議案に対する西山 秀尚府議の討論
日本共産党の西山です。私は議員団を代表してただいま議題となっています議案73件のうち、第1号、10号、11号、14号、23号および第53号、73号の7件に反対の立場から討論します。
7件中、23号議案を除く6件は、いずれも予算に関連したものであります。
わが党議員団は、来年度予算が山田知事の下での初めての本格的予算案であるだけに、長引く不況と小泉内閣による「痛み」の押しつけによって深刻な事態となっている府民の暮らしと営業を守るため、「くらし応援」の予算とすること、そのためにも、大型開発、大型公共事業について徹底した見直しをおこない、不要不急の事業についてはいったん中止することなどの観点から、緊急重点10項目をはじめとした「予算に関する申入れ」を行ったところです。
また、本会議、予算委員会を通じて、問題点を指摘し、積極的な提言を行ってきました。
今回の予算案で、乳幼児医療費助成制度の拡充、舞鶴養護学校の新設、府立高校普通教室のクーラー設置、臨時生活施設整備費の増額、生活路線バス維持対策事業の継続、借換融資制度のいっそうの改善など、これまで理事者や与党会派が「できもしないこと」「絵に画いた餅」など府民の要求に背をむけ、請願などをことごとく不採択にしたものを、府民の粘り強い運動とわが議員団の道理ある提案が実を結んだもので嬉しく思っています。
しかしながら全体としてみれば、府民の切実な声に背をむけた予算となっています。「財政健全化のため」と称して215事業が廃止・縮小されましたが、健康推進車「すこやか号」の健康診断事業の廃止、新生児・妊産婦の救急搬送に要する経費助成の廃止、低所得者・障害者等の介護保険利用者負担金助成措置の減額等々、当然、充実・増額すべきものが含まれています。
私は、特に数点につき、述べます。
まず、乳幼児医療費助成制度について通院は月額8000円以上にたいして助成となっています。医療団体の抽出調査でも8000円以上は1000人に6、7人と言われており、多くの乳幼児は対象外となります。しかも償還払いも問題です。これでは、全くそれこそ「絵に画いた餅」であります。国の制度改定による本府の負担減は4億円であります。ところが、今回の措置による府の負担増は通年ベースで3億円、来年度は1億円ですから、3億円は他に横流ししたことになるではありませんか。
私は、通院についても制限金額を設けず、すべての乳幼児について助成すべきであると考えます。
同様のことは私学助成についても言えます。
私学関係者の運動によって国庫支出金は毎年増額され、3年間で6億2千万円増えているのに、府の一般財源からの支出は3億8千万円減額されています。
本年度の補正でも、国庫支出金は1億7千万円増えているのに一般財源は3億円の減額、来年度予算では、国庫支出金が前年度比で2億6千万円増額されているのに一般財源は7千万円減額です。議会として府の助成充実を求めた決議に逆行するこのような事は許されるものではありません。横流しをやめ、いっそうの増額を求めます。
教育費についてさらに一言しますと、高等学校生徒通学費補助対策は通学費2万2100円以上となっています。地域制の破壊によって遠距離通学が増えているとき、授業料よりも高い通学費では保護者の負担は大変です。補助対象の大幅な拡充を求めます。
京都市教委は新年度から、35人学級にふみだすなど少人数学級は全国的な流れとなっており、文科省も単費負担で容認するとのことです。本府としても当然、早期に実施すべきであります。
次に介護保険についてですが、要介護認定を受けている人のうち、サービスを利用している人は80%前後で、利用している人でも支給限度額に対する利用割合は40%弱であります。1割負担が重荷になっているのです。「特別対策」として行われている低所得者の訪問介護料の6%への引き上げはやめ、全ての在宅サービス利用料を3%に軽減することが必要です。しかも、2001年度末の保険料滞納者は12906人に達しているのに、多くの自治体でさらに保険料の引き上げを予定されています。市町村が実施している保険料・利用料の減免制度の拡充のためにも、府独自の保険料・利用料減免制度が必要であります。特別養護老人ホームの待機者の解消も待ったなしであり、在宅の施策整備と併せ、早急な対策が必要であります。介護激励金も復活させるべきであります。
国民健康保険証の取りあげについて、「要綱」の作成を指示し、家庭の事情を考慮しない一方的なやり方を中止すること、生活保護受給の不当な制限をやめることも重要であります。
予算で指摘したい第2の問題は、京都の企業の99%を占める中小企業を始め、小売商店や農林漁業の営業を守る問題です。
借換融資制度はいっそう拡充されましたが、問題は貸し渋り・貸しはがしの問題です。わが議員団が提案している「貸し渋り・貸しはがし防止条例」の制定が急がれなければなりません。
なお、予算特別委員会で自民党議員は「共産党の成果にするのはいかがなものか」と述べ、自民党議員が実現したかのごとく述べました。
府当局が実施すると聞いて、あわてて質問をして実績かせぎをやる自民党ではなく、わが議員団は93年度から、問題を提起し、府民の運動と呼応しながら、対象や条件を一つ一つ改善してきたことをよく見ていただきたいと思います。
次に住宅改良助成制度について「個人の財産形成に税金を使わない」との前知事の答弁を必要性と実例、理論で論破し、ついに昨年、「市町村でやるのが適切」との答弁になり、これに力を得て、網野町や京田辺市が実施に踏みきり、大きな経済効果、不況対策に威力あることが実証されました。今回、加悦町は15%補助で、対象も家屋内下水道工事にも広げました。まさに不況対策として、単に建築業者のみならず、他の関連業者や林業者にも好影響を与えることが明確になってきました。
耐震改修、福祉施策としても、本府として制度化すべきと指摘します。
長時間労働・サービス残業を根絶し、リストラを規制する条例を制定することは府民のくらし、健康を守る上でも、雇用を拡大する上でも重要です。伝統・地場産業振興条例の制定など、京都経済のほとんどを占める中小企業の振興は重要であり、赤字企業にも税金をかける法人事業税の外形標準課税の導入や消費税免税点の引き下げは絶対にやらすべきではありません。
予算案で指摘したい第3の問題は、引きつづき不要・不急の大型開発、大型工事を継続していることであります。
宅地開発をはじめ全体計画を縮小すべき学研都市建設、需要もないのに二期工事を進める関西国際空港、破綻して整備の必要のない丹後大規模リゾート公園、環境破壊といっそうの渋滞をもたらす市内高速道路、ムダな再開発計画で大型店を誘致する市街地再開発事業、ガントリークレーンの設置など既存の埠頭整備で十分なのに過大な貿易量を見込んでの和田埠頭建設、同じく過大な水需要予測にもとづいて、高い水道料金を押しつける府営水道計画、本来、河川改修で解決すべきものを新たな地下貯留管方式による呑龍計画などなど、後世に多額の負担を府民に与えるこれらの事業はただちに凍結・中止すべきです。
また、同和対策特別事業が廃止されたもとで、引きつづき多額の同和予算を組んでいることも中止すべきと考えます。
これらの財源は、生活道路の整備や防災、環境対策、さらには福祉・医療にこそ振り向けるべきです。
指摘すべき第4の問題は、国いいなりでなく、住民自治を発展させる問題です。
小泉内閣はいま、医療、年金、福祉のいっそうの改悪を進めていますが、知事はこれらについてまともに反対の立場を表明しません。
先程、健保本人3割負担の実施凍結の意見書が公明党の反対だけで採択されました。知事がその活動の先頭にたたれることを強く求めるものです。
高校改革計画案の発表と洛北高校の中高一貫校化は、知事と教育委員会のいうパブリック・コメントがまったく形だけのものにすぎず、真の住民自治の立場にたったものではないことを明らかにしました。
いま、政府の主導ですすめられている市町村合併について、本府は言葉とは裏腹に強引に押し付けようとしていますが、真の狙いが明らかになるなかで、これに反対する運動が急速に広がっています。
自治振興補助金の減額と市町村合併誘導策としての運用をやめ、合併しない自治体への支援策が講じられるべきと考えます。
以上の理由で、予算とその関連議案6件に反対します。
第23号議案は、政府の土地流動化政策にもとづき、市街化調整区域での乱開発促進のため、これまでの規則を条例にするものであり、反対であります。
賛成する議案のうち、第2号医大・付属病院特別会計予算、第15号病院事業会計予算、第44号医大・付属病院特別会計補正予算では人員の削減が行われていますが、医療ミスを防ぐためにも人員削減は医療現場と十分調整することを指摘しておきます。
また、第19号議案の向日が丘療育園条例の廃止については、乙訓2市1町の首長からの要望事項に応えるよう求めておきます。
いま、アメリカのブッシュ政権は、イラクが査察に応じているもとでも、安保理事会決議なしでも、武力攻撃をすることを宣言し、着々と準備をしています。仏、露、中など常任理事国やドイツなどの非常任理事国、さらには非同盟諸国会議やアラブ連盟、イスラム諸国機構など、国連加盟の多くの国が20世紀の戦争の歴史の教訓から導きだした国連憲章を守れと述べています。いま世界各地、アメリカ、イギリス、スペインも含め、かつてない戦争反対の人民の運動がひろがっています。
ところが小泉内閣は、いち早くアメリカの戦争行為に支持を表明し、積極的に参加しようとしています。本府議会は昨年、国連憲章にもとづく解決の意見書を採択しましたが、いまこそ、全国で高まる運動に呼応したとりくみが求められますし、憲法遵守の責務を持つ知事がその先頭に立つべきです。
私ども日本共産党は昨日、全国で全国民的規模での抗議行動に参加することをよびかけました。もちろん、わが議員団も全員、街頭で訴えたところです。
先程、公明党松尾議員が意見書討論に名をかりて、民医連問題をまたぞろ持ち出し、わが党を攻撃しました。
医療制度を根本から破壊する改悪を推進し、高齢者医療制度の改悪や乳幼児医療助成制度の拡充を求める請願をことごとく不採択にしてきた公明党に医療問題を語る資格は全くありません。
民医連問題についていえば、事件発生後、ただちに自らすすんで公表し、責任者の処分と原因究明、再発防止にとりくんでおり、現在、府・市が推薦した原因究明委員会が慎重に検討を進めている問題です。
これを病院ぐるみの組織的犯行であるかのように描きだすことは、医療事故・事件の根絶を求める府民の願いに反するものであり、まして、わが党と結びつけて論ずるがごときは全く不当なものであると強く指摘しておきます。
保険金の不正請求云々についていえば、本府の指導医療官が保険金の手心を加えていた事件が、かつてありましたが、当時、松尾府議は全く取りあげなかったことを指摘しておきたいと思います。
さて、本日をもって本定例議会は終了し、いよいよ、4月4日告示、13日投票の改選が行われることになります。
わが議員団は先に紹介したとおり、府民の声と実態の調査研究の上に立って、各分野の問題で、積極的で建設的かつ実現可能な政策を提案し、その実現のために議会内外で奮闘、多くの要求を実現することができました。
ところが、自民党をはじめオール与党は、知事が提案する府民いじめの悪政に「何でも賛成」の立場をとり、府民の何十万人にも及ぶ切実な請願をことごとく不採択とするなど、府民要求に背を向けてきました。
とくに重要なのは公明党の役割です。自民党が「政党の衰退」と評されるほど国民への影響を失うなかで、古いワク組み死守の行動隊としての役割を引き受けした。国会でのイラクへの戦争賛美、機密費の流用、医療・福祉破壊の先頭に立ってきました。この府会でも先程の3割負担実施凍結の意見書に反対した態度に見られるように、その反府民的体質は明らかで、「平和の党」「福祉の党」「清潔の党」が全くの欺瞞にすぎなかったことが誰の目にも明らかになってきました。
先の市長選挙や知事選挙で示された謀略的ビラの配布などは全く民主主義に敵対するものであり、既に今回の選挙でも、さまざまな反共謀略活動が始まっていますが、私どもは正々堂々、あくまでも政策と京都府政の進むべき道を府民のみなさんに示し、その審判と支持のもとに、いまよりもいっそう強大な議員団を構成する決意です。
全国にひろがる新しい政治の流れ、自治体らしい自治体をつくろうとの声に呼応したこのたたかいが必ず府民の支持を得ることを確信するものです。
以上で討論を終わりますが、最後にお許しを得て、一言、ごあいさつを申し上げます。
私は今期をもって議会を去ることに致しました。
24年間の議会での活動を顧みますと、誠に感慨深いものがあります。
私は、不正を許さず、京都府政を正す気概で臨んできました。
いまでも、心に残っている出来事の第1は、野中衆院議員事務所が府の発注する工事の受託業者から、受注の前後に献金を受けている事実を暴露し、懲罰動議の提出を受けたことです。全国の地方自治体での献金が社会問題となりましたが、その先がけを行ったことで、いまでも、印象に残っております。
2つ目は、本府が山陰線複線電化工事費と偽って、地方空港の可能性調査をやっていた事実をつきとめたことです。京都地裁は、本府の行為は「議会を偽もうするもの」と告発し、結局、地方空港計画は中止となり、数百億円の無駄な投資を事前に防げたことです。
3つ目は、上田建設の土地ころがしを追及し、京都縦貫道(沓掛~亀岡)の建設促進に貢献したこと。
4つ目は、公明党元府会議員による国土利用計画法違反、社会福祉施設法違反の土地ころがしを暴露し、木幡池を守ったこと。
5つ目は、白内障眼内レンズの保険適用について、公明党の成果横取り宣伝を未然に防止したこと、等々です。
直下型地震発生とその対策の重要性をいち早く訴え、大型油回収船の日本海配置を提案し、その実現に奮闘したこと等々、色々のことを思い出しながら、議会を去らして頂きます。長い間、本当にありがとうございました。