府政報告 1717 6月定例府議会を終えて(談話)
日本共産党京都府会議員団
発行2002.7.16
京都府議会6月定例会は、会期を一日延長し13日午前閉会しました。
今議会では、6月補正予算案、監査委員などの人事案件など21件の議案と意見書案、府議会定数条例の改正条例案が審議されました。
●6月定例会終了にあたっての西山秀尚団長の談話をご紹介します。
6月定例府議会を終えて(談話)
2002年7月15日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚
1、6月定例府議会は、徹夜をはさんで、1日延長し、13日閉会した。
会期が1日延長されたのは、各会派の協議をつくし、合意にもとづいてとりくむべき「定数是正」問題を、わが党議員団を排除した与党会派の密室協議を延々と続け、最後には、与党会派が分裂、自民党・新政会が、「可否同数、議長採決」で、強引に「定数削減」を強行したためである。
この「定数削減の暴挙」に対し、わが党議員団は断固とした抗議の「声明」を発表した。
2、6月定例会は、新しく知事が選ばれたもとでの最初の府議会で、2002年度補正予算案などの審議とともに、知事の基本姿勢が問われる議会であった。
今議会に提案された補正予算は、知事選挙での森川明さんの大善戦と府民の世論と運動、そして議会内における日本共産党の論戦が、一定反映したものとなった。
これまでかち、わが党議員団は「大型公共事業よりも、福祉や医療、教育への公共投資の方が経済波及効果も雇用効果も大きい。転換をはかるべき」と提案してきた。今回の老人福祉施設建設や与謝の海病院の増床、学童保育支援などの提案にあたって、理事者側も「経済効果と雇用拡大に役立つ」とその理由を述べたが、これはわが党議員団の提案が道理あるものとして認めざるを得なくなったものである。
また、不況に苦しむ中小企業建設業者対策として、当初予算の「緊急生活関連施設整備事業」につづき、府立学校小規模修繕予算1億円、道路の小規模改良事業など5億5000万円、「緑の公共事業」などが計上された。これも、「大型公共事業から生活密着型の公共事業に転換し、仕事起こしを」と提案してきたものが、実ったものである。
さらに、舞鶴に養護学校を建設するための予算、伝統工芸品を学校教育に活用する予算1億円、与謝の海病院の増床のための予算、宇治浄水場導水管の更新・中継ポンプの設置など、府民の要求と運動を反映した予算が計上された。
わが党議員団は、こうした補正予算に賛成するとともに、市内高速道路や舞鶴の巨大埠頭の建設など、ムダな大型公共事業をきっぱり中止し、さらに府民の願いに応えた府政へと転換することを求めた。
同時に、山田知事は、選挙中「いまに立ち向かう」と公約したが、府民がいま求めている乳幼児医療費助成の拡充、介護保険の減免を支援する制度、住宅改修助成制度、30人学級実現などに相変わらず背を向けている態度を厳しく批判し、その早期実現を求めた。
3、議案の中には、「住民基本台帳ネットワークシステム」施行に関連した条例案が提案されたが、「住基ネット」は国民すべてに番号をつけ、コンピューターで管理するものであり、わが党は反対の立場である。同時に「改正住民基本台帳法」附則に、個人情報保護の体制を整備することとされていること、国会での小渕総理(当時)の答弁で「個人情報保護法を制定する」としており、個人情報保護法ができていないもとでは、施行すべきでないと反対した。
この審議の中で総務部長は「個人情報保護法案が国会に提案されていることで、附則はクリアーされている」との見解を述べたが、これは法を守るべき公務員として、まったく不当な答弁であり、厳しく批判した。
また、憲法に定められた国民の「財産権」を侵害し、ムダな大型公共事業などでの土地収用をやりやすくするための関連条例も提案されたが、これに反対した。
さらに、看護師修学資金の返還免除について、これまでの「200床以下の病院に3年間」勤務すれば免除となっていたものを、「5年間に延長」する条例改悪案が提案されたが、これは違法な「お礼奉公」をさらに延ばすもので反対した。
4、知事は選挙中、「天下り官僚」への府民の厳しい批判の前に、「国にきっぱりものを言う」と公約したが、今議会の論戦を通じて、その「官僚的体質」をあらためて、露骨に示した。
国民に新たに1兆5000億円も負担を押し付ける医療保険制度の改悪について、「府民の立場から反対すべきだ」とのわが党議員団の追及に対し、「持続的、安定的な医療保険制度を確立するためには、医療改革は必要」と小泉総理と同じ姿勢を示したうえで、医療改悪によって生じる地方自治体の財政負担を少なくするよう「府の立場」から配慮を求めるという、まさに「官僚」答弁に終始し、前知事と同じように「国で議論されること」と無責任な答弁を繰り返した。
有事法制についても「緊急非常事態に対応する法整備は必要」と、憲法と相容れない「有事法制」を認める答弁をおこなった。
また、外形標準課税については、委員会審議を通じて、これまで「増税ではなく、税収の安定を図るもの」と言ってきたが、総務省案をもとにすれば、現在の法人事業税628億円が、1.7倍の1083億円に大増税になることが明らかになった。この大増税が実施されれば、京都の中小企業が大打撃を受けることは、明らかであるにかかわらず、これを国に要望する態度は変えなかった。これは、府民の立場にたつのではなく、「官僚的立場」に固執するものである。
さらに、知事は「現場・現地主義」を標榜しているが、亀岡市畑野における違法な採石と不法投棄の結果、住民が災害におびえている事態に、わが党議員が「長靴を履いてでも現場に行き、住民の不安の声を聞くべきだ」と求めたのに対し、「ヘリコプターで現地は見た」と答えるなど、口先だけの「現揚・現地主義」であることを露呈した。
5、意見書審議では、わが党議員団は、府民の切実な願いを反映した「医療制度改悪の中止を求める意見書案」「診療報酬の再改定を求める意見書案」「介護保険の抜本的見直しを求める意見書案」「法人事業税への外形標準課税導入に反対する意見書案」「住民基本台帳ネットワークシステムの凍結を求める意見書案」「30人以下学級の早期実施を求める意見書案」を提案したが、オール与党の数の力で否決された。
国会では、「住基ネットの凍結」「30人以下学級の早期実施」については、わが党とー緒に民主党や社民党も要求しているにかかわらず、府議会の民主・府民連合が自民党と一緒になって、これらに背を向けたことは府民の厳しい批判を受けるものである。
また、自民党など与党会派は「有事法制関連三法案に関する意見書案」を土壇場で提案してきた。意見書案の内容は、「有事法制」を「緊急かつ重大な事態が生じた場合に国民の生命、財産を守るための法整備をおこなうこと」とあたかも自然災害に備えるかのようにごまかし、「慎重な国会審議」と「国民的な合意が得られるよう」求めるものであった。この中には、京都市議会や京田辺市議会で強行した「武力攻撃事態処理関連三法案を制定するよう求める」の文言は入れられなかった。これは、国民的な運動と世論の広がりで、自民党などが追いつめられていることを示すものである。しかし、ごまかしているとはいえ「緊急事態に対応する法整備が必要」としているのは「有事法制」そのものであり、わが党議員団は、対案として府民の世論に応えた「有事法制は憲法違反。撤回を求める意見書案」を提出した。
さらに、民主・府民連合が中心になって与党会派は、いま国民の厳しい批判を浴びている高速道路建設促進のための財源となっている「道路特定財源」の確保と第二名神などの高速道路整備を求める意見書案を提出した。これも民主党が、国政の場では「道路特定財源の一般財源化」や「高速道路の凍結」を求めておきながら、京都ではこれとまったく反対の主張をするという、政党としての一貫性のなさを露呈したものである。わが党議員団は、高速道路優先でなく163号や178号など一般国道、府道や市町村道などの道路整備を急ぐこと、「道路特定財源制度を廃止し、一般財源化すること」を求める意見書案を提案した。
本来、議会が国政に対し意見書を提出するのは、府民の声を国政に反映させるためのものである。ところが、与党会派は、ことごとく府民の願いに応えたものには背を向けてきた。今回の意見書をめぐっての各会派の態度は、どの党が本当に府民の立場にたっているのかを浮きぼ引こするものである。
6、今議会開会中に、公明党選出の監査委員が突然「一身上の都合」で辞表を提出した。これは、副議長ポストを与党の自民を除く三会派が、4年間を三分の一ずつたらい回ししたのと同様に、今度は監査委員のポストもたらい回ししようとするものであった。監査委員の任期は本来4年であるが、議会選出の委員は慣例で2年とされてきた。ところが、今回1年で、これを交替することは、党派的利益を優先し、監査委員の職務をもてあそぶものである。わが党議員団はこうした不当なやり方を厳しく批判するとともに、これに反対した。
7、いよいよ、いっせい地方選挙まで8ヶ月となった。今議会に示された定数是正をめぐる自民党や新政会の党利党略の横暴、民主党や公明党を含むオール与党の府民の願いに背を向けた態度が浮き彫りとなり、府民の立場にたって奮闘するわが党の役割の重要性がますます明らかになった。
わが党は、定数が削減されたもとでも、必ず現有15議席を守るとともに、2名区はもちろん1名区でも勝利し、郡部地域での議席の拡大など、新たな峰を築くため全力をあげて奮闘するものである。
「くらし応援の府政を」と願うすべての府民のみなさんの大きなご支援を心から訴えるものである。
府議会定数
定数の3名減員、2.7倍の一票の格差と13の逆転区残す自民党・新政会案を議長決裁で強行日本共産党は、2増2減の条例案に賛成、違憲状態の是正、逆転区解消へ全力
●岩田隆夫議員の行った討論をご紹介します。
府議会定数条例の一部改正条例に関する岩田隆夫議員の討論
日本共産党の岩田隆夫です。私は、ただいま議案となっております「京都府議会の議員の定数並びに、選挙区及び各選挙区の議員の定数に関する条例の一部改正」の民主・府民連合、公明党・府民会議提出の条例案に賛成、自民党・新政会提出の条例案に反対の立場からの討論を行います。
憲法第14条は「すべての国民は法の下に平等である」と定めています。さらに、新地方自治法90条で、議員の定数は条例で定めるとし、その数の上限を人口規模に応じて定めています。また、選挙区定数は、公職選挙法15条で議員定数については人口比例配分の原則を定めています。
したがって、「経費の削減、議会もリストラをすべき」として自民党などが本府の議員定数を減らす提案をおこなっているのは、財政を口実にして民主主義をふみにじるものです。
わが党議員団は、これまでから議員歳費の値上げに一貫して反対してきました。経費節
府政報告 1717 6月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 212KB]