府政報告 1733 2002年9月定例議会を終えて(談話)
2002年9月定例議会を終えて(談話)
2002年10月15日
日本共産党京都府会議員団
団長 西山 秀尚
1、9月26 日から開会されていた9月定例会は10月11日閉会した。
今議会は、小泉内閣がすすめる医療改悪など3兆2千億円ものあらだな負担増や「不良債権早期処理」「外形標準課税導入」など、国民に"痛み"押し付けが強行されるもとで、府民の暮らしと営業をどう守るか、このことが問われる議会であった。
わが党議員団は、府民の切実な願いにこたえ「くらし応援の府政」実現へ全力をあげた。
2、代表質問では、山田知事が「部課長・公所長会議」で「私たちの使命はあくまで府民福祉の向上を図ることにある」と述べていることから、その役割を本当に果たそうとしているのか、厳しく追求した。知事の答弁は、10月1日から実施され、お年よりに大きな不安と負担を押し付けた医療保険制度の改悪も、「持続可能で安定的な医療保険制度を構築することが必要」と「府民福祉」が破壊されることを「やむをえない」とするものであった。
また、府の調査でも3600人を超える待機者がある特別養護老人ホーム建設についても「全国トップレベルの補助や融資制度で推進している」とし、保険料・利用料の減免についても「現行制度の活用で」とまったく冷たい答弁であった。
さらに、府の責任が問われているホームヘルパー養成講座で被害を受けた受講生への救済策についても、他府県がおこなっている補講費用の援助や府県の責任での補講は行わず、本人負担による「補講の斡旋をおこなっている」とこたえるなど、「私たちの使命は福祉の向上」といいながら、その実態は程遠いものであることを示した。
そのうえ、赤字企業からも税金を取る「外形標準課税の導入」は、京都経済に大打撃を与え、倒産と失業を増やすことが明らかにもかかわらず、「導入を期待する」と表明し、「地域住民による公平な負担」との言い分で、税制の基本である「応能負担の原則」を否定する態度を表明した。
こうした知事の態度は、「国にはっきりとものを言う」「現場・現地主義」などの公約をかかげ、いま「府民福祉の向上」といいながら、これが口先だけのものであることを露呈した。
3、こうした知事の姿勢のもとでも、多くの府民の運動と世論が広がるもとで、いくつかについては、「手直し」や府民要求にこたえざるをえない状況も作り出した。
そのひとつは、南丹ダム建設について、「調査費の執行を留保する」ということを表明したことである。すでに9月26日の団長談話で、わが党議員団の見解を明らかにしているが、10年間にわたって5億9千万円の調査費を計上し、前知事が繰り返し「実施する」としていた事業を事実上断念に追い込んだことは、わが党町会議員団や地元関係者の運動と府議会でのわが党議員団の追及の結果である。
第2は、子どもの医療費助成制度の拡充について、わが党の代表質問に、知事は「現在議論しているjと答弁した。これまでは「国に要望している]とか「市町村で対応されること」としてきたものを改めたものである。わが党議員団は、この「検討」が、すでに府内25市町村で実施されている「就学前までの拡充」となるよう、あわせて「所得制限」などが導入されないよう、府民とともに運動をさらに広げるものである。
また、少人数学級についても、京都市が「来年度入学の小学校1年生から35人学級を実施する」と表明したことや、府民の大きな運動に押され、従来の文部科学省言いなりの「少人数授業での対応」から、少人数学級を含む「少人数教育について検討」と言わざるをえなくなった。30人学級実現へひきつづき奮闘するものである。
第3に、「住宅改修助成制度」は網野町に続き、京田辺市で実施され、大きな経済効果をあげ、多くの市町村も関心を寄せる状況になっている。こうしたもとで、かっては前知事が「個人財産の形成に助成はできない」としていたが、わが党議員団の議会での論戦と京建労をはじめとした府民の大きな運動で「市町村が実施されることが適切」といわざるを得なくなり、今回は「府の施策と市町村が講じるさまざまな施策があいまって経済効果が高まるようこれからも取り組みをすすめていきたい」と、その経済効果を認めざるをえなくなった。
知事が、こうした経済効果を認めるなら、景気対策としてすすめている公共事業費の一部を「住宅改修助成制度」にまわすなら、地元建設業者の仕事確保、地域経済への大きな波及効果をあげ、しかも住宅のバリアフリー化や耐震性強化をはがれることができる。市町村を支援する府の制度として実現するよう強く求めるものである。
4、提案された議案13件のうち、「府立大学入学金引き上げ」と天下り官僚の副知事選任については、わが党議員団は反対した。
「府立大学入学金の引き上げ」は、現在の深刻な不況と府民の暮らしの実態を考えれば、値上げを押さえる努力をするべきであるにもかかわらず、2年に1度繰り返されているものである。わが党議員団は「教育の機会均等の保障」「府民負担の軽減」こそ、いま求められているとして反対した。
副知事選任については、すでに10月11日の団長談話で明らかにしたとおり、旧郵政省からの天下り官僚の受け入れであり、「地方自治の精神に反する」として反対した。
5、本議会冒頭に、日朝首脳会談を「日朝関係の改善に向け九大きな一歩」「北東アジアの緊張緩和と安定につながるもの」と評価し、同時に「拉致事件の真相究明と早期解決を求める」意見書を全会派共同で提案し、採択した。
さらに、わが党議員団は、府民の願いと声を反映した「原子力発電の損傷事故隠し問題とプルサーマル計画の中止を求める意見書案」「義務教育国庫負担制度の堅持を求める意見書案」「医療保険制度改悪を中止し、元に戻すことを求める意見書案」「コメ政策の見直しに関する意見書案」「乳幼児医療費助成制度の拡充を求める決議案」の5意見書・決議案を提案したが、自民党など与党会派によって否決された。
自民党など与党会派は、「原子力発電所における安全欧の確保を求める意見書案」「私学助成の充実に関する意見書案」「朝鮮籍府民の人権侵害を憂慮する決議案」「民医連中央病院における検査虚偽報告問題の全容解明と再発防止を求める決議案」を提出した。わが党議員団は、「中央病院にかかわる決議案」には反対し、他の意見書・決議案には、不十分さや問題点を指摘したうえで、これに賛成した。
与党会派からは、意見書・決議案討論に、公明党の松尾忠昌議員がたち、「医療保険制度改悪」を「抜本的改革への第一歩」と評価し、「国民皆保険制度維持がむずかしくなったため」のものと、公明党の「公約破り」を覆い隠そうと必死のごまかしを行い、「改革には痛みがともなう」と居直るとともに、「痛みはできうるかぎり軽減されている」とお年よりの悲鳴にまったく耳を貸さない冷たい態度を表明した。
「乳幼児医療費助成の拡充」についても、今議会にも若いお母さんが、請願を提出したり、京都保険医協会も含む幅広い団体によって「乳幼児医療京都ネット」がつくられ、「乳幼児医療費無料制度を国と自治体に求める」運動が進められているが、公明党は、これらの「請願」や「署名運動」を「選挙目当てのもの」と悪罵を投げつけ、敵視する態度をとった。同時に、府が「すでに市町村とも協議を重ね」ており、「屋上屋を重ねるもの」として反対した。しかし、公明党はこれまで、これらの端頭や決議には「理事者が実施困難といっている」として反対し、今度は「理事者が検討をはじめている」ことを理由に反対した。これは議会の「住民の願いや声を府政に反映させる」役割を否定し、理事者の言い分にすべて従うというもので、議会の自殺行為といわなければならない。
また、公明党は、現在の乳幼児医療助成制度を「わが党はあらゆる機会に発言・要望を重ね」と公明党が積極的に取り組んできたかのように言ったが、まったくこれまでの経過をゆがめる発言である。「乳幼児医療費の無料化」は1972年に、わが党議員団がはじめて府議会で質問して以後、一貫して取り上げ、府民の運動が大きく拡がってきたものである。しかし、78年民主府政が「落城」したもとで、自民党や公明党など与党会派は、こうした請願に背を向け、15年間も制度の実現を拒否してきた。そのもとでも世論と運動が広がり、自民党府政が93年にやっと2歳未満までの無料化を実施。それまで請願や府民運動に背をむけていた公明党は、実施直前に要求するようになったものである。また、4年前の知事選で、森川候補が「乳幼児医療費助成の拡充」の公約を掲げたが、これを公明党など与党会派は、「絵に描いたもち」と攻撃した。しかし、知事選結果と世論に押されて3歳未満まで引き上げざるを得なくなったものである。そしていま、全国でも、京都でも「就学前までの引き上げ」があたり前の流れになる中でも、公明党など与党会派は、こうした請願や決議をことごとく否定をしている。こうした府民要求に背を向けてきた公明党の姿を、隠そうとしてもかくせるものではない。
この党の「住民の要求には背を向けながら、実現できそうになると、何でも自分たちの手柄にする」ご都合主義の本質を示すだけである。
6、今議会での「民医連中央病院の検査虚偽報告」事件をめぐる与党会派、とりわけ公明党の討論は常軌を逸したものといわなければならない。本会議の代表質問、一般質問、委員会審議、さらに意見書・決議案討論で、民医連とわが党に悪罵を投げっけ、議会を反共攻撃と民医連攻撃の場とに最大限利用し、議会の品位をもけがす攻撃をおこなった。
今回の民医連中央病院の事件で、求められていることは、徹底した真相の究明と責任の明確化、再発防止対策と医療機関への信頼回復のための措置である。わが党議員団は、民医連中央病院がこうしたことについて自ら万全の対策をとるとともに、京都府がその責任と権限において適切な指導をおこなうことを求めた。
しかし、一部マスコミや公明党は、調査途中であるにかかわらず「検査虚偽報告が89名の患者の死に関係」とか、「民医連ぐるみの不正請求事件」として描こうとした。自民党・公明党などが提出した決議案は、こうした立場からのもので、しかも、「事件」とまったく関係のない、これまでにわが党議員団が紹介議員となって提出lされた民医連の「国民の暮らしや健康が守られ、誰もが安心して受けられる医療」の確立めざした請願を不当なものと描こうとした。ここには、「真相を明らかにし、府民の医療への信頼を回復する」という議会の役割発揮ではなく、府民の命にかかわる問題を「政争の具」に利用しようとするものである。
中央病院による自らの努力で、真相究明と関係者への処分、患者への謝罪と信頼回復の措置がすすめられるとともに、議会でのわが党議員団の論戦の前に、府議会「決議」は、市議会「決議」よりトーンダウンせざるを得なくなった。市議会決議では「患者の命を脅かす重大な犯罪行為」とか「診療報酬不正請求については告発も検討」、民医連の請願「議会に対する冒涜」「請願権の乱用」としていたが、これらは、いえなくなった。
議会の審議を通じて、公明党の常軌を逸した「民医連憎し」の攻撃は、社会的に通用するものでないことも、すでに明らかになってきている。
わが党議員団は、民医連中央病院が、府民のきびしい批判を真摯に受け止め、患者と住民のいのちと健康を守るため、さらに力をつくすよう求めるものである。
7、決算認定議案は、11月1日から開かれる決算特別委員会で審議される。今回の決算特別委員会から、正式に一般府民の傍聴が認められることとなった。わが党はこれまでから、府民に開かれた議会とするため努力し、常任・特別委員会のモニター視聴による傍聴も実現されるなど前進がはかられてきた。聴覚障害者の傍聴を保障するための手話通訳制度も検討が始まっており、これの早期実現のため奮闘するものである。
京都府も「審議会などの原則公開」「府民意見提出手続(パブリック・コメント)制度」を表明したが、審議会公開の判断は、まだ審議会まかせであり、パブリック・コメントも住民発議によるものは認めていない。「府民参加」をいいながら、実態はまだまだ程遠いものである。わが党議員団は、住民が主人公にふさわしい、情報の公開、府民参加の行政運営実現へ引き続き奮闘するものである。
8、いっせい地方選挙まで6ヶ月と迫った。わが党議員団は、「府民のくらし応援」「府民が主人公」の府政実現のため、現有15議席を絶対確保し、2人区はもちろん、1人区でも勝利し、新しい峰を築くため全力を挙げて奮闘するものである。
府政報告 1733 2002年9月定例議会を終えて(談話)[PDFファイル 238KB]