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討論

意見書案・決議案について荘司 やすお府議の討論

2003/03/12 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の荘司やすおです。ただいま議題になりました意見書案3件と決議案1件に賛成する立場から討論を行います。

 まず、「医療費3割自己負担の実施凍結を求める意見書案」についてです。

 本年4月に予定されている健康保険のサラリーマン本人3割負担の導入は、長びく不況で、国民の暮らしがいっそう深刻な事態となっているもとで、昨年10月からの高齢者負担増につづいて、受診の抑制にいっそうの拍車をかけ、世界に誇るべき国民皆保険制度を根底から破壊するものであります。

 健保財政が悪化した最大の原因は、この間、国庫負担の割合が切り下げられてきたことにあり、国庫負担の割合を元に戻し、さらに引き上げる国民本位の抜本的な医療制度改革こそが求められています。

 サラリーマン本人の3割負担実施を凍結することは、こうした方向へと国の政策を転換させる第一歩となるものであり、本意見書案に賛成するものであります。

 なお、公明党は、「3割負担の実施を凍結したら、政管健保の財政を悪化させ、結果として10割負担を押しつけることになる」として、3割自己負担の凍結に反対していますが、これは、「痛み」をおしつける政治によって命さえ危うくされている国民の声を聞く耳をもたない党であることを示しています。しかも、1997年に当時の小泉純一郎厚生大臣が、健保3割負担案をもりこんだ「21世紀の医療保険制度」を発表したとき、公明党自身が「かえって医療費の増大を招くことになりかねない」として、3割負担導入に反対していたことを、お忘れになったのでしょうか。このように無責任に態度を転換することは、国民のきびしい批判をうけざるを得ないことを指摘しておきます。

 次に、「乳幼児医療費助成制度の拡充を求める決議案」についてです。

 就学前までの医療費助成制度の拡充は、府民の切実な願いであり、新年度予算案で一定の拡充がはかられたことは、府民の要求とねばりづよい運動、わが党議員団の論戦が実ったものとして評価するものです。

 同時に、通院の場合に「月8000円までは自己負担」としたことについて、知事は、まともな実態調査をしていないことをお認めになり、「今後、調査していきたい」と答弁されましたが、小児科医会の協力を得て行われたアンケート調査では、月8000円をこえるのは、1000人のうち6~7人にすぎないことが明らかとなっており、ほとんどの子どもは、この制度の対象とはなりません。

 また、知事は、「きびしい財政事情の中で、全国的にも高い水準の助成措置を講じた」と答弁されましたが、国の制度改定による本府の負担減が4億円であるのにたいし、今回の制度拡充による府の負担増は通年ベースでも3億円、来年度予算では1億円にとどまっており、3億円もの財源の横流しになっているではありませんか。

 必要な財源は、一般会計のわずか0・13%です。やる気さえあれば、すぐにできることです。

 入院だけでなく、通院についても無条件に就学前までの拡充を決議するよう、強く求めるものです。

 次に、WTO農業交渉にかんする二つの意見書案についてであります。

 先の東京会合で、WTO農業交渉特別会合ハービンソン議長から示された第1次案は、アメリカやケアンズ諸国の要求を色濃く反映した、コメの関税を最低でも45%削減するというものであります。もしそうなれば、輸入米価格が国産米の卸売価格を大きく下回ることになり、毎年70万トンものミニマム・アクセス米が押し付けられている上に、さらに安い輸入米が大量に入ってくれば、日本農業が壊滅的打撃を受けることは間違いありません。アメリカやケアンズ諸国の要求を断固拒否し、多様な農業の共存を求めることは当然であります。

 わが党議員団提出の意見書案は、この立場から、生産農家、農業団体はもちろん、安心・安全な国内産食料を求める国民の声を率直に反映したものであります。ぜひ、ご賛同ください。4会派提案の意見書案も、わが党提案と内容において何ら異なるところがなく、賛成です。4会派が、この同じ内容のわが党提案に反対されるとすれば、全く道理がないのではないでしょうか。

 なお、この際、WTO問題に関するわが党の基本的見解を明らかにしておきたいと思います。

 WTO協定が発足して8年、わが国の農業は、輸入の急増や価格暴落などで崩壊の危機に陥りました。自給率はさらに低下し、食の安全を脅かす事態も相次いでいます。

 いま必要なことは、WTO協定を抜本的に見直し、各国の食料主権尊重の立場に立った公正なルールを確立することであります。米についていえば、WTO協定の対象からはずしてこそ、自給率の向上をはかり、21世紀の日本の食料を守ることができるのであります。

 さて、最後にお許しをいただいて、一言ご挨拶を申し上げます。

 浅学非才の私が、図らずも6期24年間もの長期にわたって、京都府議会で活動できましたのは、多くの府民の皆さんのお力添えのお陰だと心から感謝し、お礼を申し上げます。

 同時に、議会においては、先輩、同僚議員の皆さんと、理事者の皆さんの豊かな識見と人柄に触れ、多くのことを学ばせて頂きました。ありがとうございました。皆さんから頂いたご教示とご厚情を大切にして、これからの人生を歩みたいと思います。

 最後に、新しく選出される皆さんには、今後の府議会を府民の信託に応える真に良識の場として発展させていただくことを心から願うものです。私が接したすべての皆さんの、ご健勝とご発展を心より願うとともに、最後の本会議で発言の場を与えていただいた我が議員団の人間性ある同志的配慮に感謝して、意見書・決議の討論を終わります。

 ご静聴、ありがとうございました。