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討論

意見書・決議案について山内 佳子府議の討論

2004/10/08 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の山内佳子です。日本共産党府会議員団を代表してただいま議題となっております9意見書案、及び1決議案について、4会派提案の「郵政事業の経営形態のあり方について国民的合意を求める意見書案」及び「地方財政の破綻防止を求める意見書案」に反対し、他の7件の意見書案及び1件の決議案に対して賛成の立場で討論をおこないます。

 まず、わが党提案の郵政事業の民営化に関する意見書案と4会派提案の「郵政事業の経営形態のあり方について国民的合意を求める意見書案」についてです。

 郵政事業は明治4年に始まり、明治8年には貯蓄手段の提供として郵貯が、また大正5年に国民に簡易に利用できる小口の保険を提供するものとして簡保が創業し、それ以降132年間、非営利の国営事業として営まれ、全国一律のサービスを保証してきました。 ところが政府は9月10日の臨時閣議おいて、日本郵政公社を分割民営化する方針を決定しました。

 そもそも郵政民営化は大手銀行や保険会社の要求から始まったものですが、民営化されれば、採算と効率化が重視され、国民が長年恩恵に浴してきた公的サービスが市場原理にゆだねられ、全国一律のユニバーサルサービスの継続・維持が困難になります。現状でも過疎地域の集配業務は採算割れになっており、料金値上げ等も予想されます。また郵貯も口座維持手数料の新設や、過疎地の局の廃止などが予想されます。ニュージーランドでは、民営化した後に、地方都市の郵便局廃止が相次ぎ、お年よりが年金を受け取れないなどの問題が続出したため、国営の小口金融機関が復活しています。

 4会派から提案されている意見書は、民間にできることは民間にという民営化の立場であり、5原則を踏まえることも要望されていますが、これは経済財政諮問会議で提案された郵政民営化の基本方針であります。また「改革の移行期」における配慮を求めていることをみても、「国民的合意を求める」と言いながらも、民営化を大前提にしたものであり、反対です。

 わが党提案の意見書案は国民の願いに応えて明確に郵政民営化に反対するものであり、みなさんの賛同をお願いするものです。 

 次に、4会派提案の「地方財政の破綻防止を求める意見書案」およびわが党提案の「国庫補助負担金及び地方交付税に関する意見書案」について、並びに、4会派提案の「市町村財政への支援の強化を求める決議案」についてです。

 政府が進めている「三位一体」改革は、初年度となった今年度、税源移譲をはるかに上回る国庫補助負担金と地方交付税等の削減にみられるように、国の地方への財政支出を大幅に削減することを目的としたものであることは明らかです。京都でも補助金の削減額が90億円以上にも及び、その結果京田辺市では、幼稚園園舎立て替えを進めてきたのに補助金が削減されて、立て替え計画に重大な支障を来たすなど、住民の福祉の向上と相容れない深刻な事態が急速に広がりました。地方自治体にとっては、予算編成の困難に直面し、府内の市町村長をはじめ全国で厳しい批判がわきおこったことは、みなさん御承知のとおりです。

 こうしたなか、地方6団体は「国庫補助負担金等に関する改革案」を提出し、国庫補助負担金の削減・廃止の変わりに、3兆円の地方への税源移譲、地方交付税制度を堅持して都道府県・市町村の財政運営に大きな支障が出ないよう求めたところであります。

 ところが、財務省は「公共投資の経費は建設国債でまかなっており、税源移譲の対象ではない」とし、廃止後の財源保障はないという姿勢です。経済財政諮問会議においても、民間議員から地方への財政支出を削減する改悪案を提出するなど、「三位一体」改革の名で進められようとしている現実は、まさに地方、住民の暮らしの切り捨てそのものに他なりません。よって「地方財政が破綻の道にすすむことのないように」するためには、本来国が責任をもつべき国庫補助負担金の削減・廃止ではなく、地方交付税の財政調整機能および財源保障機能を維持、充実することです。そのためにはいまこそ、小泉内閣の三位一体改革にたいして、地方から反対の声をあげることこそ必要です。このことを強く求めている我が党提案の意見書案は自治体関係者の願いに応えたものであり、賛同を求めます。

 4会派提案の意見書案は、いくらかの税源移譲と引き換えに、国庫負担金や地方交付税を大幅に削減する三位一体改革を前提としたものであり、市町村の苦しみに応えたものとはなっていません。よって反対です。決議案については、市町村財政への支援強化を求めるものであり賛成ですが、とりわけ規模の小さい町村が自立できるような支援策を求めておきます。

 次に、わが党提案の義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書(案)についてです。

 義務教育費国庫負担制度は、憲法、教育基本法に規定された国民の教育権を保障するために、「国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上をはかることを目的」とした制度であり、まさに公教育の根幹をなす制度です。

 文部科学省の試算では、国庫負担金が廃止され、全額を税源移譲した場合の各都道府県における現在の負担金の交付額との比較で、本府を含む四○道府県において減収となり、義務教育の財源保障をなくすとともに、当然、地方によって教育の格差を生むことになります。

 そればかりか、教職員定数配置に決定的な影響を与える国庫負担金が廃止されれば、今や圧倒的な国民世論にまで高まっている少人数学級実現などへの願いに背を向け、後退させてしまう事態になりかねません。

 だからこそ、日本PTA全国協議会をはじめ、全国の小学校校長会や中学校校長会など多くの教育関係者から、義務教育費国庫負担制度の堅持が強く求められているのです。わが党意見書案へのご賛同をお願いします。

 次に、私学教育の振興に関する意見書(案)についてです。

 小泉内閣は「三位一体の改革」としてあいついで国庫補助負担金の廃止を強行しようとしていますが、これには、公立の義務教育費国庫補助などとともに、私立高校学校等経常費助成費等補助金も対象とされ、その税源移譲も最大八割とされています。その結果、文部科学省の試算でも、本府で12億円も削減されることとなり、教育水準の低下、教育条件の後退など、三○年間にわたって培ってきた私立学校振興助成法にもとづく私学助成制度が、根底から崩されようとしています。

 長引く不況のもとで、生徒・父母の学費負担の重さも、私学の教育条件もかつてない危機的な状況にある今ほど、公教育費としての私学助成に係る財源保障が求められている時はありません。

 四会派から提案されている意見書案に対して賛成するものですが、この意見書案には、私学振興補助金制度廃止など、私学をめぐる緊迫した状況を反映していないという不十分さを持っています。

 わが党提出の意見書案は、私立学校振興助成法にある教育条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減をはかるために、私立高等学校等経常費助成費等補助金を維持し、一層の充実を図ることを強く求めているものです。賛同をお願いします。

 次に、自民党など4会派提案の「牛海綿状脳症(BSE)対する意見書案」についてです。

 いま政府が、現行検査技術では20ヶ月零以下のBSE感染牛の発見が困難であることを口実に全頭検査体制の見直しと、これをもとに米国産牛肉の輸入再開をしようとしていることに、多くの国民が不安を感じ、アメリカの圧力に屈した態度に強い憤りを感じています。

 すでに日本国内でも21カ月零の感染牛が発見されており、しかもアメリカでは個体管理ができていないため月齢が正確にはわからないこと、危険部位の除去に問題があること、肉骨紛の交差汚染の可能性があることなどからみても、20ヶ月零以下の牛が安全である保障はどこにもありません。また、20ヶ月零以下のプリオンの検査も可能との研究発表がすでにアメリカでおこなわれており、日進月歩の検査技術の発展があるもとで、全頭検査を見直す根拠はどこにもありません。

 よって、この意見書を提出することは当然であり、賛成するものです。

 今府議会には、食の安全を求める府民から、こうした意見書の提出を求める請願が、14件提出されました。これらの請願は、今回全会派一致で採択された京都府獣医師会提出の請願とまったく同趣旨であり、府民の願いに誠実に応える立場にたつなら、すべて採択されてしかるべきものです。それを理由にならない理由をつけて不採択にし、しかも「国への意見書提出を求める」とした京都府獣医師会の請願を全会派一致で採択しておきながら、委員会提出の意見書として取り扱うことにわざわざ反対し、会派提出に固執した自民党などの態度は、党利党略で議会運営をゆがめるものにほかなりません。このことを厳しく指摘しておきます。

 次に、「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の治療推進を求める意見書案」についてです。

 この病気は、意見書案にもあるように交通事故等、身体への衝撃によって発症し、誰でもが遭遇する日常的な出来事によって引き起こされる可能性のある病気で、長年苦しんでおられる潜在的患者数は20万人をこえるといわれています。現状を踏まえ対策を行うことが早急に求められています。患者や家族のみなさんは、この治療を行う病院は京都府内にはまだなく、大変な苦痛を伴いながら時間と費用をかけて他府県で治療を受けておられ、この病気や現状を認識していただき、府内の病院で一日も早く相談や検査・治療が開始されることを願っておられます。このことを指摘した上で、意見書案に賛成するものです。

 以上で討論を終わります。御清聴ありがとうございました。