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政策と見解

JR西日本や公共交通機関の安全対策を緊急に進めるための申し入れ

2005/06/24 更新
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 JR福知山線事故から二ヵ月が経過し、運転が再開されたが、失われた命は帰らず、悲しみは癒えない。

 再びこの様な惨事が繰り返されないために、原因の徹底究明と事故の再発防止に全力をあげることが求められている。

 多数の死傷者を出した今回の事故の最大問題が「儲け第一」、人減らし・効率一辺倒の経営で公共交通の使命である安全輸送を投げ捨ててきたJR西日本とそれを黙認してきた国土交通省の姿勢にあったことは明白であり、その抜本的改善が強く求められている。同時に、いま京都府にも問われていることは、JR西日本と国に対して、この姿勢の転換を求め、安全対策の抜本的見直し・強化を実行させることである。

 また、JRや国まかせではなく府民の安全を守るため、独自に安全対策の総点検を行い、その実行を厳しく点検することである。

 わが党議員団は事故直後から、JR東海道線、奈良線、学研都市線、山陰線など各路線の状況や駅のホームや踏切などの安全について調査し、現職のJR運転士や車掌、私鉄やKTRの関係者、利用者からの聞き取りを重ねてきた。この中で事故につながる危険箇所が数多く放置され、改善に一刻の猶予も許されないことがいっそう明らかになった。

 4月2日、JR長岡京駅では、線路上に転落した男性の二人が新快速電車にはねられ即死、6月には阪急東向日駅で通過車両にお年寄りが巻き込まれて死亡するなど、悲惨な事故が相次いでいる。事故につながりかねない例として、ホームと電車乗降口との間が大きく空き、転落の危険性が大きい奈良線六地蔵駅や小倉駅がある。またJR同志社前駅では、狭いホームのため学生の乗降集中時にはいつ転落や転倒が起きても不思議ではなく、同志社大学からも改善の要求が出されている。

 JR西日本が進めてきた合理化で、無人駅化や子会社への委託化が進み、駅ホームには駅員がほとんどおらず、線路への転落事故があっても全く対応できない。一部に非常連絡用のボタンや転落感知マットが配置されているが、それも列車信号とは連動していない。また、通過列車の本数が多いため「開かずの踏切」といわれる踏切、横断距離が長く段差が大きく高齢者や障害者の横断が危険な踏切、私鉄とJR踏切が隣接し停滞した通行車両が踏切内にストップする踏切なども数多く残されている。

 わが党議員団は調査で明らかになった緊急に改善を要する以下の箇所について、府が自ら実状を把握し、JRに厳しく改善を求め、その遂行に責任を持つことを求める。また、公共交通の安全対策の調査を府独自に行うことを強く求めるものである。

 1 ATS- Pや脱線防止ガードの設置について、KTRで行ったように基準以下であっても下り坂などには設置するようにJR西日本に求めること。また設置時期の前倒しを求めること。

 2 緊急に改善が求められている箇所について。

 (1)JR長岡京駅ホームに完全な転落防止柵を設置すること。

 (2)JR同志社駅前駅のホームの延長と拡幅をはかること。

 (3)JR六地蔵駅・小倉駅のホームと車両の隙間からの転落防止の対策を講ずること。

 (4)転落感知マットを全駅に設置すること。列車信号と連動させること。

 (5)ホームの緊急通報ボタンを全駅に配置すること。緊急対応の体制をつくること。

 (6)駅の安全体制の全面見直し、すべての駅でホームへの駅員の配置をはかること。

 (7)東海道線大山崎町宝寺踏切、奈良線長池駅北側の踏切、精華町内の4踏切の改善を行うこと。

 3 京都府がJRや民間の鉄道事業者まかせでなく、独自の公共交通の総合的な安全調査を行い、その結果を府民に公表するとともに、安全対策の実施を各事業者に強く求めること。