意見書案について西脇 郁子府議の討論
日本共産党の西脇郁子です。日本共産党府会議員団を代表して、議題となっております6意見書案について、4会派提案の「人権侵害救済に関する法律の早期制定を求める意見書(案)」に反対し、他の5件の意見書案に賛成の立場で討論を行います。
まず、わが党提案の「定率減税の縮小・廃止の中止を求める意見書(案)」についてです。
いま家計所得が深刻な時に、定率減税が全廃されれば、総額3.3兆円もの国民負担増が押しつけられることになります。働き盛り、子育て世代に大変な負担増を強いるこのような暴挙を強行すれば、日本経済及び京都経済に大きな打撃を与えることは火を見るより明らかです。
そもそも1999年に「恒久的減税」として行われたのは、所得税・住民税の定率減税だけでなく、大企業向け法人税の減税、高額所得者が潤う最高税率引き下げとの「三点セット」としてでした。この時の最大の理由は、「景気対策のため」というものでしたが、大企業の収益は、98年からの5年間で12兆円から21兆円に9兆円も増加しています。その一方、家計の収入は、223兆円から204兆円へと19兆円も減っています。空前の利益を上げている大企業の減税はそのままにして、落ち込んでいる庶民のふところから3.3兆円も奪おうという大増税は絶対に行うべきではありません。
国民に耐え難い「痛み」を押しつけ、日本経済に大きな打撃を与える定率減税の縮小・廃止の中止を求める、わが党提案の意見書案は、多くの府民の願いに応えるものであり、みなさんのご賛同をお願いします。
次に、わが党提案の「介護保険制度改革法案の撤回を求める意見書(案)」についてです。
今国会に提案されている介護保険制度改革法案では、「介護予防」の名のもとに、「要支援」「要介護1」など介護度の軽い人のサービス利用を制限しようとしていますが、介護の必要な高齢者にとって、ヘルパーさんを奪われることは死活の問題です。
また、政府は、特別養護老人ホームなど施設入所者の食費と居住費の給付見直しによる利用者負担増を年間で約3000億円と見込んでいますが、一人あたりの年間の値上げは平均して40万円、1年間に80万円の年金しかない方でも18万円の値上げとなり、とても負担に耐えられるものではありません。
このように、法案は国の財政支出を減らすために、国民にサービスの切り捨てと大幅な負担増を押しつけるものとなっています。いま国民は、誰もが安心して必要な介護サービスを受けられる制度への改善を強く願っていますが、法案は、これに全く逆行するものとなっています。
わが党提案の意見書案は、このような介護保険制度改革法案の撤回を求めるものであり、みなさんのご賛同をお願いします。
次に、わが党提案の「障害者自立支援法案の抜本的見直しを求める意見書(案)についてです。
今国会に提案されている障害者自立支援法案は、身体・知的・精神の障害種別ごとに分かれている福祉政策を共通の制度に一元化するとともに、利用者に原則1割の自己負担を求める「応益負担」を導入するとしています。
身体障害者の訪問介護の場合、現在の支援費制度のもとでは住民税非課税の人まで無料となっているため、実際には95%の人が負担なしで利用しています。ところが1割負担ということになりますと、住民税非課税世帯で年収80万円未満でも、厚労省の試算でも月8400円、年間10万円の負担となるなど、大幅な負担増となります。精神障害者やてんかん患者の通院医療費公費負担制度(精神保健福祉法第32条)が廃止され、5%であった医療費が原則1割に改悪されることも大きな負担増になります。
いま、障害者団体をはじめとする関係者から、「応益負担」の導入と精神保健福祉法第32条廃止に反対する不安と怒りの声があがっています。わが党提案の意見書案は、こうした声にも応えて、障害者自立支援法案の抜本的見直しを求めるものであり、みなさんのご賛同をお願いします。
次に、4会派提案の「人権侵害救済に関する法律の早期制定に関する意見書(案)」とわが党提案の「人権侵害救済に関する法律の制定に関する意見書(案)」についてです。
第154回通常国会に上程された人権擁護法案は、さまざまな問題があり、国民の世論と運動の高まりの中で、一昨年廃案になりました。ところが、政府は、これらの問題点をまともに見直すこともなく、今国会に再提出を検討しています。
その内容はといえば、救済機関は法務省内の外局として政府から独立しておらず、報道規制の条項も凍結するだけで、公権力による人権侵害救済の実効性もないものとなっています。また、「人権」や「差別」についての明確な規定なしに、「差別的言動」への対応をうたっており、恣意的な解釈と運用によって、国民の言論・表現の自由、内心の自由が侵害される恐れがあります。これでは、人権擁護法案どころか、逆に、人権侵害法案となりかねないものといえます。
ところが、同趣旨の請願を審議した3月22日の厚生労働常任委員会では、「まだ国会に正式に提出されていない」などとして、一度廃案となった人権擁護法案の問題点がどのように解決されるのか、紹介議員から何の説明も行われませんでした。
この法案にたいし、日本ペンクラブ言論表現委員会・人権委員会をはじめとしてメディアにかかわる6団体も「安易に表現の自由への規制を法制化しようとするもの」として反対し、また、メディア規制条項の削除を強く求めています。
こうした問題点を不問にしたままで法案の早期制定を求める4会派提案の意見書(案)に反対です。
わが党提案の「人権侵害救済に関する法律の制定に関する意見書(案)」は、問題点の多い人権擁護法案を今国会に提出せず、国民的合意ができる人権救済の仕組みをつくるため、議論の根本的なやり直しを求めるものであり、みなさんのご賛同をお願いします。
最後に、4会派提案の「シベリア抑留者未払い賃金の支払いを求める意見書(案)」についてですが、戦後60年、シベリアで筆舌に尽くしがたい困難、苦労をされた抑留者のみなさん方を救い、未払い賃金問題を早期に解決することは当然であり、意見書(案)に賛成です。長期にわたり、この問題を放置してきた自民党政府の責任こそが問われていることを指摘させていただき、私の討論を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。