新井 進府議の一般質問
日本共産党の新井進です。私は先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。
永住外国人の京都府職員への採用に踏み出すべき
【新井】 一点目は、府職員の採用に関わる国籍条項の問題です。
今、この問題はあらためて、地方自治のあり方、在日韓国・朝鮮人の人権問題として大きな関心を呼んでいます。
それは、東京都が在日韓国人である保健師、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんに管理職登用試験を受けさせなかった問題について、最高裁が1月26日に、東京高裁の「拒否は憲法違反」との判決を覆し、「憲法に反しない」との判決を下したからです。
この判決には、多くの識者やマスコミから「時代がわからぬ最高裁」、「これによって全国で国籍条項の緩和や撤廃の流れが変わることはないだろう」、「問われたのは在日韓国・朝鮮人らの人権だったことを見落としてはならない」など厳しい批判の声があげられています。私は、これは当然だと思います。
もともと地方政治は、その地域に住むすべての住民に奉仕するために、住民自身が参加することが必要です。外国籍であっても、住民として生活し、納税をはじめとする一定の義務を負っている人々が住民自治の担い手になることは、憲法の保障する地方自治の根本原則とも合致するものです。だからこそ、最高裁も永住外国人に地方参政権を保証することは、「憲法上禁止されていない」との判断を下しているのです。
わが党は、こうした憲法の精神を生かす立場から、これまでから永住外国人についても被選挙権を含め、地方参政権を認めるべきだとした提案をおこなってきたところです。
「地方公務員に日本国籍が必要」という法律も、「日本国籍を持たない公務員は管理職になれない」と定めた法律もありません。あるのは、1953年の内閣法制局の見解だけです。
この内閣法制局の見解は、「『当然の法理』として公権力の行使または国家意志の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とする」としたもので、地方公務員も同様としてきたものです。しかし、いまでは誰がみても、この見解が、地方自治の原則からも、今日の国際化の時代にも、そぐわないことは明らかです。
同時に、在日韓国・朝鮮人の多くは、その地域住民の一人として生まれ、育ち、地域住民の一員として生活しているのです。こうした人たちを、国籍を持っていないからといって、地方公務員や管理職になれないと差別する根拠がどこにもありません。私は、今回の最高裁の判決は、全く道理がなく、早晩、日本社会が乗り越えていくものだと確信しています。
同時に最高裁判決は、自治体による外国人公務員採用や昇任について、合理的な理由なしに国籍で差別することは許されないとし、「公権力行使等公務員」の範囲については自治体の裁量だとしています。
すでに、全国的にも大阪や神奈川、高知、長野など11府県とすべての政令市で、一般職採用に当たっての国籍条項を緩和しています。京都市でも2001年に、一般職についても国籍要件を緩和し、「内なる国際化」のさらなる推進を図るとして、公権力の行使に該当する業務、公の意思形成の参画に携わる職を明確にし、一般事務職で約50%の職に任用が可能としています。また、兵庫県川西市など、実際に管理職への任用も広がっています。
ところが、本府では、医師や看護士など特定の28職種については国籍条項をなくしていますが、一般職では依然として国籍条項を設け、永住外国人の採用を拒否しつづけています。
そこで、まずお伺いしますが、今回のこの最高裁の判決について、国際化を強調される知事として、また地方分権を主張される知事として、どのような見解を持っておられるのか、お聞かせください。
第二に、この最高裁の「合理的な理由なしに国籍で差別することは許されない」との判断や「公権力行使等の範囲は自治体の裁量権」との判断からみても、知事の決断がいま求められています。一刻も早く本府でも一般職の国籍条項を撤廃されるべきではありませんか。いかがですか。
新京都府総合計画では、その時代認識として、「外国人登録者数も年々増加していることから、地球時代にふさわしい地域づくりへの取り組みが求められている」としており、アクションプラン「KYO海外人材活用プラン」でも、「海外人材の定着を促進する社会の形成」をかかげています。
海外人材を活用する仕組みを作ることも結構ですが、京都府自身が、まず永住外国人の府職員への採用へ踏み出してこそ、本物になるのではありませんか。知事の見解をお聞かせください。
【知事】 東京都の管理職選考受験資格確認等の請求事件訴訟にかかる最高裁判決は、この問題は地方分権だからこうだと単純に割り切ることはなかなか難しい問題。判決でも述べているように、「国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治のあり方については、日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであることに照らし、原則として、日本国籍を有するものが公権力の行使等地方公務員に就任することが想定されていると見るべき」と述べており、憲法1条及び15条の原理から、制約の合理性を認めたものであって、国家論の中でも最も基本となる国民主権そのものの中での判断。その判断を、三権分立における司法の最高機関である最高裁判所が下したことは、私は重く受け止めざるをえないと考える。
また、任用のあり方については、「合理的な理由に基づき日本国民と異なる取扱をすることまでは許さないものではない」と述べた上で、今申し上げた「公権力の行使等地方公務員に就任することが想定されていると見るべき」「日本国籍を有するもの」というふうに述べているもので、全て自治体の裁量に任されたわけではなく、幅広い裁量が与えられたわけではない。その点については、滝井裁判官や泉裁判官が反対意見を述べられており、まさに両裁判官がこの異なる取扱について、制約的な立場から多数意見に反対した。この最高裁判決は、公務員の国籍法理について、初めて出されたもの。これからさらにこの判決について、意見や多くの分析がなされると思うので、そうしたものも踏まえ、実態を踏まえ、慎重に検討すべきと考える。
知事の言う「府民」には 外国籍の府民5万7000人は含まれないのか
【新井・再質問】府職員の採用に当たっての国籍条項について、いま知事は最高裁判決を述べられた。しかし、これは先ほど紹介したとおり、「時代がわからぬ最高裁の判決」といま批判されているのに、文字通り知事の答弁自体がそういう事態だ。もう一方で、最高裁は、地方参政権について憲法は禁じていないと判決を下している。そういった意味で、あくまでも地方自治は地域に住む住民自身の手で行われるべきだと言える。こうした点での知事自らの考えは表明されなかったが、私は知事が1月30日付の「京都新聞」紙上で、中期ビジョン実現のための戦略として、「府民を起点に考え、府民から見て価値あるものを創造し、府民と共に歩む府民発の行政をどれだけ進めるかにかかっている」と述べられたが、地方自治としてはこれは当然のことだ。しかし、知事の言うこの「府民」の中には外国籍の府民5万7000人、とりわけ在日韓国・朝鮮人3万7000人は含まれていないというのか。この点、改めて伺いたい。また、「海外人材活用プラン」では、「在住外国人は京都府民と対等な地域社会の構成員として位置づけ、社会制度の改善を進めます」と書いているが、この制度改善には府の制度の改善は含まれないのか、お答えいただきたい。
【知事】 少々混乱した議論の組み立てで、私、わかりかねるところがあるが、海外人材制度については当然入るのは当たり前だと思っているし、これはそれぞれの場面、場面に応じ、地方自治法でも「住民」の中に入る場面と入らない場面があるように、それぞれの場面できちんと決まっている。私が申し上げたのは、憲法上、私は憲法の擁護義務があり、その中で、三権分立で司法の最高機関である最高裁判所が下した判決は、当然私は従うべき義務をおっているということを申し上げた。
府北中部の「住民の足」の確保へ、京都府の責任を果たせ
【新井】 質問の第二は、住民の足、生活路線バスを確保する問題です。
京都交通が会社更生法の適用を申請して1年が経過しました。そして、綾部以北は日本交通に営業譲渡し、路線の廃止・再編。和知町以南については、京都交通が継続し、大幅な路線の廃止・再編をおこなうことが明らかにされました。
こうしたことから、いま、多くの府民が自分たちの生活の足、通学の交通機関はどうなるのか、大きな不安を抱えています。
もともと住民の移動手段である交通機関の確保、整備は、自治体の大きな責務です。とりわけ、高齢者や運転免許を持たない住民、児童・生徒にとっては、欠くことのできないものです。それだけに、今回の日本交通、京都交通の路線廃止・再編にどう自治体が対応するかが問われています。
すでに、多くの自治体も代替措置の検討を開始しているものと承知していますが、まず、廃止・再編で路線がなくなる地域について、京都府として、関係自治体と協力して、その代替措置を確実に確保する、その決意をしめすことが、不安を抱えている府民への第一のメッセージだと考えますが、いかがですか。
また、関係自治体において、現在どのような対応策が検討され、具体化されようとしているのかお答えください。府としても「生活交通対策地域協議会」で、関係自治体等とその対応策について協議をされてきているのですから、検討状況について明らかにしていただきたいと考えます。
次に、「府中北部地域交通ネットワークの今後のあり方」でも強調されているとおり、この京都交通問題を契機に、「住民・利用者にとって最適の、より便利でいっそう効率的、効果的な、地域の実情に応じた公共交通ネットワークを新たに構築」することがきわめて重要だと考えます。これまでのように、自治体が多額の補助金を出していながら、住民の声が届かず、路線もダイヤも、民間バス事業者任せで、住民にとっては利用しにくく、料金も高いといった状況が放置されてきました。その結果、ますます利用者が減少するという悪循環に陥ってきました。いまこそ、住民が主役、住民参加で交通手段確保策を全面的に作り上げ、移動制約者の移動手段を拡充することによって、地域の活性化を図っていく、こうした方向へ府や関係自治体がふみだすことがきわめて重要となっています。
先日、私は、鈴鹿市に調査に行ってきましたが、ここでも民間バス事業者が乗降客の減少、経営困難から路線を廃止するもとで、交通事業者や運輸行政関係者、学識経験者、さらには市民の代表も入った研究会を作り、市内全域で地域ごとの交通需要調査を聞き取り方式でおこない、高齢化、過疎化が進む地域で、コミニティバスの運行に踏み出しています。
ここでは、実証運行をおこなうに当たって、路線についても、住民のニーズがどこにあるのか、お年寄りが利用しやすいバス停の場所はどこがよいか、料金はいくらにすれば利用することになるかなど、徹底して住民のニーズに応えた運行をおこなっています。
市はこのバスを「動く公共施設」と位置づけて、住民が利用しやすいように、これまで市街地に行くのに720円かかったのを200円に、そして短距離は100円ときわめて低額に抑え、お年寄りが短い距離でもワン・コインで乗れるようにしています。市では、これを「既製服」でなく、「地域、住民のためのオーダーメイド」だと言っておられました。
その結果、民間バス事業者が運行していたときには1便2~3人の乗降者数が、昨年度は16.3人にも増え、過疎地域を走るバスにかかわらず、2路線で利用者は年間24万5000人にも上っています。
自治体が住民の願いと声を大切にして、住民参加で生活交通を確保するとの姿勢を明確に示すことで、市民もコミニティバスを利用し、バス停の提供や清掃も住民自身がおこない、住民が支える交通機関となっているのです。
私は、今回の京都交通問題を通じて、関係する自治体が、住民の足の確保を重要な責務として、また、地域の活性化に欠かせない取り組みとして位置づけること。そして、徹底した住民参加で、住民に支えられる交通機関となるようにすること、このことが大事だと考えます。
ところが、いまの京都交通をめぐる事態をみていると、京都交通がどれだけの助成を自治体に要求しているのか、関係自治体はどのような態度を検討しているのか、住民には知らされないまま推移するという状況が続いています。このことは、12月議会の総合交通特別委員会の場でも理事者に指摘しましたが、「協議中」を理由に、議会にもまともに報告されない、こういう状況です。
こうしたことを改めて、府としても、今後の生活交通対策について、住民への必要な情報の提供、住民参加の保障が貫かれるよう、関係市町に働きかけることがきわめて重要になっていると考えます。このことが住民に支えられた交通機関を作る大前提になると思いますが、知事の見解をお聞かせください。
第三には、こうした住民の足を確保するための方策には、「ワーキング会議」も示しているとおり、多様な形態が考えられ、地域に最適の方法を選択することになります。しかし、それを地域住民にすべての責任を負わせることでは、過疎地域や高齢化の進む地域ではできません。ここには住民の足の確保には府や市町が責任を持つという姿勢が必要です。
亀岡市畑野地域では、住民自身の手で会員制の「夢バス」が運行され、高校生の通学や高齢者の病院や買い物の足として活動し、月500人が利用されています。ただ、この「夢バス」は、行政からの支援もなく、コーディネーターや運転手など、事実上無償で活動されている住民で支えられています。
車の購入時のローンや維持費など、財政的にはほんとうに大変です。ワーキング会議のまとめでも「行政支援のあり方の見直し」があげられていますが、府として自治体の自主運行への助成とともに、こうしたNPOなど住民自身の手による交通確保策へも助成ができる方向を明示してこそ、「意欲的な住民」を支えることができます。
府として、こうした住民の手による交通確保対策への財政支援について、どのように考えておられるのか、明らかにしていただきたいと考えます。
また、こうした市町や住民の努力だけでは対応できない課題として、舞鶴・綾部間や福知山・綾部間のように、市町を超える路線を利用してきた住民の足をどう確保するのか、こうした問題があります。これらについては、府として責任を持って対処することが必要だと考えますが、いかがされますか、お答えください。
第四は、国の責任の問題です。住民や地方自治体が生活交通の確保のため大変な苦労をしているときに、「規制緩和だ」として、民間バス事業者の路線の廃止、撤退も自由という方向を出したことは許されません。しかも、地域交通確保対策への助成措置も後退させ、最近では様々なメニューへの助成を始めましたが、実証実験段階での助成にとどまっています。府として国に対しても、地域交通確保対策への助成措置を拡充するよう求めるべきではありませんか。
【企画環境部長】 京都交通問題は、住民生活に直接関わる問題であり、かつ、更生計画策定期限が迫る中で一瞬の遅滞も許されない課題であり、府・関係市町が一体となり積極的に対応してきた。再編に伴う代替措置は、関係市町が住民代表も入った検討組織を立ち上げるなど、地域の意見も聞きながら実情に応じ検討してきた結果、代替交通が確保されたり、利用が極めて少ない等の区間を除き概ね路線が確保される見通し。中でも、綾部、亀岡、園部においては、運行委託による確保など住民生活上必要な路線の確保を基本に、新たな路線設定も含め詳細の検討が続いているところ。
情報公開等については、京都交通の再編案がまとまるのを受け、ただちに府生活交通対策地域協議会を開催し、利用者代表の意見も伺い、これまで2回の協議を行ってきたが、これら全て公開とし、提出された再編案等資料については、ただちに府ホームページや府政情報センター等への提出を行うなど、情報提供に努めている。関係市町でも、これら資料を基に地域の意見聴取、地域との協議に努めている。
NPOの運行については、従来から、市町村が補助し、道路運送法上の許可を得ている場合、運行主体にかかわらず補助対象とする制度となっている。
市町をまたがる幹線的路線については、府が関係市町と一体になって検討してきた結果、鉄道併行の一部を除き、路線は確保されているが、今後さらに効果的あり方を検討する間の市町村負担を軽減するため予算を今議会にお願いしている。
国に対しては、かねてから財政支援の拡充等を重点要望する一方、今回の問題を機に国の制度改正を待つことなく、府の支援策を大幅に拡充することとし、必要な予算を今議会にお願いしている。
北山丸太スギの雪害被害/実情に応じた救済へ、改善はかれ
【新井】 最後に、雪害による北山丸太スギ被害の対策についてお伺いいたします。
昨年末の北山スギの雪害による被害の状況については、すでに各議員からも述べられたとおりですが、私の地元・北区でも、小野郷や大森真弓などで大きな被害をもたらしました。
いま、林業は外材の無秩序な輸入と木材需要の低迷によって、経営が大変な困難に陥っています。その上、このたびの相次ぐ被害です。私もこの間、調査に入りましたが、関係者の方々のほとんどが「40年近くかけて育ててきた木が、いよいよ商品になる段階でだめになってしまった」「生産意欲をなくす人が増える。ますます山が荒れるのではないか」など林業家への打撃は極めて大きなものがあります。
しかも、ほとんどが国営森林保険には加入されておらず、全く何の補償もありません。ですから、被害を受けた林業家からは「何らかの救済措置をしてもらえないのか」「府としても支援策を」との声があがっています。
林業の場合、こうした災害を受けると、40年近くの労働が無となり、あらたに植林しても、収入が得られるのは30年、40年先です。だからこそ事態が深刻なのです。
そこでまず、お聞きしますが、台風23号や今回の雪害による被害が、京都の林業に与える影響について、府としてどのように認識されているのか、対応策の必要性をどう考えておられるのか、お聞かせください。
さらに具体的対策について数点お伺いします。
一つは、雪害により倒木した杉は、根本から起きあがり、放置しておくと土砂災害が発生する危険があります。また、今後さらに積雪があると、周辺の杉の木も押し倒し、被害をさらに拡大する危険もあります。こうしたことを防ぐためにも、府として、台風23号被害対策で実施した「緊急伐採事業」と同様の措置を、この雪害でも実施するべきだと考えます。そしてその対象も、道路等の公共施設や直接人家に影響を与える範囲だけでなく、北山スギへのこれ以上の被害の拡大を防ぐためにも、対象を拡大して実施すべきと考えますが、いかがですか。
二つには、林業家をはげまし、新たに造林に踏み出してもらうために、被害地復旧造林事業への上乗せ補助をおこなうことが必要です。台風23号被害に対しては、通常の国、府の補助金の上に、上乗せ補助がおこなわれています。
今回の雪害の場合、上乗せ補助がなければ、地元負担は50%以上となり、これでは、復旧造林に取り組もうとする林業家はきわめて少なくなることは目に見えています。府として、せめて台風23号被害対策と同様の助成措置の上乗せを実施することを強く求めるものですが、いかがですか。
三つには、国営保険の改善をはかることです。今回被害を受けた北山スギでは、ほとんどが保険に加入していません。なぜ、こうした事態になるのかといえば、被害を受けたときの査定がきわめて低いことです。丸太仕立ての場合は、雪害などで曲がったとき、商品価値はほとんどなくなります。ところが査定では、倒れたり、折れたりしなければ対象にならない、倒木しても一部が商品になると査定されるなど、丸太仕立てに見合った査定になっていません。本来保険というのは、損害を受けたとき、それを補填するものでなければなりません。ところが、大変な手間をかけて育てた丸太スギがまともに評価されないため、メリットがないということから、加入者がきわめて少なくなっているのです。府として、制度の改善を求めるべきではありませんか。
また、この保険料が必要経費の控除対象になっていません。概算経費に含まれているというのですが、価格が大幅に下落しているいま、実状と大きくかけ離れています。これを改善しなければ、保険に加入しようということになりません。府としても、国税庁に対し、保険料を控除対象とするよう働きかけるよう求めるものです。
以上、雪害問題での当面の対策について申し上げましたが、いま林業経営が成り立たなくなって、山の手入れをする人がなくなれば、災害の発生など国土と環境に重大な事態を与えることになります。京都の林業を守るための本府としての積極的な対策をおこなっていただくよう強く求めて質問を終わります。
【農林水産部長】 京都府林業にとって大きな打撃であり、森林の有する多面的機能の低下も懸念されることから、早期の復旧に努めている。台風23号に対する緊急除去事業は、人身被害など直接府民生活に関わる被害地を対象に緊急的に実施したもので、北山杉の被害地については、造林事業など既存事業を効果的に活用し、事業の優先度に対する林家の意向も伺いながら計画的復旧を進める。
また、代表質問で、上田、角替両議員に知事が答えたように、府としてどのような復旧支援ができるのか、さらに検討してゆきたい。
国直営の保険制度である森林国営保険は、査定基準等北山杉の特性になじみにくい部分もあるが、査定基準の改正は保険料率を含めた制度の枠組そのものに影響するものであり、地元の意見も伺いながら慎重な検討が必要。また、山林所得における概算控除については、林業の特殊性に配慮し保険料を含めて長期にわたる経費管理の負担を軽減する有利な控除方式として定着しており、保険料を別枠管理とするメリットは少ないものと考える。林業者の経営安定を図る上で、保険制度は重要な役割を果たすものであり、府としては、今後とも植林や間伐など補助事業の実施にあわせて勧誘・促進を図るなど、制度の普及に努めたい。
【新井・要望】森林国営保険だが、答弁はあったが、いま現実にこの森林保険にはほとんどが入れない、入っていない状況だ。これは何故かというと、メリットがない、様々な問題がある。この改善について、慎重な検討を要望しておきたい。