府民と府議会を無視した京都府教委の「府立学校再編整備方針(案)」の撤回を求める
1、京都府教委は、5月24日の午後に急遽記者会見を行い、山城地域の高校の統廃合と養護学校2校の新設方針を発表した。
(1)この突然の発表に地元関係者に驚きが広がっている。府教委がこれまで「関係者に十分説明する」「地元の理解を得る」と表明してきたにもかかわらず、統廃合対象となる高校の教職員や在校生はもちろん、PTA や同窓会などにも事前にまったく知らされず、一方的に発表したからである。
加えて、府民の代表である議会を軽視するものである。これまで府政の重要政策の発表にあたっては、事前に議会運営委員会の理事や関係委員会の議員に報告・説明することを慣例としてきた。ところが、今回の発表にあたっては事前に何の説明もなかったものである。これは府民から選出された議員が構成する議会を軽視する暴挙である。
(2)府教委の説明では、今回の記者発表は24日付「京都新聞」朝刊の報道を受けておこなわれたもので、「報道を否定すると混乱に拍車がかかるから」(森永高校改革推進室長)と「当初の予定を早めて発表した」としている。しかし、関係者への何の説明もおこなわれておらず、本来発表すべきではないものである。結局、マスコミ報道に便乗・利用して強引に統廃合をすすめようとするものであり、生徒や府民不在の教育行政の体質をまざまざと示すものである。
2、今回の府立高校統廃合は、山田知事が「経営の観点から再編する」と発言して、府民の共有の財産である府立高校を「経営効率」でつぶそうとする方針を受けたものである。府教委はそのうえで、何の根拠もない「1学年8学級」適正規模論を押し付け、府内全域の高校統廃合を加速させようとしているものである。さらに高校教育の多様化路線のもと、「特色ある学校づくり」の名で普通科を減らす一方で、専門学科や中高一貫教育の導入で、高校の序列化とランク付け、競争と選別をいっそう激化させようとしている。
少子化を理由にあげるのならこの時期にこそ、高校統廃合ではなく30人学級など少人数学級実現のチャンスとしてとらえ、地元の高校でしっかりと学べる高校づくりこそが求められている。
3、養護学校の新設方針は、障害児教育関係者が危惧していたとおり、高校統廃合に従属させた。養護学校の早期実現を望む関係者に「高校統廃合とリンクしていない」と弁明しておきながら、今回の新設方針は、廃校となる城南高校・南八幡高校の跡地活用による二校新設のみのため、今後5年~6年も待たされるという、高校つぶしと一体のものであることが明らかとなった。しかも府教委の発表でも、城南高校跡地の養護学校はスタート時点で200名近いマンモス校となる。その一方で今回、突如として府立桃山養護学校の閉校を打ち出すなど、新たな矛盾をかかえた方針となっている。これまで、遠距離と長時間通学の苦労を重ねてこられた山城地域の障害児教育関係者からは、「地元で通える養護学校を」と宇治市・城陽市・八幡市の三つの地域への養護学校建設への切実な要望が寄せられてきた。これらの声に応えることこそ教育行政の責任である。
わが党議員団は、府教委が府民と府議会を無視した「府立学校再編整備方針(案)」を撤回し、関係者・府民の十分な討論と意見を尊重するよう求めるものである。