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討論

議案に対する光永 敦彦府議の討論

2004/12/17 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の光永敦彦です。私は、議員団を代表しまして、ただいま議題となっております議案21件と我が会派提案の修正案のうち、9月定例会提出の決算認定議案の第13号議案、第15号議案の2件の認定に反対し、また、12月定例会提出の第3号議案「京都府の施設の管理等に関する条例制定の件」、第8号議案「京都府病院事業の設置などに関する条例一部改正の件」ならびに第13号議案「市町の廃置分合の件」の3件に反対し、ほかの16件に賛成するとともに、我が会派の提案の第三号議案「京都府の施設の管理等に関する条例」案に対する修正案に賛成の立場から討論を行います。

 なによりも本議会は、台風23号の甚大な被害に対する早期の復旧・復興のさなかに開かれました。我が議員団は、1日も早い復旧・復興のために、引き続き力をつくすものです。

 まず、 第7号議案「青少年の健全な育成に関する条例一部改正」について、賛成するものですが、「犯罪または自殺を誘発」する図書類の指定については、マニュアル本などに限定し、その運用に当たって「出版の自由」を阻害するようなことのないよう求めておきます。また、「深夜における連れ出し等」についても、犯罪に結びつく危険が明らかな場合に限定し、濫用のないよう厳格な運用を求めておきます。

 次に九月定例会提出の第13号議案「平成15年度京都府一般会計および特別会計歳入歳出決算」についてです。山田府政初の本格的な決算となりましたが、審議を通して知事の姿勢が浮き彫りになりました。

 第一に、215項目もの暮らしを支えてきた事業の削減を行い、府民への新たな負担をおしつけました。子どもの医療費は小学校まで無料にする子育て世代の強い願いがあったにもかかわらず、通院について8000円の自己負担限度額を設けた結果、わずか0、6%程度しか利用できず、しかも決算では、国の制度変更に伴い、府の負担は平成14年度比マイナス2億7000万円となるなど、本府は府民の暮らしをささえ、応援する役割に背をむけました。その上、三位一体改革のねらいが、国庫補助負担金の削減や地方交付税の大幅削減など、地方の切り捨てが明らかになったにもかかわらず、知事は「受益と負担を明確にするために、三位一体の改革が必要」として、府民に新たな負担がのしかかることを進める立場を述べられました。さらに、経営改革プランに示されたとおり、「これまでの削減型の改革は限界」として「経営戦略室」を設置し、経営、効率の物差しのみで見ることで、行政のあり方を根本的に変えようとしているからです。

 第二に、長引く不況のもと、京都経済の基盤をこれまで支え、必死に努力をされている中小企業や伝統産業への支援を本府として抜本的に強化し、府民の雇用を守るために全力をあげなければならないときに、ITやベンチャーにかたよった予算執行をしていることです。知事は「伝統産業振興は全国一」といわれましたが、例えば財団法人伝統的工芸品産業振興協会によると、伝統産業品目あたりの事業費で比べれば石川県の半分にもならない状況です。同じく石川県の平成15年度の伝統産業振興事業は国の緊急雇用分を除いて3億2500万円で、京都府は、わずか2億7600万円です。また、雇用対策については目標達成が見込めるとして就職者数を引き上げたとされているものの、そのほとんどが常勤者としての雇用でなく、不安定な短期の臨時雇用であることも明らかになりました。これでは暮らしを成り立たせることはできません。

 第三に、台風23号により大きな被害が出たように、被害を最小限に抑える対策が強く求められています。ところが宮津市の大手川をはじめ河川の改修・整備を速やかに行わなければならなかったにもかかわらず、河川防災整備事業や河川改修事業費などが、ここ数年来、毎年削減されてきたことは大きな問題です。強い要望にもかかわらず、遅れている未改修部分が破堤し大被害をもたらした野田川の事例は、これを如実に示すものです。さらには、土砂災害危険箇所が8800箇所以上も残されていることが放置されるなどで、重大な影響が出たことであります。

 第四に、財政が厳しいと述べ施策を削る一方、いますすめる必要のない丹後大規模公園、舞鶴和田埠頭、畑川ダム、京都市内高速道路、さらには関西国際空港二期工事への多額の出資金など、本来メスをいれるべきところに、予算の執行をしてきたことです。

 以上の理由から、第13号議案の認定には反対です。

 次に第15号議案「京都府水道事業会計」についてですが、これまで我が党が指摘してきた過大な水需要予測を前提にした府営水道計画で、その結果、府民に高い水道料金を押しつけるものであったことが、総括質疑で知事が水利権の一部を放棄する表明をしたことで、知事自身が証明されました。以上の理由で第15号議案の認定には反対です。

 次に12月定例会提出の第13号議案「市町の廃置分合の件」京北町と京都市との合併についてです。京北町は、全国でも屈指の林業地をかかえ、山国隊の行進など先人が守り育ててきた、すぐれた歴史と伝統・文化・産業を継承しつつ、住む人が豊かさを実感し、訪れた人が住んでみたいと思うような魅力あるまちづくりに町民あげて取り組んでこられました。

 ところが、合併によって例えば、年間約80億円の予算と80人の職員体制が大幅に削減され、また、中学生まで医療費を無料化するなどのきめ細かな独自の福祉施策のほとんどは廃止されます。国保料は京都市水準になれば、一世帯平均で2万円もの値上げとなります。お年寄りなどの保健福祉ためにきめ細かく活動してこられた7人の保健士さんもほとんどいなくなってしまいます。道路管理では、これから雪の季節を迎えますが、これまでは積雪があれば朝のうちに除雪されてきましたが、今後はその保障がありません。また、町道については地域住民の除雪活動や器具、燃料代などに手厚い助成がおこなわれてきましたが、これらも廃止されてしまいます。子どもたちの通学費についても、小中学生はほぼ全額助成されてきましたが、3年間で廃止されていきます。

 以上のように、京北町と京都市の合併は、京北町が今日まで長年にわたって住民のみなさんが力を合わせて築きあげてきた町づくりの成果と歴史的財産を損なう重大な結果を招きかねません。わが議員団は、今回の合併が住民のみなさんの将来と幸せな暮らしを考えたときに、その利益に反すると判断せざるを得ず、よって第13号議案には反対です。

 なお市町村合併に関わって一言申し上げます。宮津与謝1市4町の法定合併協議会は、協議が整わないため、今日まで休止が続いてきました。ところが、京都府地方課が合併の調整を明記した会議招集の文書を出したことで、12月14日の新聞で、大きく「合併協議、府が調整」と報道されたのです。 

 そこで、委員会審査の場で「合併協議会の休止が確認されているにもかかわらず、京都府が調整にのりだすのは問題」と指摘したところ、総務部長は「報道は承知していない。会議はあくまで意見交換」と開き直られたのです。しかし、総務部長を無視して地方課が合併の調整会議の招集文書を出すはずはなく、しかも、新聞報道を見た関係町から抗議の声があがっているにもかかわらず、新聞を知らないことはあり得ません。委員会での答弁は、まさに議会を欺むこうとするものです。合併をめぐって、今、市町村が必死に町と住民の暮らしの行く末をギリギリのところで論議をされている時に、「法期限までの時間が限られている」などと、市町村に乗り込み、土足で自治を踏みにじるようなやり方を事実上強行していることは、全く許せません。こうした本府のやり方にあらためて強く抗議をするものです。

 次に第3号議案「京都府の施設の管理に関する条例制定の件」についてです。

 3号議案に対する修正案の提案理由の説明で我が党松尾議員がのべたとおり、そもそも指定管理者制度の導入のねらいは、府民福祉の増進のためにこれまで直営か政令等で定める公共的な団体に限定していた管理委託の制度を、株式会社など民間事業者が行うことを可能にするものです。これは、日本経団連の2004年版「経営労働政策委員会報告」で「行政においては、規制緩和を通じて行政サービスを民間に解放し、この分野の膨大な潜在的需要を顕在化させ」ると述べているとおり、財界は行政のアウトソーシング・自治体の市場化を大企業のビジネスチャンスととらえ、民間の儲けの対象を広げるという、まさに財界の強い要求で具体化されたものです。しかもそのことで、自治体にとっては公的責任を投げ捨てるための究極のリストラ策の一つとなり、山田知事が「従来の削減型の改革からの転換」「民間企業との協同」と述べられたとおり、まさに行政のあり方そのものを根本的に転換するものです。すでに宇治市では、指定管理者制度を契機として宇治市立北小倉保育園の廃止と、民間に払い下げる条例が3万3千人の保護者や市民が「性急に決めないで」と要望しておられるにもかかわらず市議会に提案され強行されました。こうした行政の公的責任を投げ捨てようとする事態は全国で起こっているのです。

 しかも、今回の条例案は、本来地方自治法改正にともなうものに対象を限定すべきであるにもかかわらず、京都府のすべての施設を対象とし、これまで京都府の財産の無償貸し付けをおこなってきた施設などを指定管理者制度と同様に民間に開放できるようにするとともに、今後は効率的に活用するためなら、庁舎なども含めた府の施設を、民間に開放できる道へと本格的に開こうとする意図は明らかです。

 よって第3号議案には反対し、我が会派提案の修正案に賛成するものです。我が議員団は、今後一つ一つの施設について、設置目的にふさわしい運営がなされるよう、引き続き個別条例の充実にむけ、府民のみなさん、関係する職員のみなさんと力を合わせて奮闘するものです。

 最後に第8号議案「京都府病院事業の設置などに関する条例一部改正の件」-府立洛東病院廃止条例案についてです。

 1999年に実施された包括外部監査で府立洛東病院について「総合リハビリ病院を目指すなど、時代のニーズに対応した施策を講じるべき」との報告が行われました。1999年9月定例会で公明党議員が「公立病院として、府民の健康維持に果たしてきた洛東病院の役割は大きいものがあり、今後もより積極的に次代の医療ニーズに対応し続けることを期待する」と述べられるなど、議会審議の中で各会派が府立洛東病院改善と充実を求める立場から発言や提案をされたことは議事録に明瞭です。当時荒巻知事も「京都府内におけるリハビリテーションの医療の中核として整備の方向を検討する」と表明、同じく保健福祉部長も「予防・診断・治療からリハビリテーションまで一貫した医療を担う病院として運営している」と述べ、その立場は、昨年2月の予算委員会で、保健福祉部長が「高齢化社会におけるリハビリ医療にたいするニーズに的確にこたえていくという視点で、来年度から病棟の再編等による新しい回復期リハビリ病棟を新設するなどの充実強化を図りながら、特色ある病院づくりをすすめていく」と、のべられたとおり、本府も議会でも府立洛東病院の改善、充実の方向は出されていたのです。

 ところが、山田知事は、この方向を根底からトップダウンでくつがえし、府立洛東病院の廃止へと大きく舵取りをゆがめたのです。ここには、「経営効率」「採算性」の名のもと、福祉や医療を切り捨てる知事の姿勢が端的に現れています。

 こうした事態に、患者さん、職員のみなさん、医療関係者、多くの府民のみなさんは、約3万人をこえる廃止反対の署名を知事あてに提出し、また本日も、患者さんらがまさに命がけで府庁包囲デモを行われるなど、府立洛東病院をまもり、本府のリハビリ医療の充実をもとめ道理ある大運動を進めてこられました。にもかかわらず経営効率最優先の知事は、悲痛な患者さんの声や現場の意見を聞くことすらされませんでした。その一方、知事は現場の医師や職員のみなさんに患者さんの退院を求めさせるなど、立ち枯れ政策を完結させるべく、なりふりかまわず道理ない態度をとり続けてこられたのです。

 府立洛東病院は、1876年の創設以来の歴史を受け継ぎ、1973年に「脳卒中をはじめとする循環器系疾患の予防、診断、治療から、医学的リハビリテーションまでの一貫した治療を行なう病院」として、職員をはじめとした先駆的な取り組みで、これまで整備が行なわれ、京都府のリハビリ医療のさきがけとして、30年以上の経験と実績を持ち、現在でも府民の命を守り続けている府民共通の財産です。この財産を受け継ぎ、充実させることこそ、多くの府民のリハビリ医療の充実の願いに応える本府の責任ある態度ではないでしょうか。府民の願いに背をむけ、京都府の公的役割を投げ捨てる出発点として、府立洛東病院の廃止を決めることは、京都府の歴史に重大な禍根を残すことになります。多くの府民のみなさんが固唾をのんで、見守っておられます。京都府立洛東病院廃止の撤回を改めて強くもとめ、私の討論を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。