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政策と見解

2005年度京都府予算に関する申し入れ

2004/11/05 更新
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 三年余にわたる小泉構造改革は、府民の暮らしと京都経済に深刻な痛撃を与えるばかりでなく、「三位一体改革」という形で、いくらかの税源移譲と引き替えの国庫補助負担金や地方交付税の大幅な削減によって、地方自治体に大きな「痛み」を押しつけています。その上、政府は年金制度の改悪に続き、消費税の大増税、医療・介護・障害者福祉などの全面的改悪を計画し、国民の将来不安をますます大きくしています。

 また、引き続く景気の低迷の中、京都経済の担い手である中小企業の経営はますます悪化し、中高年はもとより青年の就職難や経済苦を理由とする自殺者の増加など、雇用・失業問題はいっそう深刻です。とりわけ、甚大な台風23号被害のなか、住宅・生活再建支援をはじめとした災害対策に、京都府が独自の積極的役割を果たすことが強く求められています。

 いま、府民の暮らしと京都経済が大変な事態にある時にこそ、地方自治体は、住民の暮らしを守り、「住民の福祉の増進をはかる」ことが求められています。ところが、京都府の「行財政改革指針(かいかくナビ)」や府が今年末までにまとめるとしている「経営改革プラン」(素案)では、これまでの職員のリストラや住民サービス切り捨てなどの「削減型改革は限界」であり、「行政の運営手法を根本的に見直し、行財政体質の構造的改革が必要」とされています。さらに、「改革の視点」の一つとして「府民・民間企業・市町村との役割分担と協働」があげられ、民間企業を役割分担と協働のパートナーと位置付け、公的責任を放棄して、民間企業に公務を「市場開放」しようとしています。この「改革」の先取りは、すでに洛東病院問題に集中して現れており、「住民の福祉の増進」にまったく逆行するものとなっています。

 来年度の予算編成にあたっては、こうした姿勢を根本から改め、府民の暮らしと雇用を守り、福祉の向上をはかることを第一とすること、そして、市町村合併の押し付けや地方交付税の大幅削減等にきっぱりと反対し、市町村が住民の暮らしを守り、地域振興をはかれるよう全面的な支援を強めることが必要です。また、予算編成においては、情報の徹底した公開、住民の声と要望を予算に反映させるシステムの構築が求められています。

 よって、京都府におかれては、次の事項に留意し、来年度予算を編成するよう求めるものです。

(1)深刻な事態にある府民の暮らしを支えるため、福祉や医療、教育などの充実、青年に仕事をつくり、安定した雇用をふやす雇用対策、経営困難に直面している中小企業・伝統地場産業の支援、農林漁業者の営業を守る対策を重視するなど、「暮らし応援」の予算とすること。

(2)台風23号等による甚大な被害の早急な復旧はもちろん、風水害や地震による被害を最小限とするための河川改修、急傾斜地対策、耐震強化や防災・安全対策を最優先とすること。

(3)国の責任を放棄する国庫補助負担金や地方交付税の削減に反対し、地方交付税率の引き上げ、高金利政府資金・地方債の借り換え、税財源の移譲などの財政措置を国に求めること。

(4)学研都市開発、丹後大規模公園、木津川右岸運動公園、畑川ダム、和田ふ頭など、不要不急の事業は、いったん中止すること。あわせて、京都市内高速道路、関西空港二期工事の中止を求めるとともに、出資金の支出はただちに中止するなど、大規模開発・大型公共事業の徹底した見直しを行い、ムダをなくすこと。

 また、次の「当面する緊急重要事項」の要望を十分勘案し、予算に反映されるよう申し入れます。

当面する緊急重要事項

1.雇用の確保と安定をはかり、府民の暮らしを守る

 ひきつづく景気の低迷の中で雇用・失業問題は依然として深刻で、とくに、青年の就職難やフリーター、ニートの増加は、一刻も放置できない事態です。青年に仕事を保障し、安定した雇用を増やすため、大企業に社会的責任をはたすよう強く働きかけるとともに、中高年齢者、女性、障害者の就業支援など、自治体としての雇用促進対策を抜本的に強化するよう求めます。

(1)深刻な就職難にある高校生・大学生やフリーター、ニートとなっている青年など、未来をになう青年に仕事を保障するため、大企業にたいし、新規採用抑制を中止し、青年を正社員として採用するよう、知事を先頭にして強く働きかけること。高卒の新規就職者を受け入れる中小企業にたいして、補助制度をつくること。

(2)若年者就業支援センターのいっそうの機能強化をはかり、北部センターを早急に設置するとともに、職業訓練や就職説明会などの拡充をはかること。新規未就職者の職業訓練、生活保障や雇用保険適用が受けられるよう雇用保険法の改善を国に求めること。

(3)介護基盤整備の促進など福祉施設の充実、30人学級の実施、消防力基準をみたす消防職員の配置など、地元での雇用の場の拡大をすすめること。緊急地域雇用創出特別交付金事業の継続・拡充を国に強く求めるとともに、府としても、生活関連、福祉型公共事業を中心とした緊急雇用対策をさらに拡充すること。

(4)失業や経営破たんで暮らしが成り立たなくなっている府民を救済する臨時の公的就労制度をつくること。「暮らしの資金」の大幅な増額・通年化を実施すること。離職者支援資金の貸しつけ要件を緩和し、誰でも使えるよう、府独自の対策を講じること。

(5)中高年離職者や女性の再就職支援対策などを強めるとともに、法定雇用率を下回っている障害者の自立・就業支援対策の充実をはかること。

(6)雇用拡大のためにも、国に対し、大企業のリストラを規制する法制化、違法なサービス残業の根絶など、労働条件の抜本改善の諸施策を講じるよう求めること。また、本府として、京都労働局と連携し、サービス残業を放置する企業名の公表など、実効ある措置を講じること。派遣、契約、パートなどで働く労働者への差別・格差をなくし、「均等待遇」のルールを確立するよう、国に強く働きかけること。

(7)企業がすすめる解雇、人員削減、工場閉鎖などのリストラ計画の事前届出、地域経済と雇用への影響調査、地元市町村や商工会議所(会)など関係機関との協議を求める「リストラ対策条例」を制定するなど、雇用確保に最大限の努力を行うこと。

2.不況打開、京都経済の立て直しを

 政府は「景気は持ち直し」などと言っていますが、落ち込みの特にひどい京都の府民と中小零細企業、商工業者の実感からはほど遠いものです。府民の暮らしを守るためにも、経営困難に直面している中小企業・伝統地場産業を支援し、京都経済の立て直しをはかることは、引き続き、府政の重要課題となっており、次の諸対策を強く求めます。

(1)消費税の大増税計画をやめるよう、国に強く要求すること。

(2)「和装産業、伝統産業の振興を図る条例」の制定にあたっては、中小企業や伝統・地場産業の実態調査を府をあげてとりくむとともに、「京都経済再生会議」(仮称)をつくり、関係者の英知を結集して、京都経済の立て直しのため、真に実効ある条例・振興策の確立をはかること。

(3)枠的単独事業のこれ以上の削減をおこなわず、府の行う公共事業について、生活密着型への転換、分離・分割発注をさらにすすめ、地元中小建設業者や官公需適格組合の仕事確保をはかること。また、バリアフリー化、耐震性の強化などを促進し、中小建設業者の仕事を確保する「住宅改修助成制度」を創設し、すでに実施している府内自治体に対し、支援を行うこと。小規模事業者登録制度を創設すること。

(4)地域経済と商店(街)、生活環境に大きな影響を及ぼす大型店の相次ぐ出店を規制するため、小売商業調整特別措置法を活用し、自治体の独自規制を強化できるよう支援すること。また、国の大店立地法の見直しにあたって、需給調整排除の条項を削除するよう求めること。商店街と地域住民が協力して安心して暮らせる「まちづくり条例」を制定し、市町村と協力して大型店の無秩序な出店にたいする強力な指導を行うこと。商店街振興のための支援を抜本的に強めること。

(5)「不良債権早期最終処理」の強行に反対し、不況のもとでも必死の経営努力を続けている中小企業が「貸しはがし・貸し渋り」などで倒産・廃業に追い込まれることがないよう、「地域金融活性化条例」を制定し、金融機関への監視・是正勧告ができる体制の確立をはかること。「貸しはがし・貸し渋り防止110番」を設置すること。

(6)新規開業や新事業への転換、新製品の開発に取り組む中小企業・業者に対し、無担保・無保証人・低利で、事業が成功したときから返済が始まる融資制度の創設、信用保証協会の保証枠の拡大など、融資制度の改善・充実をはかること。

(7)中小企業金融の実態を調査し、「景気回復までの返済猶予」など、積極的な融資対策を講じること。中小企業あんしん借換融資について、国民金融公庫など政府系金融機関分にも対象を拡大し、新年度以降も延長・継続すること。

3.農林漁業への支援・振興で、府民のふるさと・農山村を守る

 いま、日本の食料・農業は、農産物輸入の急増と政府の価格政策の放棄による生産者価格の低落などで農家の経営が深刻化し、生産も減少しています。さらに、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザの発生、産地偽装など食の安全を脅かす事態も相次いでいます。また、台風23号による農林水産業の被害は100億円をこえるなど、重大です。こうしたもとで、国内農業の発展、自給率の引き上げを基礎にした安全な食料の供給を求める声がますます大きくなっています。

 ところが、政府は、食料・農業・農村基本法にもとづく「基本計画」の見直しにあたって、食料自給率引き上げ目標を先送りし、農政の課題について、米作を中心に農業の規模拡大を最大の課題とし、認定農家などを農業の担い手とし、「明確に絞った上で集中的重点的に実施する」として、多くの家族経営農家を切り捨てようとしています。これは、小規模、家族経営中心の京都の農業に大きな打撃を与えるものです。

 こうした「基本計画」見直しに反対し、京都の農林漁業を支援・振興し、ふるさと農山村を守るため、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)「米政策大綱」の具体化に反対し、家族経営を守る立場を堅持すること。そのためにも、04産米の大幅な米価下落対策を講じるとともに、府として農産物の価格・所得補償対策を積極的に講じること。米輸入の削減、米価の下支え、備蓄制度の見直しをすすめ、減反の拡大は行わないよう政府に強く要求すること。WTO交渉にあたっては、米を自由化の対象から外すよう要求すること。また、MA米は対外援助にまわすよう政府に要求すること。

(2)畜産振興のため、飼料の自給化、家畜診療体制の強化、酪農ヘルパー制度の拡充など、経営安定対策を強化すること。BSE全頭検査と米国産牛肉の輸入禁止措置の継続を求めるとともに、本府として全頭検査を継続すること。BSE発生の原因究明とその早期解決をはかる対策の強化を国に強く要求すること。

(3)鳥インフルエンザ発生の教訓を生かし、家畜保健衛生所体制の強化、防鳥網設置への補助の拡充など、感染防止対策の充実、流通・販売業者の営業補償を含む被害補償対策の充実をはかること。国に対しても損害補償対策の充実、人間と家畜の共通の感染症に対応するため、行政や法制度の一元化をはかるなど抜本的な改革を求めること。

(4)外材の輸入規制、緊急を要する除・間伐へのいっそうの支援対策、造林経費控除を経費全額に引き上げることなどを国に求めること。

 国産材の利用促進のため、公共事業や学校など公営施設での府内産材の優先使用、間伐材の利用など、需要拡大のための積極策を講じること。府内産材使用の住宅建設について、助成制度を設けること。バイオマスによる間伐材や木くずの燃料化、バイオマス発電の推進など山村地域での新たな事業の促進をはかること。

(5)漁港整備の促進、育てる漁業、資源管理型漁業、沿岸漁業のいっそうの振興をはかること。水産加工、商品開発、流通への支援、加工施設整備への支援の強化をはかること。

(6)「食の安全」を確保するため、食品衛生監視員の増員・専任化をはかり、保健環境研究所、保健所、消費生活科学センターなどの体制強化と検査機器の充実をはかること。

(7)「地産地消」の促進をはかるため、米飯給食だけでなく、学校給食や府立の福祉施設・病院等で地元産食材の活用をはかること。減反農家に小麦の転作を奨励し、学校給食のパンなどに使用すること。

(8)「農業農村振興条例」を制定し、農家の組織化・共同化の取り組みに対する助成、後継者・担い手育成対策の強化など、総合的な農業振興対策を講じること。中山間地直接支払い制度の継続と拡充、改善を政府に要求し、その積極的活用をはかること。集落の取り組みに対する支援を抜本的に強めること。

(9)有害鳥獣対策予算を大幅に増額し、効果的な駆除・防除対策を実施すること。国に対し、有害鳥獣対策への助成制度と被害補償制度の実施を求めること。

(10)合併農協が支所廃止、営農部門の切り捨てなど営利本位に走ることなく、農協本来の役割が果たせるよう指導を強化すること。

4.ゆきとどいた子育て環境の整備で、安心して子育てができる京都に

 京都府における合計特殊出生率は1・15となるなど、少子化傾向がいっそう進んでいます。若い世代においては、高い失業率と不安定な雇用や家庭を犠牲にする長時間労働の拡大、収入の減少や経済的負担の増加、保育所の不足など、子どもを産み育てることが一層困難になっており、小泉内閣のすすめる「構造改革」は、それらの現状にいっそうの困難をもたらそうとしています。国民の暮らしを支え、人間らしい生活をとりもどす「ルールある経済社会」の方向への転換と地方自治体の子育て対策に対する予算を抜本的に拡充するよう、国に求めるとともに、本府として、府内市町村と連携して、安心して子どもを生み、育てることのできる条件づくりをすすめることが大切であり、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)乳幼児医療費助成制度を、通院も入院と同様に、就学前まで無条件に無料化し、救急医療をはじめ小児医療体制の整備をはかること。府立医科大学附属病院の建て替え整備による「小児医療センター」は、小児医療の総合的拠点にふさわしい内容となるよう整備・拡充すること。あわせて、患者家族宿泊施設の整備を行うこと。

(2)次世代育成支援法にもとづく「京都未来っ子21プラン」の見直しにあたっては、広域振興局単位に懇談会を開催することをはじめ、住民・関係者の要求・意見を積極的に反映させて、実効ある計画とすること。また、企業の行動計画づくりと有給休暇や労働時間短縮など労働条件の改善に向けて、国と協力しながら指導・援助を強めること。養護学校児童生徒をはじめ、障害児をふくむ学童保育体制の抜本的整備、保育料の軽減、一人親家庭への支援の強化などにつとめること。

(3)改正DV法の趣旨にもとづき、婦人相談所、配偶者暴力支援センターの体制を強化すること。また、京都市内と府北部、南部に配偶者暴力相談支援センターを設置すること。吉田母子寮、綾部若草寮の整備と機能拡充などを行い、緊急一時保護施設、母子生活支援の拡充を行うこと。公営住宅母子優先入居枠の拡大、民間シェルターへの財政支援など、被害家庭への総合的支援体制を確立すること。そうした内容をふくむ京都府の「基本計画」を早急に策定すること。

(4)児童相談所について、24時間の児童虐待相談体制を確立すること。児童相談所に「子ども家庭相談センター(仮称)」を設置するなど、被虐待児童と家族への総合的支援が可能となるよう機能を拡充すること。

(5)「子ども発達支援センター」は、外来診療予約が半年から一年待ちという状況を一刻も早く解消し、ADHD・LD・高機能自閉症などの障害児もふくむ障害児の早期発見・早期療育体制を確立するため、精神科医師や専門スタッフの増員を行って診療・療育・相談体制の拡充・強化を行うこと。新センターへの交通手段の改善と保育室の設置を行うこと。北部にも地域療育センターを整備すること。

(6)アレルギー性疾患対策についての府としての総合的な方針を確立すること。アトピー、シックハウス症、ぜんそくなどアレルギー性疾患について実態調査を行うこと。アレルギー性疾患に対する専門知識をもった保健師や栄養士などの積極的な人材の育成、研修などの系統的で計画的な支援と「アトピー110番」など気軽に相談できる窓口の設置を行うこと。

5.安心できる年金制度の確立、保健・医療・福祉の充実、介護保険の改善、障害者福祉の充実など、安心して暮らせる社会保障制度の実現と基盤整備をすすめる

 相次ぐ医療改悪、年金改悪による国民負担増と給付の削減が進められる中で、国民の不安は一層高まっています。国においては介護保険制度の見直し、障害者支援費制度の見直し統合の議論が進められているが、いずれも、保険料・利用料などの国民負担増と給付の抑制を進める内容となっています。また、本府は、洛東病院の廃止方針を打ち出すなど、国の「構造改革」路線を府民に押し付けていますが、こうしたやり方を改め、府民のいのちと暮らしを守る京都府として、社会保障予算の抜本的増額と国民のための制度改革となるよう国に要求するとともに、本府として、次の諸対策の実施を強く求めます。

(1)洛東病院は、廃止計画を撤回し、同病院をリハビリ中核病院として整備・拡充するとともに、京都府の総合的なリハビリテーション提供体制を早急に確立すること。

(2)改悪年金法は白紙に戻し、国民的議論を通じて国民すべての年金権確立のための「最低保障年金制度」をつくり、あわせて、国庫負担を2分の1に戻すよう国に求めること。

(3)介護保険制度の見直しについて、国に対し次の事項を求めること。給付抑制、施設入所者からの給食費・居住費の徴収などの負担増をやめること。在宅、施設両面での介護基盤整備に必要な予算を確保すること。 恒久的な低所得者に対する保険料・利用料の減免制度を設けること。 そのために、介護給付費に対する国庫負担割合を2分の1に引き上げること。

(4)府として、独自の介護保険料・利用料の軽減策を行うこと。施設・在宅両面での基盤整備を計画的にすすめ、特別養護老人ホーム等の入所待機者の解消をはかること。介護者激励金を復活すること。宅老所をはじめとした「地域密着・小規模多機能ホーム」等の拡充、地域ネットワークづくりなどをすすめること。また、成年後見制度による財産管理への助成、老人性痴呆症の専門的治療・研究をすすめること。

(5)障害者支援費制度について、次の事項につき、国に求めること。介護保険制度との安易な統合による応益負担の導入、給付重点化の名による福祉サービスの切り捨てをやめること。在宅・施設両面での基盤整備を急ぎ、生活実態に見合ったサービスとなるよう必要な予算措置を行うこと。障害者自立支援計画などで、出された関係者の要望に真摯にこたえるとともに、サービス基盤の地域偏在を解消するため、京都府の役割を発揮すること。障害者医療費助成を拡充すること。

(6)自己負担限度額を超える高額医療費の償還払いについて、医療機関の協力もえて委任払い方式をつくるなど手続きの簡素化をはかり、窓口での負担を軽減すること。また、現物給付方式に戻すよう国に求めること。

(7)国民健康保険への国庫負担を45%に戻すよう国に求め、高すぎる保険料の引き下げを実現し、保険料を払えない状況をなくすこと。また、保険証の取り上げ、資格証明書・短期証の発行を市町村におしつけないこと。

(8)府立医大附属病院の整備にあたっては、第一種感染症指定の病床を整備するとともに、引き続き、SARSなど新たな感染症に対する対策の抜本的強化をはかること。また、C型肝炎対策、高次脳機能障害の専門医育成などの対策に着手し、体制を整備するとともに、緊急に福祉制度の運用を拡充すること。精神科救急医療体制の整備を引き続きすすめること。

(9)生活保護の母子加算の廃止、基準引き下げに反対すること。生活保護の申請用紙を関係機関の窓口に設置するなど、生活保護を受ける権利を保障すること。医療券方式を医療証方式にきりかえるなど、抜本的な改善を行うこと。生活保護世帯への見舞金を新年度以降も継続すること。

6.大規模開発・公共事業の抜本見直しで、不要不急の事業を中止し、公共事業は災害対策・生活基盤整備に切りかえを

 バブル期に計画された大規模開発・大型公共事業は、単に規模を縮小するだけでなく、中止を含めて思い切った見直しを行い、府民の命と財産を守るため、地震・風水害など防災対策を最優先とするとともに、公共事業を生活密着型の基盤整備に切りかえるため、次の諸対策を実施するよう強く求めます。

(1)台風23号等による被害の復旧対策を急ぐこと。遅れている土石流発生危険箇所や地滑り危険箇所、堤防危険箇所、急傾斜地、老朽ため池、浸水常習地域等の改修を急ぎ、災害防止対策を抜本的に強化すること。また、舞鶴市の高潮による浸水被害への抜本的対策を講じること。

(2)活断層調査の促進、東南海・南海地震の「防災対策推進地域」の山城地域の追加指定など、大規模地震対策を強化すること。学校、公共施設の耐震診断、補強工事を急ぐこと。木造住宅の耐震診断制度の活用の奨励、耐震住宅改修への助成制度を創設すること。

(3)和田ふ頭、丹後大規模公園、木津川右岸運動公園などの建設はいったん中止すること。学研都市開発計画は、全面的な見直しをすすめ、自然が生かされたまちづくりへと転換すること。畑川ダム建設は、過大な水需要予測を再検討し、ただちに中止すること。

(4)丹生ダム・大戸川ダム・天ヶ瀬ダム再開発事業は、府として、過大な水需要計画を改め、水利権を放棄しダム計画から撤退すること。

 府営水道について、住民の負担軽減措置を行うこと。乙訓浄水場系の運営は、責任水量制を見直し、2市1町との「給水に関する協定」をいったん白紙にすること。

(5)京都市内高速道路は市内の交通渋滞と環境破壊をいっそうすすめるものであり、建設の中止を求めること。本府は、阪神道路公団から撤退すること。高速道路とそのアクセス道路建設優先の道路政策を改め、府民の生活と地域経済に結びついた生活関連道路の建設・整備優先に切りかえること。

(6)公共事業の発注にあたっては、「公共工事入札・契約適正化促進法」にもとづき、入札及び契約の透明性を確保し、談合など不正行為の排除や元請・下請の契約関係の適正化につとめること。地元企業・中小企業の育成に配慮した、ランク別などの条件付一般競争入札を基本とすること。公共工事に従事する労働者の適正な賃金や労働条件を確保するため、実態調査と「公契約条例」の制定を行うこと。

(7)府営住宅をストック活用だけでなく大量に建設すること。府営住宅の建設から管理運営までを大手企業の営利に委ねるPFI手法の導入はやめること。既存住宅のバリアフリー化、エレベーターの設置を急ぐこと。エレベーターの電気代及び耐用年数がすぎた長期入居者の部屋の畳・ふすま等の取替えは、府の費用負担で行うこと。

(8)マンション管理適正化法の趣旨にのっとり、府として早急に実態調査を行い、専門家によるマンション総合相談窓口の設置、管理組合の育成・援助、大規模修理に対する融資など、府独自の対策を行うこと。

(9)「都市再生緊急整備地域」の指定など、民間企業主導の乱開発をすすめる施策に反対すること。キリンビール跡地の開発については、キリンビールに計画の再検討を求めること。

(10)世界歴史遺産、伝統的建造物、重要文化財などの周辺にバッファゾーンを指定し、景観保全をはかること。景観法の積極的活用をはかり、マンション建設等に高さ・意匠規制を強化すること。

7.「環境京都」にふさわしい環境行政の確立を

 COP3の開催地・京都でこそ、府民が安心してくらせる環境の早期実現をめざし、目標の進行管理を含め実効性のある取り組みを住民参加で行うことが求められています。そのため、環境汚染を規制し、生態系を守るとともに、地球温暖化を抑えるための京都議定書を実現する施策を率先してすすめる必要があります。また、環境破壊につながる大型公共事業はいったん凍結し、見直しのための住民参加と情報公開、代替案の検討が必要です。よって、次の諸施策の実施を求めます。

(1)地球温暖化防止のために、二酸化炭素削減対策を抜本的に強化することを国に求めるとともに、府独自にも積極的に推進すること。

 そのために、都市再開発や地域の各種開発プロジェクト等による浪費と環境破壊をなくし、エネルギーの効率的利用、再生可能エネルギーの開発・利用を促進するなど、資源エネルギーの浪費構造をあらため低エネルギー社会に転換するようつとめること。また、風力・太陽光発電など環境に配慮した自然エネルギーの普及・活用・開発に本格的に取り組み、電力会社に買い取りを義務付けるとともに、意欲のわく売り渡し価格を設定するよう国に求めること。

(2)地球温暖化防止に逆行する年間880万トンものCO2を排出する舞鶴石炭火力発電所の操業を中止し、2号機建設は行わないこと。また、京都市内高速道路の建設はただちに中止を求めること。都市の環境を保全・回復し、河川敷の緑化や屋上、壁面緑化の推進などを含めて市街地の緑化などの対策を強化し、ヒートアイランド化を防止すること。

(3)府内各地で依然として続発している産業廃棄物の不法投棄を根絶させるために、府が策定した「産業廃棄物規制条例」にもとづいて、徹底した立ち入り検査の実施、不法投棄のルートと関与者の解明、違反者はもちろん排出者の責任による撤去を実施させるなど、実効ある措置をとること。

(4)ごみの発生を設計・生産段階から削減する拡大生産者責任を明確にしていない家電リサイクル法、容器包装リサイクル法、建設リサイクル法などの改正を国に強く求めるとともに、府としても、市町村に対する積極的な指導援助を行うこと。

(5)ごみの「焼却中心主義」、「埋め立て中心主義」からの脱却をはかるためにも、府の「ゴミ処理広域化計画」を見直し、市町村に強制しないこと。RDFの製造・貯蔵を含む廃棄物処理場について、安全基準が策定されないもとでの設置については認めないこと。

(6)ダイオキシン対策を引き続き強化すること。調査・監視体制の強化とともに、発生源対策を抜本的に強化すること。国と事業者の責任で、ダイオキシンの発生を未然に防止するよう求め、府は、事業者が製造の段階から塩化ビニールなど、ダイオキシンの発生の原因となる物質の生産を大幅に減らし、使用後は回収して再利用を図るよう指導を強めること。また、府として、府保健環境研究所にダイオキシン検査体制を整備するなど、体制の強化をはかること。

(7)多発している工場跡の土壌汚染にたいし、土壌汚染対策法も活用して、実効的な対策を講じること。また、有害化学物質による環境汚染を防止するため、PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)にもとづいて、有害化学物質の調査・研究など対策の抜本強化をはかること。とくに、ディーゼル車の排ガス規制の強化など二酸化窒素や浮遊粒子状物質削減対策、有害大気汚染物質(ベンゼン、トリクロロエチレン、ジクロロメタンなど)の環境保全目標の達成、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)への本格的な対策、シックハウス問題への抜本対策等を講じること。

(8)中小企業の公害防止対策や公害対策の研究・開発について、助成制度及び税制上の優遇措置のいっそうの拡充をはかること。

(9)硫酸ピッチなど、危険な産業廃棄物の不法投棄に対して、府民の安全を確保するため、警察や消防、市町村とも連携して、行政による代執行も含めた断固とした措置をとること。

(10)重大事故が相次ぐ原発の総点検、老朽原発の段階的廃止を国と関西電力に要求すること。府下全域を対象とした原発防災計画の見直しを急ぐこと。もんじゅの再稼動、高浜原発3・4号炉のプルサーマル計画の中止を求めるとともに、久美浜原発計画の中止を求め、事前環境調査を行わせないこと。

8.教育基本法と「子どもの権利条約」を生かした「教育改革」と学校づくり、文化・スポーツの振興を

 教育行政の第一の責務は教育条件の整備であり、「30人学級」の早期実現や私学助成の拡充など、府民の切実な願いに応えることです。政府・自民党が、教育の荒廃の原因を教育基本法に求め、その改悪をねらう策動には根拠も道理もありません。国の教育介入と不当な支配をやめさせ、父母、子ども、教職員、住民が主人公の真の教育改革にきりかえるため、次の諸施策の実施を求めます。

(1)教育基本法の改悪にきっぱり反対し、義務教育費国庫負担制度を堅持して、教育の機会均等、教育水準の確保と無償制の原則という国の責務を果たすよう、国に求めること。

(2)学級再編基準を改善し、少人数学級については「選択実施」にとどめず、府独自でも30人学級の早期実現をはかること。また、小学校段階から「できる子」「できない子」に分ける習熟度別授業の画一的押しつけと強制をやめること。さらに、点数至上主義がはびこり、競争の教育に拍車をかけ、教育現場に深刻な矛盾と混乱をもたらしている「学力診断テスト」や「業者テスト」の実態を調査し、改善と是正をはかること。いじめ、不登校、学級崩壊などの教育困難に対して支援体制を強化すること。

(3)「府立高校改革推進計画」にもとづく高校統廃合計画をやめ、希望するすべての生徒にゆき届いた高校教育の機会を保障する真の「高校改革」を進め、地域の高校を守り発展させること。総合選抜入試制度つぶし、通学区域の拡大、高校序列化や中高一貫校化など、「特色」の名で高校間格差と競争の激化を招くやり方をやめること。通信制・定時制の廃止・縮小をやめ、南部地域に新設すること。

(4)府南部地域の宇治市、八幡市、城陽市に養護学校の新設をすすめること。特別支援教育の実施・移行に際しては、障害児教育の後退でなく、障害児学級の存続と発展、通級指導教室の拡充・整備など、障害児教育条件のさらなる拡充を行うこと。LD、ADHDなど新たな障害児教育の対象となる子どもたちへの支援体制を充実すること。

(5)養護教員、事務職員の複数配置をはじめ、学校給食改善をめざす栄養教諭・職員の全校配置、専任の図書館司書の全校配置など、ゆき届いた教育を進めること。

(6)安心、安全の学校をつくるため、耐震補強工事や普通教室の冷房化、バリアフリーの促進などをいっそうすすめること。そのために、国に対し国庫補助制度の拡充を求め、市町村への支援を行うこと。

(7)私学助成を大幅に引き上げること。直接助成の単価改定、授業料減免制度の拡充を行うこと。通学費補助、就・修学援助制度の拡充、奨学金制度の充実など、保護者負担の軽減をはかること。

(8)府立文化会館の運営費補助を大幅に引き上げるとともに、非営利目的の文化活動をすすめる団体の公共文化施設の利用に際しては、利用料の減免などをはかること。公的スポーツ施設の増設、整備の拡充、利用料金の引き下げなど、府民のスポーツ活動の振興をはかること。

9.市町村合併の押し付けをやめ、住民自治の確立、「府民が主人公」の府政運営を

 政府は、地方交付税や国庫補助負担金の大幅削減など地方財政の切り捨てを推し進めつつ、強引な市町村合併による地方自治の破壊を進めています。こうした「地方財政切り捨て」「市町村合併の押し付け」をきっぱりやめて、真に市町村自治の確立をはかるとともに、いっそうの情報公開と府民参加を広げ、「府民が主人公」の府政運営をはかるため、次の諸施策を行うよう求めます。

(1)知事に「合併に関する勧告」の権限等を与えた新合併三法は、市町村の自主決定権を侵害し、地方自治の根幹を否定するものであり、国に撤回を要求すること。地方交付税や国庫補助負担金の大幅削減など地方財政の切り捨てでなく、地方交付税制度を維持・拡充するよう強く国に求めること。

(2)府として、市町村合併の押し付けや介入はいっさいやめ、市町村の将来はあくまで住民自身の自主的判断で決められるよう、徹底した情報の公開と住民投票など住民の意思を尊重するよう市町村に働きかけること。

(3)「自立」をめざしてがんばる規模の小さい市町村や住民の地域づくりを支援するため、財政的支援及び専門職等の人的支援を強化するとともに、地域おこし事業への支援の拡充、市町村振興資金の低利への借り換えなどを強化すること。

(4)市町村と連携し、京都交通問題への責任ある対応を行い、過疎地域をふくめ通院・通学などの「生活の足」の確保、地域住民の「交通権」を保障するための財政的支援の拡充を国に求めるとともに、府としての財政面もふくめた支援強化をはかること。コミュニティバス路線の確保など、生活関連交通機関の整備・充実をはかること。

(5)男女平等のいっそうの促進を図るため、策定された「男女共同参画条例」の運用にあたっては、憲法及び女子差別撤廃条約の男女平等の理念の徹底、母性保護、事業主・企業主責任、行政機関から独立した苦情処理・救済機関の設置等、その実効性が担保される措置を検討・具体化すること。

(6)政策方針決定過程への女性の参画の促進、各種審議会への女性委員の登用をすすめ、委員の人選にあたっては、公募を含め公正・公平を期すこと。

(7)地方労働委員会の労働者委員の任命にあたっては、「連合」独占をやめ、労働組合の構成比率を反映したものにすること。各種委員会、審議会の公開については、すべての委員会及び審議会等について、傍聴の実現、関係資料の公表、府民の意見表明を完全に実施すること。あわせて、委員の公募を進め、いっそうの府民参加をはかること。

(8)パブリックコメント制度は、形式的にせず、必要な情報の公開、出された意見の尊重、施策への反映など、改善をはかること。また、府民からの発議も対象とし、施策に反映させること。

(9)知る権利の保障、原則公開の精神にのっとって、非開示条項の適用範囲を限定し、意思形成過程の情報であっても公開するなど、府情報公開条例の運用を抜本的に改善すること。公安委員会・警察本部の情報公開は、警察当局による恣意的な判断が優先されないようにすること。府からの出資、出えん、補助金の交付を受けている法人等には情報公開を義務化すること。

(10)この間、府民の安全を守るための市町村と府の連携強化の必要性がいっそう明らかとなっているが、広域振興局への統合以降、多くの府民や自治体関係者らから「災害時の緊急対応・応援体制がとれない」「遠く不便になった」などの不満が寄せられている。こうした声や要望を最大限尊重し、広域振興局の組織のあり方を実情に即したものへ見直すこと。

10.府警察本部の不正経理疑惑の徹底究明を

 府警本部の不正経理疑惑については、その真相を究明する上で、予算の執行者である知事の姿勢が問われています。

 この間、府議会警察常任委員会での質疑等を通じて、警察本部の説明に重大な食い違いやあいまいな答弁、不正常な事務処理が明らかになっており、また、警察本部の内部調査報告も、その信憑性はきわめて低く、府議会での資料要求についても、「捜査の秘密」等を理由に提出を拒むなど、府民の願う真相解明とはほど遠い状態になっています。よって、知事の全面的な真相解明への努力と権限の行使を求めるものです。

(1)府民の信頼を回復するために、知事の権限で、警察本部の全組織の報償費、食糧費、旅費、交際費について、過去5年間さかのぼり、地方自治法第199条6項にもとづく特別監査を行うこと。

(2)国費の捜査費、報償費等についても、府の監査委員が必要に応じて監査することができるよう関係機関に働きかけ、調整すること。

11.自衛隊のイラクからの撤退を国に要求し、憲法を暮らしに生かす平和な京都を

 イラクでの「大量破壊兵器の保有」という政府の強弁の根拠が崩れ、イラクに対するアメリカの無法な軍事攻撃と自衛隊参戦の責任を問う世論がいっそう高まっています。一方、すべての国民や地方自治体に戦争協力を義務付ける有事・戦争体制づくりが急で、京都府も危機管理の参事として自衛官を採用しています。すでに、舞鶴の自衛隊基地からは、護衛艦「はるな」、イージス艦「みょうこう」がインド洋に派遣され、憲法違反の軍事作戦に従事しています。憲法を守り、平和な京都をきずくため、次の諸施策を行うよう求めます。

(1)イラクからの自衛隊の撤退、イラク特措法の廃止を国に強く要求すること。

(2)国民を罰則つきで戦争に強制動員する「有事法制」の廃止を国に強く要求し、国民の基本的人権、報道の自由及び医療機関や自治体労働者のなどの権利が侵害されることのないようにすること。

(3)憲法9条改悪のたくらみに反対し、憲法を暮らしに生かす府政をすすめること。