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議会を終えて(談話)

府政報告 1683 六月定例府議会を終えて(談話)

2001/07/03 更新
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談話「6月定例府議会を終えて」...1頁~
6月8日、府営水道懇の報告 ...4頁
六月定例府議会を終えて(談話)

2001年7月2日  日本共産党京都府会議員団

団長 西山 秀尚

一、六月定例府議会は、6月27日閉会した。今定例会は、小泉内閣か誕生して最初の府議会であり、21世紀最初の国政選挙・参議院選挙を目前にしての議会であった。
 同時に、政府発表でも「景気が悪化している」と認めざるを得ない事態となった深刻
な不況のもとで、府民の暮らしを守り、京都経済の立て直しをどうするかが求められる重要な議会であった。
 わが党議員団は、本会議質問でも、委員会審議でも、小泉流「改革」が府民の暮らしに何をもたらすかを事実にもとづいて明らかにし、京都府政が、府民の暮らしを守るための防波堤の役割を果たすための具体的提案を示して奮闘した。

二、代表質問では、小泉内閣が強行・しようとしている「不良債権の早期処理」は、中小企
業の倒産と大量の失業者を生み出すもので、京都は二信金破綻で経験済みであり、これ以上の倒産と失業者を出さないためにも、撤回を求めるべきだと要求した。
 また、現職閣僚によって、消費税の増税が公然と主張されているように、小泉内閣は消費税増税をたくらんでいる。これについても、知事として反対を表明すべきと要求した。
 しかし、知事は、相変わらず「国全体において検討されるべきもの」と、府民の代表として、府民の意思を京都から発信する意思のないことを表明し、「セーフティネットが必要」としながら、中小企業への融資は従来どおりで対応すると冷たい態度をとった。

三、また、小泉流「改革」は、「『均衡ある発展』から『地域間の競争による活性化』」「自立しうる自治体」をめざすとして、強引な市町村合併による交付税削減・規制緩和による地方バス路線の廃止・縮小、地方自治体固有の財産である地方交付税の削減などをすすめようとしているが、これは地方自治を破壊し、中山間地域の住民の暮らしを困難にし、過疎地域を切り捨てるものとならざるをえない。
 こうした地方自治破壊の小泉流「改革」に、知事も与党会派も地方自治を守る立場から発言ができなし状況に陥っている。知事や与党会派は、これまで「府域の均衡ある発展」を強調してきたが、この小泉流「改革」に迎合し、すでに「新府総」で「均衡ある発展を取り払い、言わなくなっている。このことを指摘した質問に、知事は気色ばんで、「私は、共産党以上に地方自治主義者である」と答弁したが、結局、知事は、国の方針には逆らえないという、「官僚知事」の本質を露呈しただけである。
 わが党は、地方自治と過疎地域における生活交通確保のため「地方交付税の削減に反対する意見書(案)」「地方バス路線の維持・確保に関する意見書(案)」を提出した。
 与党会派は、わが党議員団提出の意見書案には反対し、地方バス路線切捨ての枠内での運用の改善を求めるだけの意見書(案)と「地方分権」を言いながら、市町村合併の促進と外形標準課税の導入を求める意見書(案)を提出した。わが党議員団は、制度の枠内では、問題の根本的解決はできないことを指摘しつつ、当面、補助制度などの運用改善は必要との観点から前者に賛成、「自主的合併」をうたいながら上からの合併を促進する「地方分権の一属の推進を求める意見書(案)」には反対した。
 また、「府税条例等の一部改正の専決処分」については、大企業優遇税制であり、府税収入の空洞化をもたらすものとして反対した。

四、いま、「ムダと環境破壊の公共事業など、無駄使いをやめろ」の声が大きく広がっている。代表質問で「市内高速道路、舞鶴・和田埠頭、関西空港第二期工事、丹後リゾート公園は、きっぱり中止すべき」と具体的に求めたのに対し、知事は、「祉会資本の整備は必要、不況・雇用対策としても必要」と答えた。これは、一つ一つの事業について、必要性や地球環境への負荷、財政見通しなど具体的には答えられなくなっていることを示している。
 広域交通対策特別委員会では、民主党衆議院議員の「第二名神凍結」論に自民党議員が民主党議員に説朋を求め、民主は「承知していない」と逃げ、民主・府民の議員が「宮津・鳥取間の高遠道路の凍結を政府が言っている」としてこれを批判するなと民主党が無駄と環境破壊の大型公共事業に対し、国政と地方での態度を使い分け、個別の問題では自民党と一緒になって推進する立場であることを露呈した。
 府が「生活用水の確保、洪水調整」としてすすめている「南丹ダム」(園部町)は、理事者は「園部町からの要望があったから」としながら、「園部町の水需給計画はまだ作られていない」と答えるなど、水需要見込みがなんら明らかになっていない、無責任な「計画」であることを示した。
 また、百年確率の毎秒1,500トンの雨量を想定して「鴨川地下トンネル建設」の検討を進めているが、そのもととなる水量計算の根拠は、鴨川・高野川上流域の平地は、現在市街化調整区域や農業振興地域であっても、すべて市街地になること、しかもコンクリートやアスファルトでかためられ、地下浸透はゼロになるという想定のもとで計算されたものであることが明らかとなり、わが党議員団は開発抑制や「緑のダム」などを含めて検討するよう要求した。
 議案として提案された「新光悦村の用地取得」については、買収価格にかかわる必要な資料が、公開されないもとで、適正価格か判断できないため、保留の態度をとった。
 こうした大型公共事業については、すべての情報を府民に公開し、地球環境への負荷や財政問題も考慮に入れ、その必要性や他の選択肢の検討など、十分な府民的議論がおこなわれるべきである。
 知事が年頭の挨拶で「情報公開・説朋責任」を強調したが、現実の府政運営では、都市計画審議会など街づくりや府民の暮らしにかかおる審議会は非公開のままであり、情報公開も「政策決定過程の情報は公表できない」とする姿勢は変わっていない。こうした時代遅れの庶政運営は、今度府民の厳しい批判を受けざるを得ない。

五、わが党議員団は、府民の運動と結んで、切実な要求の実現のために奮闘した。
 サービス残業をなくすための厚生労働省通達の徹底については、すでに「市町村長あてに連絡した。府民的に周知を図る」と答弁があった。今後、労働組合や労働者の運動と結び、サービス残業をなくし、雇用を拡大するために奮闘するものである。地方バス路線の維持についても、地域住民・自治体関係者らの強い要求の前に、限定的ではあるが府独自の補助を言明した。
 また、介護保険の保険料・利用料の低所得者への軽減措置、乳幼児医療費の助成措置の拡大、障害児教育の充実、DV防止法施行に伴う体制の強化など要求した。今後とも、府民の世論と運動を力に実現へいっそう奮闘するものである。

六、文部科学省が「合格」とした「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書について、わが党議員団は、学佼教育の現場で採用しないことはもちろん、政府の責任で「検定合格」そのものを取り消すことを求めて、意見書を提出した。しかし、自民党などは、「いい教科書」「大東亜戦争が何が悪い」とやじをとばすなど、自らが侵略戦争美化勢力であることを示した。また、国会ではこの「歴史教科書」の「検定合格」に反対している民主党
がわが党議員団提案の「意見書案」に反対をし、公明党も国会では「反対」から「沈黙」へと変わり、府議会でも「歴史教科書」への批判の発言をしながら、「意見書」採択には反対をするという道理のない態度をとっだ。
 こうした態度は、アジア諸国の人々との平和的な交流を願う広範な府民から厳しい批
判を受けざるをえないものである。

七、今議会で、議長と監査委員の辞任にもとづく後任の選出、常任・特別委員会委員の改選にもとづく正副委員長の選出がおこなわれた。わが党議員団は、オール与党勢力が議会第二党であるわが党をすべてにわたって排除している不当性を厳しく批判し、すべての会派から、民主的に選出することを要求した。また、今回、副議長を出している公明党が、監査委員も要求するやり方はまったく道理がないことを厳しく批判した。
 こうした中で、これまですべてにわたって、わが党議員団を排除してきたが、今回、防災・水資源特別委員会副委員長が、わが党議員団から選ばれた。これは、オール与党の数を頼んでのわが党排除のやり方には道理がなく改善をせざるをえないことを示したものである。
 また、自民党は代表質問で、府議会議場に「日の丸」の掲揚を求め、坪内新議長も就任の記者会見で「日の丸」の掲揚をすすめることを表明した。しかし、「日の丸」は法制化されたとはいえ、侵略戦争のシンボルであったことから、国民の中で依然として意見が分かれているものであり、府議会を構成する議員の中でも当然、さまざまな意見がある。
 こうした問題を、議長の就任にあたって表明することは、今後の議会運営にとっても
障害をもたらすものでしかない。

八、ハンセン病裁判での政府の控訴断念は、元患者・患者のみなさんの「人間回復」のたたかいと国民世論の勝利であり、わが党議員団は、「機関委任事務」として、ハンセン病患者の「隔離・絶滅政策」に加担してきた責任を指摘し、今後、元患者・患者のみなさん
の人権回復と社会的な差別・偏見を取り除くため、知事として全力をあげることを求めた。知事も、元患者・患者の要望を受け止めて努力することを表明したが、その一方で「全国民が反省すべきことだ」との発言をした。これは、ハンセン病の隔離・絶滅政策の廃止と人権回復のために草の根からだたかってきたわが党を含む広範な国民と、「隔離・絶滅」政策など、徹底した人権侵害をおこない、国民に「差別意識や偏見」を植え付けてきた国と京都府の責任を同列におく、誤ったものであることを厳しく指摘するものである。
 また、大阪・池田市における痛ましい小学生等殺傷事件について、公明党府議が議会の場で「精神障害者は罪を犯しやすい」とする精神障害者への誤った認識による差別的発言をおこなった。これには、関係者をはじめ多くの府民からも批判を浴び、「とりけし・
謝罪」を表明せざるを得なかった。しかし、ここには同党と創価学会が「福祉の党」「人間革命」などと標榜しているものの、底の浅さをはしなくも露呈したものである。

九、いよいよ参議院選挙である。わが党は、国民に「痛み」だけを押し付ける小泉流「改革」ではなく、ゆきづまった自民党政治をおおもとから改革するために、全力をあげるものである。府民のみなさんの日本共産党と河上よう子への大きなご支援を心から訴えるものである。

府営水道事業経営懇談会の報告

過大な水需要にもとづく施設拡張には反対

 6月8日、府営水道事業経営懇談会(水道懇)が開かれました。今回は、「①社会的関心の高まる水質問題への対応 ②長期的な展望に立った府営水道服業のあり方」の二点の小委員会報告を検討し、これを受けて、6月12日、知事に対し「水道懇の第5次提言」が行われました。日本共産党からは太田勝祐府議が委員として出席、問題点を指摘、反対を表明しましたが、原案が採択されました。

水道懇の提言要旨
①関西文化学術研究都市の建設に伴い将来的に人口増が見込まれ、平成32年度には、府営水道の給水人口は、69万7千人に、水需要量は1日当たり約34万9千立方メートルになると見込む。府営水道は、20万5千立方メートルに達し、平成22年度には、現在の宇治・木津・乙訓の3浄水場を合わせた施設能力を越え、施設の拡充が必要であり、乙訓浄水場の拡張が適当である。
②府営水は、ダムを利用して水源を確保しており、ダムの使用権(水源費)をどのように負担するかを検討した。結論として、国土建設省のダム、水資源公団のダムとも、55年間に渡って、その負担を標準化して、水道料金に反映させる。
③乙訓浄水場の未稼動分の水源費については、健全経営を考えていく上ですべて料金化すべきである。
④危機管理の立場から、三浄水場の接続が必要であり、木津浄水場と乙訓争水場の接続を急ぐ。また、隣接都市との送水管などとの接続の検討を行う。
⑤今後の社会経済状況の変化にも刈応できるよう、水需要予測と施設整備計画の整合性について適切な見直しを行うことも必要。木津川右岸地域への将来的な給水地域の拡大などの検討を続ける。
⑥水質管理をめぐる状況の変化に対応し、管理体制を整備しながら、高度浄水処理等の新たな施設整備について検討して行く。

過大な水需要に基づく施設の拡張に反対 ...太田勝祐府議の発言要旨

①水需要予測は、過去の水道懇において、いずれも過大な予測を行ってきた。今回、20年後の水需要をたて、それに基づく施設整備を行うのは間違いである。
②乙訓浄水場の拡張は、過大な水需要にもとづくもので反対。
③ダムの水利権に関して、滋賀県の丹生ダムについては、過大な水需要予測の上で成り立っており、丹生ダムの水利権は放棄すべきである。

府政報告 1683 六月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 243KB]