「京都府男女平等条例案および京都府地域金融活性化条例案」についての西脇 郁子府議の討論
日本共産党の西脇いくこです。日本共産党議員団を代表して、議員提案の議第1号議案「京都府男女平等条例制定の件」並びに議第2号議案「京都府地域金融活性化条例制定の件」についての賛成討論を行います。
まずはじめに、「京都府男女平等条例案」についてです。
わが党議員団はこれまでも、女性労働者の雇用実態の改善や、農山漁村及び業者女性の健康支援、女子学生の就職難等の問題を府議会で繰返し取り上げるなど、女性の権利擁護と地位向上に力を尽くしてまいりました。
また、「あけぼのプラン」見直しにあたっての知事への申し入れやDV(ドメスティック・バイオレンス)防止と被害者保護に関する申し入れを行うとともに、こうした施策の土台となる男女平等条例の制定を、府民参加で進めるよう一貫して求めてまいりました。今回の条例提案はこうした積み重ねの上に立ってのものです。
条例案の作成にあたっては、弁護士や大学教授など法律の専門家に加え、幅広い女性団体、パート労働者や女子学生、事業者からもご意見を伺い検討を重ねてまいりました。
そして八月の記者発表以後、経営者団体やJA、連合京都などの労働組合、府下の全自治体の首長やすべての女性議員など一千を超える幅広い団体や個人に条例案を届けて、ご意見を伺ってまいりました。
地場産業に従事する女性からは、「京都経済の主役は中小零細業。これを女性が支えてきた。家族労働を正当に評価する条例案を心から歓迎する」とのお声をいただきました。また、子育て真っ最中のシングル・マザーの方からは、「一人親家庭への支援と書いてあることにとても励まされた」と感想を寄せていただきました。まさにわが党の提案が多くの女性・府民から待たれていたものであったことをあらためて確信しているところです。
本条例案が審議された厚生労働常任委員会で出された意見について申し上げます。
まず、自民党から出された「男らしさ、女らしさについて、共産党はどういう立場に立っているのか」との意見についてです。私どもの立場は、生物学的な性差とは別の、社会制度や慣習において形成された性別による固定的な役割分担にとらわれて、男女がともに自由な活動の選択を阻害されることのない社会をめざすというものです。このことは国の男女共同参画社会基本法にも明記されている立場です。自民党は、今年二月に知事に対し、条例制定にあたっては、「『男らしさ、女らしさ』を否定するものであってはならない」と強く要望しておられますが、性差と「男らしさ、女らしさ」とを意図的に混同し、男女の役割を固定化する考え方は、男女平等の世界の流れに逆らうものです。
本議会でも自民党は「男女共同参画が進めば家庭が崩壊する」「根本は健全な家庭をつくること」といわれましたが、「高度経済成長期に強化された『男性は長時間労働、女性は家を守る』という家父長制型の性別分業こそが家族を崩壊させた」との府専門家会議委員の発言に耳を傾けるべきです。
2つ目は、「事業者責任が厳しすぎる」「国際競争の中でがんばっている企業がダメージを受けるのではないか」という公明党の意見についてですが、女性差別のない企業こそが国際的に評価を受け成長していくものと考えます。現在、女性は就業人口の4割を占めるに至っていますが、国際機関から度々厳しい指摘がされているように、日本の女性は賃金や昇給の面で差別を受けているという現実があります。職場における男女平等の実現は急務であり、条例案ではこれを推進するために事業者の責務を規定しています。全国でも事業者責務を明記した条例がいくつもあります。民主党・府民連合は代表質問で「実効性を確保・推進する必要がある」といわれましたし、公明党・府民会議も一般質問で「実効ある諸施策の推進を望む」といわれましたように、本当に条例の実効性をあげるというなら事業者責任の明記は欠かせません。
3つ目に、「男女平等の達成度をはかる基準が示されていない。男女平等の基準を役所の判断に任せるというなら行政主導ではないか」との意見がありましたが、条例案では、達成度をはかる基準として、基本計画の策定を知事に義務付けるとともに、公募制による審議会を設置し、男女平等の促進に関する府の施策の実施状況を監視し、影響調査を行うとしています。さらに、基本計画の策定にあたっては、この審議会並びに府民やNPOはじめ民間団体の意見を反映することも明記しています。このように本条例案は行政主導どころか、府民による点検を二重三重に保障する内容となっています。
なお、本条例案には、行政から独立した第三者による苦情処理機関の設置という、より徹底した内容を盛り込んでいます。これは私人間、及び府政に対する府民の苦情や相談に対する判断や処理が公正中立に行われることを保障するもので、既に全国十四県で採用されているものです。
4つ目に、「市町村への規定は市町村に対する介入である」との意見です。条例案では、「市町村との相互の連携及び協力」や「支援」、「市町村の求めに応じて助言」を行うと明記していますが、このことがなぜ介入となるのでしょうか。
本府は残された数少ない条例未制定県となっているだけに、むしろ、全国のすぐれた内容と経験に学び、府民参加を広げ、憲法と国際的到達点をふまえた真に実効性ある条例を一日も早く制定することが求められております。みなさまのご賛同を心からお願いするものです。
次に、「京都府地域金融活性化条例案」についてです。
中小企業金融、地域金融を取り巻く状況は、ここで改めてご説明する必要がないほど厳しいものとなっています。このような中で中小企業を守り発展させるために、本府として国に対し、不良債権処理を加速する「竹中プラン」の強行など、誤った金融政策の転換を求めると共に、府独自に積極的な施策を講じる必要があります。今回、「中小企業地域金融支援対策協議会」の提案が理事者側から行われましたが、その機能をより強化するためにも、京都府地域金融活性化条例の制定が求められるのではないでしょうか。
さて、農林商工常任委員会での審議の中で出されました、本条例案に対するご意見のいくつかについて、改めて私どもの考え方を述べさせていただきます。
ひとつは、金融機関の監督は国の仕事であり関係法令に触れるのではないかと言うことです。
銀行法21条・24条では、銀行の業務又は財産の状況に関し報告などを求めていますが、この規定は、銀行に免許を与えた国が、その権限に基づいて、金融機関の健全性確保のための規制を行うものです。これに対して、本条例案による「地域金融活性化に対する寄与の程度に関する評価」は、京都府が地方自治の立場から自主的かつ主体的に、地域経済の発展のために行うものであり、銀行法の規定とは、目的を異にしており、銀行法の規定に抵触するものではありません。
次に、融資は、貸し手と借り手の責任で行われるものであり、金融機関が、一方的な融資拒否、条件変更を行っているかどうかの判断は難しいのではないか、あるいは、行政の金融機関への介入、コントロールは、問題ではないかという疑問についてです。
貸し渋り、貸しはがしとは、借り手側が勝手に貸し渋りを受けたと言っているものではありません。金融機関側の圧倒的な力をバックに行われているものです。このような力関係を、京都府における地域金融の健全化、中小企業者への必要な資金の安定供給という視点から、貸し手、借り手の真に対等な関係に正していくことが、本条例の目的であり、私どもは、これを行政による適切な誘導であると考えています。
なお、民主党が先の国会に提出した「地域金融円滑化法案」は、金融機関の責務について「地域金融の円滑化に寄与する責務を有する」と規定、さらに、都道府県など地方公共団体に対し、国の施策に準じた施策等を行う責務を課しており、わが党提案の条例案とほぼ同じ趣旨のものとなっていることを指摘しておきます。
又、ただ今、「中小企業に対する融資の円滑化に関する決議」が全会一致で採択されましたが、決議の主旨をより確実に実現するためにも、私ども提案の「京都府地域金融活性化条例」は大きな力になるものと考えます。
私どもは、本条例案の発表後、多くの業界団体や業界幹部をお尋ねし、ご意見を伺いましたが、共通して「今のひどい状況を何とかしてほしい」という声が出され、本条例実現への期待の大きさを痛感しました。私は、京都府地域金融活性化条例は、このような状況を打開し京都府における地域金融の活性化を誘導するものであり、貸し渋り、貸しはがしの防止はもとより、今後の京都経済の発展に欠かせない、地域金融、ひいては京都経済の活性化のために大きな力を発揮するものであると確信するものであります。ぜひとも本条例案にもご賛同いただきますよう、最後に心よりお願いしまして討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。