光永 敦彦府議の代表質問-1
日本共産党の光永敦彦です。日本共産党府会議員団を代表して、知事ならびに教育長に質問します。
今、厳しい不況で暮らしが押しつぶされそうになっている時に、小泉内閣が進める、いわゆる「総合デフレ対策」をはじめとした一連の国民への痛みの押し付けが実施されるなら、暮らしも日本の経済も取り返しがつかない事態になることは明らかです。
こういう時だからこそ、地方自治体が、国の悪政にきっぱりとモノをいい、暮らしを守る防波堤としての役割を果たせるかどうかが、今問われています。11月20日には「不況打開・雇用確保、くらしを守る11・20府市民総行動」が行われ、1200人もの府民が、府庁の回りを取り囲み、「暮らしを守れ」の声を上げられました。今、年末を前に、「年を越すことができるだろうか」という事態が広がっているもとで、従来の延長線上でない対策への高い決意と具体化がどうしても必要です。そういった立場から質問いたします。
府民の暮らしをどう守るのか/命と健康を守る制度の根本を崩す「医療改悪」の中止を
はじめに「府民の暮らし」をどう守るのかについてです。
10月1日から実施された医療保険制度の大改悪による高齢者の1割負担が、暮らしと健康に重大な影響を与えています。私は、改悪が実施された直後から、地域のみなさんと協力して「青空医療費相談会」を行ってきました。その中では、「これまで診療所では1回850円、月2回1700円ですんでいたものが、9300円になった」「これから、どれくらいはらわんとあかんのやろか」と次々と不安を打ち明けられました。京都府保険医協会のアンケートでは、患者さんの51%が十月の窓口負担が増えたと答え、中には「完治していなくても自分の判断で受診をやめていたら、また悪化して、再度受診したら余計にお金がかかった」などの話も出されています。
ところが知事は、これまで我が党の質問に、「給付と負担のバランスを考えた場合、高齢化社会が進展するなか、将来にわたり、持続可能で安定的な医療保険制度を構築することが必要」と、今回の制度改悪は必要との立場を示されました。
しかし、一体知事のいう「持続可能」とは何でしょうか。国民健康保険の滞納世帯数は本府でも68、286世帯と全世帯の18%にもなっているのです。そのうえ来年4月には健保本人が3割負担、保険料そのものも引き上げられ、この保険料は労働者と雇用主が折半のため、国民負担のみならず、不況にあえぐ日本中の会社にとっても負担が増えることになります。払えないところに負担を増やせば、いっそう滞納が増え、保険証とりあげなどで、医者にもかかれないことになります。国民の健康、命を守るための制度が根本から崩れます。本来、持続可能とするためには、削り続けてきた国庫負担割合を元に戻すこと、高い薬価を欧米なみに引き下げること、早期発見・早期治療の体制を整えることこそ必要です。こうした対策をやらずに、負担ばかりを押しつけるこの大改悪が妥当といわれるのですか。きっぱりと中止を求めるべきですがいかがですか。
【知事】 高齢化社会が進展し、医療保険財政が大変厳しい状況にあるなかで、低所得者の方々にも配慮しながら、みんなで支え合い、将来にわたり持続可能で安定的な医療保険制度を構築することが必要であることから、厳しい判断が迫られるなか、所要の改正がおこなわれたものと考えております。
低所得者、在宅酸素療法に対する減免・補助を/高額療養費受領委任払い制度の実施を
また、私は京都の在宅酸素を取り扱ういくつかの業者からお話を伺いましたが、3400件のうち、10月に治療を中止されたのが239件、うち104件、43.5%が「経済的理由」での中止となっており、先に紹介した保険医協会のアンケートでは、「在宅酸素療法中の患者さんが10月1日より酸素療法を中止した結果、呼吸不全が悪化した」という命にかかわる事例も報告されています。私はこうした大改悪を実施した自民党、公明党の政治に心から憤りを覚えます。
本府として低所得者に対する減免制度の実施、少なくとも在宅酸素療法を受けている患者さんの減免もしくは補助制度が緊急に必要です。いかがですか。
さらに、国保では実施されている高額療養費受領委任払い制度を、今回の改悪で8000円や12000円を超えた方にも制度として実施すべきです。あらためてお答えください。
【知事】 今回の改正においては、在宅医療管理指導を受けておられる方々を含む低所得者への対策として、低所得者世帯における期間限度額の据え置きや低所得者の範囲の拡大など、一定の措置がなされたところであり、今後とも、低所得者の方々への配慮について、引き続き国に対し要望してまいりたいと考えております。
医療費の委任払いについてでありますが、高齢者医療につきましては、社会全体で支え合うことが重要であり、高齢者の方々にも現役世代と負担を分かち合うために、窓口で一定の額をご負担いただき、限度額を超えた場合について、償還を受ける仕組みになっている制度でありますので、ご理解いただきたいと存じております。
介護保険制度の抜本的改善は待ったなし/国負担を2分の1に戻し、保険料値上げストップを/保険料・利用料減免制度支援を府の責任で/特別養護老人ホーム待機者は3600人、基盤整備の推進を急げ
実施後2年8ヵ月を経過した今、我が党はすべての自治体から介護保険の実施状況と課題について調査しましたが、当初から指摘してきたように矛盾と破綻が噴出しています。
ところが知事は介護保険でも「概ね順調にすすんでいる」「要介護者の増加やサービス利用の増加が介護保険料だけでなく、府の公費負担にもそのまま反映される。そういう負担しなければならない仕組みになっており、府としてもこれから毎年大幅な負担増が予想される」と答弁をされました。これは結局、保険料が上がることは仕組み上仕方ないという態度としか私は思えません。
今、市町村がすすめている見直しの中で、保険料の大幅値上げが問題になっていますが、厚生労働省の調査では、来年度平均3241円ですが、本府の場合平均3636円となり、市町村別にみても、これまでの保険料の150%近い値上げ予定の自治体もあります。問題は介護費用の2分の1を保険料でまかなう仕組みであり、介護のニーズにこたえればこたえるほど保険料が高くなるようになっていることです。市町村の担当者からも「せめて調整交付金を25%の枠外にしてほしい」「利用していない人に保険料の値上げは説明しようがない」との声があがっているように、制度の枠内ではもはや解決できず、高齢者も市町村も困り果てているのです。だからこそ、制度の枠に踏み込んで、国の負担を制度実施前の二分の一に戻すことをもとめるべきです。
同時に低所得者への対策が必要です。
私がお聞きした69歳の高齢者の方は、年金1月7万円で一人暮らし。「介護保険料が約3000円、週2回ヘルパーさんに来てもらい、訪問入浴、ベッド利用などで利用料1万5千円。これに医療費を加えると苦しいです。本当は食事の用意もヘルパーさんにお願いしたいのですが、費用のことを考えるとこれ以上は無理で、インスタントラーメンで済ませることが多いです」という事態もあります。低所得者の顔と実態がつかめる市町村では、「制度の枠内ではもはや対応できない」と八幡市や京田辺市をはじめ、制度の枠を超えて、減免制度実施に踏み出しているではありませんか。ましてや保険料滞納者が2000年度末には9411人だったのが、じわじわと増加し今年3月末では12906人となるなど、第一、第二段階で生活保護水準の方の負担の厳しさが際立っているのです。いつまでも「制度の枠内で」などといっている場合ではありません。国の恒久的な低所得者対策を求めることはもちろん、本府として市町村の減免制度を支援すべきではありませんか。お答えください。
また、我が党は、施設、在宅とも基盤整備の推進を要求してきましたが、例えば特別養護老人ホーム待機者は、いまだに府の発表で3600人もおられます。「全国一の水準で施設整備をしている」と言われますが、いったいいつになったら、待機者がいつでも安心して入所できるようになるのでしょうか。第二次介護保険事業支援計画案でも、足りないことは明確ではありませんか。 お答えください。
【知事】 これまでから地方自治体の財政負担が過大とならないよう、また、高齢者の経済負担に十分配慮し、必要な対策を講じるよう、国に対して積極的な要望をおこなっているところであります。
なお、介護保険料・利用料の減免等につきましても、国への積極的な要望をおこなっているところでありまして、減免制度の現行制度の積極的な活用を市町村に促しているところでございます。
特別養護老人ホームにつきましては、全国トップレベルの京都府独自の補助制度や融資制度を創設するなど、全力をあげて整備を推進してきているところであり、今後も地域ニーズに的確に対応した整備を計画的に推進していくことにより、待機者の解消をはかってまいりたいと考えております。
暮らしが大変、失業者への生活の保障を/生活保護の申請は憲法25条で定められた権利、「包括同意書」は廃止を
さて、医療や介護だけでなく、暮らしそのものが本当に大変です。「突然リストラにあって、なんとか失業保険でつないできたが、仕事はみつからず、いったいこれからどうすればいいのか」など働く能力と意思があり、求職活動を一生懸命しても失業給付も切れて、生活がままならない失業者が半分にも達しているなか、緊急の生活の保障が必要です。
その一つとして生活保護の制度があります。
本来、生活保護は命綱として、貧困におちいった原因を問わずに平等にうけられるはずです。ところが失業者のうち、雇用保険を受給しているのは3割にすぎず、一方で、働ける年齢層の場合には、病気や障害が重くない限り申請が受理されないなどの行政の運用上の問題で、事実上生活保護から排除されている場合があります。現に、私がお聞きした話では母子家庭の方が最近、生活保護申請にいったところ、「まず仕事に就いてから」だとか「再婚したらどうか」など、申請する権利を奪うような対応がいまだに行われているのです。「働きたくても働く場がない、生活保護申請も受け付けてくれない。ならば仕事を探してくれるのか」との声があがるのも当然です。生活保護法には、「急迫した事由がある場合に、必要な保護を妨げるものではない」という規定があります。事情が急迫しているかどうかの判断は行政がおこないます。それだけに生活保護の申請は、憲法25条で定められた当然の権利であり、法の趣旨にそった適切な対応をすべきです。
また、申請に当たってもう一つのハードルが、家族の資産などの調査を一括して同意する「包括同意書」です。京都府下では、保護申請の際に包括同意書を取っているために、同意書の提出が保護開始の条件となっているのです。ご承知のように秋田県では、今年八月一日から新しい同意書の取り扱いをはじめましたが、その基本的考え方には「包括同意書は廃止」と明記されています。大阪府でも「関係機関と協議して、同意書のあり方について検討する」との答弁があったと聞いています。本府として「包括同意書」の提出が保護の申請要件でないこと、また「包括同意書」そのものを廃止すべきです。いかがですか。
【知事】 生活保護制度は、憲法第25条の規定の理念に基づき、生活保護法において、生活に困窮する方が、その資産、能力などを活用されてもなお最低限度の生活が維持できない場合に、申請に基づき適用されるところであります。こうしたことから、生活にお困りの方のご相談には、できる限り親切丁寧な対応をおこない、すみやかに申請受付が必要な場合には、適切に保護がおこなわれるよう、福祉事務所を指導しているところであります。
また、同意書につきましては、この制度が全国的に統一した取扱いをすべき事務として、法定受託事務とされているところから、国の指導に基づき、生活保護の要否決定において、当該世帯の収入や資産等の調査が必要とされていることから、できるだけ迅速な保護決定をおこなうために、申請者にその趣旨を説明し、ご理解を得て提出していただいているところであります。
本格的な不況雇用対策にふみだせ/次に不況・雇用対策についてです。
いま、深刻な不況やリストラで、京都の有効求人倍率は10月で0・49倍、2人に1人しか求人がありません。完全失業率も近畿は全国一高く7・2%と深刻です。
我が党は、失業者の生活保障と失業者を減らすための当面の緊急対策として、失業手当の支給期間を一年まで延長し、支給期間が切れた後の生活保障制度をつくる、子どもの学費・授業料などへの緊急補助、住宅ローンのつなぎ融資、就職できるまでの自治体でのつなぎ就労の四つを提案しています。みなさんと力を合わせて、これらの実現に全力を尽くす決意を述べ、質問します。
青年の声に応えた雇用対策、大企業のサービス残業根絶を
まず、青年の雇用対策についてです。この問題は、青年一人ひとりにとっては人生にかかわる深刻な問題であると同時に、日本社会にとっても重大です。そういう立場から私は今年六月の本会議質問や、決算特別委員会でも、青年の雇用問題を取り上げてきましたが、青年自身が何でも気軽に相談にのれる相談窓口の設置を含む青年の就業支援センターが来年度から実施予定となりました。
ところで、厳しい雇用情勢の中で、リストラ・賃金の未払い・サービス残業、職場での人間関係など仕事をめぐる悩みやトラブルが非常に増えているもとで、青年自身が改善を求める声と行動に取り組んでいることは大変注目すべきことです。その運動のひとつが「働く青年サポート委員会」です。この「働く青年サポート委員会」が今年11月から「青年の労働・就労実態アンケート」に取り組まれています。そして今後、さらにその内容を充実させて、「青年労働白書」を作ろうと呼びかけられています。そこで伺います。
昨年4月6日、厚生労働省がサービス残業に関する通達を出して以降、京都労働局によると、この一年半で14社、9600万円の残業代の支払いが是正されました。先のアンケートの中間集約の中では、労働時間に不満をもっている青年が44%にのぼり、中でも「サービス残業」と応えた青年が突出しています。ある大手自動車メーカーの青年は、事務職と整備職は朝と夕方のタイムカードがあるが、営業職には夕方のタイムカードがない。いつも日を越えて1時~2時頃。日が変わる前に家に帰れると『今日は早いなあ』という実感」と言われるなど、サービス残業が横行しています。こうした事態をどう解決されるおつもりですか。サービス残業が違法であり、改善が必要であることを一刻も早く京都労働局と連携して、大手企業に厳しい指導をすべきです。いかがですか。
しかもこうした事態でも、「どうすることもできない」とあきらめている青年が多いことは重大です。ハローワークにいっても、青年の相談や対応に手がまわらないこともあって、本府として就業支援センターを立ち上げることを検討されたのなら、この際、その就業支援センターでの徹底はもちろん、青年団体や労働組合などに本府としてポスターやビラなどを作成して「サービス残業は違法」であることを啓発・徹底すべきです。
また、アンケートの中には「竹中平蔵さんもういいです。小泉さんもういいです。失業者をこれ以上ふやさないような政策をしてください」などの悲痛な怒りの声であふれています。こうした声をどう受け止められますか。先の決算特別委員会で、私の質問に「青年の雇用対策は重要」と応えられましたが、本格的な対策を打つためにも、青年の声を直接聞く場をもつべきです。知事のご所見を伺います。
【知事】 いわゆるサービス残業につきましては、労働基準関係法令に照らして問題が認められる場合には、是正のために権限を有している労働基準監督署において調査、そして勧告がなされるところであります。器用とふといたしましても、これまでから各種セミナーや労働ニュース等により、使用主や勤労者等に対し、労働時間等にかかる法制度の周知啓発に努めているところであります。
また、若年者就業支援センターにつきましては、設置について検討しているところでありますが、いずれにいたしましても、京都労働局の連携しながら、労働条件に関する法制度の周知徹底をはかってまいりたいと考えております。
さらに、青年層の雇用対策をすすめるうえで、青年の声を聞くべきであるとのお尋ねにつきましては、これまでから、新規学卒者を対象とした就職面接会などにおいて、アンケート調査を実施するとともに、その場においても直接意見等をお聞きしているところでありますが、今後とも、いろいろな機会を通じて、幅広い方のご意見を伺ってまいりたいと考えております。
目標をもって、福祉、教育等の充実で雇用確保を/失業者が職につけるまでの公的就労の場を
また、失業者の生活を守ることと仕事を確保することも緊急の課題です。職安、ハローワークに通いつづけているある男性は「もう10回、ここに来ましたが、仕事がみつかりません」と悲痛な表情で話しておられました。失業手当がもうすぐなくなり、生活、子どもの教育費など見通しがまったくつかないなか必死で仕事探しをしておられる人です。こんな方がいまどんどん増えているのです。
わが党議員団はかねてから、教職員の増員で30人学級の実現、ホームヘルパーの増員で介護・福祉の充実、消防職員の増員で消防力の強化などを提案してきました。福島県は今年の4月から小学校1年と2年、中学校1年で30人学級を実施しましたが、これで県が単独で45人を採用しました。少人数学級という県民の願いを実現し、雇用も確保する、このような対策こそいま自治体に求められています。本府の場合、6月の補正予算では、特別養護老人ホームの建設補助などの予算提案で雇用効果の人数を試算するなど考え方の面では一定の前進はしましたが、本格的対策はありません。福祉や教育などの充実として求められている少人数学級、特別養護老人ホームの建設、ホームヘルパーの増員、消防職員の増員など、市町村と協力して、雇用の目標を明確にして取り組むべきだと考えますが、見解を伺います。
また、失業者が職につけるまでの公的な就労の場をつくる必要があります。失業者が数万という大規模ななかで、緊急雇用創出特別対策では、働いた日がたったの一週間程度のものもあることを、わが党議員団が決算委員会で指摘したのに対して、「14年度計画で実雇用人数が4800人程度、民間での雇用を」と言われました。しかし民間では逆にリストラで減らしているのですから、失業者が仕事につけないのは仕方がないという立場ではありませんか。やはり自治体が失業者を減らすための本格的な努力をすること、そのために、次の仕事につけるまでのつなぎの仕事を確保すべきです。お答えください。
【知事】 現在の厳しい経済条件に対応するため、緊急雇用創出特別基金を活用し、地域の実情に即した緊急性の高い事業を実施し、失業者の雇用の確保に実績をあげているところであります。
しかしながら、本格的に雇用の安定確保をはかるためには、このように雇用の下支えに加え、何よりも民間を中心に産業振興や福祉、医療、教育、環境など今後成長が期待できる分野において、雇用の拡大をはかることが重要であると考えております。このような観点から、現在とりまとめております、雇用創出就業支援計画や京都産業活性化プラン等を中心に、民間の活力を生かした雇用の拡大、職業訓練の充実などによる雇用ミスマッチの解消、緊急雇用創出特別基金を活用した緊急雇用対策の推進をおこなうために、京都府だけではなく、国、市町村、民間も一体となって、柔軟かつ積極的な雇用就業機会の拡大をはかることが必要であると考えております。
地元業者への仕事確保、経済効果抜群の「住宅改修助成制度」を
さて、仕事おこしにかかわって、この間の建築労働者などの大きな運動で、住宅改修助成制度が網野町と京田辺市で実現しました。さらに制度の導入を検討する市町村が出てきていると聞いています。この制度は、地元業者に仕事を依頼し100万円の改修工事をした場合に、その1割10万円を助成するなどというもので、すでに、3年ほど前から全国で実施され抜群の効果があがっています。建築業者の仕事が大幅に減って苦しんでいるなかで、こうした仕事起こしで仕事を確保することこそ、自治体の求められている役割ではないでしょうか。制度をつくって、仕事の確保をすべきです。いかがですか。
【知事】 各市町村において、それぞれの地域の経済事情や財政状況を踏まえた、さまざまな雇用不況対策に取り組まれているところであります。京都府といたしましても、雇用不況対策として、現在、府営住宅ストック総合活用事業に鋭意取り組んでいるところであり、こうした種々の施策があいまって、府内の中小業者の仕事確保につながるよう、これからも努めてまいりたいと考えております。
京都経済の主役、中小企業の経営守るために赤字中小企業にも課税する外形標準課税導入の要請を撤回せよ
次に、京都の中小企業、零細業者の経営をいかに守るのかについてです。
まず、外形標準課税です。
「景気底入れ宣言」から半年、大方の予想通り、日本経済はその後も深刻な事態が続き、この10月の倒産企業の負債総額が1兆9269億円と戦後第2番目の規模となっています。
中小企業、零細業者の経営が深刻なときに、京都府は、外形標準課税の導入を、「2003年度政府予算案についての京都府の要望」の中でも、「重点要望」の一つとして改めて要望しました。
法人事業税の外形標準課税は、企業が払う給与や、支払利息など本来の経費に課税するもので、当然、赤字の企業にも税金がかかり、圧倒的多数の中小企業にとっても大幅な増税となります。これは困難な中で経営と雇用を守るために努力している中小企業にとって大変な事態となります。だからこそ京都でも商工会、商工会議所、中小企業団体中央会などほとんどの商工団体が反対をされているのです。
総務省案では、外形標準課税の導入で京都においては400億円の大増税になり、我が党の試算では、8000円が16万円へと20倍もの大増税になる中小企業すらうまれることが明らかになりました。これでは「府財政の安定」という導入目的に反し、中小企業の経営を困難にし、府財政そのものの屋台骨をも危うくするものではないでしょうか。京都府議会では外形標準課税の早期導入を求めている自民党や公明党ですが、反対の声におされて、中央レベルでは自民党・公明党の中ですら反対の声も出され始めています。国に対する法人事業税への外形標準課税の導入要求を撤回すべきです。いかがですか。
【知事】 行政サービスの受益に応じて、税を負担していただくということは、地方税における一つの基本的な事柄であります。また、少子・高齢化社会への対応や環境対策といった行政需要がますます増大しているなかで、今年度の府税収入が実質500億円をはるかに超えるような低収に陥っておりますが、国の厳しい財政難のなかで、交付税の削減の方向が出されるなど、このままでは都道府県が住民のみなさまに安定的、継続的に行政サービスを提供することが非常に難しくなるところであり、景気に左右されやすい現在の不安定な税収構造を改めていくことは重要な問題であると考えております。
国においても、このような観点から、現在の厳しい経済情勢を踏まえ、外形標準課税について限定的でかつ長期的にわたる段階的な導入案が検討されているところでありますが、私といたしましても、去る2月府議会定例会で議決されました「外形標準課税導入に関する決議」にもありますように、府内経済が非常に厳しい状況にあることを踏まえ、中小零細企業への十分な配慮を前提に検討がすすめられることが必要であると考えており、国に対してもこの点を強く申し入れているところであります。
中小企業つぶしの不良債権早期処理策の中止を/貸しはがし・貸し渋り防止」等条例の制定を
また、小泉内閣の「不良債権処理加速策」の、来年3月からのより厳しい資産査定や自己資本評価の手法の導入方針決定を受け、大手都市銀行を中心に「貸し渋り」「貸しはがし」「金利引上げの押しつけ」が、一層激しくなっています。京都でも、都銀による貸し渋りをきっかけに、井上電機、アトムボーイなどの倒産が相次ぎ、京銀や信用金庫でも金利の引き上げや融資の中止の事例があとを断ちません。
知事は中小企業の金融確保を国に求めていると言われましたが、景気を悪化させ、不良債権を増やす小泉流の不良債権処理策の中止を明確に求めるべきです。併せて、地域に根ざし地域の中小企業になくてはならない地銀や信金にまで、都市銀行と同じ資産査定、自己資本比率を押し付ける今の国の基準を、地銀や信金は別立てで行うように求めることが必要です。いかがですか。
我が党は、今国会に、中小企業と金融機関の公正な取引機会の保障、「貸し渋り」「貸しはがし」の禁止を定めた「地域金融の活性化に関する法律案」を提出し、その実現に努力しています。私は、京都府内で営業する金融機関に対し、「貸付条件を正当な理由なしに変更」、あるいは「貸し渋り」、「貸しはがし」を禁止し、府が府内の金融機関の業務内容の報告を受け、その評価を公開する、また「貸しはがし」などの苦情を受けつけ、解決斡旋を行う「審議会」の設置などを盛り込んだ「条例」を、国待ちならず、府として早急に設けることが必要と考えます。知事の見解をお聞きします。
【知事】 国の不良債権早期処理につきましては、厳しい状況にある地元の中小企業に影響を及ぼさないよう万全の措置を講じることが重要であり、これまでからその旨、国に強く要望してきたところであります。
また、国の定める金融マニュアルにおいては金融機関の規模などにおける配慮が明記されておりますので、これらも遵守、徹底するよう、国に要請しているところであります。
金融制度につきましては、今の国際間にもわたる状況の中で、府県間の境界と言うのはもはやないに等しく、国の法律で決めるべき者と考えております。
京都府におきましては、国に対し中小企業の円滑な金融確保にむけ、金融機関への指導を要請してきたところであります。
借換融資の対象拡大、期間延長を/協会の保証付きプロパー融資も、1月から借り換えの対象に
さらに、借換融資についてお聞きします。先程の答弁で我が党がこれまで求めてきたプロパー融資も対象とすることが表明されたことは歓迎するものです。さらに、借換後の返済期間の延長も含め、改めて知事に借換融資の改善延長を求めます。併せて、国の制度としての「借換融資」の創設を、国に求めるべきです。いかがですか。
【知事】 借換融資は全国に先がけ、京都府と京都市が協調して実施した画期的な制度でありますが、先程、林田議員にお答えしたとおり、厳しい状況に置かれている府内中小企業者の実態を踏まえまして、民間金融機関から信用保証協会の保証付きで借入を行っている資金、いわゆるプロパー資金にまで対象を広げるなど、大幅に制度の拡充を図ってまいりたいと考えております。
なお、京都府といたしましては、従前から中小企業信用保証制度の更なる充実などを国に求めてきたところでありまして、そのような中、先ごろ、中小企業信用保証法の一部が改定され、金融機関の店舗統廃合などにより借入が減少している中小企業者や整理回収機構に貸し付け債権が譲渡された中小企業者の内、再生可能とするものを対象とする新たな措置が取られたところです。