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議会を終えて(談話)

9月定例府議会を終えて(談話)

2003/10/14 更新
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2003年10月14日 日本共産党京都府会議員団 団長 松尾 孝

 9月25日から開かれていた9月定例会は、10月10日に閉会した。今府議会では、わが党議員団が、府議会で初めての議員による政策課題にかかる条例提案をおこなった。さらに、補正予算とともに「振興局等の再編」や丹後6町の合併問題など重要な議案が提案された。

 わが党議員団は、二つの条例提案にもとづく積極的な討論はもちろん、住民自治を守り、発展させる立場から9人の議員が本会議討論に立つなど奮闘した。

 1、わが党が提案した「京都府男女平等条例案」と「京都府地域金融活性化条例案」は、多くの関係者、府民から期待が寄せられ、マスコミも注目するもとで審議がおこなわれたが、与党会派は二つの条例案とも、まともな反対理由も示せないまま否決した。

 「男女平等条例案」については、民主党や公明党も「実効ある条例が必要」としながら、公明党は「府民的な議論が不十分」「事業者責任が厳しすぎる」「行政主導ではないか」などとして反対した。これはわが党議員団の「男女平等条例」が、永年にわたって関係者や多くの関係団体で議論されてきた到達点を生かしたものであることや、さらには条例提案に際して、わが党議員団が1000を越える団体や関係者に届け、懇談し、意見を寄せてもらっている事実を見ようとしないものである。さらに、「事業者責任が厳しすぎる」などとの言い分は、公明党が男女平等を願う府民の立場ではなく、女性を低賃金など差別的に扱っている現状を積極的に改善しようとはしていないことを示したものである。

 民主党は、反対理由もまともに述べず、採決で反対だけするという無責任な態度をとった。これは、民主党があいかわらずオール与党の枠組みから抜け出すことができないでいることを示すものである。

 自民党は、「男女平等条例」は「男らしさ、女らしさを否定するもの」との立場から反対したが、これは男女の役割を固定化しようとするもので、世界の流れに逆らうものである。同時に、「男女平等、女性の社会進出が家庭を崩壊させる」との意見も、今日の家庭崩壊が自民党政治のもとで、過労死を生むような長時間過密労働に労働者をかりたて、「家族そろっての夕食」すらできない状況を作り出してきた自らの政治の責任を棚上げにするものである。こうした男女平等の流れに逆らう自民党の態度が、いかに時代遅れであるかが浮き彫りになった議会であった。

 いずれ理事者側からも「男女共同参画条例案」が公表される予定であるが、わが党議員団は、この間、寄せていただいた多くの女性団体や府民のみなさんの声や願いを生かした「条例」が実現できるよう、引き続き奮闘するものである。

 2、「地域金融活性化条例」については、他党派は、「金融機関の監督は国の仕事」との立場に固執したが、地方自治体が地域経済を守り、発展させるために、「地域経済への貢献」のものさしで金融機関を評価したり、中小企業への資金の供給を促すという、銀行法とは別の目的の条例を作ることを認めようとしないものである。これは「地方分権」などと口にしながら、地方自治体の自治権を積極的に拡大しようとする努力を放棄するものである。しかし、一昨年来の「貸し渋り・貸しはがし防止条例の制定を」との議会での論戦や今回のわが党議員団の条例提案などで、理事者から「中小企業地域金融支援対策協議会」設置が提案され、与党会派からも「中小企業が貸し渋り、貸しはがしにより廃業に追い込まれることのないよう、中小企業に配慮した金融の円滑化に万全を期すよう求める」決議が提案され、わが党も賛成、全会一致で可決され、議長、副議長が銀行協会、信用金庫協会に申し入れることとなった。これらは、条例制定は否決されたものの、地域経済を守るため金融機関に社会的役割を果たさせることが今日きわめて重要になっていることを認めざるをえなくなっていることを示している。わが党議員団は、これらが真に実効あるものとするためにも、「京都府地域金融活性化条例」制定へ引き続き奮闘するものである。

 3、山田知事は「行財政改革指針」作成にあたって「住民発・住民参加・住民協働の行政システムに転換していく」とのべているが、今議会の論戦を通じて、この言葉が飾りに過ぎないことが明らかとなった。

 「振興局等の再編」をめぐっては、与謝1市4町の首長や議会からの要望や意見書をはじめ多くの関係市町村から保健所等の存続を求める意見がだされ、2万をこえる府民からの請願もだされた。さらに府議会で与党会派からも批判的意見が多く出されていたものである。

 ところが知事は、こうした市町村や府民の意見に背を向け、当初の「たたき台の基本は変えない」との姿勢で再編を強行しようとしている。これには「住民発・住民参画・住民協働」ではなく、いくら住民が意見を出そうとも、府が決めた方針を変えないと言う、官僚的姿勢そのもので、「住民発・住民参画・住民協働」が飾り物に過ぎないことを示した。

 さらに、丹後6町の合併問題でも、「町の将来は、住民自身の意思で決めたい」とする有権者の37.5%もの「住民投票を求める直接請求」を拒否し、住民の意思を問うアンケート調査すら実施しないまま提出された6町の「廃置分合」の件も、理事者が「地方自治法にもとづき粛々と進める」と答えるなど、住民自治とは程遠いものである。

 さらに知事は、消費税大増税計画に対し「首相が『引き上げない』と言っている」と財界や政府税調が二桁以上の増税を求め、小泉首相が「地ならし」をしようとしていることを覆い隠し、さらに「租税負担の議論は、公的サービスの水準のあり方と表裏一体の関係にある」と発言し、「福祉サービスの向上のために増税を認めるか、それともサービスの切り下げか」という小泉首相と同じ立場に立つことを明言した。これは、「応能負担」と言う税制度の本来のあり方に背を向けるものである。

 憲法改悪についても「将来のわが国のあり方について、自由な議論がおこなわれるべき」と述べたが、これは憲法の平和の原則を守ろうとする府民の願いに背を向け、「改憲」論議を積極的にすすめるべきとするものである。

 山田知事は就任以来「改革派」のポーズをとろうとしているが、その実態は、住民自治・地方自治の前進のための改革ではなく、消費税の増税や憲法改悪など危険な道への改革をすすめようとする立場であることが明らかとなってきた。

 4、今回提案された補正予算では、地元金融機関との協議をおこなうための「中小企業地域金融支援対策協議会」設置や地元中小建設業者の仕事確保のための「地域密着型臨時小規模改修費」3億円、高等学校等修学資金貸与事業の対象者を2.6倍に増やすなど、これらは府民の運動と願いが実ったものである。

 わが党議員団は、さらに府民の願いを実現するため本会議でも委員会審議でも、多くの府民要求実現のために奮闘した。

 中小零細企業・業者の経営にとって大きな役割を果たしている「中小企業あんしん借換制度」の延長を求めたのに対し、知事は「さらなる延長について、その実現に向けて協議したい」と答えた。

 また、京田辺市における硫酸ピッチの不法投棄について、わが党議員団は、住民の不安をとりのぞき、安全を確保するための早急な対応を求めるとともに、府の対応の遅れを厳しく批判した。これに対し、大住内山地域、水取地域とも「行政代執行を視野に入れて対処する」と答弁し、解決への前進をかちとった。

 子供の医療費助成の改善が9月から実施されたが、わが党議員団が指摘してきたとおり、通院での8000円を超える助成は、ほとんど実績がない事態が明らかとなっている。知事は「負担の上限を明らかにすることにより、安心していただく」と答弁したが、子育て世代の抱える経済的負担の重さに心を寄せようとしないものである。

 また、高齢者の限度額を超える医療費の受領委任払い制度の実現について、北海道では知事が「受領委任払いは可能」との判断を示し、市町村で「受領委任払い制度」が広がっていることを示して、「京都ではなぜやらないのか」と追及したことに対し、まともに答えることができなかった。

 さらに、C型肝炎対策、高すぎる国保料の問題、下請け建設業者の不払い問題など、多くの府民の願いを解決するため要求、提案をおこなった。

 引き続き府民の暮らしと営業を守り、府民の願いに答える府政実現へ奮闘するものである。

 5、今議会には関係者の切実な願いをこめた請願が、294件提出された。

 在日外国人無年金高齢者・障害者への救済措置を求める請願は、初めて在日本大韓民国民団京都地方本部と在日本朝鮮人総聯合会京都府本部からそろって提出された。わが党は、積極的にこれに賛成し、全会一致で採択するとともに、意見書、決議を提案した。その結果、提出に背を向けていた与党会派も意見書を出さざるを得なくなって、関係者の要望に沿った意見書を全会一致で採択した。わが党議員団は、「国が何らかの措置をとるまでの間、本府として給付金制度の実施を求める」決議を提案したが、与党会派は、同趣旨の請願には賛成しておきながら、この決議案には反対するという道理のない態度をとった。

 保健所等の存続を求める請願は20000人をこえる署名とともに提出され、わが党議員団は与党会派に対し、「振興局等の再編にかかる条例改正案の審議・採決の前に請願審査をおこない、請願権を保障するよう」求めたが同意が得られず、委員会において先に「条例改正」が可決されており、請願についての実質的審議が保障されない事態となった。今後こうした事態が生じないよう改善を求めるものである。また、請願人から「請願趣旨説明の機会を」との求めに対して、正副委員長の協議でこれを拒否したが、府民の請願権を保障し、府民参加を拡大するためにも、こうした議会運営を改善するよう今後も奮闘するものである。

 消費税増税に反対する請願やイラクへの自衛隊派兵に反対する請願は、自民党などは「首相は『消費税増税はしない』といっている。だから必要ない」とか「安保廃棄を掲げている団体とは立場が違う」との口実で、不採択とした。わが党議員団は、こうした請願をうけて本会議に「消費税の大増税に反対する意見書案」「イラクへの自衛隊派遣の中止を求める意見書案」を提出し、府民の暮らしと平和・憲法を守る立場から積極的な論戦をおこなった。

 民主党をはじめ与党会派が提出した「義務教育費の維持向上・財源保障を求める意見書案」は、「教育の機会均等と全国的な教育水準の維持向上を保障することは、国の責任」としながら、「三位一体改革」として、義務教育費国庫負担制度をなくし、一般財源化をはかろうとするもので、国の責任放棄に道を開くものである。わが党議員団は、これに反対し、「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書案」を提案した。

 6、議会運営について、これまで制度がありながら活用されてこなかった「参考人制度」が初めて実施された。これは議会の活発な議論と府民に開かれた議会運営を実現しようとの議会運営委員会などでの議論の結果であるが、その実施にあたっては、きわめて問題のある運営となった。

 もともと参考人を招致する場合、賛否両論がある場合や与野党の態度が分かれている場合は、双方から参考人を招致することが常識である。ところが、今回の場合、「市町村合併賛成」の態度が明白な参考人を呼び、「丹後の合併は、きわめて積極的なもの」「住民投票は必要ではない」とする見解を述べさせ、これを与党会派が知事提案に賛成する口実に使うという、まったく道理のない運営をおこなった。「試行的実施」とはいえ、重大な議案についての参考人招致であり、こうしたやり方は絶対に認められるものではない。

 わが党議員団は、今後とも参考人制度の積極的な活用と公正な運営を求めて奮闘する。

 7、府議会閉会日に衆議院が解散され、いよいよ総選挙である。わが党議員団は、府民の暮らしと平和を守るため、ゆきづまった自民党政治を大本からかえるため全力をあげて奮闘するものである。同時に、野党のあり方が問われる選挙戦でもあり、民主党が府議会においてオール与党の一員として自民党府政の支え手となっている事実も明らかにし、真の改革の道を示して奮闘するものである。

 多くの府民のみなさんの日本共産党と小選挙区候補へのご支援を心からよびかけるものである。

2003年9月定例府議会を終えて(談話)[PDFファイル 200KB]