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意見書案・決議案について光永 敦彦府議の討論

2003/10/10 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の光永敦彦です。日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております、4会派提案の「義務教育の維持向上・財源保障を求める意見書案」に反対し、他の意見書案8件および決議案2件について、賛成する立場から討論を行います。

 まず、我が党提案の「消費税の大増税に反対する意見書案」についてです。

 いま、政府・財界から「消費税率を二ケタに引き上げよ」との大合唱がはじまっています。日本経団連は、「2014年度には16%に」、経済同友会は「2020年度には19%に」、政府税制調査会も中期答申で「二ケタ税率化」を明記しました。そのうえ、日本経団連は、これから政党に献金するときには、消費税の値上げと法人税の引き下げに賛成するかどうかを最優先の基準にして献金をする、つまり消費税二ケタ値上げの方向で政党にヒモをつけるという、なりふりかまわないものです。

 小泉首相は、「消費税の値上げは3年間はやらない」といっています。しかし、それはまったくの詭弁であり、「3年かけて増税の環境を着々とつくる」という立場にほかなりません。現に、谷垣財務大臣は記者会見で「消費税率引き上げの議論を積み重ねること」を自分の任務の一つにあげ、政府税制調査会会長は、「国民世論の形成には2、3年かかる。小泉首相にはその地ならしをやってもらいたい」と言っているのです。

 その口実としてもちだしてきているのが「社会保障充実の財源のため」というものです。しかし、これほどひどいごまかしはありません。消費税導入から15年間の消費税収の累計は、136兆円にのぼる一方、同じ時期に、法人三税の税収は、累計131兆円も落ち込んでいるのです。これは法人税率を42%から30%にまで引き下げるなど、消費税が、大企業に大盤振る舞いの減税のためにほとんどそっくり使われてしまったことになるではありませんか。また、民主党のマニフェストで、自民党との消費税増税競争に足を踏み出したことは、国民の願いに背を向けるものではないでしょうか。

 我が党は、国民の日々の売り買いのなかからとりたてる最悪の不公平税制を21世紀の日本の税制の中心にすえることに断固反対するものです。そのために、50兆円にも膨張した公共事業費のムダを削り、バブル前の25兆円水準まで段階的に半減させ、年間5兆円に膨張した軍事費を抜本的へ軍縮へと転換させるなど、歳出の抜本的改革をすすめること、また税金や社会保険料などの負担は「上に厚く、下に薄い」という近代社会における経済民主主義の大原則にのっとった歳入改革をすすめることが必要と考えます。その中で、消費税の廃止に向かう立場から、消費税の大増税計画を中止することを求めるものです。みなさんの賛同をお願いします。

 次に、我が党提案の「イラクへの自衛隊派遣の中止を求める意見書案」についてです。

 小泉内閣は、アメリカいいなりにイラク戦争を支持し、イラクへの自衛隊派兵をすすめようとしています。しかし、いま国際社会では、アメリカによるイラクへの戦争そのものが全く無法であったことが、厳しく追及されているのです。9月23日の国連総会での演説で、アナン事務総長は、「過去58年間、世界の平和と安定が依拠してきた国連憲章の大原則にたいする根本的な挑戦である」と批判し、「もしこれが受け入れられるなら、それが先例となって、正当性のいかんにかかわらず、単独行動主義による不法な武力行使の拡散を招く結果になることを懸念する」とのべました。この国連総会では、各国代表が、次々とアメリカの単独行動主義を批判し、「イラクの再建は国連主導で」との声をあげたのが大きな特徴でした。

 そのうえ、アメリカがイラク攻撃の唯一の根拠としていた「大量破壊兵器の保有」についても、アメリカの調査団の報告で、「大量破壊兵器は発見できなかった」という結論が出されようとするなど、戦争を正当化する口実は、ことごとく崩れ去っているのです。

 現在、イラクでは、アメリカ軍への攻撃があいつぎ、泥沼化の様相を呈しています。イラク駐留米軍のサンチェス司令官が、記者会見で、「米軍がイラクにとどまる限り、攻撃と死傷者は続くだろう」とのべているとおり、米軍がイラクに存在し、無法な占領支配を続けることこそ、イラク復興の最大の障害となっているのです。そのアメリカの支援のために、自衛隊の派兵を強行するもので、断じて許されません。だからこそ、フランスやドイツ、中国、インド、パキスタン、アラブ連盟諸国は「派兵しない」と表明しているのです。

 「日米同盟のため」なら、憲法までも無視してかまわないという、時代おくれのアメリカいいなりの政治を21世紀も続けてはなりません。我が党は日米安保条約をなくし、ほんとうに独立した平和な日本をつくるために、全力をあげるものです。そして、イラクへの派兵を中止することを強くもとめるとともに、イラク派兵法そのものを廃止することを要求します。イラクの復興は、国連を中心に、イラク国民の主権を尊重した支援策こそ必要です。以上の立場から、本意見書案への皆さんの賛同を求めるものです。

 次に、我が党提案の「若者の雇用をすすめる意見書案」についてです。

 今、小泉内閣の経済失政のもと、若者の雇用をめぐる状況は極めて深刻です。完全失業者の半分が34歳以下の若者となり、大学卒の就職率は55%にまで落ち込み、高校卒業者にいたっては16.6%、417万人もの若者が「フリーター」とならざるをえない状況です。これは一人ひとりの若者の現在と将来にとって深刻な影をおとすとともに、生産性を押し下げ、貴重な技術を継承できないなど、日本の産業や社会にとっても放置できない重大な問題をはらんでいます。

 こうした中、小泉内閣が本年6月に発表した「若者自立・挑戦プラン」は「職業意識の喚起」など、「自立・挑戦」を促すものとなっており、「国民生活白書」で「フリーターの増大」の原因は「どちらかというと企業の側の要因が大きい」と指摘した認識とは大きく乖離し、「企業側」への対策はありません。今必要なことは、95年から2001年の間に、34歳以下の正社員の数を、中小企業は3万人増やしたにもかかわらず、大企業は108万人も減らすという横暴に、メスを入れることではないでしょうか。若者への安定した雇用を増やし、「フリーター」からの脱出を応援することが党派を超えた緊急の課題になっています。みなさんの賛同を求めます。

 次に、我が党提案の「在日外国人無年金障害者・高齢者の救済措置を求める意見書案」および「在日外国人無年金障害者・高齢者に対する給付金制度の実施を求める決議案」と、4会派提案の「在日外国人無年金者の救済に関する意見書案」についてです。

 年金を受給することができない在日外国人無年金障害者・高齢者の方々にとって、救済措置は死活の願いです。

 国の救済措置がないもとで、全国の地方自治体では独自の「給付金制度」をつくり、現在全国で700自治体、本府内で24市町が実施されています。ところが、本府ではまだ実施されておりません。すでに制度から除外された高齢者の方は一番若い方で77歳となっており、その願いに応えないことは「亡くなられるのを待っている」ことと同じではないでしょうか。

 したがって、日本が批准した国際人権規約と難民条約の理念である「内外人平等の原則」にもとづき、また平成6年の国会の附帯決議等をふまえ、国で在日外国人無年金障害者・高齢者の救済措置を講じるとともに、本府としての制度創設をもとめることは当然であります。みなさんの賛同をお願いします。また、対案として提出された4会派提案の意見書案も同趣旨でありますので賛成するものです。

 なお、府議会に提出された請願は、付託された厚生労働常任委員会で、全会一致で採択されました。よって、本来なら委員会の総意で意見書案および決議案を提案すべきものであることを指摘しておきます。

 次に、「中小企業に対する融資の円滑化に関する決議案」についてです。

 小泉内閣発足後のわずか2年4ヵ月に4万4千件もの企業倒産が起きています。これは小泉・竹中プログラムが、金融機関に対する「検査マニュアル」を機械的に押し付けたことによって、金融機関が、その本来の役割である、必要なところに安定的に資金供給がされず、貸し渋り・貸しはがしが強引に行われるなど、必死の思いで経営努力をしている中小企業が、無残にも廃業を強いられることになっているのです。

 したがって我が党が本議会に提案した「京都府地域金融活性化条例案」に盛り込んだとおり、地域経済の重要な担い手である中小企業者を支援するため、金融機関の本来の役割を発揮させ、地域経済の活性化をはかる万全の体制をとることが本府に求められています。以上の立場から賛成するものです。

 次に、「携帯電話の利便性の向上と料金引き下げを求める意見書案」について、賛成するものですが、利用者への負担転化のないように強く求めておきます。

 次に、「私立学校助成の充実に関する意見書案」についてです。

 保護者を始め多くの関係者の運動により、毎年国庫補助が増額されているにもかかわらず、本府は高校生の授業料軽減補助額の単価改訂を98年以来見送っていることは重大です。保護者負担の軽減を求めるのであれば、ただちに補正予算を組み単価改定をしっかりおこなうべきです。このことを厳しく指摘し、本意見書案に賛成します。

 次に、わが党提案の「義務教育費国庫負担制度堅持を求める意見書案」についてです。

 教育の機会均等と、その水準の維持向上をはかるため、国が必要な経費を負担してきた義務教育費の国庫負担金を、小泉内閣は「三位一体改革」の名で廃止・縮減しようとしています。これらが強行されれば、自治体の財政力の差により教育条件や教育水準の格差を広げることは必至であり、義務教育に対する国の責任を放棄するもので断じて許されません。

 子どもと教育の危機が叫ばれる中、少人数学級の実現など、どの子にもゆき届いた教育を実現することは喫緊の課題です。わが党提案の意見書案は、義務教育の維持向上と地方財政の安定をはかるために、引き続き義務教育費国庫負担制度の堅持を求めるものであります。賛同をお願いします。

 最後に、4会派提案の「義務教育の維持向上・財源保障を求める意見書案」についてです。

 この3月に、総務、財務、文部科学の三大臣が2006年までに、義務教育費国庫負担全体の一般財源化について所要の検討を行うことに合意しています。しかし、このことこそ、教育に対する国の責任の放棄であります。これに対し、民主党参議院議員は国会審議の中で「義務教育費国庫負担金の一般財源化は、国の責務である教育の機会均等、義務教育の水準の維持向上の観点から、将来に大きな禍根を残す」と制度の堅持を求めました。ところが、本意見書案は「教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上を国の責務」としながら、その保障であり制度の根幹である義務教育国庫負担制度について堅持を求める内容ではありません。よって、制度見直し、一般財源化を前提にした意見書案には、反対です。

 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。