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討論

議案に対する本庄 孝夫府議の討論

2003/07/11 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の本庄孝夫です。私は、ただいま議題となっている議案17件について、第6号議案京都府立高等学校設置条例及び京都府立学校授業料等徴収条例一部改正の件、および、第12号議案舞鶴港和田埠頭建設工事請負契約締結の件について反対し、他の15件に賛成の立場から討論を行ないます。

 まず第6号議案についてです。一昨日、長崎市での幼稚園児誘拐殺害事件で、中学1年生が事情聴取・補導されたとのニュースが全国に驚きと衝撃を与えました。わずか4年の短い命を断たれてしまった駿ちゃんとご両親に、心からのお悔やみを申し上げます。4歳という幼稚園児のかけがえのない命を奪った12歳の行動に、深い悲しみと怒りを感じるとともに、戸惑いをかくすことができません。神戸の少年事件以来の断ち切れない、このような痛ましい事件と社会的危機ともいうべき事態に、あらためて正面から向き合い、その原因や背景を明らかにし、子どもの健全な成長の条件を確保する取組みが求められているのではないでしょうか。

 今日「いじめ」や学級崩壊、校内暴力、児童虐待など、子どもと教育をめぐる状況も深刻です。そして、相次ぐ少年犯罪に国民だれもが心を痛めています。日本の21世紀を展望したときに、国民の生存と生活の基盤にかかわって解決が迫られている問題の一つでもあります。98年6月、国連子どもの権利委員会は、「極度に競争的な教育制度によるストレスのため、子どもが発達のゆがみにさらされている」と厳しい批判と是正を求める勧告を行ないました。主要国政府で「教育制度」そのものが不適格だと批判されたのは日本だけであり、競争主義と管理主義の教育政策の転換こそ求められているのではないでしょうか。

 このような中で、今日の「高校改革」に求められるのは、希望するすべての子どもに高校教育を保障すること、格差がなく、安心して通える地域の高校の充実をはかり、子どもたちに人間的で豊かな高校生活を保障することではないでしょうか。公立中学校で3年生を担任し進路指導をしていた時に、ある男子生徒は私立の中学校入試に失敗したショックを3年間引きずっていたこと、受験に対する恐れを克服できないことを涙ながらに訴え、語ってくれたことがありました。忘れることができない、私のささやかな中学校教師時代の経験です。今日、高校進学率が97%となり、しかも憂慮すべき少子化の時代、こうした子どもたちをとりまく環境・条件のもとで、大きな負担を強いる高校入試という競争的なストレスを取り除くことこそ、子どもたちや父母の「教育改革や高校改革」への期待に応える道ではないでしょうか。

 去る7月4日の本会議・一般質問で、わが党の梅木議員は、洛北高校への中高一貫教育の導入にあたって、受験競争が低年齢化しないという根拠を示すよう求めました。その後の文教常任委員会の質疑では、私どもが、塾などによる「受験競争の過熱化」の実態や京都市教委の「進学校競争」の姿を紹介し、「過度の受験競争のおそれ」などの懸念が払拭される具体的取組みをどうするのかと質問したのに対して、教育委員会は受験競争の低年齢化を招かない保障について、具体的なものは何一つ示されませんでした。そればかりか、塾などによる「受験競争の過熱化」の指摘に対して、「進学塾の問題であり、関知しない」という趣旨の教育長答弁にいたっては、余りにも無責任と言わざるを得ません。

 京都府教育委員会のすすめる「府立高校改革推進計画」の特徴は、高校改革の基本的な方向として「生徒の多様化論」や「子どもたちのニーズ」などを理由に、高校の「特色化」「多様化」路線を加速化させようとしていることです。今回の「特定の学校」への中高一貫教育の選択的導入が、教育の機会均等の原則や公平な条件整備を踏みにじるばかりか、「受験過熱を防ぐべき中高一貫教育」によって、かえって受験競争の過熱化、低年齢化を招くものでしかないこと、多くの父母や府民が望む「教育改革、高校改革」に値しないことは明らかです。

 よって、第6号議案には反対です。あわせて、第1号議案中、中高一貫教育校設置費にかかわる補正予算については、同様の理由から反対であることを申し述べておきます。

 次に、第12号議案についてです。和田埠頭の建設について、これまでから、わが党議員団は反対してきました。あらためて、その理由を簡単に述べておきます。96年12月に改定された舞鶴港の港湾計画では、2005年の外国貿易の計画取扱貨物量を710万トンとしています。うち390万トンが舞鶴火力発電所の専用岸壁で取り扱う石炭で、それ以外が320万トンということです。わが党議員団は、この計画が、現実に沿わない過大な見込みに基づくものであることを指摘してきましたが、その後、取扱貨物量は増えるどころか、ここ数年60万トン台へと落ち込んでいます。右肩上がりの時代はすでに終わっているのです。

 また、「船舶の大型化、コンテナ化に対応する」ということですが、元運輸省事務次官で港湾の専門家でもある住田氏は、「水深14メートルを必要とするのは、4~5万トン級のコンテナ船で、一度に4000個以上のコンテナを積み、週一便確保しなければ運航のメリットがない」と指摘しています。舞鶴港のコンテナの実績は、一昨年、年間6000個、昨年5000個です。いくらポートセールスをしても、週一便確保することは至難の業です。

 日本中、どこの港でも「船舶の大型化、コンテナ化に対応する」と、競って大水深バースが建設されていますが、「100億円の釣堀、200億円の釣堀」と揶揄されるようにゼネコン本位の無駄な公共事業であることは、今や国民的常識であります。500億円から600億円もの大金をかけて大水深バースをつくる必要はありません。舞鶴港が日本海の表玄関、ひと・もの・文化の交流拠点として、また平和な貿易港として発展していくために、地についた振興策こそ求められているのです。

 よって、第12号議案には反対です。 以上をもって討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。