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政策と見解

2004年度京都府予算に関する申し入れ

2003/11/27 更新
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 長引く不況と小泉内閣による「痛み」押し付けの政治のもと、府民の暮らしも京都経済も深刻な状況が続いています。本年4月からは医療保険のサラリーマン本人3割負担の実施、年金給付の引き下げ、介護保険料の大幅値上げなどが押しつけられ、その上、政府は年金制度のいっそうの改悪をすすめ、そして、消費税の大増税計画など、ますます、国民の将来不安を大きくしています。

 また、「不良債権早期処理」や「貸しはがし・貸し渋り」により、京都経済の担い手である中小企業の経営はいっそう悪化し、雇用不安を拡大しています。

 いま、府民の暮らしと京都経済が、こうした事態にある時こそ、地方自治体は、住民の暮らしを守る「防波堤」としての役割を果たすことが求められています。このことは、知事も、本年の年頭訓示で「いま、厳しいときに、特に何かと弱い立場に置かれがちな人々に、行政の思いがしっかりと伝わるようにしていかなければならない」「行政が府民の皆様をしっかり支える体制をつくることが必要」と述べられています。

 来年度の予算編成にあたっては、府民の暮らしと雇用を守り、福祉の向上をはかることを第一とすること、そして、市町村合併の押し付けや地方交付税の削減などにきっぱりと反対し、市町村が住民の暮らしを守り、地域振興をはかれるよう全面的な支援を強めることが必要です。また、予算編成においては、情報の徹底した公開、住民の声と要望を予算に反映させるシステムの構築が求められています。

 その上で、次の事項に留意し、来年度予算を編成するよう求めるものです。

(1)深刻な事態にある府民の暮らしを支えるため、福祉や医療、教育などの充実、青年に仕事をつくり、安定した雇用をふやす雇用対策、経営困難に直面している中小企業・伝統地場産業の支援、農林漁業者の営業を守る対策を重視することなど、「暮らし応援」の予算とすること。

(2)学研都市開発、丹後大規模公園、木津川右岸運動公園、畑川ダム、和田ふ頭など、不要不急の事業は、いったん中止すること。あわせて、京都市内高速道路、関西空港二期工事の中止を求めるとともに、出資金の支出はただちに中止するなど、大規模開発・大型公共事業の徹底した見直しを行い、ムダをなくすこと。

(3)政府の「三位一体改革」を口実にした、国の責任を放棄する国庫補助金・負担金や交付金の削減に反対し、地方交付税率の引き上げ、高金利政府資金・地方債の借り換え、税財源の移譲などの財政措置を国に求めること。

 以上の観点から、次の「当面する緊急重要事項」の要望を十分勘案し、予算に反映されるよう申し入れます。

当面する緊急重要事項

1、雇用の確保と安定をはかり、府民の暮らしを守る

 ひきつづく景気の低迷の中で雇用・失業問題はますます深刻で、とくに、青年の就職難やフリーターの増加は、一刻も放置できない事態です。青年に仕事を保障し、安定した雇用を増やすため、大企業に社会的責任をはたすよう強く働きかけるとともに、自治体としての雇用促進対策を抜本的に強化するよう求めます。

(1)深刻な就職難にある高校生・大学生やフリーターとなっている青年など、未来をになう青年に仕事を保障するため、大企業にたいし、新規採用抑制を中止し、青年を正社員として採用するよう、知事を先頭にして強く働きかけること。高卒の新規就職者を受け入れる中小企業にたいして、補助制度をつくること。

(2)若年者就業支援センターのいっそうの機能強化をはかるとともに、職業訓練や就職説明会などの拡充をはかること。新規未就職者の職業訓練、生活保障や雇用保険適用が受けられるよう雇用保険法の改善を国に求めること。

(3)介護基盤整備の促進など福祉施設の充実、30人学級の実施、消防力基準をみたす消防職員の配置など、地元での雇用の場の拡大をすすめること。生活関連、福祉型公共事業を中心とした緊急雇用対策をさらに拡充すること。

(4)失業や経営破たんで暮らしが成り立たなくなっている府民を救済する臨時の公的就労制度をつくること。「暮らしの資金」の大幅な増額・通年化を実施すること。離職者支援資金の貸しつけ要件を緩和し、誰でも使えるよう、府独自の対策を講じること。

(5)雇用拡大のためにも、国に対し、大企業のリストラを規制する法制化、違法なサービス残業の根絶など、労働条件の抜本改善の諸施策を講じるよう求めること。また、本府として、京都労働局と連携し、サービス残業を放置する企業名の公表など、実効ある措置を講じること。

(6)企業がすすめる解雇、人員削減、工場閉鎖などのリストラ計画の事前届出、地域経済と雇用への影響調査、地元市町村や商工会議所(会)など関係機関との協議を求める「リストラ対策条例」を制定するなど、雇用確保に最大限の努力を行うこと。

2、不況打開、京都経済の立て直しを

 政府は「景気は持ち直し」などと言っていますが、落ち込みの特にひどい京都の府民と中小零細企業、商工業者の実感からはほど遠いものです。府民の暮らしを守るためにも、経営困難に直面している中小企業・伝統地場産業を支援し、京都経済の立て直しをはかることは、引き続き、府政の重要課題となっており、次の諸対策を強く求めます。

(1)消費税の大増税計画をやめるよう、国に強く要求すること。

(2)「伝統地場産業・地域産業振興条例」を制定すること。中小企業や伝統・地場産業の実態調査を府をあげてとりくみ、物心両面の積極的な援助を行うとともに、「京都経済再生会議」(仮称)をつくり、関係者の英知を結集して、京都経済の立て直し、振興策を確立すること。

(3)枠的単独事業のこれ以上の削減をおこなわず、府の行う公共事業について、生活密着型への転換、分離・分割発注をさらにすすめ、地元中小建設業者や官公需適格組合の仕事確保をはかること。バリアフリー化、耐震性の強化などを促進し、中小建設業者の仕事を確保する「住宅改修助成制度」を創設し、すでに実施している府内自治体に対し、支援を行うこと。

(4)大型店の出店を規制し、自治体の独自規制を認める新「大店法」の制定を国に求めること。商店街と地域住民が協力して安心して暮らせる「まちづくり条例」を制定し、市町村と協力して大型店の無秩序な出店にたいする強力な指導を行うこと。商店街振興のための支援を抜本的に強めること。

(5)「不良債権早期最終処理」の強行に反対し、不況のもとでも必死の経営努力を続けている中小企業が「貸しはがし・貸し渋り」などで倒産・廃業に追い込まれることがないよう、「地域金融活性化条例」を制定すること。「貸しはがし・貸し渋り防止110番」を設置すること。

(6)新規開業や新事業への転換、新製品の開発に取り組む中小企業・業者に対し、無担保・無保証人・低利で、事業が成功したときから返済が始まる融資制度の創設、信用保証協会の保証枠の拡大など、融資制度の改善・充実をはかること。

(7)中小企業金融の実態を調査し、「景気回復までの返済猶予」など、積極的な融資対策を講じること。中小企業あんしん借換融資について、国民金融公庫など政府系金融機関分にも対象を拡大し、新年度以降も延長・継続すること。

3、農林漁業への支援・振興で、府民のふるさと・農山村を守る

 政府が進めている米政策の見直し・「米政策大綱」の具体化は、主食である米に対する国の責任を放棄し、米の生産・流通をいっそう市場まかせにして、小規模農家をしめ出そうとするものです。これは日本の稲作に大打撃を与えるとともに、小規模稲作が中心の京都の水田農業にとっても大問題です。農林漁業を支援・振興し、ふるさと・農山村を守るため、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)「米政策大綱」の具体化に反対し、家族経営を守る立場を堅持し、そのためにも、府として価格・所得補償対策を積極的に講じること。米輸入の削減、米価の下支え、備蓄制度の見直しをすすめ、減反の拡大は行わないよう政府に強く要求すること。WTO交渉にあたっては、米を自由化の対象から外すよう要求すること。また、MA米は対外援助にまわすよう政府に要求すること。

(2)畜産振興のため、飼料の自給化、家畜診療体制の強化、酪農ヘルパー制度の拡充など、経営安定対策を強化すること。BSE再発生の原因究明とその早期解決をはかる対策の強化を国に強く要求すること。

(3)国産材の利用を拡大するため、外材の輸入規制を国に要求するとともに、公共事業や公営施設での府内産材の優先使用、間伐材の利用など、需要拡大のための積極策を講じること。府内産材使用の住宅建設について、助成制度を設けること。

(4)漁港整備の促進、育てる漁業、資源管理型漁業、沿岸漁業のいっそうの振興をはかること。水産加工、商品開発、流通への支援、加工施設整備への支援の強化をはかること。

(5)コイヘルペスの感染ルートの徹底究明と対策を国に求めるとともに、府として、関係業者への緊急支援対策を講じること。

(6)「食の安全」を確保するため、食品衛生監視員の増員・専任化をはかり、保健環境研究所、保健所、消費生活科学センターなどの体制強化と検査機器の充実をはかること。

(7)「地産地消」の促進をはかるため、米飯給食だけでなく、学校給食や府立の福祉施設・病院等で地元産食材の活用をはかること。減反農家に小麦の転作を奨励し、学校給食のパンなどに使用すること。

(8)「農業農村振興条例」を制定し、農家の組織化・共同化の取り組みに対する助成、後継者・担い手育成対策の強化など、総合的な農業振興対策を講じること。中山間地直接支払い制度の継続と拡充、改善を政府に要求し、その積極的活用をはかること。集落の取り組みに対する支援を抜本的に強めること。

(9)有害鳥獣対策予算を大幅に増額し、効果的な駆除・防除対策を実施すること。国に対し、有害鳥獣対策への助成制度と被害補償制度の実施を求めること。

(10)合併農協が支所廃止、営農部門の切り捨てなど営利本位に走ることなく、農協本来の役割が果たせるよう指導を強化すること。

 

4、安心して子育てできる京都に

 少子化傾向がいっそう進んでいることは、日本社会そのものの衰退、社会の存続にかかわる問題として重大です。国民の暮らしを支え、人間らしい生活をとりもどす「ルールある経済社会」の方向へと転換させるよう国に求めるとともに、安心して子どもを生み、育てることのできる条件づくりをすすめることが大切であり、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)乳幼児医療費助成制度を、通院も入院と同様に、就学前まで無条件に無料化すること。

(2)小児救急医療体制の整備をはかること。養護学校児童生徒をはじめ、障害児をふくむ学童保育体制の抜本的整備を行うこと。次世代育成支援法にもとづく「京都未来っ子プラン」の見直しにあたっては、住民・関係者の要求・意見を積極的に反映させて、実効ある計画とすること。保育料の軽減などにつとめること。

(3)DV法施行後、相談が急増している婦人相談所、配偶者暴力支援センターについて、いっそうの体制を強化すること。また、府南部、中・北部地域にも配偶者暴力相談支援センターの支所を配置すること。府内の児童相談所に「子ども家庭支援センター」(仮称)を設置し、DVや児童虐待などの被害児童や家庭に対する総合的支援や相談体制を確立すること。

(4)緊急一時保護の受け入れ施設を含め、母子生活支援施設の不足を解消するため、吉田母子寮の施設改善、指導員の増員などを行い、受け入れ体制の整備をはかること。府北部での受け入れ体制の拡充をはかるため、綾部若草寮についても広域的観点から必要な支援を行い、民間母子支援施設やシェルターについても府独自の支援をはかること。

(5)「子ども発達支援センター」の診療部門の体制の拡充・強化など、いっそうの充実をはかり、保護者の要望に応えた地域のネットワークとしての心身障害児総合療育センターの役割を果たすものとすること。新施設に通所するための交通手段の改善と保育室の設置を行うこと。北部にも地域療育センターを建設すること。

(6)アレルギー性疾患対策についての府としての総合的な方針を確立すること。アトピー、シックハウス症、ぜんそくなどアレルギー性疾患について実態調査を行うこと。アレルギー性疾患に対する専門知識をもった保健師や栄養士などの積極的な人材の育成、研修などの系統的で計画的な支援と「アトピー110番」など気軽に相談できる窓口の設置を行うこと。

5、府民のいのちと健康を守る医療・福祉の充実、介護保険の改善、障害者福祉の充実など、安心して暮らせる社会保障制度を

 国の社会保障制度が次々と改悪されるなか、府民のいのちと暮らしを守る京都府としての役割がますます重要になっています。そうした立場から、本府として年金の大改悪に反対し、基礎年金における国庫負担をただちに2分の1に引き上げ、支え手を増やし、積立金を計画的に取り崩すなどの施策の実施を求めるなど、社会保障制度の充実を国に要求するとともに、本府として次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)国に対し、サラリーマン本人3割負担を元の2割に戻すよう強く求めること。在宅酸素療法患者の負担軽減をはかるため、障害者医療費助成の対象を拡充すること。自己負担限度額を超える高額医療費の償還払いについて、医療機関の協力もえて委任払い方式をつくるなど手続きの簡素化をはかり、窓口での負担を軽減すること。また、現物給付方式に戻すよう国に求めること。

(2)国民健康保険への国庫負担を45%にもどすよう国に求め、高すぎる保険料の引き下げを実現し、保険料を払えない状況をなくすこと。また、保険証の取り上げ、資格証明書の発行を市町村におしつけないこと。

(3)府内での第一種感染症指定医療機関の確保もふくめ、SARSなど新たな感染症に対する対策の抜本的強化をはかること。また、C型肝炎対策、高次脳機能障害者の専門医育成などの対策に着手し、体制を整備するとともに、緊急に福祉制度の運用を拡充すること。精神科救急医療体制の整備を引き続きすすめること。

(4)国に対し、介護給付費に対する国庫負担割合を新年度から2分の1に引き上げるとともに、恒久的な低所得者に対する保険料・利用料の減免制度を設けるよう求めること。府として、独自の保険料・利用料の軽減策を行うこと。施設・在宅両面での基盤整備を計画的にすすめ、特別養護老人ホーム等の入所待機者の解消をはかること。介護者激励金を復活すること。

(5)高齢者が元気で、安心して住み続けられる地域をつくるために、「宅老所」をはじめとした「地域密着・小規模多機能ホーム」等の拡充、地域ネットワークづくりなどをすすめること。また、成年後見制度による財産管理への助成、老人性痴呆症の専門的治療・研究をすすめること。

(6)障害者支援費制度について、「障害者基本計画」にもとづく在宅・施設両面での基盤整備を急ぎ、生活実態に見合った支援費支給がなされるよう、市町村への支援を行うこと。また、ホームヘルプサービスの利用増加に見合う予算を緊急に確保するよう国に強く要求すること。

(7)生活保護の基準引き下げに反対すること。生活保護の申請用紙を関係機関の窓口に設置すること。医療券方式を医療証方式にきりかえるなど、抜本的な改善を行うこと。

6、大規模開発・大型公共事業の抜本的見直しで、不要不急の事業を中止し、公共事業は生活基盤整備に切りかえを

 バブル期に計画された大規模開発・大型公共事業は、単に規模を縮小するだけでなく、「費用対効果」を徹底した情報公開と府民参加で再検討し、中止を含めて思い切った見直しを行うことが必要です。そして、公共事業を生活基盤整備に切りかえるため、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)都市基盤整備公団による木津北・東地区の大規模開発計画の中止・見直し決定を受けて、府として、改めて、学研都市開発計画について全面的な見直しをすすめ、自然が生かされた、「住民が主人公」のまちづくりへと転換すること。

(2)丹後大規模公園(丹後海と星の見える丘公園)や木津川右岸運動公園などの建設は、いったん中止すること。事業費の膨張が明らかとなった畑川ダム建設は、過大な水需要予測を再検討し、ただちに中止すること。

(3)丹生ダム・大戸川ダム・天ヶ瀬ダム再開発事業は、府として、過大な水需要計画を改め、水利権を放棄しダム計画から撤退すること。府営水道について、住民の負担軽減措置を引き続き行うこと。乙訓浄水場系の運営は、責任水量制を見直し、2市1町との「給水に関する協定」をいったん白紙にすること。

(4)京都市内高速道路は市内の交通渋滞と環境破壊をいっそうすすめ、工事費の増大や負担割合の引き上げで、本府の財政負担を大きくするものであり、建設の中止を求めること。本府は、阪神道路公団から撤退すること。高速道路とそのアクセス道路建設優先の道路政策を改め、府民の生活と地域経済に結びついた生活関連道路の建設・整備優先に切りかえること。

(5)地方バス路線の維持・確保、福祉・医療などコミュニティバス路線の確保など、生活関連交通機関の整備・充実をはかること。

(6)公共事業の発注にあたっては、「公共工事入札・契約適正化促進法」にもとづき、入札及び契約の透明性を確保し、談合など不正行為の排除や元請・下請の契約関係の適正化につとめること。地元企業・中小企業の育成に配慮した、ランク別などの条件付一般競争入札を基本とすること。公共工事に従事する労働者の適正な賃金や労働条件を確保するため、実態調査と公契約条例の制定を行うこと。

(7)府営住宅を大量に建設すること。既存住宅のバリアフリー化、エレベーターの設置を急ぐこと。

(8)マンション管理適正化法の主旨にのっとり、府として早急に実態調査を行い、専門家によるマンション総合相談窓口の設置、管理組合の育成援助、大規模修理に対する融資など、府独自の対策を行うこと。

(9)「都市再生緊急整備地域の指定」など、民間企業主導の乱開発をすすめる施策に反対すること。キリンビール跡地の開発については、キリンビールに計画の再検討を求めること。

(10)活断層調査について、年次計画で計画的系統的に行うとともに、その結果を公表し、地震防災対策を強化すること。遅れている土石流発生危険個所や地滑り危険個所、急傾斜地、老朽ため池、浸水常習地域等の改修を急ぎ、災害防止対策を抜本的に強化すること。

7、「環境京都」にふさわしい環境行政の確立を

 COP3の開催地・京都こそ、将来にわたって良好な環境を維持していくために、現在の環境汚染を規制し、生態系を守るとともに、地球温暖化を抑えるための京都議定書を実現する施策を率先してすすめる必要があります。また、ムダと環境破壊の大型公共事業は見直し、住民参加と情報公開、代替案の検討が求められており、次の諸施策の実施を求めます。

(1)エネルギー効率の徹底した向上とともに、風力・太陽光発電など環境に配慮した自然エネルギーの普及・活用・開発に本格的に取り組むこと。そのため、電力会社に買い取りを義務付けるとともに、意欲のわく売り渡し価格を設定するよう、国に求めること。

(2)880トンものCO2を排出する舞鶴石炭火力発電所計画、環境破壊の京都市内高速道路の建設は、地球温暖化防止に逆行するものであり、ただちに中止を求めること。

(3)府内各地で依然として続発している産業廃棄物の不法投棄を根絶させるために、府が策定した「産業廃棄物規制条例」にもとづいて、徹底した立ち入り検査の実施、不法投棄のルートと関与者の解明、違反者はもちろん排出者の責任による撤去を実施させるなど、実効ある措置をとること。

(4)ごみの発生を設計・生産段階から削減する拡大生産者責任を明確にしていない家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法などの改正を国に強く求めるとともに、府としても、市町村に対する積極的な指導援助を行うこと。

(5)ごみの「焼却中心主義」、「埋め立て中心主義」からの脱却をはかるためにも、府の「ゴミ処理広域化計画」を見直して、市町村に強制しないこと。RDFの製造・貯蔵を含む廃棄物処理場について、安全基準が策定されないもとでの設置については慎重に扱うこと。

(6)ダイオキシン対策を引き続き強化すること。調査・監視体制の強化とともに、分別収集の促進、塩ビ製品などの製造、販売、使用の規制、メーカーに対する表示、回収の義務づけを国に求めるとともに、府として、府保健環境研究所にダイオキシン検査体制を整備するなど、実効性ある対策をすすめること。

(7)多発している工場跡の土壌汚染にたいし、土壌汚染対策法も活用して、実効的な施策を強めること。

(8)硫酸ピッチなど、非常に危険な産業廃棄物の不法投棄に対して、府民の安全を確保するために、警察や消防、市町村とも連携して、行政による代執行も含め、断固とした対策をとること。

(9)事故隠しの相次いだ原発の総点検・調査を要求し、その結果を公表するとともに、府下全域を対象とした原発防災計画の見直しを急ぐこと。もんじゅの再稼動、高浜原発3・4号炉のプルサーマル計画の中止、久美浜原発計画の中止を求め、事前環境調査を行わせないこと。

 8、教育基本法と「子どもの権利条約」を生かした「教育改革」と学校づくり。文化・スポーツの振興を

 教育行政の第一の責任は、教育条件の整備であり、「30人学級」の早期実現や私学助成の拡充など、府民の切実な願いに応えることです。政府・自民党が、教育の荒廃の原因を教育基本法に求め、その改悪をねらう策動には根拠も道理もありません。国の教育介入をやめさせ、父母、子ども、教職員、住民が主人公の教育改革にきりかえるため、次の諸施策の実施を求めます。

(1)教育基本法の改悪にきっぱり反対し、義務教育費国庫負担制度を堅持して、教育の機会均等、教育水準の維持向上という国の責務を果たすよう、国に求めること。

(2)全国で、自治体独自の少人数学級が大きく広がり、いじめ、不登校、学級崩壊などの改善にも大きな成果が生まれている。本府においては、国いいなりの「習熟度別授業」の画一的押し付けをやめ、「30人学級」の早期実現をはかること。学び教育プラン検討会議の公開を行い、府民の参加を保障すること。

(3)高校統廃合計画をやめ、府民参加、生徒の参加で、真の「高校改革」を進め、地域の高校を守り発展させること。総合選抜入試制度つぶし、通学区域の拡大、一部エリート化の中高一貫校化など、「特色」の名で高校間格差と競争の激化を招くやり方をやめること。通信制・定時制の廃止・縮小をやめ、南部地域に新設すること。

(4)宇治市、八幡市、城陽市に養護学校の増設をすすめること。特別支援教育の充実の名で、障害児教育リストラをすすめるやり方にきっぱり反対し、障害児学級の存続と発展、通級指導教室の拡充・整備など、障害児教育条件のさらなる拡充を行うこと。LD、ADHDなど新たな障害児教育の対象となる子どもたちへの支援体制を充実すること。

(5)安心、安全の学校をつくるため、耐震補強工事や普通教室の冷房化、バリアフリーの促進などをいっそうすすめること。そのために、国に対し国庫補助制度の拡充を求め、市町村支援を行うこと。

(6)私学助成を大幅に引き上げること。直接助成の単価改定、授業料減免制度の拡充を行うこと。通学費補助、就・修学援助制度の拡充、奨学金制度の充実など、保護者負担の軽減をはかること。

(7)府立文化会館の運営費補助を大幅に引き上げるとともに、非営利目的の文化活動をすすめる団体の公共文化施設の利用に際しては利用料の減免などをはかること。公的スポーツ施設の増設、整備の拡充、利用料金の引き下げなど、府民のスポーツ活動の振興をはかること。

9、市町村合併の押し付けをやめ、住民自治の確立、「府民が主人公」の府政運営を

 政府は、市町村合併を強引にすすめることによって、地方自治の破壊、地方交付税の削減をすすめようとしています。こうした「市町村合併の押し付け」をきっぱりやめて、真に市町村自治の確立をはかるとともに、いっそうの情報公開と府民参加を広げ、「府民が主人公」の府政運営をはかるため、次の諸施策を行うよう求めます。

(1)合併を促進する対象として「人口1万人未満の小規模市町村」と明記し、知事に「合併に関する勧告」の権限を与えた地方制度調査会の「最終答申」は、市町村の自主決定権を侵害し、地方自治の根幹を否定するものであり、撤回を国に要求すること。

(2)本府として、「市町村合併」の押し付けは行わず、市町村の将来は住民自身の判断で決められるよう、徹底した情報の公開と「住民投票」など住民の意思を尊重するよう市町村に働きかけること。

(3)「自立」をめざしてがんばる市町村や住民の地域づくりを支援するため、市町村自治振興補助金の拡充と増額、「地域起こし事業」への支援の拡充、市町村振興資金の低利への借り換えなどを強化すること。

(4)策定中の「男女共同参画条例」について、府民的討論の場をもうけ、情報公開を行うこと。条例の名称に「平等」を明記すること。憲法及び女子差別撤廃条約の男女平等の理念、母性保護、事業主・企業主責任の明記、行政機関から独立した苦情処理・救済機関の設置を明記すること。

(5)政策方針決定過程への女性の参画の促進、各種審議会への女性委員の登用をすすめ、委員の人選にあたっては、公募を含め公正・公平を期すこと。

(6)地方労働委員会の労働者側委員の任命にあたっては、「連合」独占をやめ、労働組合の構成比率を反映したものにすること。各種委員会、審議会の公開については、すべての委員会及び審議会等について、傍聴の実現、関係資料の公表、府民の意見表明を完全に実施すること。あわせて、委員の一定部分について公募制を導入するなど、いっそうの府民参加をはかること。

(7)パブリックコメント制度は、形式的にせず、必要な情報の公開、出された意見の尊重など、充実させること。府民からの発議も対象とすること。

(8)知る権利の保障、原則公開の精神にのっとって、非開示条項の適用範囲を限定し、意思形成過程の情報であっても公開することなど、府情報公開条例の運用を抜本的に改善すること。公安委員会・警察本部の情報公開は、警察当局による恣意的な判断が優先されないようにすること。府からの出資、出えん、補助金の交付を受けている法人等には情報公開を義務化すること。

10、自衛隊のイラク派兵に反対し 憲法を守り、平和な京都を

 世界中の反対の声を押し切ってイラクへの軍事攻撃が強行され、国会では、すべての国民や地方自治体に戦争協力を義務付ける有事立法や自衛隊をイラクに派兵する法律が制定されました。すでに、舞鶴の自衛隊基地からは、護衛艦「はるな」、イージス艦「みょうこう」がインド洋に派遣され、憲法違反の軍事作戦に従事しています。憲法を守り、平和な京都をきずくため、次の諸施策を行うよう求めます。

(1)イラクへの自衛隊派兵をきっぱりと中止し、イラク特措法を廃止するよう、国に強く要求すること。

(2)国民を罰則つきで戦争に強制動員する有事法制の廃止を国に強く要求し、国民保護法制の制定に反対すること。

(3)憲法9条改悪のたくらみに反対し、憲法を暮らしに生かす府政をすすめること。

11、広域振興局体制のスタートにあたって、府民サービスの低下をもたらさないこと

 今回の振興局等の再編に対しては、多くの府民や関係自治体・議会から、「身近で頼りになる府の機関を」と、振興局や保健所、土木事務所、農業改良普及センターなどの存続を求める強い要望が出されました。広域振興局体制のスタートにあたっては、こうした府民や関係者の強い要望を最大限生かし、府民サービスの低下をもたらさないため、万全の対策を講じるよう求めます。