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討論

議案に対する新井 進府議の討論

2003/10/10 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の新井進です。私は、日本共産党議員団を代表して、ただいま議題となっております議案18件のうち知事提案にかかる16件の議案のうち、第6号、第7号、第8号、第10号議案および第21号議案の5件に反対し、他の議案には賛成の立場で討論を行います。

 まず、第6議案 振興局等の再編にかかる「条例改正」についてであります。今回の振興局等の再編は、多くの府民が「身近で頼りになる府の機関を」との願いから、宮津保健所の存続を求める宮津市など1市4町長からの要望や議会からの意見書、さらに田辺保健所の存続を求める八幡市や京田辺市議会からの意見書、そして亀岡市からの保健所、土木事務所、農業改良普及センターに関する要望など、関係自治体からも多くの意見、要望が出されていました。そして本府議会へも20000人をこえる府民から、保健所等の存続を求める請願も出されていました。ところが、本府はこうした要望や意見にまったく耳を貸そうとせず、再編を強行しようとするものです。

 さらに、今度の再編案では17市町村約70万人の人口を持つ山城地域に、たった一つしか振興局を配置しないもので、その管内人口は鳥取県よりも多いものとなります。これに対し理事者は「山城地域一体の地域振興のため」としていますが、乙訓2市1町と学研都市地域をかかえる相楽地域とは明らかに大きな違いがあり、これまでの経過からみても「一体的な地域振興を図る」というのはまったくの口実でしかなく、合理的な説明とはなっていません。

 知事は「行財政改革指針」作成にあたって、「住民発・住民参画・住民協働の行政システムに転換していく」と述べ、「現地現場主義」と繰り返し発言されていますが、今回のこうしたやり方は、これらの言葉がまったくの飾り物に過ぎないと言わざるをえません。

 さらに、審議を通じて与党会派の議員からも「山城地域に二つの振興局が必要」とか「土木事務所を廃止して、住民の安全・安心の期待に応えられるのか」など、さまざまな問題が指摘され、その解決が求められていましたが、なんら解決がされていません。こうしたもとで振興局等の再編を強行すべきではなく、よって第6号議案には反対です。

 なお、知事には、こうした府民、関係者の要望や議会審議でだされた意見には、その声を生かす方向で、いっそうの改善を進められるよう強く求めておきます。

 次に、第7号議案についてです。これは法人事業税に外形標準課税を導入し、赤字法人からも税金を徴収できるようにしようとするものです。導入にあたっては全国の中小企業団体や中小業者の「外形標準課税導入反対」の声に押され、政府も資本金1億円以上の企業を対象にしましたが、本府では、資本金1億円以上の企業でも45%が赤字経営です。長引く不況のもとで、必死の経営努力をしている企業に対し、儲けがなくても、赤字でも税金を払えと言うものですから、経営をさらに困難にし、京都経済をいっそう疲弊させ、ひいては、府税収入の安定的確保も困難にさせるものであることは明らかです。

 そしていったん導入されれば、消費税と同様に、対象企業をさらに拡大する方向に道を開くことになります。こうした中小企業と京都経済をいっそう困難に追い込む外形標準課税の導入には反対であります。

 次に第8号議案・府立学校授業料等徴収条例一部改正の件ですが、長引く不況で府民生活が苦しくなっているもとで、府民に新たな負担を押し付けるものであり反対です。今回の補正予算で高等学校等修学資金貸与事業の対象人員を2・6倍にも増やさなければならないように、経済的理由により教育を受ける権利が脅かされているとき、今回の値上げは追い打ちをかけるものです。国が2年おきに値上げするのを受けて、機械的に1年遅れで値上げするという国追随のやり方は、地方分権・地方自治の姿からは程遠いもので、こうしたやり方を改め、もっと自主的立場から再検討すべきです。

 次に、第10号議案の「府営和知集落橋梁新設工事にかかる契約案件」についてですが、この橋梁の建設計画は総事業費9億円もかかるもので、バブルの時期に計画され、その後、町の関係者や地元住民の間でもその必要性について疑問が出され、今日まで遅れてきた経過のあるものです。本府はいま、一つ一つの事業について費用対効果など、事業実施に当たっては慎重な検討を行うとしていますが、本工事についても、予算の執行を留保し、あらためて事業の必要性や費用対効果などから再検討をすべきものであり、よって反対です。

 次に、第21号議案の丹後6町にかかわる「配置分合」についてです。

 これまで地域住民が共同して築き上げ、それぞれに歴史を持つ丹後の6町を廃止し、合併をしようとするものですが、本来、この重要な決定には住民の参加、住民の意思の尊重が何よりも重要です。

 ところが今回の市町村合併は、国が地方交付税など市町村自治を保障するための財源の削減をねらって、地方自治の原則を踏みにじって、市町村に押し付けてきたものです。だからこそ全国町村会や町村議長会は、繰り返し「押し付け合併反対」の決議を上げ、強く抗議してきました。

 ところが本府も、国と同様に「合併しなければ生き残れない」と強引に合併を誘導してきたもので、そもそも住民の中から合併論議が生まれたものではありません。

 しかも、法定合併協議会が発足する際には、「合併の是非を問うべきだ」との声に対し、「合併の是非を含めて協議会で議論すればよい」と強引にスタートしましたが、その後の協議会では合併の是非の論議は行われず、一路、総務省のマニュアルに沿って合併への手続きが進められてきました。

 さらに合併協議会が行ったとされる住民の意識調査でも、合併の是非ではなく、「合併した際何に期待するか。何が不安か」という調査でしかありませんでした。

 だからこそ、住民の中からは町の将来にかかわる大問題である合併について、住民の意思を問う住民投票をやってほしいという直接請求が4割近い住民から提出されたのです。

 そして、本府議会に議案が提案されるに際しても、地元住民から知事と府議会に対し、住民アンケートの実施など、住民の意向をよく聞いてほしいとの要望も出されていたものです。

 7日に総務常任委員会でおこなわれた参考人の意見でも、合併に際しては、住民の自治力の強化が求められると言われましたが、この自治力を強化するためにも、合併に際して住民参加を貫くのは当然のことです。参考人は「住民投票は、議会の意見が二分されたり、町長と議会が対立したときなどに実施すればよい」との見解を述べられましたが、これは住民参加の保障による住民の自治力の向上を否定するもので、「合併をすすめるためには自治力の強化が必要」とする参考人の意見とも矛盾するものです。しかも、住民投票に慎重な態度をとる学者などの間でも、「住民投票は、合併の適否など自治体存立の基礎条件にかかわる基本的な選択については有用である」とする意見が大勢です。

 さらに、これまで本府や合併協議会などでも「財政が大変だから、合併しかない」と住民に宣伝されてきましたが、参考人は「合併したからと言って、財政が強化されるものではない」とされています。結局は合併によって住民サービスの切捨てなど、自治体リストラをいっそう進めることで「財政基盤を強化しようとする」もので、住民が「サービスが後退しないか。周辺部が寂れないか」との不安をもつのは当然のことです。これについても住民の中での十分な議論が必要なことは明らかです。こうした問題を抱える6町の合併について、理事者は「地方自治法にもとづき、粛々とすすめるだけ」と答弁していますが、ここにも「住民発・住民参画・住民協働」という知事の言葉が、まったく中身のないものであることを示しています。こうした姿勢では、本当の地方自治・住民自治の前進ははかれないことを強く指摘しておくものです。

 以上のべた経過から見ても、丹後地域に住む住民が、自分たちの町の将来は自分たちの意思で決めたいとの願いを反映させる措置が十分とられていないことが明らかとなった以上、本議案については、さらに住民の意向を調査するなど慎重な審議が必要です、よって本議案には反対であります。

 以上で、議案に対する討論を終わります。