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政策と見解

2003年度京都府予算に関する申し入れ

2002/10/28 更新
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 いま、府民の営業と暮らしは、長引く不況と小泉内閣による“痛み”の押し付けによって、かってない深刻な事態となっている。10月1日から実施された医療保険制度改悪によって、高齢者の窓口負担が1割となり、来年4月からはサラリーマンも3割負担になる。そのうえ介護保険料の引き上げ、年金の削減などで、福祉・医療の分野で3兆2400億円も国民負担が押し付けられようとしている。

 また、失業率は依然として高い水準で推移し、京都の製造業の減少は全国最悪の状況(平成13年事業所・企業統計調査)となっている。小泉改造内閣は、アメリカとの約束に従って「不良債権早期処理」をさらに加速させようとしているが、これは、京都経済に大打撃を与え、失業者を増やし、雇用不安をいっそう拡大するものである。

 府民の暮らしと京都経済が、こうした事態に直面しているときだからこそ、地方自治体には、住民の暮らしを守る“防波堤”の役割を果たすことが求められており、知事が「部課長・公所長会議」で訓示した「福祉の向上」という「唯一の使命」を果たすため、府の全機構あげて、その対策を講じることがいま必要となっている。

 来年度予算編成にあたっては、府民の暮らしと雇用を守り、福祉の向上を図ることを第1にすること、そして、市町村合併の押し付けや地方自治体財政を困難にする地方交付税の削減などにキッパリと反対し、市町村が住民の暮らしを守り、地域振興をはかれるよう全面的な支援を強めることが必要である。

 そのうえで、次の事項に留意し、来年度予算を編成するよう求めるものである。

(1)長引く不況と新たな国民負担増のもとで、深刻な事態となっている府民の暮らしを支えるため、福祉や医療、教育などの充実、失業者救済のための公的就労制度の確立など雇用拡大対策、経営困難に直面している中小企業、伝統地場産業支援、農林漁業者の営業を守る対策を重視することなど、「くらし応援」の予算とすること。

(2)大型開発・大型公共事業について徹底した見直しをおこない、学研都市開発など、不要・不急の事業については、いったん中止するとともに、京都市内高速道路、関西空港第2期工事の中止を国に求めるとともに、出資金の支出はただちに中止すること。

(3)地方自治体の財源を確保するため、政府の地方交付税の削減、国庫負担金の見直し、段階的補正の縮小・廃止計画の撤回と地方交付税率の引き上げ、高金利政府資金・地方債の借換、税財源の移譲などの財政措置を国に求めること。なお、外形標準課税導入の政府要望は撤回すること。

 以上の観点から、次の「当面する緊急重要事項」および「各分野の主要事項」の要望を十分勘案し、計画的に実現されるよう申し入れる。

1、府民の暮らしを守り、不況・雇用対策の強化、京都経済の立て直しを

 失業・倒産とも過去最悪、「不良債権最終処理」の強行、その上、医療費の負担増など福祉の切りすて、所得税人的控除制度の廃止、外形標準課税の導入など、国民に新たな痛みを押しつける小泉政治のもとで、暮らしと雇用を守る緊急対策の拡充、京都経済の立て直しは、引き続き、府政の最大の課題となっており、次の諸対策を強く求める。

(1)失業や経営破たんで暮らしが成り立たなくなっている府民を救済する公的就労制度をつくること。「暮らしの資金」の大幅な増額・通年化を実施すること。離職者支援資金の貸しつけ要件を緩和し、誰でも使えるよう府独自の対策を講じること。

(2)市町村と協力し、中小企業や伝統地場産業の実態調査を早急に実施し、関係者の知恵を結集して「京都経済再生会議」(仮称)をつくり、京都経済の立て直し、振興策を確立すること。

(3)雇用不安と失業の増大、リストラによる賃金切り下げが、景気回復の足かせとなり、地域経済にも重大な影響を与えている。本府として、企業が進める解雇、人員削減、工場閉鎖などのリストラ計画の事前の届出、地域経済と雇用への影響調査、地元市町村や商工会議所(会)など関係機関との協議を求める「リストラ対策条例」を制定するなど雇用確保に最大限の努力をおこなうこと。

(4)介護基盤整備の促進など福祉施設の充実、30人学級の実施、消防力基準どおりの消防職員の配置など、地元での雇用の場の拡大をすすめること。6月補正で実施した生活関連、福祉型公共事業を中心とした緊急雇用対策をさらに拡充すること。

(5)「不良債権早期最終処理」の強行に反対し、不況のもとでも必死の経営努力を続けている中小企業が貸し渋り、貸しはがしなどで、倒産・廃業に追い込まれることがないよう、その実態を調査し、「景気回復までの返済猶予」など、積極的融資対策を講じること。借換融資も国金など政府系金融機関や府下自治体融資分にも拡大し、プロパー融資も対象とすること。

(6)新規開業や新事業への転換、新製品の開発に取り組む中小企業・業者に対し、無担保・無保証人・低利で、事業が成功したときから返済が始まる「出世払い融資制度」の創設、信用保証協会の保証枠の拡大など、融資制度の創設、改善をはかること。

(7)枠的単独事業のこれ以上の削減をおこなわず、府のおこなう公共事業について生活密着型に転換するとともに、バリアフリーの促進、耐震性の強化など、住宅改修を促進し、中小建設業者の仕事確保のため「住宅改修助成制度」を創設することなど、地元中小建設業者の仕事確保をはかること。実施している府内自治体に対し、支援を行うこと。

2、「医療改悪」の実施を中止し、介護保険の抜本改善、障害者福祉の充実など、安心できる社会保障制度と体制の確立を

(1)10月から、高齢者の窓口1割負担の実施がはじまり、来年4月からはサラリーマンの窓口3割負担が予定されている。すでに、深刻な受診抑制がひろがっており、府民の健康悪化や疾病の重篤化が懸念される。国に対し、医療改悪の中止をもとめること。自己負担限度額を超える医療費について、医療機関における受領委任払い制度を作るなど手続きの簡素化を行うこと。

(2)国民健康保険への国庫負担を45%にもどすことを国に求め、保険料の引き下げを実現し、保険料を払えない状況をなくすこと。

(3)保険証の取り上げ、資格証明証の発行をおこなわないよう市町村を指導すること。

(4)特別養護老人ホームの待機者が5000人となり、在宅サービス基盤についても地域的アンバランスが残されている。低所得者層の利用抑制も明らかになった。来年4月には、保険料は、府下平均2割増額され、据え置かれた訪問介護利用料も2倍に引き上げられようとしている。保険料値上げを抑制するためにも国に対し、国庫負担割合を2分の1とするよう強く求めること。あわせて恒久的な低所得者に対する保険料・利用料の減免制度を設けるよう求めるとともに、府独自の軽減策を行うこと。施設、在宅両面での基盤整備を引き続きすすめること。介護報酬、要介護認定基準の見直しなど制度の抜本改善を国に求めること。介護者激励金を復活すること。

(5)障害者支援費制度への移行にあたり、従来のサービスを後退させないよう、在宅、施設両面での基盤整備を急ぎ、生活実態に見合った支援費支給がなされるよう市町村への支援をおこなうこと。

(6)乳幼児医療費助成制度を就学前まで拡充すること。所得制限は導入しないこと。

(7)地域医療提供体制に重大な影響を与える4月改定の診療報酬は、元に戻すよう国に求めること。

3、市町村合併の誘導・押し付けはやめ、市町村自治への支援を強め、地方自治と住民本位の地方財政の確立、地域振興の支援を

 いま、国が強引に進めている市町村合併に対して、全国町村会が、繰り返し「強引な押し付けに反対する」決議をあげるとともに、全国で「合併しない宣言」や「合併協議会からの離脱」を表明する市町村が生れている。本府が、「市町村合併は住民の意思で」としながら、「法定合併協議会への職員派遣」など、その主導的役割を果たし、国と一体となって「市町村合併押し付け」を強行していることは、「住民自治」の原則から見て許されるものではない。

 政府は、市町村合併を強引に進めることによって、地方自治の破壊、地方交付税の削減をすすめ、もう一方で、地域住民の負担で、大型公共事業を引き続きすすめようとしている。こうした「市町村合併の押し付け」をきっぱりやめて、真に市町村自治の確立のため、次の対策をおこなうこと。

(1)国に対し、地方交付税の削減や「段階的補正」の縮小・廃止はおこなわないよう、市町村と協力し、強力に働きかけること。

(2)本府として、市町村自治振興補助金の増額、振興資金の低利への借換、「地域起こし事業」への支援など、市町村への支援策を強化すること。

(3)合併推進でなく、合併せずにがんばる市町村への支援策を示し、市町村自治の確立を支援すること。

(4)住民の意思を尊重し、住民自身の判断で「合併の是非」を決められるよう、徹底した情報の公開と住民の意思が尊重されるよう市町村を指導・援助すること。

4、大規模開発、大型公共事業の抜本的見直しで、不要・不急の事業を中止し、公共事業は生活基盤の整備に切りかえを

 これまで本府が4府総にもとづいてすすめてきた丹後リゾート開発、舞鶴港の巨大埠頭の建設、城陽の巨大スタジアム建設、南丹ダム建設などは、すでに「見直し」をせざるを得ない事態になっている。また、学研都市開発についても、造成される学術研究施設用地は、多くが売れ残り、活用計画も立たず、ゆきづまりは明白である。

 今日、多くの府民は「財政危機」を言うのなら、まず、不要不急の大型公共事業に莫大な税金をつぎ込むことを中止すべきとの声をあげている。現在進めている大型開発・大型公共事業の抜本的な見直し、中止をおこなうこと。

 また、「公共事業再評価審査委員会」が1999年に、南丹ダム建設を「継続妥当」としていたことは、「公共事業再評価審査委員会」が本来の役割を十分果たしていなかったことを示した。これを実効あるものとするため、第1に、事業の必要性、採算性、環境への影響の3つの角度から府民参加で検討すること、第2に、事業の計画段階での評価・点検の重視と事業実施の事前、事後の諸段階にわたる評価、第3に、すべての情報の公開、府民からの意見聴取、とりわけ関係住民の意見を尊重するなど、その機能強化のため、再検討すること。

(1)京都市内高速道路は市内の交通渋滞と環境破壊をいっそうすすめ、工事費の増大や負担割合の引き上げで、本府の財政負担を大きくするものであり、建設中止を求めること。本府は阪神道路公団から撤退すること。

(2)都市部における公共交通について、LRTを含む公共交通機関を軸とした交通体系の確立、パークアンドライドシステムの導入などで、京都市内への自動車の乗り入れ総量を規制する措置をとること。

(3)高速道路とそのアクセス道路建設優先をあらため、府民の生活と地域経済に結びついた生活関連道路建設・整備優先に切り替えること。

(4)生活バス路線への国庫補助の切り捨て・削減に反対し、地方バス路線の維持・確保、福祉・医療バス路線の確保など、生活関連交通機関の整備・充実をはかること。

(5)木津川右岸運動公園建設はいったん中止すること。

(6)貴重な自然と景観を破壊し、市民の憩いの場を奪う第二迎賓館の建設を直ちに中止するよう国に求めること。

(7)学研都市建設については、国及び開発事業者の責任を明確にした「学研法」の改正を国に求めるとともに、木津中央地区などあらたな大規模開発の中止、規模の縮小など「建設計画」の見直しをおこなうこと。

 「学研都市」住民の生活に必要な施設整備は、国と開発事業者の責任で行い、地元市町への負担の押し付けを行わないこと。遅れている既存市街地の生活道路や下水道整備などの新旧格差の解消を図り、つりあいのとれた地域整備を行うこと。そのための財政支援をおこなうこと。

5、「米政策見直し」に反対し、京都の農業振興充実を

 政府はいま、「農業構造改革」として、米政策の見直しをすすめている。その中心は、主食である米の生産と安定需給についての国の責任を放棄し、米の生産・流通をいっそう市場まかせにし、小規模農家をしめ出そうとするものである。これは日本の稲作に大打撃を与えるものであり、小規模稲作が中心の京都農業にとっては大問題である。

(1)「米政策の見直し」に反対し、家族経営を守る立場を堅持し、そのためにも、府として価格・所得保障対策を積極的に講じること。米輸入の削減、米価の下支え、備蓄制度の見直しをすすめ、減反の拡大は行わないよう政府に強く要求すること。次期WTO交渉にあたっては、米を自由化の対象から外すよう要求すること。また、すでに輸入されたMA米は対外援助にまわすよう政府に要求すること。

(2)BSEの発生により大打撃を受けている畜産農家にたいする支援を政府に要求すること。借入金の返済猶予など経営安定に必要な緊急措置を講じること。

(3)合併農協が支所廃止、営農部門の切り捨てなど営利本位に走ることなく、農協本来の役割が果たせるよう指導を強化すること。

(4)雪印食品、日本ハムなどの牛肉偽装事件は国民の大きな憤激を買うとともに、牛肉消費の減退などBSE問題の影響を長びかせ、生産農家にも被害を及ぼしている。政府の責任で補償を行うとともに、再発防止を強く国に要求すること。

(5)輸入野菜の急増と農薬汚染の問題は、国内野菜生産はもちろん食品の安全、衛生上も大問題である。輸入規制、安全対策等に万全の対策を講ずるよう国に要求すること。

6、「環境京都」にふさわしい環境行政の確立を

実効ある不法投棄規制の条例制定を

 今年9月、「持続的発展」と「貧困からの解放」をテーマに開かれたヨハネスブルグ会議は、環境問題が人類の共通した最も重要な課題であることをあらためて確認した。京都府は、地球温暖化防止に大きなステップを作ったCOP3の開催地として、また来年開かれる「世界水フォーラム」の開催地としても、世界の環境を守る先頭にたち、具体的な成果をあげることが求められている。

(1)その京都が880万トンものCO2を排出する舞鶴石炭火力発電所建設やムダと環境破壊をすすめる京都市内高速道路建設を強行しようとしている事は、温暖化防止に逆行し世界に恥ずべきものであり、計画中止を直ちに求めるものである。

(2)府は循環型社会推進の府計画を策定中であるが、数値目標策定にあたって、廃棄物については発生抑制を基本した計画にすること。昨年4月に実施された家電リサイクル法は、多くの不法投棄を生み出し、容器包装リサイクル法では自治体に重い負担がかかっている。今年5月実施された建設リサイクル法なども中小建設業者に大きな負担を与え、不法投棄を増加させる恐れがある。拡大生産者責任を明確にしていないこれらのリサイクル法の改正を国に強く求めること。また、府としても市町村に対する積極的な指導援助をおこなうこと。

(3)府の「ゴミ処理広域化計画」を見直し、市町村に強制しないこと。

 亀岡市畑野町や宇治炭山地区、南山城村高山ダム周辺、井手町新四郎山、日吉町志和賀などで産廃不法投棄、環境破壊をもたらす違法行為が続発している。これらの箇所では、悪質、巧妙な違法行為に対して、府が毅然とした対応を行わなかったため、事態が一層深刻化している。府は、不法投棄を根絶させるために、廃棄物の発生抑制をかかげ、府民に対し、説明責任を明確にし、毅然たる廃棄物処理の行政を進める条例を制定すること。

(4)ダイオキシン対策を引き続き強化すること。調査、監視体制の強化とともに、分別収集の促進、塩ビ製品などの製造、販売、使用の規制、メーカーに対する表示、回収の義務づけを国に求めるとともに、府独自のダイオキシン規制条例を制定し、実効性ある対策をすすめること。府保健環境研究所にダイオキシン検査体制を整備すること。

(5)世界水フォーラムが来年実施されるが、水をとりまく自然環境の保全対策を重視し総合的な対策を確立すること。特に賀茂川源流域の保全のために京都市との協議を進め、実効ある対策をはかること。

(6)工場跡の土壌汚染が多発している。土壌汚染対策法の施行にあたり、実効的な施策を強めること。

7、30人以下学級の早期実現、私学助成の拡充など教育費負担の軽減、養護学校の増設を

(1)30人学級等少人数学級に踏み出す自治体が全国で広がり、いじめ、学級崩壊、不登校などの早期発見、早期解決など、学習・生活指導両面で、大きな成果を上げている。国に対し、小・中・高校の30人学級の法制化と義務教育費国庫負担制度の堅持を求めること。府として、教職員削減計画を撤回し、早期に30人学級を実現すること。市町村が独自に少人数学級を実施する場合にも財政支援を含む必要な支援を行うこと。

(2)障害児教育について、南部への養護学校増設と、舞鶴の新設養護学校への寄宿舎設置など、保護者や関係者の要望意見を良く聞いてより良いものにすること。医療的ケアへの対応、職業教育の充実、寄宿舎や老朽校舎の改善、普通教室へのクーラー設置など教育条件の改善をすすめること。

(3)高校教育制度について、希望するすべての生徒が地元で学べるよう、生徒と保護者、教職員など府民の声を第1に、民主的議論をつくし、30人学級を実現して、地域の財産である高校を守ること。高校入試選抜にあたって、機械的な募集定員の削減を行わず、不透明な推薦入学枠は縮小し、破綻した類・類型別募集を廃止すること。

(4)全ての小・中・高校の耐震調査の早期完了と耐震補強工事、普通教室へのクーラー設置など早期に実現すること、市町村に対し、財政支援をふくむ必要な支援をおこなうこと。国に対し、国庫補助制度の改善をもとめること。

(1) 私学助成の拡充、授業料減免、遠距離通学費助成、修・就学援助制度など父母負担の軽減制度を拡充すること。

 教育委員会議を全面的に公開するなど、府民に開かれた運営に徹すること。学校、市町村の自主性を尊重し、教育内容の介入をやめること。

8、実効ある「男女平等条例」の制定と、子育て支援の抜本的強化を

(1)策定中の「男女共同参画条例」について、条例の名称に「平等」を明記すること。憲法及び女子差別撤廃条約の男女平等の理念、母性保護、事業主・企業主責任の明記、行政機関から独立した苦情処理・救済機関の設置を明記すること。女性政策専門家会議を公開し、広く府民参加でより実効ある中身となるよう検討を進めること。

(2)政策方針決定過程への女性の参画の促進、各種審議会への女性委員の登用をすすめ、委員の人選にあたっては公募を含め公正・公平を期すこと。

(3)DV法施行後、相談が急増している婦人相談所、配偶者暴力支援センターについて、いっそうの体制を強化すること。また府南部、中北部地域にも配偶者暴力相談支援センターの支所を配置すること。府下児童相談所に「子ども家庭支援センター」(仮称)を設置し、DVや児童虐待などの被害児童や家庭に対する総合的支援や相談体制を確立すること。

(4)緊急一時保護の受け入れ施設を含め、母子生活支援施設が不足している。吉田母子寮の施設改善、指導員の増員などをおこない、受け入れ体制の整備を図ること。府北部での受け入れ体制の拡充をはかるために、綾部若草寮についても広域的観点から必要な支援を行い、民間母子支援施設やシェルターについても府独自の必要な支援をはかること。

(5)京都府の合計特殊出生率は1.20となり、少子化のいっそうの進行や児童虐待の増加など、子育て不安の解消や子育て環境の改善と、男女ともに人間らしく働き、子育てと仕事が両立できるようにすることは喫緊の課題である。保育所待機児童の解消、養護学校児童生徒をはじめ、障害児をふくむ学童保育体制の抜本的整備を行うこと。

(6)国に対し、リストラ法制化をもとめること。違法なサービス残業の根絶を徹底することなど、労働条件の抜本改善の諸施策を講じるようもとめること。

9、いっそうの情報公開の推進と府民参加の府政運営を

 いま全国で情報を公開し、住民参加で地方行政を進めようとの流れが大きく広がっている。本府においても府民参画推進のアクションプランの検討が進んでいるが、いっそうの情報公開と「府民参加」を広げ、「府民が主人公」の府政運営を図られるよう強く求める。

(1)各種委員会、審議会の公開については、すべての委員会及び審議会等について、傍聴の実現、関係資料の公表、府民の意見表明を完全に実施すること。併せて、委員の一定部分の公募制の導入などいっそうの府民参加をはかること。

(2)パブリックコメント制度の導入にあたって、府民からの発議も適用すること。

(3)知る権利の保障、原則公開の精神にのっとって、非開示条項の適用範囲を限定し、意思形成過程の情報であっても公開することなど、府情報公開条例の運用を抜本的に改善すること。

(4)公安委員会・警察本部の情報公開が実施されたが、警察当局による恣意的な判断が優先されないようにすること。

(5)府からの出資、出えん、補助金の交付を受けている法人等には情報公開を義務化すること。

10、有事立法に反対し 憲法を守る先頭に

 テロ対策を名目にしたアメリカによる戦争体制の確立が進められ、世界中の反対の声を押し切り、イラクへの軍事攻撃が強行される危険性が高まっている。国会ではアメリカの戦争に協力し、すべての国民や地方自治体に戦争協力を義務付ける「有事立法」の制定がたくらまれている。舞鶴の自衛隊基地からは、テロ対策として護衛艦「はるな」がインド洋に派遣され、レーダー情報をアメリカ軍に提供するなど憲法違反の軍事作戦に従事している。政府は、武力行使は行わず、戦闘に参加しないと言い続けてきたが、この行動は、集団的自衛権の行使にわたるものであり、憲法9条に反することは明白である。

 21世紀、日本と世界の平和のためにも「有事立法」に強く反対し、政府に要求すべきである。舞鶴が再び戦争への出撃基地とならないよう、知事がその先頭に立つことを強く求める。