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討論

意見書案について本庄 孝夫府議の討論

2004/06/22 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の本庄孝夫です。私は、日本共産党府会議員団を代表しまして、ただいま議題となっております意見書案のうち、民主・府民連合提案の「イラクの真の安定・復興を求める意見書案」に反対し、他の意見書案に賛成の立場から討論を行ないます。

 まず、わが党提案の「イラクから自衛隊の撤退を求める意見書案」についてです。

 大義のない侵略戦争に続いて、今もイラクへの軍事占領を続ける米英両国は、世界で孤立を深めています。それに追随して無法な戦争を支持し、憲法違反の自衛隊の派兵で加担してきた日本の小泉内閣の責任が厳しく問われています。

 米英によるイラクの軍事占領は、侵略者の残虐な本性をむきだしにしています。野蛮なファルージャでの市民への無差別攻撃やイラク人拷問・虐待事件は、イラク国民の怒りと抵抗をますます激しくするとともに、イスラム社会をはじめ全世界の憤激を呼んでいます。

 こうした中で、米英の軍事占領に協力して軍隊を派遣していた国々が、次々と部隊を引き揚げています。国連憲章を踏みにじった侵略戦争と軍事占領の破綻はいまや明瞭です。

 6月末のイラクへの「主権移譲」をめぐって、国連安全保障理事会は新しい決議1546を採択しましたが、イラクへの「完全な主権の返還」、イラクの新政権樹立へのプロセスで、国連が「主導的役割」を果たすことが明記され、占領軍の駐留期限についても言及されています。 

 そこには、イラク復興支援、そのもとでのイラク国民の意思に基づく新政府の樹立という、国際社会の願いが反映されていますが、多くの問題も存在しています。それは、イラクに戦火と混乱をもたらした米英軍が、多国籍軍と名称を変更して駐留を続け、この軍隊に対して「イラクにおける安全と安定を維持するのに役立つあらゆる必要な措置をとる権限を持つ」と、武力行使を明確に認めていることです。

 最近、イラクの国民の皆さんの気持ちを表した世論調査があります。イラク占領当局の依頼で行なわれたこの調査では、87%の人が「占領軍を信頼していない」、「占領軍の駐留がなくてもイラクの治安は自分たちで維持できる」と答え、77%の人が「暫定政府がやるべきことは、駐留軍の撤退をすぐに命令することだ」と答えています。

 今、米軍が速やかに撤退し、主権を名実ともにイラク国民に返し、イラク国民の意思で、イラクの復興と国づくりをすすめることこそ求められているのです。

 ところが小泉首相が、6月8日の日米首脳会談で、イラク多国籍軍への自衛隊参加を事実上表明したのは、決議が採択されるよりも前であり、米国への忠誠を自国の憲法よりも優先する、世界でも異常な対米追随の姿勢を改めて示しました。

 多国籍軍への参加は、これまでの「多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴う場合には、自衛隊の参加は憲法上許されない」との政府見解にてらしても、憲法違反以外の何ものでもありません。自衛隊の多国籍軍参加は、米軍などとともに、日本が泥沼の戦争にのめりこむ重大な危険をはらんでいます。

 これは、憲法じゅうりんをなし崩し的にエスカレートさせるものであり、憲法の平和原則に基づき世界の諸国民と平和に生きていく道を閉ざし、国際社会で孤立し破綻する道です。自衛隊が、イラクから直ちに撤退するよう強く求めるものです。わが党提案の意見書にご賛同をお願いいたします。

 なお、民主・府民連合提案の意見書案についてでありますが、4月末の国連のアナン事務総長との会談で前代表は、「国連決議に基づく多国籍軍なら自衛隊の派遣を検討」を表明しています。これは、意見書案にある「新たな法整備」があれば自衛隊を参加させるというものであり、憲法違反の「武力行使を伴う自衛隊参加」容認に道を開くものであることは明らかです。 民主党の態度は、マスコミからも「選挙目当てのご都合主義」と批判されています。新たな法整備で自衛隊をイラクに派兵しようとする、この意見書案に府民の平和への願いを託すことはできません。よって反対です。

 次に、わが党提案の「アメリカ産牛肉の輸入再開に関する意見書案」についてですが、アメリカは、日本が国産牛におこなっている全頭検査などの安全対策を、米国産牛肉に実施しようとはしていません。世論調査では、日本国民の9割が「輸入再開には日本と同じ全頭検査をおこなうべきだ」と答えています。日本政府が国民世論を無視して輸入を再開することは絶対にあってはなりません。輸入牛の全頭検査をはじめ、危険部位である脊髄など神経組織の完全な除去、生産・流通の経歴が追跡できるしくみであるトレーサビリティーが不可欠です。

 プリオンを発見し、ノーベル賞を受賞したスタンレー・プルシナー氏は、アメリカの議会で日本の全頭検査を全面的に支持する見解を述べ、「人の食用となる牛の全てを試験する日本の方式をなぜアメリカは採用しないのか」とアメリカの姿勢を批判しています。国民に圧倒的に支持され、プリオンの専門家からも評価されている日本の全頭検査を、アメリカの圧力で見直す理由はどこにもなく、これらが求められない場合の輸入再開を行なわないことを強く求めるものです。府民の食の安全に責任を果たすためにも、本議会としてこの意見書を政府に提出することは当然のことです。わが党提案の意見書に賛同をよろしくお願いいたします。

 次に、わが党提案の「WTO農業交渉に関する意見書案」についてです。

 WTO農業交渉が大詰めを迎え、7月には関税引き下げ方式など「大枠合意」がいわれていますが、今最も必要なことは、食料や農業にかかわる政策を自主的に決める権利・「食料主権」確立です。国連人権委員会は、4月に食料主権の確立を含む「食料に対する権利」を採択し、日本も賛成しています。国内農業の維持、食料の安定確保は、どの国にとっても大事な権利です。WTO交渉で、日本の米を自由化の対象から外すなど農業協定を改定させ、食料主権を回復することを強く求めるものです。京都の農業を守るためにも、わが党提案の意見書にご賛同をよろしくお願いいたします。

 次に、わが党提案の「介護保険・介護予防対策の充実を求める意見書案」についてです。

 政府は、来年度の介護保険制度の見直しにあたり、介護保険料徴収年齢を現行40歳から20歳代、30歳代に引き下げ、要支援者などを介護保険から外すことを検討するなど、国民の負担を増やし、サービスを抑制し、国の負担を減らす大改悪をねらっています。これでは、介護保険制度の存在意義そのものが問われ、憲法25条に明記された国の責務を放棄することにつながるものです。いま、問われているのは、国民のますます切実となる、介護と介護予防の願いに応える制度へと、国の責任で抜本的に改善するかどうかです。公明党・府民会議などが提案している意見書案は、今日の介護をめぐるこれらの重大問題にふれていません。

 このような立場から、わが党提案の意見書案は、本来、介護保険を国民的な立場で、抜本的に改善すべき内容について具体的に提案しているものです。わが党提案の意見書にご賛同をよろしくお願いします。

 最後に、「緊急地域雇用創出特別交付金制度の継続・改善を求める意見書案」についてです。

 わが党は、依然として厳しい雇用情勢のもと、若年者や中高年離職者対策をはじめとする雇用対策は喫緊の課題であり、交付金の延長と充実を求めてきました。その立場から、厚生労働常任委員会において具体案も示し、委員会発議となるように提案いたしました。ところが自民、民主の会派から委員会発議でなく、会派で提出するという意向が示されたのです。本来、各会派の一致するものについては委員会として提案すべきものであることを改めて指摘しておくものです。なお、意見書案は、わが党が委員会に提出した案文とほぼ同じであり賛成です。

 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。