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政策と見解

2004年度京都府当初予算案について(談話)

2004/02/27 更新
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 2月19日から京都府議会2月定例会が開会された。この定例会には、新年度予算案および「男女共同参画推進条例」(案)など38件の議案が提案され、審議が始まった。

 わが党議員団は、国民に激痛を押し付ける「小泉流構造改革」のもと、深刻な事態にある府民の暮らしと営業を守るとともに、「三位一体改革」の名による地方自治切り捨てを許さず、府民の願いにこたえ、地方自治を前進させるため、全力を挙げるものである。

 一、今日、地方政治にとって最大の問題は、小泉内閣の「三位一体改革」路線が具体化される中で、地方自治破壊と住民サービスの切捨てが進められようとしていることである。04年度の地方財政計画で、地方交付税と臨時財政対策債をあわせて、前年に比べ2兆8600億円減(マイナス12%)となることが突然発表される中で、「地方から批判噴出」する事態となっている。さらに、義務教育費国庫負担金や公立保育所運営費負担金について、一般財源化による削減をおこなっていることにも、懸念の声が広がっている。

 これらは、「地方交付税総額を抑制して、財源保障機能を縮小していく」ことや、今後3年間に地方向け国庫補助負担金約4兆円を廃止・縮小するとした「骨太方針・第三弾」の具体化の第一歩であり、「官から民へ」「国から地方へ」と、自治体の「自立」の名で、福祉や教育の最低水準を保障してきた地方への財政支出を、さらに削減しようとするものである。そもそも、地方交付税は、憲法の定める地方自治を保障するものであり、国庫補助金の7割は、医療・福祉・教育など、国民が、どの地域に住もうとも、一定水準を保証するために、国の責任で措置されなければならないものであり、国の財政悪化を理由に、一方的に削減することは許されない。また、「段階補正」を縮小して、小さな自治体への交付税の配分を減らす、財政的な圧力によって「市町村合併」を押し付けるなど、自治体統制を強化している。わが党は、「地方分権」どころか、地方自治の破壊を進める小泉内閣に、厳しく抗議をするものである。

 多くの自治体関係者から、「三位一体改革」への幻想が、急速に崩れつつある。いま、自治体関係者に求められることは、こうした国の無法なやり方を許さない運動を、大きく広げることである。わが党議員団は山田知事にこのことを強く求めるとともに、その先頭に立って奮闘するものである。

 一、京都府予算案では、地方交付税と臨時財政対策債合計で306億円が減額され、府内自治体の削減額は、京都市を含め255億円にのぼる削減となる。知事も「いくら職員や給与を減らしても地方交付税をこれほど切られては何も残らない。『三位一体改革』に名を借りた地方切り捨てだ」と不満を述べたと報じられているが、財務省主計局が「昨年春からの議論で削減は予想できたはず」と開き直っているように、小泉内閣の狙いは最初から地方財源削減が目的であったことは明瞭である。

 わが党はこれまでからくり返し、国の「三位一体改革」について「これは本来の地方財政の確立でなく、財政負担を地方に転嫁し、国の地方自治体への支出を削減しようとするもの」と厳しく批判し「財源調整、財源保障機能を持つ地方交付税の充実強化こそ求められる」と指摘をしてきた。ところが与党会派は11月議会で、こうした地方切り捨ての「三位一体改革を着実に推進されるよう要望する」意見書を採択したものであり、その責任も厳しく問われている。

 知事は、提案理由の説明で、「行財政の改革を先取りした」と自慢したが、これは国の進める住民サービス切捨てを先行してきたものである。そして、政府が強引に進めている市町村合併についても、「小規模自治体は生き残る道はない。合併しかない」と、国と同じ言い分で合併を強要していることからも明らかである。

 山田知事が国のやり方について批判するなら、京都府政において、財政難を理由とした市町村合併の事実上の押し付けや市町村・住民に負担を押し付けるやり方をやめ、住民の暮らし、利益を守る立場を明確にすることが求められている。

 一、一般会計歳入は、府税収入見込みが前年度比0.4%増の2300億円としているが、府税の31.2%を占める、法人府民税と法人事業税は0.5%増と、わずかながらも伸びているが、個人府民税は1.6%のマイナス、個人事業税は4.9%のマイナスとなっている。これは、奥田日経連会長の「リストラによって実現したコスト削減の分だけ業績が良くなった」との発言のように、一部の企業がリストラや下請けたたきなどで、業績を上げている一方で、府内では、昨年一年間でも500件を超える企業倒産が続き、5%台の高水準が続く失業率、パートなど不安定雇用の拡大、賃下げなどによって、三年連続の減少をもたらしていることの反映である。

 これまでからわが党が指摘しているように、府財政の安定のためにも、「失業者を増やし不安定雇用を拡大している大企業の身勝手なリストラ・首切りを規制し、雇用を守るルールを確立すること」が急務であり、大企業は応援しながら、不良債権処理の加速によって、中小零細企業をつぶす「構造改革」路線を、きっぱりと転換し、日本経済の6割を占める家計と中小企業を応援する経済政策へ転換してこそ、府財政も安定することができることを示している。今こそ知事は、年金改悪、庶民増税、消費税大増税計画など国民に激痛を押し付け、景気をいっそう悪化させる小泉内閣に対し、きっぱりとものを言うべきときである。

 一、昨年10月の「京都府財政の現状と取り組み」の中では、「臨時財政対策債を除けば府債発行額は着実に減らしている」と自慢をし、予算編成方針では、府債の発行を「極力抑制し、実質的な負債残高の抑制を図る」としていた。しかし、予算案では臨時財政対策債が160億円も減額されているにもかかわらず、府債の削減全体で86億円の抑制額にとどまっている。

 その理由は、不要不急の無駄な公共事業に、メスを入れられていない点にある。関空出資金は2倍となり、全額起債であてたほか、市内高速道路出資金、木津川右岸運動公園、丹後大規模公園、和田埠頭、畑川ダム、学研開発などの不要不急の事業が、借金を積みまして進められている。また、同和対策として、高等学校等奨学金償還対策事業費などが温存されている。一方、内部改革・施策の見直しにおいては、財政健全化の前倒し実施で270億円もの削減を提案している。「民間社会福祉施設職員の給与対策費や健康検診事業」「安心介護の窓口」運営助成、「高齢者介護予防等支援事業」「障害者支援費制度推進費」「児童虐待防止対策推進事業」「中小企業団体中央会育成費」「商工会・商工会議所等育成費」「交通安全施設整備費」「低所得者家庭向けの就職助成金」「府営住宅建設費」「府営住宅修繕環境整備費」など、住民の暮らし、安全・安心にかかわる大切な予算が削減されており、住民サービス低下をもたらすものである。また、「府民の安全・安心の確保」として、警察官30人、非常勤の交番相談員の増員を行う一方、「食の安全・安心」をかかげながら、いまだに本府においては、食品衛生監視員も、と蓄検査員も専任配置がされておらず、児童虐待などの対応を強化する必要がある、児童相談所の児童福祉司の増員もおこなわれていない。また、中小企業総合センターや高等技術専門校での削減、振興局再編による大幅な人員削減が提案されている。先に「削減ありき」でなく、本来の自治体のあり方と今日の情勢に求められる必要な体制を整えること、そのために必要な増員をおこなうことも求められる。

 一、こうした予算案の中にあっても、府民の粘り強い運動と日本共産党府会議員団の奮闘で、府民の切実な要求のいくつかが実現した。

 「あんしん借換融資」を今年末まで延長することや、「小規模企業おうえん融資」が創設された。わが党議員団は、これまでからマル小融資については限度額の引き上げ、新マル小は納税要件を取り払うことなど、中小零細事業者にとって活用できるものにするよう、繰り返し求めてきたが、これらの指摘にこたえたものである。これらの融資は経営診断を金融機関にゆだねることになるが、これによって金融機関が「不況業種」であることを理由とした「貸し渋り」などが起こらぬよう、対策を求めるものである。

 「子どものための京都式少人数教育推進事業」が計上された。これまで、文部科学省のいいなりに、習熟度別授業など少人数教育に固執してきた府教育委員会が、「少人数学級についても市町村の判断により基準を下回る学級編成が可能」としたことは大きな前進である。「30人学級の実現ですべての子どもたちに行き届いた教育を」と、願う請願は毎年十数万を越えて寄せられていた。そのたびに、与党会派は請願を否決し続けてきたが、全国的な教育署名大運動と地方議会での奮闘で、国が方針転換を行うなど、国民の世論と運動が重い扉をこじ開けたものである。

 また、臨時生活関連整備事業が22億円から30億円に増額をされ、公立学校授業料減免の特例措置の継続、私学の授業料減免制度の改善、若年者就業支援ワンストップサービス、在日外国人無年金者への独自措置などが盛り込まれた。これらは、関係者の運動が実ったものである。

 一方、緊急の仕事おこしや府民の暮らしを応援するために、要求が高まり、府下市町村で大きく前進している「住宅改修助成制度」や、「乳幼児医療費助成制度の改善」は見送られたが、引き続き実現のために奮闘する。

 一、「男女共同参画推進条例」が提案された。全国的なバックラッシュの強まりのなかで、本府においても条例制定が遅れる中、わが党議員団は、9月定例会に「男女平等条例案」を提案し、奮闘した。実効ある条例となるために、条例の名称を「男女平等条例」とすることや、事業主責任の明確化、第三者による苦情処理機関の設置などを盛り込んだものであるが、今回の条例案は、そうした大切な点が骨抜きになっている。審議の中で条例が実効あるものとなるよう、奮闘するものである。