資料ライブラリー

討論

議案に対する新井 進府議の討論

2002/12/19 更新
[ 討論 ]
この記事は 9 分で読めます。

 日本共産党の新井進です。私は日本共産党府会議員団を代表し、ただいま議題となっています議案19件のうち、9月定例会提出の決算認定議案、第11号議案と第13号議案の2件に反対し、他の17件に賛成する立場から討論をおこないます。

 まず、第3号議案について、賛成ではありますが、意見を述べておきます。

 「京都府産業廃棄物の不適正な処理を防止する条例」の制定は、府内各地で続発する不法投棄で府民の暮らしと環境が脅かされているもとで、わが党議員団もその制定を強く求めてきたものです。

 しかし、従来から指摘してきたとおり、亀岡市畑野の事例が示すように、本来なら砕石法や廃棄物処理法にもとづいて、住民の声に応え、本府が毅然と対処していたなら早期に解決がはかれた問題です。こうした事案は多数あります。そうした毅然とした対応ができなかった本府の姿勢に、これまでの産業廃棄物行政の大きな問題があったことは明らかです。

 今回の条例制定を機に、こうした姿勢を改め、住民とともに、産業廃棄物の不法な処理は許さないとした毅然とした対応をとるよう、第1に求めておきます。

 第2に、産業廃棄物の不法投棄などをおこさないためには、産業廃棄物の発生量そのものを抑制することです。これはパブリックコメントで府民から寄せられている多くの意見でも明らかです。条例第3条には「事業者の責務」が書かれていますが、これを効果あるものとするためには、各事業者から産業廃棄物発生抑制対策や削減計画の提出を求め、その進行状況を掌握し、これを公表する。そして、府として、第6条2項に定めている技術的支援等を実施し、各事業者の計画達成を支援することが必要です。条例にはこのことが明記されていませんが、規則及び運用の中で、これが実施されるよう求めるものです。

 第3には、第8条で「産業廃棄物の保管用地の届出」が義務化されますが、これを実効あるものとするためには、「保管地」や「産業廃棄物処理施設」への「夜間の搬出入の禁止」や外部から保管物等が見えるようにするなどの措置が必要です。

 第4に、「産業廃棄物等の保管等がおこなわれていると認めるときは、職員の立ち入り検査がおこなえる」と定めていますが、この立ち入り検査権限を、市町村職員にも付与することを求めるものです。

 産業廃棄物の不当な処理に機敏に対処できるようにすること、地域の実情に最も精通した市町村職員によっておこなうことによって、産業廃棄物などの不法な処理を未然に防ぎ、取り返しがつかない事態となることを防ぐことができます。

 第5には、この条例は京都市の区域は適用しないとしていますが、京都市内でも、大岩街道や鴨川上流域など、産業廃棄物の不適正な処理が市民生活を脅かし、大きな社会問題となっています。この条例によって、府域での対策が厳しくなった結果、京都市内で問題が新たに発生する事態をまねかないためにも、また、知事が「京都市民も府民」といわれるのなら、少なくとも本条例と同様の対策が京都市でも早急に取られるよう、府として強く働きかけることを求めるものです。

 次に、9月定例会提出の第11号議案、平成13年度京都府一般会計及び特別会計歳入歳出決算についてです。

 平成13年度は、京都府内の失業率が、沖縄、大阪についでワースト3となり、13年の事業所・企業統計調査では、過去5年間の事業所減少率が、大阪についでワースト2、製造業では全国最悪で5件に1件以上が減少するというきわめて深刻な事態にありました。

 こうしたもとで本府に求められたのは、府民の暮らしを守り、京都経済の99%を占める中小企業をしっかりと支援し、京都経済の立て直しをはかることでした。

 ところが、第1に、12年度末で国の特別保証融資制度が打ち切られるもとで、予算審議の際、わが党議員団が、融資制度の改善が必要と求めたのに対し、「必要がない」として、何ら改善がされませんでした。その後、事態の深刻化と中小企業関係者やわが党議員団の要求にこたえて「京都市と協調しての借換融資制度」を本年1月からスタートさせざるをえませんでした。

 また、中小企業振興費は、融資のための預託金を除けば30億円足らずで、前年比8億6千万円も減らされ、小売商業振興事業費補助金も1億5900万円が7000万円と前年の2分の1以下となっています。さらに、伝統産業後継者支援制度も廃止しています。

 結局、長引く不況の中、京都経済を支え、必死に努力している中小企業、伝統産業支援を本府として抜本的に強化しなければならないときに、反対に、予算を減らす、若しくは従来型にとどめてきた結果が、全国でも最悪の事業所の減少や失業率として現れているのではありませんか。

 第2には、失業や倒産、賃下げなどで暮らしが大変になり、「暮らし応援を」との声が大きく広がっているにかかわらず、こうした声にまともに応えませんでした。

 介護保険について、本府の調査でも、高い利用料負担で、利用が抑制される事態が生まれ、市町村が低所得者への減免に踏み出しているにかかわらず、本府はその支援制度を拒否してきました。子どもの医療費助成の拡充も同様です。

 私学助成も、授業料が払えず、中途退学せざるをえない生徒が増え、父母負担の軽減が求められているときに、98年度に比べ国庫補助が6億2000万円増やされているのに、反対に、一般財源は3億8100万円も減額するという、逆立ちしたことをおこなっていることも明らかになりました。

 また、府民が日々の暮らしが成り立たず、「とりあえずの生活資金を」と利用する「暮らしの資金」の増額や通年化も行われませんでしたが、今日「ヤミ金」による被害が増大していることから見て、これを拒否してきた本府の責任はきわめて重大といわなければなりません。

 生活保護は憲法に保障された国民の権利です。ところが、本府は、秋田県で住民の権利を奪うものとして廃止された「包括同意書」提出を相変わらず義務化し、生活保護を受ける権利を入口で侵害しています。

 13年度に強行された府立医大付属病院における結核病棟の事実上の廃止も、府民の命よりも、財政第一の考えであり、府立医科大学および付属病院特別会計決算も認めるわけにはいきません。

 知事は、部課長公所長会議で「本府の使命は福祉の向上にある」といわれましたが、平成13年度決算をみれば、この知事の発言と実態は、程遠いものです。

 第3に、府民には、こうした犠牲を押し付けておきながら、もう一方では、今回中止を決定せざるを得なかった南丹ダム調査費に13年度にも2400万円、さらに今回、ゆきづまりと破綻が明白となり、大幅な見直しを表明された丹後リゾート公園建設に1億2000万円、木津川右岸運動公園建設に2億円支出し、学研都市開発や和田埠頭の推進を継続しています。

 また、広範な国民からきびしい批判をうけている関空二期工事に2億1400万円、市内高速道路建設に11億2500万円出資するなど、相変わらず、ムダと環境破壊の大型開発、大型公共事業は継続しています。

 こうした結果、13年度の府債は1051億円発行され、起債残高は1兆824億円となり、利子だけでも年間346億円、1日1億円近く支払わなければならない事態となっています。

 こうした借金ばかり増やし、府財政を困難に陥れる大型開発、大型公共事業優先のやり方はこの際、改めるべきです。

 第4に、財政健全化の問題です。

 「財政中期見通し」と比較して、人件費や扶助費は職員と府民の犠牲のもとで「見通し」より低く押えられていますが、投資的経費、とりわけ普通建設補助事業費は「見通し」の130%増となっています。理事者は、「国の景気対策に基づくもので、交付税措置がされる」と答弁していますが、公共事業頼みの景気対策が破綻していることは、いまや明らかではありませんか。いつまでも、こうした効果のない景気対策をつづけることはやめるべきです。しかも、あとで交付税措置されるとしていますが、これは本来、自主財源である交付税の硬直化を招くことは、すでに明らかです。

 さらに、税収の大幅な減少で「財政が厳しい」として、京都経済を支える中小企業に大増税を押し付ける外形標準課税導入を求めることは、京都経済をつぶすものです。本府の財政を安定させ、立て直す道は、不要不急の大型公共事業をいったんストップすること、国に対し、地方固有の財源である交付税の削減を許さず、抜本的拡充を強く求めること、そして、中小企業が「税金が払える経営」となるよう応援すること、職員の叡智を集めて無駄をなくし効率的な行政運営をおこなうことです。

 以上の理由によって、第11号議案には、反対です。

 なお、関連して、今定例会提案の第13号、第14号議案では、職員の給与の引き下げが提案されていますが、生活が厳しい中で、給与カットに協力し、府財政の立て直し、「府民の暮らしを守るための仕事を」と願っている職員の思いが本当に生かされるためには、この給与カットで捻出されたあらたな財源80億円あまりが、ムダな大型公共事業に使われるのではなく、子どもの医療費の就学前までの拡充や介護保険の減免制度、住宅助成制度の実現など、目に見えた形で府民の暮らし向上のために使われるよう、あわせて強く求めておくものです。

 次に、平成13年度京都府水道事業会計決算ですが、予算審議の段階でも、「本府が住民負担の軽減に努力するとともに、企業に対し、府営水を使用するよう強力に指導すること」を求めましたが、企業の使用は遅々としてすすまず、過大な水需要予測にもとづいて建設された乙訓浄水場の負担が、乙訓2市1町の水道事業会計を危機に追い込み、地域住民に水道料金の大幅な値上げとなって押し付けられています。こうしたやり方は認められるものではありません。よって、第13号議案は反対です。

 いま多くの国民は自分たちの住む府県や市町村が「自治体らしい自治体」となることを強く求めています。従来の「開発会社」のような大型開発優先で、本来の仕事である住民の暮らしや福祉を向上させることに背を向けるような自治体には、きっぱりノーの声をあげ始めています。それが、長野県や徳島県、さらには熊本市や尼崎市などで、これまでの自民党や公明、民主などが推す知事や市長を破って、無党派のみなさんと日本共産党が共同して推す知事や市町村長を誕生させる新しい流れとして現れています。

 また、強引に推し進められる市町村合併に対しても、全国町村会長大会や全国町村議長会が、「地方自治を破壊するもの」との厳しい批判の声をあげ、府内各地でも、住民の意思を無視した合併協議会の設立や、合併ありきの結論の押しつけに批判の声があがっています。

 知事が、南丹ダム建設中止につづいて、市内高速道路や関空第2期工事の出資金の中止、さらには学研都市開発や木津川右岸運動公園など、大型開発事業を全面的に見直し、府民の暮らし応援、中小企業支援で京都経済の立て直しの方向に府政を転換されること、さらに、国言いなりで市町村合併を押し付け、府民の大切なふるさとを破壊するような暴挙は、ただちに中止されるよう強く求めて、討論を終わります。

 ありがとうございました。