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意見書・決議案について久守 一敏府議の討論

2004/12/17 更新
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 日本共産党の久守一敏です。日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております六意見書案及び一決議案について、四会派提案の「『三位一体改革』を国の財政再建の手段に利用しないことを求める意見書(案)」及び民主・府民連合提案の「イラクへの自衛隊派遣延長の撤回を求める意見書(案)」に反対し、他の四件の意見書案及び一件の決議案に対して賛成の立場で討論をおこないます。

 まずわが党提案の「地方交付税等の維持・拡充を求める意見書(案)」についてです。

 政府は、平成一六年度政府予算において、地方交付税、臨時財政対策債あわせて二兆八千億円もの大幅削減を強行しました。これに対し、府内の各市町村から、「予算を組み替えざるをえない」「このままでは地方財政は破たんする」などと、批判と怒りの声が噴出したことは記憶に新しいところです。

 にもかかわらず、政府は平成一七年度以降においても、地方交付税について、「歳出削減に努める」「地方財政計画の合理化」をはかるなどとし、谷垣財務大臣にいたっては、二年間で七兆八千億円もの地方交付税削減を要求しています。

 いま、国庫補助負担金の廃止額に見合った国の税源移譲額が保障されない上に、さらに地方交付税まで削減されるのではやっていけないではないかと、全国知事会など地方六団体が全国的な運動を呼びかけています。私が先月お伺いした町では、来年度予算の枠組みを作るにあたって、交付されない額まで交付されると仮定して予算化せざるをえない状態に、「本当に困っている」と嘆いておられました。

 この点で、国が大幅削減を押しつけた今年度のような事態を絶対に繰り返すことのないよう求め、また、地方交付税等の財政調整機能及び財源保障機能を維持・拡充するよう求めるわが党の意見書案は、全国の自治体関係者の一致した願いとなっており、皆さんの賛同を求めるものです。

 また、わが党提案の「『三位一体改革』の名による国庫補助負担金の廃止に関する意見書(案)」についてですが、国庫補助負担金の約七割は、義務教育、老人医療、国保、介護保険、生活保護等、法令で国の責任が義務づけられたものです。また、検討課題となっている難病対策、婦人保護、社会福祉施設整備、医療関係者養成確保対策等については、関係者からこれら施策の後退に対する不安の声があがっています。これらは、地方の財政力の格差に左右されるべきではなく、国の責任においてナショナルミニマムとして保障されてしかるべきものであり、わが党提案の意見書への賛同をお願いするものです。

 なお、四会派提案の意見書案についてですが、最初から、国の狙いは、地方交付税などの地方財政の切り捨てにあり、国の財政運営の失敗を地方につけ回しすることにあります。「地方の自主性や裁量権を拡大する」というのは地方財政削減の口実に過ぎないことは、この間の経過からすでに明らかであり、「三位一体改革」への幻想は捨てるべき段階にあります。意見書案の表題にもある「国の財政再建の手段」として持ち出されたのが、まさに「三位一体改革」であり、ここに本質と狙いがある以上、いくら国の善意を期待しても地方はだまされ続けるだけであります。四会派提案の意見書案は、こうした「三位一体改革」を前提としている点で不十分であり、賛同できません。

 次に、わが党提案の「定率減税の縮小・廃止に反対する意見書(案)」についてです。

 政府税制調査会は、所得課税の定率減税を「二〇〇六年度までに廃止する」と答申し、また、自民党・公明党など与党税制協議会は、〇六年度までの全廃を念頭に、来年度については減税率、減税の上限額をともに半減することで合意しました。しかし、仮に定率減税が全廃されれば、総額三兆三千億円もの増税が国民に押し付けられることになります。その上、政府税制調査会の答申は、「消費税の税率を引き上げていくことが、今後の税体系構築の基本となる」として、その増税路線の中心が消費税増税であることを、はっきりと宣言しました。これは、大増税路線を進めるという宣言であり、その第一歩として定率減税の廃止が位置づけられているもので、断じて許されるものではありません。

 過日の総務常任委員会で「共産党は定率減税の導入に反対しておいて、今になって態度を変えるのか」という趣旨の発言がありました。これほど的はずれな批判はありませんが、念のため一言申し上げます。そもそも定率減税は、一九九九年に実施されましたが、その際、九八年特別減税を打ち切ったため低所得者層を中心とする大多数の国民には逆に一兆円もの増税を強いるものとなったこと、また、法人税率の引き下げ・二兆七千億円、所得税の最高税率の引き下げ・五千億円が同時に実施されるなど、全体としては、庶民いじめ、大企業・高額所得者減税となっていることから、わが党はこれに反対しました。その後の現実は、わが党が当時指摘したとおり、大企業の経常利益は、一九九八年から二〇〇三年までの間に約九兆円増え、一方で、肝心かなめの家計収入は大幅に減少する事態となっています。ところが、今回、政府は、こうした現実を無視して、後退している家計収入へは定率減税の縮小・廃止でさらなる追い打ちをかけ、もう一方の大企業の法人税率の引き上げは検討さえ行わないというのですから、これは二重に道理を欠くものと言わざるをえません。大企業本位、庶民いじめで家計消費を冷え込ませ、消費不況をいっそう深刻にする自民・公明党の経済政策は、九九年当時も、今も一貫したものであります。

 しかし、いま、サラリーマン層など働き盛りの家計を直撃する今回の改悪に対し、自民党の柳沢政調会長代理が、橋本内閣の九兆円の負担増で日本経済が「だめになってしまった」「だから、私は、定率減税の削減には憶病になっている」と発言するなど、与党や財界の中からも、慎重論・反対論が相次いでいます。わが党提案の意見書案は、国民に耐え難い「痛み」を押しつけ、日本経済に大きな打撃を与える定率減税の縮小・廃止を行わないよう求めるものであり、みなさんの賛同を求めるものです。

 次に、わが党提案の「イラクからの自衛隊の早期撤退を求める意見書(案)」についてです。

 政府は、先の閣議でイラクへの自衛隊の派兵延長を決定しましたが、オランダ軍の撤退決定をはじめ、各国の軍隊が撤退する中で、アメリカの強い意向にそってなお派兵を続けるというこの決定にはまったく道理も大義もありません。それどころか、日本がアメリカ言いなりで無法な侵略戦争の共犯者となることは、国際的な孤立の道を歩むものとして、歴史に重大な禍根を残すものです。

 第一に、イラク戦争の「大義」とされたことが、根底から崩壊し、この戦争が、無法な侵略戦争であることが、いよいよ明りょうとなっていることです。戦争の最大の口実とされた「大量破壊兵器」問題について、十月、米国の調査チーム自身が、「開戦時に保有せず、開発計画もなかった」ことを最終的に言明しました。小泉首相や公明党の冬柴幹事長は、「大量破壊兵器の保有」を断定して戦争を支持し、「いずれ見つかる」といって自衛隊を派兵しましたが、これが両方とも国民をあざむくものだったことが明らかになったのです。

 第二は、米軍が、ファルージャでの住民への無差別攻撃をおこなうなど、無法な武力弾圧路線をすすめていることが、イラク情勢の深刻な悪化をまねいていることです。ファルージャでの犠牲者は、六千人を超える可能性があるとも伝えられていますが、民間人への無差別攻撃は、国際人道法にそむく戦争犯罪であることは明りょうです。にもかかわらず、首相がこの作戦に全面支持をあたえたことは、侵略戦争と戦争犯罪の共犯者として、イラク国民全体を敵にまわす深刻な立場に日本をおいたことを意味するものです。

 第三に、陸上自衛隊の派兵先のサマワが「非戦闘地域」だとしてきた政府の説明も、いよいよ根底から成り立たなくなっていることです。すでに自衛隊の宿営地にたいして八回にわたって迫撃砲、ロケット砲などによる攻撃がおこなわれました。サマワで治安維持活動にあたっていたオランダ軍がおそわれ、兵士六人が死傷するという事態もおきており、このまま派兵をつづけるならば、自衛隊がイラク国民と「殺し、殺される」というとりかえしのつかない事態が引き起こされかねません。

 自衛隊の派兵を延長する根拠はことごとく崩れており、すみやかな撤退を強く求めるわが党の意見書案への賛同を求めるものです。

 なお、民主党・府民連合提案の意見書案は、今後の日本の対応の基軸として「日米同盟に基づく信頼関係」をあげています。先に指摘したように、ファルージャで民間人への無差別攻撃を行ったのが米軍であり、これらの蛮行が新たなテロの土壌を拡大し、国際協調による人道復興支援の最大の障害となっていることは明らかです。また、「ブーツ・オンザ・グラウンド」と血を流す貢献を日本に求め、大義も道理もない無法な戦争への加担を日本に求めているのもアメリカです。今回の派兵延期もアメリカの意向によるものであることは明らかです。そのもとで「日米同盟に基づく信頼関係」を強調することは自衛隊の撤退要求とは根本から矛盾するものであり、民主党・府民連合提案の意見書案には反対です。

 次に、わが党提案の「京都府のリハビリテーション医療の充実を求める決議(案)」についてです。

 洛東病院廃止問題を通じて、本府のリハビリテーション施策の大変な立ち遅れが明らかとなりました。

 回復期リハビリ病棟が、丹後、中丹、南丹、山城南地域には全くないこと、専門医をはじめとするマン・パワーの不足など、地域のリハビリテーション医療提供体制が量・質ともに不足していますが、これらの基盤整備をすすめることが急がれます。

 さらに、障害者の早期自立と社会復帰のための急性期、回復期、維持期の一貫した医療リハビリテーション、ならびに、生活、職業リハビリ等の総合的リハビリテーション提供体制の充実、地域で対応が困難な重度重複障害者等への高度な医療リハサービスが提供できるセンターの設置が求められています。

 代表質問で、わが党議員が紹介したように、関西のリハビリテーション医療は関東に比べて十年遅れ、京都はさらに遅れていると指摘するリハビリ専門医の声があります。

 こうした状況を一刻も早く改善するために、府立医大医学教室の充実と専門医の育成などをすすめること、そのためにも、京都府全体のリハビリテーション機能を引き上げられるよう、京都府がコントロールセンターの役割を発揮することが求められています。

 本府のリハビリテーション医療の充実をはかるよう求めるわが党提案の決議案に、皆さんの賛同を求めるものです。

 以上で私の討論をおわります。ご清聴まことにありがとうございました。