府政報告 1710 2月定例府議会を終えて(談話)
●3月8日、2月定例府会が閉会しました。本号では、
・「2月定例府会を終えて」(談話)14日発表
・議案態度討論 8日 前窪義由紀 議員
・意見書、決議討論 8日 新井 進 議員
2月定例府議会を終えて(談話)
2002年3月14日
を紹介します。
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚
2月定例府議会が3月8日閉会した。今議会は知事選挙を目前にした、荒巻知事最後の議会であったが、本会議や予算委員会の論戦を通じ、自民党府政の「継続」ではなく、「転換」が求められていることがますます明らかとなった。
わが党議員団は、2002年度予算案の審議で、府民の切実な願いの実現に全力をあげ
るとともに、府政転換の方向を明らかにして奮闘した。提案された70議案のうち、借金を増やし、ムダと環境破壊の大型開発・大型公共事業を継続しながら、府民要求に背をむけた「一般会計予算案」、一般会計からの繰入金を削減し、患者と医療関係者にリストラを押し付ける「府立医大および付属病院特別会計予算案」、巨大な埠頭建設推進の「港湾事業特別会計」など6議案には反対した。
1、今議会に提案された一般会計予算案は、すでに「予算案について(談話)」で
明らかにしたとおり、大幅な税収の落ち込みと増え続ける借金返済のために、新たな借金を増やし、ムダな大型公共事業の見直しではなく、府民と職員に犠牲を押し付ける予算案である。わが党議員団は審議を通じて、このことを明らかにするとともに、税金の使い方をかえれば、「乳幼児医療費助成の拡充」「30人学級」「介護保険減免」「住宅改修助成制度」など府民の切実な願いを実現できることを明らかにした。
しかし、知事は乳幼児医療費助成については「国に働きかける」、介護保険減免制も「国全体の制度としておこなうべき。国へ要望している」と相変わらず国の出先機関のような答弁に終始した。30人学級については。緊急雇用対策事業を活用しての小学校1年生への半年間の臨時講師の配置を「きめ細かな指導ができる」ものとし、全国で16県が実施に踏み出している少人数学級実現に相変わらず背を向ける態度をとった。
また、住宅改修費助成制度について、知事は、国が補助制度を設け、すでに破綻している「個人資産の形成に税金はつぎ込むべきでない」とする、従来の態度に固執する答弁をおこなったが、同時に、「まず市町村が自分たちの政策でやるのが一番適切」と市町村における制度創設は認めるという矛盾した態度を表明した。
2、このように府民の願いに冷たく背をむけながら、一方では借金を増やして進めている大型開発、大型公共事業の破綻、ゆきづまりもますます明らかとなった。
与党会派は、荒巻知事の16年間の実績をほめたたえる討論をおこなったが、その中で、丹後リゾート開発については、どの会派も触れないという事態が生まれたが、これは、丹後リゾートの破綻ぶりを示すものである。
また、「学研都市開発」も、学術研究施設用地が134ヘクタールも売れ残り、今後、研究施設の進出や目玉であった文化芸術施設建設の見込みもまったくないことが明らかとなった。さらに「21世紀モデル都市」といわれながら幼稚園すらない事態や「山手幹線」が開発事業者任せで、全線開通の目途がまったくたっていないなど、開発地域住民や既存地域住民の生活環境整備に責任を持たないバブルに踊った無責任な開発計画であることがうきぼりになった。
さらに、園部町の「生活用水の確保」を名目にすすめられようとしている「南丹ダム」建設が、水需要予測もなしに「先にダム建設ありき」ですすめられていることが明らかになった。すでに用地買収をおこなった「新光悦村」も、企業進出の見通しが立たず、事業実施を遅らせる措置をとらざるを得なくなった。これは北部中核工業団地も昨年12月分譲開始ができなかったのと同様、「呼び込み型」の開発計画が破綻していることを示すものである。
府営水道をめぐっても過大な水利権の設定が、府民にあらだな負担を押し付けることになることが明らかとなった。現在の府営水道の給水能力や水需要から見ても、丹生ダムの水利権の必要性はなくなっているにかかわらず知事は、この指摘をまともに検討しようとせず、環境破壊と莫大な費用のかかる丹生ダム建設促進の態度を表明した。
荒巻知事がバブル崩壊後も、まるで「開発会社」のように大型開発、大型公共事業をすすめてきたが、この破綻がいっそう明らかとなった。
3、こうした府政運営の結果、府債残高(借金)は2002年度末で一般会計と特別会計をあわせれば1兆2617億円にものぼり、府民一人当たり48万円にもなる。知事も理事者も「半分は国が交付税措置してくれるもの」と、この多額の借金を少なく見せるため、今回、補正予算案の提案に際し、府債残高のうち交付税措置される金額を明らかにし、一般会計で府民一人当たり21万円と発表した。知事も答弁で、「全国状況から見ても少ない」と強調したが、この説明は、すでに破綻が明らかとなっている大型開発、大型公共事業を、借金をさらに増やして継続することへの府民の厳しい批判をごまかそうとするものである。これには自民党議員からも「つけは府民にまわってくる」と批判の声が出される始末である。「国が交付税措置をしてくれる」から「ムダ使いを継続してもよい」とはならない。しかも国が地方交付税の大幅な削減をすすめようとしている中で、その保障はなく、確保されても他が削減されることになり、本来地方自治体の自主財源として医療や福祉、教育に当てられるべきものが、大型公共事業の借金返済に充てられるという財政の硬直化となることは明らかである。
こうしたごまかしの財政運営でなく、ムダと環境破壊の大型開発、大型公共事業をいったんストップし、これ以上の借金を増やさず、赤字経営に陥っている中小企業支援を強め、「税金の払える経営」とすることで税収も増やす、こうした財政運営への転換こそが求められている。
4、いま、国は地方交付税の削減と地方自治体の財源を引き続き公共事業に廻させるため、住民自治を破壊する市町村合併を強引に強行しようとしている。京都府は「市町村の自主的な判断で」と言いながら国と同様に、市町村合併推進への誘導・押し付けを強めている。
今予算案でも市町村自治振興補助金を合併推進市町村には増額し、合併を選択しない市町村は減額するという露骨な対応をしている。さらに住民の中での本格的な議論は、これからという丹後6町を「合併支援地域」に指定し、合併を促進しようとしている。これは地方自治を破壊するものとして許されない。こうした国と京都府の強引な合併押し付けに、予算委員会では、自民党議員からも「官主導のやり方」と批判の声があげられた。
前副知事が言う「京都方式」とは、合併押し付けのための「京都方式」にしかすぎない。住民の意思を踏みにじっての合併強行は、必ず住民の厳しい批判を受けざるを得ない。
5、また、福知山農協の南丹農協への吸収合併強行も自民党府政の反民主主義的姿勢、特定の政治家・人物言いなりの不公正な姿を浮きぼりにしている。
福知山農協総代会における定款変更の認可をたった1日で承認するという特別措置を行ない、定款変更が発効していない段階での「合併決議」を、全国的にも前例のない判断で承認するという、行政手続として到底認められないやり方をおこなった。ここには、農協中央会中川会長の意向そのままに京都府政が動かされるという異常、不公正な姿が露呈している。
こうした京都府政の姿は、南丹農協合併の際、農協法の「包括合併」をふみにじる大リストラの強行につづき、農家や関係者の農協離れを促進し、「農家のための農協」の根本を崩すものといわざるを得ない。
6、府政の転換を求める世論が大きく広がる中で、荒巻知事も、与党会派も「蜷川府政一党独裁」「蜷川府政を党勢拡大に利用した共産党」など、相変わらずの蜷川府政と日本共産党への攻撃をおこなった。
しかし、蜷川府政時代、自民党や公明党などが、すべての予算に賛成してきた事実を見れば、「蜷川独裁」が根拠のないものであることは明らかである。
わが党議員団の西山団長の「何を根拠に『一党独裁』というのか」との批判に対し、知事は朝日新聞が発行した本を持ち出し、とくとくと引用したが、その中身は日本共産党が住民の利益を守ってがんばる政党であることを示すものでしかない。日本共産党は「与党」のときも、「野党」になっても、住民の利益第一にがんばる政党であり、その活動か住民に評価されて前進しているのである。このことは地方議員の数が蜷川府政時代の145名から175名へ、府会議員も13名から15名へと増えていることで証明されている。荒巻知事は「その分、社会党が減った」と言ったが、それは社会党が自らのそれまでの立場を投げ捨て、自民党と手を組むなど、府民の期待を裏切った結果であり、消滅せざるを得なかったことは、日本共産党になんの責任もないものである。このように何の根拠もない蜷川府政攻撃は、府民の「蜷川府政のように暮らしを守る府政を」「国の言いなりでない、府政を」と転換を求める世論と運動を押さえようとするものでしかない。
7、今議会にも、府民の切実な願いを反映した、わが党議員が紹介議員となった請願194件が提出された。しかし、与党会派は、これらの請願はすべて不採択とするという党利党略の態度をとっだ。わが党議員団は、府民の切実な願いを府政と国政に反映させるため、本会議に「乳幼児医療費助成拡充」「三十人学級実現」「介護保険減免制度創設」「住宅改修費助成制度創設」「国道163号の整備促進」の決議案と「医療保険制度改悪反対」「外形標準課税導入反対」「BSE被害補償求める」意見書案を提出した。
公明党は乳幼児医療費助成の拡充を代表質問で求めておきながら、この決議案に反対し、府民の要求に背を向けた。また、民主党は、国会の場で30人学級法制化をわが党などとともに提案しておきながら、府議会ではこれに反対する矛盾した態度をとっている。
さらに、「国道163号の整備促進」については、加茂町長を会長とする「整備促進協議会」から要望書が議長あてに提出されており、自民党などもこれまでから要望しておきながら、決議には反対する態度をとった。
こうした与党会派の態度は、議会が果たすべき住民の声、要求を府政、国政に反映させるという当然の役割を投げ捨て、理事者の許容範囲でしか態度を表明できないというものである。
わが党議員団は、今後とも住民の切実な願いを実現するため、府民とともに奮闘するものである。
7、この間、委員会記録の作成、予算・決算特別委員会傍聴の試行など、府議会の全面公開へと前進を勝ち取ってきたが、今議会において、今後、常任・特別委員会のモニターによる傍聴、予算・決算特別委員会の直接傍聴、委員会記録の全面公開、本会議議事録・決算・予算特別委員会総括質疑議事録のインターネットでの公開など、全会派一致で確認された。わが党議員団は、常任・特別委員会も直接傍聴を認めるよう要求したが、これはスペースの問題など、今後継続して協議することとなった。
これまでから、わが党議員団は、府民に開かれた府議会とするため、全面公開を繰り返し要求してきた。今後、府民とともに、府民の願い、声が反映し、府政へのチェック機能を果たすという、議会本来の役割が発揮できるよう引き続き奮闘するものである。
いよいよ、21世紀最初の知事選挙が目前となった。24年間続いできた自民党府致の破綻はますます明らかであり、府民が主人公の府政への転換が切実に求められている。また、特定の政治家の一声で決まった霞ヶ関の天下り官僚に、府民の願いが託せないことは明らかである。わが党は、広範な府民とともに力をあわせて、森川明候補の勝利で、今度こそ。「府民が主役の開かれた府政」、「府民の暮らしを守る新しい府政」実現に全力をあげるものである。
2月議会議案に対する討論 2002.3.8前窪義由己議 議員(宇治市・久御山町)
日本共産党の前窪義由紀です。私は、日本共産党京都府会議員団を代表して、ただ今議題となっています議案70件のうち、第1号議案、第2号議案、第11号議案、第15号議案、第35号議案、第38号議案、第41号議案及び第49号議案の8件に反対し、他
府政報告 1710 2月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 242KB]