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予算・決算特別委員会

知事総括質疑 上坂愛子府議

2002/11/19 更新
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決算特別委員会

小学校入学まで、乳幼児医療費助成について

 日本共産党の上坂愛子です、3つの問題で質問します。 書面審査で保健福祉部長は「就学前までの要望が強いということも、十分承知している」と答弁されました。来年度に予算化されると理解しましたが、知事の決意をお聞かせください。

【知事】  この制度は、各市町村が実施主体となって、地域のニーズに応じて子育て支援対策の一環として取り組まれており、京都府としても積極的にその取り組みを支援しているものでございます。乳幼児医療助成制度を含めた福祉医療制度全般につきましては、実際にそのように実施をしております市町村との連携が何よりも重要なことから、「福祉医療制度検討会」において、市町村のメンバーに主力になっていただき、さまざまな観点から議論をしているところでございます。その中で、検討するということでございます。

【上坂】  住民のみなさんは、府下どこで住んでいても小学校入学まで無料にして欲しいと、切実な要求が出されています。入院、通院の助成と所得制限を設けないことを強く要望させていただきまして、来年度では予算化していただきたいとお願いを申し上げておきます。

住宅改修助成制度について

 知事は9月議会で、わが党の住宅改修助成制度の質問に、不況対策、地域振興に市町村が知恵と工夫をこらし、さまざまな施策に取り組んでいる、京都府は府営住宅スットク活用事業を含め全力をあげて不況対策に取り組んでいる、こうした施策があいまって経済効果が高まるようこれからも取り組んでいくと答弁されました。知事は、住宅改修助成制度が地域経済に大きな効果があるとお考えでしょうか、お尋ねします。お答えください。

【知事】  地域経済に対して効果があったのかどうかですが、一般的には税金を投入するわけですから、それなりの効果があるんだと思っておりますが、この制度の利用自身、京田辺や網野町でおこなわれていますが、始まってから半年ぐらいのものですから、最初のアナウンス効果による前倒し等もありますので、実際上の効果はきちんとみるには通年を見ていかなければいけないと思っておりますし、その中で今の段階でアナウンス効果も含めて10%~20%位の増加はあるんだと、数値が少しあると聞いておりますので、もう少し通年ベースで考えていかなければならいのかなと思っております。

【上坂】  京田辺市は1280万円の予算で2億8470万円の仕事おこしができています。網野町でも同様です。また、家電商品や家具などの波及効果も期待でき、経済への波及効果は事業規模の4倍という試算も出されています。

 例えば、本府と市町村が2分の1負担で、本府が10億円の助成制度を実施した場合、400億円を超える仕事が府内業者に確保されて、大きな経済効果が生まれるのではないかと思っています。府民の住宅改修の要求と、地元小規模業者の仕事おこしの両面から抜群の効果がある施策です。

 今も中小企業の厳しい内容が質疑されましたけれども、また本府は13年から17年の住宅基本計画で、既存の住宅のストックを重視して、改修や維持管理を進めると方針を出されています。本府の住宅計画から見ても重要な制度だと思います。住宅改修助成制度の実施を強く求めておきます。

【知事】  おっしゃったのは申込件数にすべて掛けているわけで、実際問題として本当はそれによる増加分を出さないと正確な効果は出ないと思います。それでいくと今おっしゃった数字は過大だなという感想を述べさせていただきます。

乙訓地域の府営水道について

 府営水が導入されて2年、過大な府営水の受け入れが、水道料金の値上げとなって住民の家計を直撃しています。来年から府営水の受け入れが2倍になり、乙訓二市一町の水道会計はさらに赤字が増え、大幅な水道料金の値上げが繰り返されることは必死の状態です。 赤字の最大の原因は、1つは、責任水量制です。グラフを見てください。

 乙訓2市一町で、1日23000トンしか受け入れていないのに、水道料金は2倍の46000トン分の基本料金を払っています。総額14億9400万円の内、カラ料金は、年間7億8142万円になっています。

 2つには、水道水と企業の水(工業用水)の2本立で建設しなければならない計画を、都市用水として建設した方が、国の補助金が大きいといって、上水1本で建設が進められました。

 その結果、例えば、大山崎町では、グラフのように13年度本府に払った基本料金は、2億2585万円です、その内1億1970万円は企業分です。企業が使わないために、水道会計の負担となっています。その結果、大幅な赤字となり、その赤字を解消するためには、「60%の水道料金の値上げが必要」と町は答えています。住民には耐え難い負担を強いられることになります。

 工業用水に責任を持つ本府が工業用水を作らず、そのすべてを住民に押し付けた結果です。赤字の大本である、責任水量制の見直と企業用の水については本府が責任を持つべきです。知事の答弁を求めます。

 本府の府営水道の供給料金に関する条例2条は、市・町は毎年、年間の受水量を知事に申し込むことになっています。本府と乙訓2市1町が交わした、基本協定と、給水協定を白紙に戻し、条例通り、毎年受水量を申し込むことにすべきではありませんか。お答えください。

【知事】  乙訓浄水場はこれまで、地下水に依存してきた乙訓地域に将来に渡って安全な水を安定した供給するための整備をしたものでありまして、府民の貴重な財産であると考えております。ただ、水道事業という公営企業の特性から申しまして、受益者負担という観点から責任水道制を採用するというのは、企業の原則でありますので、これ自身を白紙に戻すことは、今度は府民全体の方に負担をと言う話になってまいりますので、受益と負担の関係のいままでのいきさつからみて、公平性の原則を根本から変更しなければならい形を懸念を持つものです。

 乙訓地域の工業用水につきましては、今までの経緯がありました。総合的に検討した結果、多くの企業が点在している乙訓地域に分離してやりますと、供給単価が高額になってしまって事業化が困難であるとの結論が出され、受水市町とも協議をして昭和60年9月の定例議会で全会一致で同意された「京都府南部地域広域水道整備計画」の中で、水道用水と工業用水を含む都市用水として供給するとされた経緯があります。受水市町から毎年、受水量を申し込んでいただいているが、この受水量は府営水道の経営を維持する基本でありますので、責任水量の関係もありますが、安易に変更できないものであることは受水市町にも十分ご理解いただいているところだと思っております。

 その中で、われわれとしましても水道経営が大変厳しいと言うことは、十分、承知はしておりますので、料金の激変緩和措置を継続するなど、現在、精一杯の取り組みをおこなっているところでありますし、これからも経営問題について、十分に乙訓2市1町と話していきたいなと考えているところであります。

【上坂】  工業用水をつくれば非常に単価が高くなるとおっしゃいました。私たちは補助率の高い、地盤沈下の防止を目的とした「工業用水法」による工業用水を建設するよう再三要求してきましたが、検討されないばかりか、地盤沈下の調査資料を13年間も公表しなかった、これが本府の実態です。

 また、長岡京市にある工業会、企業群のみなさんですが、「京都府の幹部も入って工業用水をつくって欲しい」と要望書を出されましたが、それも検討をされませんでした。私は本府の責任は重大だと思います。ところがその工業用水分も含めて2市1町に基本水量として導入されている結果、大変な水道料金の値上げ、水道会計の赤字。地元は本当に厳しい状況におかれているわけです。本府と2市1町で交わした、協定書の中には、「社会情勢の変化など、支障をきたすおそれのある場合は協議する」と定めています。本府条例も「基本水量を変更しようとする場合は、知事と協議をする」としています。

 人口も、住民の水利用も大幅に減っています。また、長引く不況のもとで企業の水利用も期待できない社会情勢です。そうしたもとで協定書、条例の立場で「基本協定」「受水協定」の見直しを、どうしても知事の決断で進めていただきたい。お願いをし、答弁をいただきたいと思います。さらに市町村から見直し要望があれば、当然、協議されると思いますが、知事のお考えをお聞かせください。

【知事】  工業用水というのは成り立たないという話で、昭和60年9月定例議会で全会一致で同意され、それによって都市用水として供給することになったと言うことですから、それからの社会情勢の変化の中で、府としましても6万8000トンの施設整備を4万6000トンにして、さらにその中で激変緩和のためのお金を投入するという、2段階において努力をしてきているということもご理解いただきたいと思いますし、現状におきましては企業の地下水の汲み上げ量は、平成元年のも平成13年は半分となっていますので、工業用水自身が成り立つという情勢ではないと思います。

 そういった中でわれわれとしては、2市1町の水道の経営もんだについては財政問題から、どういう形が取れるのかということを考えていくべきではないかと思っております。水道の根本原則をいじれという話は、府民に対しての負担の問題もまた出てくるから、どこに負担を求めるかと言う話になってきた場合の、原則はキッチリ守りながら、その中で経営問題としての在り方を考えるべきではないかと考えております。

【上坂】  工業用水も含めて非常に厳しい社会情勢の中で落ち込んでいる、企業の汲み上げも。だからこそ基本水量の見直しをして欲しい、そうでなければ工業用水分も全部、住民が負担をしているのが現状なんです。

 従って、協定書の中でも「社会情勢の変化で支障を来したときには協議をする」と書いてあるわけです、また、条例もそのことを示しているわけですから、当然、知事が条例、協定書を守る立場にあるわけです。その点をしっかりと守っていただいて、協定の見直し、市町村から要望があれば十分応えるという姿勢に立っていただきたい、と強く要望して終わります。