記事は 9 分で読めます。

日本共産党京都府会議員団は、次の談話を発表しました。ここに紹介します。

2001年度京都府当初予算案について(談話)

2001年3月5日
日本共産党京都府会頡員団
団長 西山 秀尚


一、2月21日から京都府議会二月定例会が開催され、新年度の予算案の審議がはじまっている。
 わが党は、長引く不況のもと、全国的にみても深刻な事態にある府民の営業や暮らしを守り、雇用の拡大や介護保険をはじめとした社会保障の充実、子育てや環境劃策、農林水産業への支援の強化をはじめ、府民の切実な願いに応え、京都経済の立て直しを最優先した予算となるように全力をあげるものである。

一、知事は、予算案を発表する記者会見で「新しい京都府総合計画」の初年度として「21世紀に夢と希望の灯をともす内容」と述べたが、その中身は夢も希望も語れないのが実態である。各種マスコミも「『緊縮型』を継続」(「京都」)、「21世紀へ超緊縮型"船出"」(「読売」)、「財源に腐心 借金増大」(「朝日」)と報道したとおり、国が示す地方財政計画の伸び率(0.4%)を上回る(0.6%増)ものの、その中身は、225事業の休止・廃止、削減をはじめ、府民サービスの切り捨て、職員の削減・昇給延伸の継続などで、財源をひねりだすとともに、あらたな借金をかさね、府民への負担を増やすものとなっている。
 来年度の府債の発行は、815億4400万円で、前年から41億5000万円(5.4%)増えている。これは本来、国が交付税措置すべきものを地方の借金でまかなわせた分も含まれているが、過去五年間の当初予算で最大の伸び率である。昨年1兆円を越えた府債残高は、いっそうふくれあがり、予算総額をも上回る1兆908億円余となり、府民一人あたり42万4000円の借金にもなる。知事は、「この半分は国が面倒を見てくれる」としているが、それも、国民・府民が負担すらことにかわりはない。しかも、国・地方合わせて666兆円と空前の規模となる借金の返済のため、消費税の増税や社会保障の連続改悪がおしつけられようとしている。こうした府民の負担がふえることには、一顧だにしない知事の無責任な財政運営の姿勢が示されている。従来型の財政運営を続けてきた結果、借金返済にあてる公債費は823億4000万円と、11.6%増加し、歳出全体の9.5%を占めるにいたった。このように、借金に頼った則政運営はもはや完全にゆきづまっている。
 ところが、それでも今回の予算案でも、ムダ・不急の大型公共事業を借金に頼って推進している。例えば京都市内高速道路建設には、11億円余を出資しているが、その99%が起債である。地盤も事業も急激に沈みつつある関西国際空港(株)には、2億円余を出資、起債は85%である。また、関西文化学術研究都市の建設推進費3億円余(起債74%)、丹後リゾート公園(仮称)の整備2億円余などが計上されている。さらに、いっそうの見直しが求められている舞鶴港・和田埠頭建設には9億円がつぎ込まれている。このように大半を借金にたよって、大型事業を継続している。知事は「非常事態とも言える京都府財政の現実を直視し、財政の健全化を実現することが肝要」と述べたが、そのためには「非常事態」を招いた原因となった大型開発、大型事業は、凍結・中止・見直しすることこそ「肝要」なのである。

一、今、京都経済は二つの信用金庫の破綻、和装関連の大型倒産が相次ぎ、事業所の倒産件数も最悪と、いっそう深刻な事態となっている。京都経済を支えてきた伝統・地場産業今中小・零細企業など、京都経済の実態に合った抜本的な対策を打つことが京都府政に求められている。にもかかわらず、新たな中小企業金融対策は全くなく、いずれも前年度当初と同額となっている。「融資が必要だが、赤字続きで納税証明が出せない。担保や保証人も立てられない」と悲鴫をあげる中小業者にとって、無担保無保証人のマル小融資が最も活用しやすい制度となっており、自民党議員でさえも「融資限度額の引き上げを」と要求したにもかかわらず、実施しなかった。また西陣や丹後、友禅など伝統産業の振興対策はわずか2億2000万円となっており、実態を踏まえた緊急対策などの新規事業はまったくなく、それどころか、伝統産業の後継者育成のための助成制度は廃止してしまっている。 さらに、島津五条工場跡地への大型商業施設計画など、大型店の出店が相次ぐなか、小売店や商店街の対策が今ほど必要なときはないにもかかわらず、大型スーパー出店を前提にしたJTR長岡京駅前再開発には1億5000万円をつき込み、商店街活性化支援事業は前年度から4500万円も減額し、わずか1億円となっている。
 一方で、学研都市の(株)けいはんなラボ棟の空き部屋をベンチャー産業に格安で貸し出す「けいはんなインキュベート・ルーム(ベンチャーセンター)」をさらに16区願曽やすなどに加え、実態の見えない「京都ITバザール構想」の名のもとに、推進歇裝費は昨年の実に4.7倍の2億3300万円をつぎ込もうとしている。大手企業の進出やベンチャー企業に期待するだけでは京都経済のたて直しはできない。「IT革命」がいわれるもとで、いま府政に求められているのは、中小企業や地場産業が、情報格差によっていっそう困難に直面しないよう支援することをはじめ、「京都経済の主役」中小企業、地場産業座興にこそ力をいれることである。
 また、「景気対策の目玉」として、企育秀致対策で、今後五年間にわたり中北部地域・木津川右岸地域に進出した企業に、雇用一人当たり30万円、また投下固定資産の10%補助など、最高5億円、京都市周辺、学研都市区域では「IT」と「ゲノム(遺伝子)」に限って2億円の補助が計画されている。しかし、その「効果」についてはマスコミも「有効性に疑問が残る」(「京都」2/14)としている。この事業の実施にあたっては、地元雁用や地元企業との結びつきを強めることや、撤退や規模縮小に際しては、地元自治体との協議を義務付けるなど、京都経済に真に役立つ対策とすることが求められている。

一、医療や福祉、教育など、府民の切実な願いには背を向けるものとなっている。不登校やいじめなどの急増、「学力の危機」といわれる事態のもとで、教育の充実は切実な願いとなっている。しかし、「内部経費の節減」として、教職員をあらたに約100人も削減し、「30人学級」実施に背を向けている。
 府の救急医療体制の不備がいわれる中でも、救急医療対策費は1億6629万円も削減し、さらには、看護婦不足なのに、病院内保育所の運営助成費や修学資金貸付金など5241万円減額している。
 乳幼児医療費助成制度では、すでに府内44自治体のうち、今後実施予定も含め26自治体が府制度を上回る独自の助成制度を実施し、うち、12市町が就学前まで拡充しているもとでも、改善しなかった。
 また、実施後一年を経過する介護保険制度では、府内市町村でも保険料や利用料の減免制度を実施するなど、広がりを見せている。今年一月には、高齢者医療費の窓口負担が大幅に引き上げられ、さらに今年十月には介護保険料が2倍に引き上げられる予定のもとで、低所得者の保険料・利用料の減免制度の実現が強く求められているときに、まったく盛り込まれていないことは重大である。昨年、介護保険制度が実施されたときに、これまで府独自に取り組んできた「介護者激励金制度」6億7000万を激変緩和措置もせずに、ば
っさりと切り捨てた際に「来年度から国の介護慰労金制度がはじまるため」と説明したが、来年度予算に、この介護慰労金の事業費は激励金の20分の1以下の3066万8000円(京都市含まず)しか予算化されていないことを見ても、府民の願いに全く背を向けるものになっていることは明らかである。

一、ゆきづまった則政運営の責任を棚上げにし、「財政危機」を口実に、府民に新たな負担と犠牲をおしつけながら、同和関連事業は、部落解放同盟への約1000万円の補助や同和対策技能習得援護事業に1億4200万円、高等学校等奨学金償還付策事業に2億3640万円、補習学級開設事業に3970万円などを含め、26億4800万円が計上され、同和加配教員等を含めると、依然として約50億円近くの予算となっている。来年度末で「同和対策特別措置法」の期限が切れるもとで、同和関連事業を終結させるとともに、「人権啓発」の名のもとに同和行政、同和教育の継続・拡大は許されるものではない。
 また、「あらゆる施策の見直しをすすめ」るというものの、財団法人平安建都1200年記念協会の運営費助成に引き続き2800万円を含め、あいかわらず各種イベントの予算はつけている。これらについても、府民の暮らしや則政状況からみて、充分な検討が必要である。
 さらに、「地方分権の時代」といいながら、「21世紀の市町村づくり事業費」として、市町村合併をすすめる予算を計上し、府がその旗振り役を事実上務めようとしていることも重大であり、市町村合併推進要綱の策定を中止することを求めるものである。

一、こうした予算案の中にあっても、府民の切実な願いを実現するための速動の前進と、議会での日本共産党議員団の奮闘で、その要求が実現したことは重要である。昨年度わずか8基に落ち込んだ交通信号機増設や、放置されてきた道路・河川改修など、府民要求のつよい生活関連事業のための予算として臨時生活関連施設整備20億円か計上された。また、すでに9都県で実施が予定されていた、被爆者の強い願いである福祉系サービスの介護保険利用料減免制度が、京都府でも実施されることとなった。また、児童虐待防止対策のための予算の増額、など実現した。
 これらは、「財政危機」を口実にしたいかなる府民犠牲のおしつけも、住民の世論と運動、日本共産党議員団との共同で、必ず打ち破れることを証明したものである。府議会開会日の2月、21日には、府下全域から府庁包囲行動に1000人を超える参加があり、切実な要求の実現にむけた運動か府庁を取り囲んだ。わが党議員団は、こうした府民のみなさんの願いを受け止め、府職員、教職員のみなさんとも智恵と力を合わせ、府民のみなさんの営業・暮らし・いのちをまもる地方自治体の本来の姿を実現するために全力をあげるものである。

以上


日本共産党京都府会議員団

ぜひご覧ください 京都府議会予算特別委員会 知事総括質疑

日本共産党
松尾孝・まえくぼ義由紀府議が質問
KBS京都テレビで中継

3月21日(水)午後1時~5時

京都府政の問題点について、
直接知事に質問します。