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議会を終えて(談話)

府政報告 1675 2月定例府議会を終えて

2001/04/03 更新
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2月定例府議会を終えて
2001年4月3日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚


1、2月定例会は、3月28日閉会した。今定例会は、新年度の予算案を審議するとともに、荒巻府政4期目最後の年度であり、今後の京都府政や地方自治のあり方が問われる重要な定例会であった。
 知事が提案した来年度予算案については、すでに「予算案について」(団長談話)の見解を発表し、府民に「夢と希望の灯をともす内容」(知事記者会見)どころか、新たな負担を府民に押し付け、ムダな大型公共事業の継続で借金を膨らませ、府財政の立て直しに逆行するものと指摘した。
 また、採決にあたっては、上坂議員の別論で ① 深刻な不況のもとでの不況・雇用対策で実効ある措置がとられていないこと、② 乳幼児医療助成や介護保険減免制度、30人学級実現など、緊急を要する府民の切実な願いに応えていないこと、③ 府民の切実な願いには背を向けながら、借金を重ねて、ムダな大型公共事業、開発事業をすすめ、府財政をいっそう困難にしていることなど、厳しく批判し、一般会計予算案など3件に反対した。
 同時に、わが党議員団は、本会議や予算委員会の審議を通じ、ますます深刻となっている京都経済の立て直しと府民の暮らしと雇用を守ることや介護、子育て、教育、医療、環境問題など、多くの府民の切実な要求実現のため奮闘した。

2、こうした議会内でのわが党議員団の奮闘と、この間の府民の切実な要求をもとにした運動の広がりが、要求の新たな前進をかちとった。
 新年度予算で「臨時生活関連施設整備費」20億円か計上され、道路や河川の維持補修学校校舎の修繕、信号機の設置など、別枠で予算をつけ、規模を膨らませた。これは、京建労をはじめ多くの府民とわが党議員団が、大型公共事業ではなく生活密着型の公共事業で仕事おこしをと求めてきた運動の成果であるとともに、枠的単独事業が大幅に削減されたもとで、老朽校舎の放置、信号機設置数の大幅減少、道路や河川の維持補修の放置など、深刻な事態をまねいたことの手直しを余儀なくされたものである。
 これを、知事も、自民党も「決して共産党の要求に基づいたものではない」とわざわさ強調したが、これは、この問題を日本共産党議員団が、一貫して取り上げ、奮闘してきたことを端無くも認めたものである。
 さらに、同和対策特別事業について、理事者は「13年度末を期限とする特別対策事業である」として、事実上、13年度で同和対策事業を終結・一般対策への移行することを表明した。これも永年こわたる議会における論戦と府民的な運動の結果である。しかし、奨学金返還事業や住宅貸付返還事業などは、「新規の貸付はなくすが、これらは継続せざるを得ない」としている。これらについても、厳格な所得制限を導入し、返済能力のある人には返済してもらうという当然の措置を取るべきである。
 また、府内各地で深刻な問題となっている違法開発、不法投棄に対して、わが党議員団は、対策の強化を、繰り返し要求してきたが、知事は「告発も辞さないとする毅然とした立場で、適切に対応する」と答弁し、体制の強化を約束した。
 この他、介護保険利用者の実態調査や介護保険利用の被爆者助成など実現させるなど、府民の世論と運動が府政を動かす力であることを示した。わが党議員団は、「自治体要求連絡会」をはじめ、広範な府民との共同を広げ、要求実現へ全力をあげるものである。

3、府政と府民との矛盾は、ますます深刻となっており、わが党議員団の住民要求をもとにした質問に、知事はまともな答弁を避け、ごまかし、居直り、すり替えの答弁が目立った議会であった。
 総括質疑で、わが党議員が、大阪府が制度融資のすべての金利を0.5%引き下げている事実を示し、京都府の制度融資も、深刻な事態にふさわしい引き下げを要求したことに対し、たった一つあった大阪より低い金利の例で「大阪が京都に追いついたもの」と事実に基づかない答弁をおこなった。
 また、昨年「介護保険がス夕ートし、介護慰労金制度ができる」として介護激励金を廃止したが、今回の予算では、介護激励金給付対象者数に比べ、慰労金対象者は、わずか15分の1以下となることを示し、介護激励金の復活を求めたことに対し、まったく「すり替え」の答弁でごまかした。これらは、知事の見識のなさと、府民の願いに誠実に対応しようとしない、官僚的体質を露呈するものである。
 わが党議員団が、乳幼児医療費助成や介護保険の減免制度など、すでに多くの都道府県が実施している事例を示して、府民の願いに応えることを要求したことについても「本当の地方自治に対する理解が足りない」と答弁したが、これは荒巻知事こそ「地方自治の理解が足りない」といわなければならない。地方自治体は、住民自身の手で、住民の暮らしを守る組織である。長引く不況で営業が困難となっている中小企業や伝統地場産業を支援し、京都経済を立て直すことや、高齢化社会を迎え、老後を安心して暮らせるようにすること、少子化が深刻になるもとで、安心して子育てができる環境を作ることなどは、今日、全国の地方自治体が果たさなければならない共通の大きな課題である。だからこそ、多くの自治体が、財政困難なもとでも、その努力をしているのである。
 こうした地方自治体の本来の役割を否定して恥じない知事の態度は、地方自治の担い手としては失格と言わなければならない。ましてや、いま長野や鳥取の知事が、国民・住民の声に応え「ムダな公共事業の見直し、ストップ」へと踏み出しているもとで、相変わらず「社会資本の整備が必要」と、府民の暮らしを守る仕事は泣け捨てながら、ムダな大型公共事業、開発にしがみついてる荒巻知事こそ、時代遅れの知事であり、京都府政の発展に障害をもたらすものでしかない。
 知事は「結果は、選挙において、その地域の人が判断する。これが地方自治体だと私は思っている。」と述べたが、荒巻知事の任期も、あと1年である。わが党議員団は、新しい政治の流れを求める広範な府民と共同して、府民の願いに応える新しい府政の実現に全力をあげるものである。

4、京都府は、一昨年「財政の中期的見通し」で、「今後600億円の財源不足が生じる」として「赤字再建団体に転落する危険」を強調し、「財政健全化指針」にもとづいて、「行財政改革」をすすめてきたが、わが党議員団は「これは、府民と職員の犠牲を押し付け、引き続き大型公共事業や、開発事業のための財源確保のためのもの」と指摘してきたが、そのことがあらためて明らかとなった。
 99年度決算と2000年度2月補正現計でみれば、30人学級実現の願いに背を向けてすすめた教職員の削減、介護激励金の廃止、私学助成などの府民の暮らしに直接結びついた予算は「財政危機」を囗実に、大幅に削減しながら、公共事業(投資的経費)は、「中期見通し」よりも99年度132%、2000年度110%と大幅に伸ばしている。
 理事者は、「景気対策の有利な起債などを活用している」と弁解をしたが、あいかわらず、国と同様の公共事業中心の景気対策であり、借金(府債)の増大で将来負担を増やし、国も地方も財政が破綻する道へすすむという、すでに破綻済みの財政運営を続けているのである。しかも理事者は、「補正予算の財源は別途、補填している」と答弁したが、これも言い逃れに過ぎない。昨年12月の補正予算で計上された土木建築部関係公共事業で見ても、補正額167億円のうち、91億円は一般財源が当てられており、すべてが国の補助金や起債ではない。この一般財源を活用するなら、福祉や医療、教育などを充実させることはできるのである。
 こうした「財政健全化指針」にそった「行財政改革」は、新年度予算では、あらたに、府立医科大学付属病院の「経営健全化」を囗実に、看護婦を19人削減し、結核病棟の廃止に踏み込むものとなっている。これは結核医療における府立医科大学の公的役割を放棄するもので許されるものではない。
 また、30人学級や弾力的学級編成についても、理事者は「国の財源措置の枠内で」と、切実な要求に背を向け、引き続き110人の教職員の削減を進めている。
 府民犠牲を押し付ける「財政健全化指針」ではなく、市内高速道路や関西空港2期工事出資金、舞鶴港・和田ふ頭整備などムダな公共事業の見直し、凍結への転換こそ求められているのである。

5、議員の「政務調査費の交付に関する条例」が今議会で、可決された。これは、昨年5月に「議会の機能強化と議員の活動基盤の充実」を目的に、地方自治法の一部改正が行われ、従来「第二報酬」などと批判の強かった「調査研究費」にかかる補助金について、条例を制定し、使途の明確化と透明性をはかろうとするものである。わが党議員団は、「支給は会派とすること。領収書の添付など透明性を高めること」などを主張し、他会派と協議を進め、「支給については、会派と議員」となったが、「5万円を超える支出については、領収書を添付すること」となった。これは「政治資金規正法に基づく報告書」と同様の扱いであり、ほとんどの都道府県が領収書の添付を義務付けしていないもとで、積極的なものである。
 わが党議員団は、今後とも調査活動や政策研究、府民への報告と対話、共同の活動を旺盛にし、府民の期待に応えた活動を強化するとともに、その使途についても、いっそう透明性を高めたものとなるよう奮闘するものである。

6、今議会でも、ゆきづまった自民党政治と府民との矛盾がますます激しくなっていることを反映した議会となった。
 いま、国民の厳しい批判にさらされている自民党は、代表質問でも、最終日の議案に対する討論の際にも、「お詫び」を繰り返し述べ「解党的出直し」を表明しなければならない事態に陥っている。
 しかしその一方で「自民党支持率は第一党」と居直り、今後も「必要な改革を大胆に成し遂げつつ、その過程で生じる痛みを」「府民にも理解の上、必要な我慢もしていただく」と自民党政治のゆきづまりを府民の犠牲で乗り切ろうとするものであり、これではますます府民との矛盾を深めざるをえない。
 また、自民党議員が、2信金の破綻にともなって、正常な債権者がRCC送りとなったことについて、弾力的対応を求めたり、保守系議員が農政について「規模拡大、効率化は行き詰まっている」と批判するなど、住民との矛盾がますます鋭くなってきていることを反映している。
 4ヵ月後に迫った参議院選挙は、国政でも、京都の政治でも、ゆきづまった自公保政治にきっぱりとした審判を下し、「ゼネコンや大銀行を応援する政治から、国民の暮らしを応援する政治」への転換をはかることが求められている。
 いま、国政の場では、民主党は野党としてムダな大型公共事業の見直しなど、わが党とも共同して要求しているが、京都の府政では、市内高速道路建設や関空2期工事の推進、第二迎賓館の建設予算に賛成するなど、自民党とともにこれを推進している。また、30人学級実現や介護保険の減免制度実現など、府民の切実な要求にもとづく請願に、ことごとく反対してきた。
 さらに、今議会では、KSD汚職事件や機密費問題などの徹底究明を求める意見書に、自民・公明とともに反対した。
 これでは、自民党政治を住民の願いに応えたものに変える役割が果たせないことは、明らかである。わが党は、国政でも、地方政治でも、草の根の住民運動と強く結びついて、「国民こそ主人公」「住民こそ主人公」の政治実現に全力をあげるものである。
 参議院選挙での日本共産党の躍進、京都選挙区での河上洋子候補の勝利のため、府民のみなさんの大きなご支援を心から訴えるものである。

大好評!
 日本共産党府会議員団の

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府政報告 1675 2月定例府議会を終えて[PDFファイル 232KB]