光永 敦彦府議の一般質問
日本共産党の光永敦彦です。通告にもとづき、知事並びに関係理事者に質問をいたします。
地球温暖化対策条例について
【光永】 まず、今定例会に提案されております地球温暖化対策条例案および温暖化防止対策についてです。
私はこれまで本府の温暖化対策について質問をしてきましたが、ようやく条例案が提案されました。関係されたみなさんにまず敬意を表するものです。しかし、温室効果ガスの排出実態を掌握しないまま条例案の検討を始めるなどの事態がおこりました。それだけに今後より実効ある温暖化対策をすすめる立場から伺います。
現在、モントリオールでCOP11及びCOP/MOP1が開催され、2013年以降の枠組みなどについて議論されています。ところが、日本では、温室効果ガス排出量の八割を占める産業・公共分野のCO2削減が、わずかしか進まないなど目標の達成が危ぶまれています。私はEU諸国で導入されている政府と産業界との協定制度や、環境税など実効ある措置、主要な事業所ごとの燃料や電力の消費量を公開するなど、企業の社会的責任を果たすとともに、大量生産・大量消費社会からの脱却が必要と考えています。
そこでまず、京都議定書発効の地として、知事は2010年に本府の削減目標10%を達成できる目処があると認識されておられますか。また、その目処をつくりあげるために、今後、個別政策別に積み上げ方式で部門別の削減目標を設けるべきですがいかがですか。
さて、エネルギー転換部門は日本のCO2排出量の約32%、そのうち発電所からの排出量が91%を占めており、この対策が極めて重要です。関西電力舞鶴石炭火力発電所二号機の稼働予定は、奇しくも10%削減達成の目標年度である2010年です。電力需要も下がり、880万トンものCO2を発生する舞鶴石炭火電2号機の建設中止を求めるとともに、すでに稼働している1号機は地球温暖化アセスメントの実施を定期的に行うべきですがいかがですか。同時に、自然エネルギーの普及・創成・利用を図るため、電力買い取り価格を引き上げるよう国に求めるとともに、自然エネルギー利用計画を温暖化対策推進計画に盛り込むよう求めますが、いかがですか。
また、これまで私は、削減目標の算出基礎を関電係数でなく、全国係数を使用するよう求めてきました。原発依存度が高い関電係数は低く設定され、しかも、京都市は全国係数を採用したため、知事自身の「ダブルスタンダードにならないように」との説明に照らしても不合理なものです。それだけに今後、排出量を毎年公表するにあたっては、京都市と歩調を合わせることを求めるとともに、京都市の条例と施策との整合性も必要です。例えば京都市条例がアイドリングストップを努力規定としている一方、京都府条例案では義務規定としていることなどです。これは京都府民である市民にとってたいへんわかりにくいもので、「府市協調」と言われるのなら、今後、京都市との協議を急いで行うよう指摘しておきます。
さて、環境省から昨年度の温室効果ガス総量がCO2換算で13億2900万トンとなり、90年レベルを7・4%上回ったことが発表されました。中でも自動車利用に伴う運輸部門の排出が増加し、強力な自動車対策も緊急の課題です。その対策が進まない原因には、道路特定財源にみられるように、税収がそのまま道路整備に当てられ、さらに自動車利用を促進するという構造的な問題があります。
同時に、自治体レベルで自動車の総量規制を計ることが必要です。条例案には事業者の使用抑制努力等提案されていますが、運輸部門の削減計画に自動車総量規制を明確に盛り込み、年次達成目標をもつべきですがいかがですか。
また、実効ある施策として交通需要マネジメント(TDM)も重要です。本年3月、「京都府交通需要マネジメント施策基本計画」が策定され、その中に環境先進地といわれるドイツのカールスルーエ市で成功しているLRT導入やパークアンドライド、また博多市などに見られるカーシェアリングの取り組みなども盛り込まれています。
問題は、これらを実験的に終わらせることなく、本格的に速やかに実施していくことです。すでにタクシー事業者と労働組合自ら「自動車総量規制」を目標に運転手の試験・登録等により、安心・安全を守り、無計画な増車を抑制するためロンドンタクシーシステムを京都に導入しようと取り組んでおられます。タクシーの規制緩和に伴う増車や京都駅前の渋滞など、温暖化防止の観点からも解決は課題です。
さらに公共交通の一つとしてバスレーンの確保対策も必要です。フランス・パリ市では、バスレーンを自動車とブロックで区別し、さらに信号もバス運行と連動させる取り組みが実施され、また全国でもすでに行っているところもあります。そこで伺います。本府が京都市まかせにせず警察への協力の要請や京都市、事業者などと連携して積極的に取り組むことが必要ですが、知事の決意はいかがですか。
これまで、京都はNPO等の活躍により、温暖化防止対策がすすんできましたが、条例が「中核組織」と位置づけ、知事が認定する温暖化対策推進センターの役割は決定的に重要です。市町村の推進計画が4市町、実効計画が10市町、地域協議会6市町で、市町村段階での推進が課題であるだけに、広域振興局ごとに推進センター分室を作り、意欲と能力ある人材を配置し、その活動を財政的にも保障することが必要です。また分野別計画だけでなく、振興局ごとの地域特性に着目した計画をもち、推進センター分室を核として、実効ある施策を速やかに進めることが効果的と考えますがいかがですか。お答え下さい。
【知事】 10%の削減目標を達成するためには、たいへん厳しい対策が必要であり、また、そのためには13の分野に及ぶ総合的な対策を、府民の総ぐるみで行わなければできない目標。この取組みを確実なものとするために、地球温暖化対策推進計画において、産業・運輸・民生など各部門毎の削減目標や具体的な取組み方向を定めることにしている。舞鶴火電については、電力の安定的な供給を確保するために電源構成の多様化を踏まえ、国の法律に基づき地域エネルギーの構成バランスも考え設置運営されているものであるが、府として、今後とも発電熱効率の向上等による二酸化炭素の削減を引き続き求めていきたい。関電に対しては、条例に基づき、舞鶴火電も含め発電に伴う温室効果ガスの排出状況や排出量削減計画、自然エネルギーの供給目標などについて、定期的に報告を求め、必要な指導を行うこととしている。
自然エネルギーについては、京都エコエネルギープロジェクトの取組みや太鼓山風力発電所の設置、府や民間施設への太陽光エネルギーの導入など、府として積極的に取組んできたが、今後も推進計画に位置づけ、いっそうの導入促進を図るとともに、国に対し電気事業者による新エネルギーの利用制度や家庭等における導入支援策の強化などについて要請している。
自動車・運輸部門については、推進計画において温室効果ガスの削減目標を定め、公共交通機関の利用等により、生産・使用抑制に努めるほか、広範な府民理解のもと様々な取組みを進めることとしている。交通需要マネジメントについては、昨年度から、警察本部や国、京都市、その他市町、交通事業者、学識経験者などからなる京都府交通需要マネジメント推進会議において、計画づくりや事業を推進してきた。今年度から、マイカーから公共交通機関への転換を促進する社会実験等も行い、一定の成果を上げたところであり、国、市町、企業、地域、学校などと連携し公共交通への転換を図る施策を地域ぐるみで推進していきたい。
地域の特性に応じた効果的な取組みをするためには、推進計画において地域別の取組み課題を明らかにし、広域振興局を中心とする取組みを強化することとしている。この場合、地域に密着した体制強化が望ましいだけに、市町村毎の取組みを強化することが今後重要。推進計画の作成や担当職員の育成など、市町村の取組みを支援するとともに、地域協議会や推進員などの推進体制もいっそう整備し、地球温暖化防止活動推進センターの地域活動の基盤の強化をはかりたい。
【光永】 党派を超え、全力をあげて取組むことが大切なことと考えている。とりわけ条例が成立すれば、これは第一歩となるわけで、全力をあげていただきたい。ただ、京都議定書採択の地の知事であるのに、関電の舞鶴火電2号機の中止は求められない。これは大変残念だ。既に2号機の建設メドが、事実上立たない事態になっていることを知事は知っておいてもらいたい。
学童保育所・障害児学童の充実について
【光永】 次に学童保育について伺います。
はじめに広島と群馬でのあいつぐ少女殺人事件に、私も一人の親として胸が締め付けられる思いです。ここに哀悼の意を表するとともにご遺族の方々に心からお悔やみ申し上げます。
残念ながら子どもが被害にあう事件が続き、また長引く不況のもと、共働き家庭や一人親家庭も増加する中、仕事と子育ての両立支援のための学童保育の役割はますます高まっています。
全国学童保育連絡協議会によると、小学生低学年が学童で過ごす時間は、学校と比べ実に500時間も長く、学校から学童に着くと、子どもは「ただいまあ」そして指導員は「お帰り」と応えるように、安心して過ごせる居場所としても、その充実は、保護者の切実な願いです。
学童保育が児童福祉法に位置づけられた98年は約9600ヵ所、約33万人が入所していましたが、昨年は1万4457ヵ所、約59万4000人が入所し、本府では今年度348ヵ所と広がっています。
このため、都市部での大規模化や、トイレが男女別でない、台所設備が不十分、学校を利用している施設では、生活のための施設が整わないなど様々な問題を抱えています。11月に行われた「第18回京都学童保育学習交流集会」では、大山崎町に2つある学童のどちらも80人を越え、精華町、木津町でも100人を越える学童保育があるなど、本府でも大規模化が急速に進んでいます。
そこで伺います。学童保育の今日的な役割について、どう認識されていますか。とりわけ、本府における施設と事業についての課題はいかがですか。
さて、2004年厚生労働省の調査で、施設の床面積、指導員配置などについて設置基準をもつ自治体は、全国で都県を含んでわずか45自治体しかないことがわかりました。基準があっても「便所を設けること」「ロッカーを備えていること」だけなど大変不十分です。このように、学童保育施設の明確な運営・設置基準がないことが、環境が悪くても放置・見過ごされている原因にこれまでなってきました。
このため、都道府県段階で運営・設置基準を求める取り組みが全国に広がっています。埼玉県では、2004年度に初めて学童保育の運営基準が設置され、それに基づく「基準点検表」を市町村が提出し、結果をホームページ上に公開しました。また点検結果にもとづく改善のため「運営基準活用促進事業」として市町村負担分の50%を県が補助することにより、例えば東松山市では今年度、増築、女子トイレ設置、台所設備修繕など、一気に取り組みが進みました。その後、石川県で10月に「放課後児童クラブ運営基準」が制定、千葉県では保護者や指導員が入った「放課後児童クラブガイドライン研究会」が立ち上がりました。国でも今年10月20日、衆議院で8年ぶりに学童保育に関しての集中審議が行われ、厚生労働省は「ガイドラインをつくることについて研究したい」と述べました。それだけに、国に運営・設置基準の制定を求めるとともに、本府として制定するよう求めるものです、いかがですか。同時に、全国13の都道府県で実施されている施設整備のための市町村支援制度を設けるべきですが、いかがですか。また、施設基準の設置、施設整備や増設、保育指針の創設などを推進するために、保護者や関係者を交えた「施設設置等ガイドライン検討委員会(仮称)」を設けるべきですがいかがですか。
また、障害をもつ子の学童保育の充実も切実です。障害児の入所状況は5年前と比べ、学童保育数で2.1倍、入所児童数では2.4倍と大幅に増えています。しかし指導員の加配や施設などの受け入れ態勢が不十分です。我が子が通う学童保育でも障害のある子の保護者は、連日、ボランティアさんの確保に奔走され、綱渡りのような状況です。こうした中、厚生労働省の外部団体である「子ども未来財団」の報告書では、学童での障害児受け入れについて「システム作りが必要」「受け入れ体制と方法を準備する必要がある」と述べました。
そこで伺います。関係者の強い要望のもと、国では障害児加算が復活されたものの、1クラブあたりの補助基準単価が削減されるなど、財政措置が不十分です。すでに全国31都道府県に広がっている障害ある児童を受け入れる職員の加配措置等の単独補助を創設し促進すべきですが、いかがですか。お答え下さい。
【保健福祉部長】 母子家庭の子どもの放課後・休日対策として、児童の健全育成並びに保護者の仕事と子育ての両立支援を目的に実施している。実施にあたっては、必要とされる地域で、適切に設置されることを重点とし、これまで市町村と連携し取組んできた。平成17年度は31市町村、215クラブがあり、障害児の受け入れも年々増加している。設置要件については、衛生及び安全が確保された設備を備える等、国の実施要件に基づき市町村において創意・工夫する中で小学校や公民館などの社会資源を有効に活用し、クラブの規模も含め地域の実情に応じた多様な方法で、一律の基準によることなく適切に取組まれている。
府としては、こうした市町村の主体的な取組みに対し、きめ細かな運営ができるよう府単独の補助制度による支援や指導員に対する研修を実施している。一方、これまでから国に対し、制度の充実について提案してきたところで、国においても近年、平成13年であるが、施設整備補助制度の創設、障害児受入援助制度の充実が図られてきている。今後も、利用する子どもたちにとって、最適なサービスが提供されるよう国に提案するとともに、府としても放課後児童クラブを必要とするすべての地域に設置されるよう、市町村の自主的・主体的な取組みを支援していきたい。
【光永】 今の答弁は、基準を府としては作る必要がないかのような話だったが、基準がないから施設が古いままで放置されている。こういう現状、これに応えて全国では取組みが進んだわけで、しっかりと京都府として運営や設置基準について、保護者も交えて検討していただきたい。強く要望しておく。
障害児の学童は、これまで関係者の運動により、不十分ながらも障害者の支援費制度で在宅中心のメニューができた。また、タイムケアーの事業が、これは中学生や高校生対象だができた。発達障害者支援法ができ、ADSDやLDの子どもも対象として位置づけられた。しかし、放課後児童健全育成事業の障害者の部分については、概ね小学校4年までとなっており、わが子の通う学童でも4年間ずっと子どもが仲良くやってきて、生き生きと生活してきたのに5年になったら退所しないといけない。5年、6年があいてしまう。こういう制度の穴がある。こういう事態に対し、全国31の都道府県で補助制度を作る努力が行われている。こういう動きを良く認識した上で、府としてはどうするのかを考えた時、今述べたような障害のある子の放課後の状態をしっかりとつかむことが大事だ。実態をつかんでおられるのかどうか、答えて欲しい。
【保健福祉部長】 国の加算制度も当初1クラブあたり4人以上の基準があったが、これが2人以上いれば補助対象となり、現在、厚労省の概算要求を見ると人数要件の撤廃も検討されているようだ。引き続き、障害児受入の条件については要望していきたいし、さらに今年度からは、障害児を受入れる場合の施設改修についても初めて補助制度ができた状況。その他、小学生を対象にしたデイサービスもあり、施設療育事業もやっており、総合的に小学生の放課後対策に取組んでいる。その中で、学童クラブについても、障害児の受入がクラブ数、人数とも年々増加している。今後とも、市町村と協力しながら受入れの促進に努めたい。
【光永】 実情をしっかりつかんだ対応を求めたが答弁はなかった。改めて実情をつかむことを求めておく。府の障害者基本計画では、障害ある子が放課後活動を楽しめる場所が地域に少ないから充実すると言っている。しかし、実際には「市町村事業だから、府としてはやれない」というような話では困る。府として、計画をもっているのなら、しっかり加算措置も持ち、補助制度も作ってやっていただきたい。強く要望する。
加茂町のフェロシルト問題について
【光永】 質問の最後に、加茂町のゴルフクラブに埋設されていた産業廃棄物・フェロシルトについて伺います。フェロシルトは石原産業が製造し、三重県が「リサイクル製品」として認定、販売したものです。ところが昨年、愛知県瀬戸市に野積みされたものが雨で流出し、川を赤く染めたことなどから問題が表面化したため、製造販売が中止され、今年6月には、環境基準を超える発ガン性物質の六価クロムが検出されました。本来なら、この時点で「危険」という認識にたった本府の厳格かつ緊急な対応が必要だったのです。ところが、住民や加茂町から早期撤去を求める声があがっていたにもかかわらず、本府は「6月に石原産業が調査した土壌からは環境基準以上の六価クロム等が検出されていない」と業者調査を鵜呑みにし、土壌調査を行おうとしませんでした。そして10月に石原産業が「六価クロムが含まれるおそれがある」と発表したことをうけ、ようやく調査に動き出し、先の発表のとおり六価クロムが最高で環境基準の36倍に達し、調査地点すべてで環境基準を上回ったことが明らかとなりました。さすがに地元から「だまされた」「もっと早く府自ら検査をして欲しかった」などの声が上がったのは、私は当然のことだと思います。これでは、府が安全だとしてきた6月の石原産業による調査結果が一体どこの土壌であったのかとの疑念も浮かびます。そこで伺います。なぜ、本府は早期に土壌調査をしなかったのですか。これまで住民にも、私どもの申し入れにも事実上安全としてきた根拠は何ですか。お答え下さい。
さて、我が党の加茂町議団は8月に現地調査を行い、9月議会で早急な撤去を求めました。そして、我が党府会議員団は10月に早期撤去などを申し入れ、さらに11月には加茂町議員団が本府に申し入れました。しかし理事者は「逆有償かどうかの確認が必要」とのべ、「産業廃棄物とは断言できない」との態度をとり続けてきました。
ところが、10月に東海3県と京都府が環境省との協議した結果、京都府以外の東海3県はフェロシルトを産業廃棄物として認定するとの態度をとり、対策を急ぎました。また石原産業自身が地元説明会で、「加茂町でも逆有償があったのか」との住民からの質問に、「フェロシルトは1トン150円で販売した。埋め戻し業者には1トン3000円支払っている」と逆有償を認めていました。にもかかわらず、なぜ本府だけ産業廃棄物としての認定が遅れたのか、その理由を明らかにすべきですがいかがですか。お答え下さい。
ところで、代表質問の答弁で、知事から「排水については今回も六価クロム、フッ素とも検出されず、ただちに周辺環境への影響はない」と述べられ、また12月2日には「フェロシルトは覆土され、芝が植えられており、また排水にも問題がない」と発表されました。しかし、実態はそうではありません。
私は先日加茂町会議員団のみなさんとともに、現地の加茂カントリークラブにむかい、その周囲を調査してきました。本府が土壌調査をした16番ホールのすぐ横は、従来の土地の高さからビル2~3階分近くの高さまでフェロシルトが盛土されており、改めて5万6000トンの量の多さに驚きました。京都府の土壌採取は、コース上と境界法面の半ばで行われましたが、その下の地盤面近くでは、赤みを帯びた土があちこちに露出していました。そこで採取したのがこの土、フェロシルトと思われる土壌です。また、現地調査をした日はちょうど雨が降っていましたが、境界周辺には赤みを帯びた水があちこちたまっていました。それがその時の写真です。
京都府による6月と10月、そして先日行われた水質調査は、埋設直下の池および敷地境界の排水とされていますが、ゴルフ場に降った表流水と排水路を伝って流れ込んだ雨水等で、敷地境界に露出しているフェロシルトから流れ出した水の調査は、府はされていないのです。
この事実をもってしても、いまだ安全だといえる根拠は何なのか、明らかにすべきですが、いかがですか。また、今のべた敷地境界の土壌調査や水質調査、業者ですら行った放射線等の調査をすぐに行うべきですが、いかがですか。
この問題が発覚して以降、住民のみなさんは一日も早い完全撤去を求めておられます。ところが業者は先日の住民説明会で撤去計画の発表が「来年1月中旬までかかる」と説明しました。とんでもない話です。即時、安全な全面撤去にむけ、本府としてこれまでの姿勢を改め厳格な態度で臨むことはもちろん、搬出経路など地元のみなさんとの合意の上で、安全をまもるため厳密な進行管理が行われるよう対応すべきですが、いかがですかお答え下さい。
【企画環境部長】 本年6月に加茂町内にも埋設されたことが判明したことから、府としてただちに周辺環境の安全確認のため敷地境界での排水検査を行ったが、六価クロム及びフッ素とも検出されなかった。また、当該フェロシルトは他府県のように野積みにされているわけではなく、埋め戻し材として利用されている状態であったこと等から、廃棄物処理法等にもとづく立入検査の要件は満たしていないと判断し、敷地内にある埋設土壌については製造会社に調査を指導したところ。その後、10月になって、製造会社がフェロシルトに六価クロムが含まれているおそれがあることを公表したため、再度、排水の検査を行うとともに、加茂町とも連携し、早期全量撤去の申し入れを行った。同時に、廃棄物処理法に基づき、同社に報告を聴取するとともに、四日市工場に立入検査を実施し、六価クロムの発生原因となる製造工程等を確認し、さらに排水及び土壌の検査を実施した。
その結果、土壌からは環境基準を超える六価クロムが検出され、取引の状況等も勘案の上、産業廃棄物と判断した。一方、排水については、今回も六価クロム、フッ素とも検出されておらず、また、放射線についても各埋設地等における測定データを保環研で点検し、問題ないことを確認したことから、ただちに周辺住民あるいはゴルフ場利用者に影響はないと考えているが、引き続き、排水検査等により厳重に監視することとしている。
製造会社は、既に京都府の指導や加茂町の要請をうけ、可能な限り早期の撤去にむけて、搬出方法、ルート等について住民等と協議していくことを表明しているが、一刻も早い全量撤去にむけ、廃棄物処理法に基づく撤去命令により、具体的な撤去計画書を早期に提出させ、加茂町とも連携し、厳正に指導したい。
【光永】 私は経過の話を聞いているのではない。一昨日、新聞で発表されたが、三重県の調査によるとこのフェロシルトは作った時から産業廃棄物、廃液を混ぜてきたことが明らかとなった。まさに、調べれば調べるほど確信犯であったことが明らかになっている。だから、6月に分かった時点で、府がしっかりと対応していれば、全量撤去もここまで遅れることはなかったと指摘している。これでも京都府は、万全な体制を取ってきたのか、そう思われているのか、知事に再答弁を求める。
もう一点。これだけ問題が大きいわけだから、先ほど言ったように赤い土も出ているし、赤い水も出ている。だから、しっかりと地元、現場を見ていただきたい。住民の声をしっかりと聞いていただきたい。この点についてはいかがか、今度は知事から再答弁を求める。
【企画環境部長】 住民の安全、ゴルフ場利用者の安全、これが第一であると考えている。従って、私ども、産業廃棄物と認定した以上、できるだけ早期に全量撤去を指導し、これに対し全力をあげたい。
【光永】 知事が出てこられないというのは、結局、都合の悪いことは部長まかせにするというのは、本当に残念だ。こういう姿勢が、結局、こうした産業廃棄物問題を、住民の安心・安全と言いながら、しかし手を打つのがどんどん遅れる、こういう事態を招いている。だから、こうした姿勢こそしっかりと改めていただき、このフェロシルト問題は早期に全量撤去していただく。そのためにも住民合意でやっていただく、そして進行管理を万全にしていただきたい。この点を強く要望しておく。