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議会を終えて(談話)

2月定例府議会を終えて(談話)

2003/03/17 更新
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2003年3月17日 日本共産党京都府会議員団 団長 西山秀尚

 2月7日から開かれていた2月定例府議会が、3月12日閉会した。今度の府議会は、山田知事のもとでの初めて本格予算である2003年度予算案の審議を中心におこなわれた。

 わが党議員団は、数多くの府民の願いをもとに、「ムダづかいやめ、暮らし・営業応援」の予算とするよう積極的な提案をおこなうなど、奮闘した。

1、住民の願い実現にがんばる日本共産党議員団

 今議会の特徴の第一は、府民の運動と力をあわせて、住民の願い実現にがんばる日本共産党の役割・値打ちががますますはっきりした議会となった。

 今度の山田知事提案の予算案については、すでに「2003年度京都府当初予算案について(談話)」で明らかにしているが、永年、府民が求めてきた願いを実現する予算を含んだものとなった。

 子どもの医療費費助成制度の拡充、借換融資制度の拡充、舞鶴養護学校建設予算の計上、府立高校普通教室のクーラー設置、青年の雇用対策としての臨時職員採用や「就業支援センター」開設、臨時生活関連施設整備費の増額、生活路線バス維持対策事業の継続など実現できた。

 これらの多くが、知事や与党会派が「できもしないこと」といって請願をことごとく不採択にしたり、知事答弁でも、冷たい態度に終始してきたものをとうとう予算化させたものであり、住民の要求にもとづく運動の広がりが、知事やオール与党会派を追いつめた結果、実現できたものである。

 これらについて、与党会派は、自分たちが「要求して実現できたもの」と宣伝しているが、理事者が全国の流れや世論に押されて実施せざるをえなくなったときに、それまで請願などにことごとく反対してきた態度を棚に上げて、直前に「要望」をいって、実現すれば、「与党の成果」と宣伝することこそ、政党としてなんら政策的対案も持たず、「なんでも知事の言いなり」であることを示しているだけである。

 また、わが党が、「予算案に反対」しているから「実績とは言えない」と攻撃しているが、これは議会の仕組みをまともに理解していないことをさらけだしているだけである。

 予算案は、一般会計全体について一括採決されるものである。だからこそわが党は、内容をよく審議し、子どもの医療費など賛成すべきものには明確に賛成の態度を表明しながらも、予算全体について、借金を重ねてのムダな大型公共事業の推進、福祉の削減など、「税金の使い方」全体については、住民の願いに応えていないことを具体的に指摘して、反対の態度をとっているものである。これこそが、詳細に予算全体を審議した党がとるべき当然の態度である。

 ところが自民党や公明・民主は、市内高速道路や関西空港建設費、和田埠頭建設など、何ら問題にせず「ムダ使い」と「住民犠牲の福祉切り捨て」予算も「立派な予算」と賛成している。とりわけ民主党は、国政の場では第二名神建設など「ムダな大型公共事業に反対」との態度をとりながら、京都では、自民党となんらかわらず、これを推進している。この党に「京都から政治をかえる」など、語る資格がないことは明らかである。

2、住民の願い実現妨害する自民・公明・民主

 第二の特徴は、府民の願い実現を妨害する自民・公明などオール与党の役割が浮き彫りになった議会であった。

 いま地方自治体は、自民・公明の小泉内閣のすすめる“痛み”押し付けから府民の命と暮らしをどう守るかが問われている。

 とりわけ国民の命と健康を危うくする医療保険制度の改悪にどう対処するかは、住民の暮らしを守ることを第一とする地方自治体と議員に大きく問われる問題であった。京都医師会や京都私立病院協会などから提出された「3割負担の凍結・延期を求める請願」に、国政ではこれを推進し、12月議会では、まったく同様の意見書に反対した自民党が、みずからの支持基盤である医師会をはじめ、多くの国民のきびしい批判の前にこれに賛成せざるを得なくなった。

 しかし、公明党は、これまでの「3割負担を実施すれば医療費が増大し、保険会計が破綻する」とのみずからの主張も公約も棚に上げ、「3割負担をしなければ、10割負担になる」と180度態度を変え、ただ一党これに反対し、「自民党よ目を覚ませ」とよびかけた。これは、痛み押し付けの政治に、悲鳴のような声をあげている府民に背を向け、政権にしがみつくためには「公約違反」も「政策的矛盾」も考えない、同党の無責任な本質をさらけ出したものである。

 子どもの医療費についても、多くの関係者が、「入院の就学前までの助成」を喜びながらも、「通院も無条件に助成を」と願って請願を提出したが、自民、公明、民主など与党会派は、これに背を向け不採択とした。しかし、これはまったく冷たい態度である。 

 第一に、今回の「8000円を越える分への助成」の対象になるのは対象の子ども1000人中6~7人であり、99%以上は対象外となる。これでは文字通り「絵に描いたもち」である。第二に、子どもの医療費について国の制度改定で府の負担は4億円減少しているにかかわらず、新たな負担は通年ベースで3億円増、03年度では、わずか1億円である。これでは、「改善」といいながら、国の助成分を他に横流ししていることになる。第三に、「通院も就学前まで助成」するのに必要なお金は、通年ベースで11億円、03年度では3・7億円である。府の一般会計の0・13%にすぎない。市内高速道路や関空2期工事への出資金、学研都市開発、同和事業などをやめれば、十分捻出できるものである。

 これには、知事も「異論はあろうかと思いますので、適時いろいろな面で調査をしていきたい」と問題を認め、自民党も「8000円をこえる自己負担になるケースは比較的少なく、将来、自己負担の限度額をより低く、将来的には撤廃することが必要」と言い、公明党も「今後適用年齢の更なる引き上げや一部負担金のあり方など、いっそうの充実をめざす」と言わざるをえなかったのである。ところが、これの改善を求める請願や決議に、自民党をはじめオール与党がそろって背を向けたことは、これらの党が、住民の願い実現の「妨害者」であり、「なんでも、知事の言いなり」という議会の役割すらまともに果たせない党であることをみずから示すものである。

 わが党議員団は、「通院も無料に」と願う府民と共同して、早期に実現できるようひきつづき奮闘するものである。

3、“痛み”押し付けの政治覆い隠す反民医連・反共攻撃に狂奔――――自民・公明

 第3の特徴は、このようにわが党議員団の役割・値打ちが輝くとともに、オール与党の住民の願いに背を向けた態度が、ますます明らかになるもとで、これを覆い隠すために、自民・公明・民主が民医連問題を使った異常な反共攻撃に狂奔したことである。とくに公明党は、悪政を糾弾するわが党の代表質問を妨害するため、口汚い野次で議場の品位を傷つけ、さらには、意見書や議案討論の名を借りて、わが党に悪罵を投げつけ、自らが政策で論争することができない、追いつめられた姿を示した。

 自民・公明は、中央病院の「検査虚偽報告」が、多くの命を奪う結果を招いたかのように描き、「組織的犯行」「犯罪行為」と攻撃、さらに、民医連を「日本共産党の集票マシーン」と攻撃し、わが党に打撃を与えようとした。

 わが党議員団は、「医療事故・事件を根絶するため、真摯に努力する医療関係者を応援し、再発防止の体制をつくりあげることこそ政治の責任。それを政争の具に利用することは許されない」と厳しく反撃した。

 同時に、「わが党は、民医連はもとより、団体や企業の推薦を受けたり、選挙の足場にするようなことはやっていない。自民党のようにお金も票も団体・企業に頼るのではなく、思想信条の自由を何よりも大切にしている党。一人一人の思想信条にもとづく活動すら否定することは、憲法を否定する自民党の立場をしめしている」と反撃した。

 こうした攻撃は、自民党や公明党が、まともな政策論戦ができなく、反共攻撃しか頼るものを持たなくなっていることを示すものである。

 わが党は、こうした常軌を逸した反共攻撃を許さず、これを打ち破って、要求にもとづく府民との共同をさらにひろげるため奮闘するものである。

4、オール与党に支えられた府民に冷たい山田府政

 山田知事のもとでの初めての予算案の本格的な審議がおこなわれたが、山田府政の姿が浮きぼりになった議会でもあった。

 その一つは、前荒巻府政と同様、国の出先機関のような役割と府民の暮らしに冷たい府政であることが明らかになったことである。

 知事は、医療保険制度改悪について、日本医師会をはじめ広範な国民が「国民の命や健康を危うくするもの」と「凍結・延期」を求めているにかかわらず、「府民生活や医療保険財政、地方財政に与える影響を見極め、抜本的改革をすすめるよう国に提案していく」と答えたが、ここには“痛み”押し付けで命すら奪われている府民の暮らしに目をむけるのではなく、「財政」からしかものごとを見ていないことを示した。

 また、在宅酸素療法患者の救済のため、すでに全国で21県、府内で30自治体が実施している「重度心身障害者老人健康管理事業の対象を身体障害者3級まで拡大すべき」との要求に「国に要望している」とこたえるのみであった。

 国民健康保険証のとりあげが、6年前(96年)に比べ11・4倍にも増えていることについても「長期間滞納されている被保険者に限り交付されるもの」とまったく官僚的答弁をおこなっている。

 介護保険についても、保険料値上げストップの願いに「京都府の負担も増えている」と居直り、訪問介護利用料値上げも「当初の予定に沿ったもの」と、保険料や利用料が払えなく、利用ができなくなっているお年寄りの声にまったく耳を貸さない冷たい態度をとった。さらに、特別養護老人ホーム建設についても、南山城圏域で406人、中部圏域で116人も待機者がいるにかかわらず、2~3年も建設計画ゼロとなっていることも、「各市町村が算定した利用見込み数を踏まえて設定している」と答弁。

 少人数学級編成が全国の大きな流れとなっているにかかわらず、知事は「どういう少人数教育がいいのかしっかり議論をしていただいたものを踏まえている」とこれに背を向ける答弁をした。

 さらに、子どもの医療費助成で国庫支出金1億円をはじめ、私学助成でも、国庫支出金が増額されれば、一般財源を削り、横流しするなど、府民の願いに逆行する財政運営をおこなっている。

 二つには、相変わらず、ムダな大型公共事業を継続しようとしていることである。

 世論とわが党議員団の追及におされて、南丹ダムや巨大スタジアム建設の中止、丹後大規模リゾート公園の見直しなどを図ったが、市内高速道路建設、関空二期工事への出資金の継続にとどまらず、「淀川水系流域委員会」が見直しを求めた天ヶ瀬ダムの再開発、丹生ダム、大戸川ダムについて、必要性のない「水利権」を口実に「建設が必要」との態度をしめした。また、畑川ダムについても、水需要から見て必要性が破綻しているにかかわらず、建設推進の立場を表明した。

 三つには、山田知事は「パブリックコメント」「わいわいミーティング」など、住民参加への「改革」をすすめているかのポーズをとっているが、これが実体の伴わないものであることが、明らかになった。高校改革計画や洛北高校の「中高一貫校化」問題では、まったく形だけのものであり、市教委との深刻な矛盾も露呈するものとなった。また、「丹後リゾート公園計画の見直し」についても、その事業費も明らかにせず、府民的検討ができないものである。こうした形だけで「府民の意見を取り入れた」として、これらを推進することは、これまでと全く変わらない官僚的手法と言わなければならない。

 また、全国の町村会が反対し、府内の24町村から反対の声があがっている「小規模自治体の存在を否定」する西尾試案に、「疑問」を口にしながらも、「地方制度調査会で論議されるもの」と町村自治を守る立場は表明しなかった。「市町村合併の強引な押し付け」の口実となっている恣意的な「財政シュミレーション」を「的確な情報や見通しを示すことが京都府の役割」と居直りの答弁をした。ここには、山田知事が、市町村自治を尊重するのではなく、国の「合併押し付け」の枠内からしか、見ていないことを示している。さらに、2月の「政経懇話会」で「都道府県合併の道を選択した方が現実的」と発言したことは、関経連など財界団体の意向に迎合し、「財界奉仕の広域行政」をより現実的にすすめようとするものである。

5、「イラク戦争反対・平和解決を」の声を代表した ただ一つの党・日本共産党

 イラクをめぐる緊迫した情勢のもとで開かれた議会であったが、イラク問題について本会議討論で「イラク攻撃反対、平和的解決を」と求めたのはわが党のみであった。与党会派は、まったくふれず、さらに「イラク攻撃に反対し、国連の枠組みで平和的解決を。日本政府はアメリカに加担するな」の請願を、「12月議会ですでに意見書を採択している。必要なし」と不採択とした。しかし、情勢はますます緊迫し、現局面にふさわしい態度を表明することが議会に求められていることは明らかである。

 結局、これらの党は、「戦争か、平和か」が問われているとき、この態度を表明することを避け、府民の代表として平和の願いを発信する議会としての役割を果たそうとしなかったものである。

  

6、「現職府議の逮捕」問題で自民党議員団の責任逃れは許されない

 1月31日、自民党議員団長であった森田喜兵衛府議が「電磁的公正証書原本不実記録及び同供用」の容疑で逮捕された。わが党議員団は、自民党府会議員団に対し、(1)自民党会派からの離脱、離党にとどめ、議員辞職をなぜさせなかったのか。自民党議員団長、公認候補としてきたことへの自民党としての責任はどうか。(2)明確になった佐川急便の亀岡トラックターミナル建設にかかわる不当行為への自民党の責任を明らかにすべき。とした公開質問状を提出した。そして議会としても「辞職勧告決議」をおこなうべきと各会派に申し入れるなど、現職議員が逮捕される異例の事態の中で、議会としての役割を発揮するよう奮闘した結果、森田府議への事実上の「辞職勧告」を、府議会全員協議会の「声明」として明らかにした。

 この事態について、今日まで、自民党はなんら責任ある態度を明らかにせず、わが党議員団の公開質問への回答もしていない。しかし、この事件を一府議の問題とし、自民党には責任はないとすることは認められない。

 こうした人物を公認候補としてきた自民党の責任、佐川急便トラックターミナル建設にかかわる不当行為の容認など、今後、住民の厳しい批判を受けざるを得ない。

  

 いよいよいっせい地方選挙、府会議員選挙が、投票日まであと27日と迫った。今議会は、どの党が伸びれば府民の暮らしを守り、地方自治を発展させることができるか、府民の前に明らかにした。

 わが党議員団は、「ムダづかいやめ、くらし・福祉第一」の府政めざし、予定候補者を先頭に、2名区以上はもちろん1名区でも勝利して、住民の声を代表するより大きな発言力をもつ議員団をつくるため、総力をあげる。府民のみなさんのよりいっそうのご支援をお願いするものである。