議案に対する島田 けい子府議の討論
日本共産党の島田けい子です。
私は、日本共産党府議会議員団を代表して、ただいま、議題となっています議案十三件のうち、第五号議案に反対、他の議案に賛成の立場から討論を行います。
まず、第五号議案、京都府立学校授業料徴収条例一部改正の件についてです。長引く不況とリストラという経済情勢のなかで、府内で働く常用労働者の平成十五年度の平均給与は月に二十四万六千円にとどまり、五年前と比べて三万円も減少しています。一方、公立高校の子どもをもつ家庭の教育費は平均月四万四千円と年々増えており、府民の家計はますますきびしくなっています。こうしたなかで高校授業料を値上げすることは、府民生活をいっそう圧迫するものであります。また、政府の国民生活白書の中でも、子どもの将来の教育にお金がかかることが、子育てのつらさの一番の原因となっているといわれています。今回の教育費負担増は、府民の子育ての不安をますます高め、少子化対策に逆行する事態を招きかねないものであります。こうした府民のくらしの実態に目を向けず、国言いなりに三年毎に値上げを繰り返すやり方はやめるべきです。よって、第五号議案には反対です。
他の議案には賛成するものですが、二点について、指摘をさせていただきます。
まず、第一号議案中、債務負担行為の追加補正、府営住宅整備等事業費二三億九四〇〇万円についてです。
今年度当初予算で、PFI手法導入のモデルケースとして、府営団地への導入検討費一千万円が組まれました。PFI事業は、分離分割発注ができず、一括契約になるために、大企業への発注にかたより、中小企業、地元企業は下請けにしか入れないという問題や自治体の責任放棄、住民の担増、サービス低下を招く危険がある重大な問題のある手法です。
PFI導入にあたっては、これらの問題点を充分検討する必要があります。だからこその検討費一千万円であります。
ところが、予算的にも二十四億円を要し、内容的にも重要な事業であるにもかかわらず、今議会には、債務負担行為の追加補正ということで目立たない形で提案されています。
経過を聞きますと、昨年十一月に、PFI導入指針を策定したとのことですが、所管である出納管理局から議会総務委員会には説明がありません。今年七月にPFIの実施方針を決定したということで、A4版二ページの「概要説明」のみ報告がされたわけです。当然ながら、「VFM」つまり、これまでの建設方式と、PFI方式の比較検討結果について、議会にきちんと報告されるべきものです。ところが、建設常任委員会で質疑の中で、「「特定事業」として9月15日に決定をされた」との答弁があっただけで、事業費6%減の詳細な説明とその根拠もしめしませんでした。議会にも知らせず、府民も知らせずでは、「情報共有」「説明責任」どころか、「情報隠蔽」「説明放棄」ではありませんか。まったくの議会軽視といわざるをえません。府営常団地の立て替えそのものは賛成ですが、こういうやり方で、二十三億九千四百億円の債務負担行為の追加補正をすることには反対するものです。
次に、第二号議案中の府立医科大学附属病院外来棟等の整備事業についてです。私どもとしてもこれまで、附属病院については、外来棟をはじめ病棟、病室の換気など療養環境や診療室の衛生管理上の問題、NICUの改善、さらには、こども病院の療養環境の整備などを求めて参りましたので、立替整備をされることは賛成するものですが、問題はその中身と手続きです。
第一に、整備計画があまりにも急ごしらえのものとなっていることです。医大病院の整備を口実として、洛東病院を廃止するために、急ごしらえの検討が行われたことが今議会で明らかになりました。
知事は、本会議で、「内科系・外科系をあわせた小児や脊椎損傷も含めた急性期リハビリを平成十七年度、来年度四月から実施する予定である」と答弁しましたが、文教常任委員会では、医大事務局長は「知事の答弁を受けまして、これから大学内部で検討する」とのことであり、まったく寝耳に水のような答弁でした。結局、具体的内容については、なんら、明らかになっていません。これでは、洛東病院のリハビリ医療を附属病院が担いうるのかどうか、検討のしようがないではありませんか。
昨年三月、医科大学附属病院外来診療棟整備構想が策定され、その後パブリックコメントなどを実施して、今年三月には「基本計画」が策定をされましたが、この中には、リハビリテーションの総合拠点整備は、入っていませんでした。ところが、今回提案された「外来診療等整備の方向」には、これが、突然、盛り込まれました。
平行して、今議会に示された、「きょうと健康長寿日本一アクションプラン」案は、九月七日の第三回検討委員会まで、議題にも上っていなかった「附属病院のリハビリ医療の拠点整備」が、九月二十七日に発表された「中間まとめ」に急遽盛り込まれました。これも、九月十日、知事が、「洛東病院については廃止という検討委員会意見を尊重するべき」と記者会見して、あわてて、盛り込んだのは明らかです。
洛東病院の廃止について、包括外部監査と急ごしらえの府立病院あり方検討委員会が外堀を埋めるような働きを急速に進めたことは、代表質問で、わが党の本庄議員が指摘をした通りです。
とりわけ、「あり方検討委員会」に京都府が呼んだNPO法人「公的病院をよくする会」は、その実態は医業経営コンサルタント会社であり、しかも兵庫県で昨年九月に認証されたばかりの団体です。いかにも市民代表であるかのようにカモフラージュして参加し、ここが府立医大病院への統合を結論づける中心的役割を果たしているのです。
どこからみても、洛東病院を廃止という財政当局や知事がしいたレールの上でのつじつまあわせが行われたことは明瞭です。
第二に、整備計画に盛り込まれたリハビリテーションの総合拠点整備についてです。外来診療棟整備の完成年度は二千二十三年とこれから八年も先のことです。しかも、洛東病院の回復期リハビリの機能は医大には引き継がれません。常任委員会でも指摘しましたが、医大病院が担う急性期リハビリを効率よく運営するためにも、民間医療機関では対応のむつかしい重度の障害をもつ患者さんの回復期・維持期の体制は公的に整備をする必要があります。
あり方検討委員会でも、「京都府のリハビリテーション施策は決して進んでいない」と指摘されており、昨年二月の予算委員会で保健福祉部長も「高齢化社会におけるリハビリ医療に対するニーズ的確に応えていくことを視点に、来年度から、病棟再編による新しい病棟の新設など、充実強化を図り、特色のある病院つくりをすすめていく」と、答弁しているのです。 あらためて、全府的なリハビリテーション施設のあり方を検討する専門委員会を立ち上げて、早急に、洛東病院の立て替え、充実もふくめ、京都府のビジョンをあきらかにすべきです。附属病院外来棟の整備計画が承認をされたとしても、この年度末に洛東病院を廃止することは絶対にあってはなりません。
洛東病院は廃止しかないという最大の理由は、財政問題であり、五十億円が出せないとのことですが、たとえば、府民から見て急ぐ必要のない「丹後の大規模公園事業」は五十億円もかけてつくる計画です。府民にとって、どちらに緊急性・重要性があるかは明瞭です。
いずれにいたしましても、洛東病院の廃止の結論をおしつけるのでなく、引き続き、府民と議会への情報公開を行い、幅広い声を聞くことを求めるものです。
以上で討論をおわります。ご静聴ありがとうございした。