「南丹ダムの調査中断、建設中止も」の新聞報道について
1、21日付けの京都新聞に、園部町の南丹ダム建設について、「京都府が調査を中断、建設中止も」と大きく報道され、党議員団に対し、府理事者も当初予算の執行を留保していることを認めた。これは、これまでの方針を大きく転換したものである。
党府議団は、南丹ダムについてこれまでから、本会議や各委員会で、「水需要計画もなしに、先にダムありきですすめられている」「園部町からの要望というが、町は新しい水源地を確保し、利用は50% にとどまっている」「調査に多額の税金をつぎ込みながら、必要な情報を公開していない。必要性について住民的な議論をすべきだ」ときびしく批判してきた。
今回、わが党の指摘を受け、遅きに失したとはいえ、府が「調査中断」を表明したことは歓迎すべきではあるが、これに留まらず、この際きっぱりと建設計画の中止を表明することを強く要求する。
また、住民の強い要求にもかかわらず、ダム建設を理由に遅らされてきた河川改修や府道整備に府が直ちに取りかかることを求めるものである。
2、新聞報道では、ダムの総事業費は約100億円としているが、府が明らかにした95年度の治水経済調査報告書では、用地補償を含め本体工事費190億円としている。こんな莫大な税金を投入するにもかかわらず、その根拠である水需要計画が「いずれは必要になるから」 としたいいかげんな計画で進められており、すでに調査費だけで5億9,000万円も使われている。
これまでのわが党議員団の再三の指摘にもかかわらず、98年の予算委員会では、自民党の地元議員が、「疑問との声もあるが、住民のくらしと地域振興に欠くことのできないダム」 と推進を強く要求。当時の荒巻知事も「今後とも事業の推進に努めたい」と答弁。昨年6月の三木議員の質問にも「園部町からの強い要望。今後とも事業を進めてまいりたい」と答弁してきた。
水需要についても、河川課長は「園部町の水受給計画がまだない」ことを認めておきながら、「将来の水需要の増大に対して、町の要望を受け、不足する恐れもあろうという観点」といいわけしてきた。今年の2月には、太田議員の質問に「町と調整を図りながら、ダムの構造・規模を定めるなど事業を適切に進めていきたい」と強弁してきた。
このように、府当局は論戦で追い詰められながらも、「事業は推進」との立場をとってきたが、地元住民の強い声と地元日本共産党町議などの奮闘が合わさって、事実上の断念に追い込まれたものである。
3、今回明らかになったもう1つの問題は、「公共事業再評価審査委員会」の責任である。99年の委員会では「継続が妥当」との判断を示していた。この「妥当」と判断するための資料は、すべて府当局が提出し、しかも、地元はもちろん、関係者の意見をまともに聞かずに決めていたものであった。結局「何のための再評価審査委員会だったのか」「お墨付きを与えるためだけのものではないか」との批判があたっていたことになる。この際、「公共事業再評価審査委員会」のあり方も全面的に再検討すべきであり、わが党はそのことも強く求めるものである。