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本会議質問

2月定例会 松尾 孝府議の代表質問

2006/02/09 更新
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 日本共産党の松尾です。議員団を代表し知事並びに関係理事者に質問いたします。

府政に求められていること/国の悪政から府民の暮らしを守る本来の役割をしっかり果たすこと

 いま、小泉内閣が進めてきた構造改革の害悪、耐震強度偽装事件、ライブドア事件、アメリカ産牛肉の輸入再停止問題などに国民の大きな怒りが巻き起こっています。また、格差と貧困の拡大の中で新たな不安が高まっています。

 京都でも、ホテルの営業停止、JR西日本の大事故、加茂町のフェロシルト問題など生活の安全・安心を脅かす事件が相次ぎました。府民の暮らしも大変で、国保滞納世帯、生活保護世帯が増え続けています。

 このような中で今京都府政に求められていることは、国の悪政から府民の暮らしを守る本来の役割をしっかり果たすことであります。かって蜷川知事は、この役割を防波堤に例え、精一杯努力しましたが、今の府政はとてもそうなってはいません。

 昨年秋、民主府政の会が府民アンケートを実施いたしましたが予想をはるかに超える、3万1千もの回答が寄せられました。今の府政に不満は60.6%、満足の17.7%の3、4倍にものぼっています。そして、1万を越える「自由記入欄」への書き込みがあり、「国民健康保険、介護保険の負担を軽くして欲しい」、医療、福祉、保健のサービスを充実して欲しい」など、暮らしと命にかかわる、切実な多くの要求が寄せられ、府民の暮らしを守る温かい府政を強く求めています。

 これは多くの府民の偽らざる思い、願いではないかと考えますが、これにどう応えるか、以下、具体的に伺いますのでお答え下さい。

府民の安全安心、耐震偽装、フェロシルト問題について

 まず第一に、いま府民が強く求めている安全・安心の問題です。

 この間、一昨年のサーズ、鳥インフルエンザと台風23号災害、そして昨年はJR福知山線の大事故に加え、耐震偽装問題や加茂町フェロシルト問題が起こりました。いずれも府民生活の安全・安心を脅かす大問題であり、京都府政の対応が厳しく問われる問題でした。

 知事はかねがね「安心・安全」を強調し、府政の“売りもの”にしてこられました。しかし、今回、耐震偽装問題、フェロシルト問題などその看板はすっかり剥がれ落ちてしまいました。「構造計算書に問題はない」と言って「安全宣言」をし、10日後には「改ざんがあった」と撤回、ホテルは営業中止となりました。また、フェロシルト問題でも「企業が調査したが問題はない」と「安全宣言」、府独自の調査をしませんでした。ところが10月に入ってようやく調査、環境基準の36倍もの六価クロムが検出され、企業がウソの報告をしていたことが明らかになりました。

 強度の再計算もせず、また、企業の虚偽報告を鵜呑みにして「安全宣言」とは一体どういうことでしょうか。知事のいう「現地現場主義」はなんだったのかと言わざるを得ません。

 知事はこの点についてどう考えておられるか、率直にお答えいただきたい。問題はなお未解決です。全面解決まで責任を持つべきであります。また、フェロシルトの下に産廃残土が埋められていることが明らかになっていますが、この問題についても厳しく対処するよう求めます。あわせてお答えください。

【知事】  府としては、これまでから府民の安心安全を確保するため法令等の遵守を基本としながら事案に積極的に対応してきた。しかしながら、先程、多賀議員にもお答えしたように一級建築士がプログラムを改算し、また三重県がリサイクル認定した物が実は産業廃棄物だったという、まさに信頼を裏切られる事態が続く中で、法令を遵守しながら、それでは府民の安心安全は守ることはできないという事態が生じており、今後さらに一歩進めた対応をしていかなければならないと考え、安全のための徹底した対策を講じているところです。フェロシルト問題については、昨年12月に、廃棄物処理法に基づき、製造会社である石原産業に対して、全量撤去措置命令を発令するとともに、埋め立て処分時の違法な処理委託に対して、同社を刑事告発したところです。また、埋設地周辺の排水土壌、農作物等についても、京都府が調査を実施し影響が無いことを確認し、まず、安全の確保をするとともに、全量撤去にむけて、指導しているところです。尚、フェロシルトの下部にある盛土については、平成12年当時に、ゴルフ場の改修工事の際に搬入されたところと考え、現在土壌検査を行っているところです。今後、その結果を踏まえて的確に対応していきたいと考えている。

BSE問題 日本並の対策実施をアメリカに強く迫るよう政府に求めるべき

【松尾】  アメリカ産牛肉の輸入が再開されて1カ月、危険部位の脊柱が見つかって大問題となり、即刻、再停止されました。今回の事件で明らかになったことは、アメリカには再開条件が守られる保証も担保もなかった、ルールも体制もなかったという酷さであります。ところが日本政府は、閣議決定や国民への約束を反故にし、再開前の事前調査を全く行っていなかった。アメリカ言いなりに、輸入再開を急ぎ、国民の命まで危険にさらす、政府のこのやりかたは絶対に許せません。この際、知事として、「全頭検査と危険部位の除去、トレーサビリティの確立、肉骨粉の全面禁止」、つまり日本並の対策実施及び定期的な施設立ち入り検査の実施をアメリカに強く迫るよう政府に求めるべきだと考えますが、お答えください。

【知事】  食品の輸入に際して、国民の安心安全の確保を最も優先すべきと私も考えている。京都府では、これまでから、平成16年9月定例会でのBSE対策に関する意見書の内容をふまえ、BSE施策の決定にあたっては、情報を広く国民に開示し、国民の理解と納得を得て行うこと、米国産牛肉の輸入については、特定危険部位の除去など、我が国と同一基準による安全措置が確立されるまで再会しないことについて、国に対して強く要請してきた。今後ともこうした考え方を基本に適切に対応するよう引き続き要請していく。

鳥インフルエンザ問題 厳しい批判に答えよ

【松尾】  鳥インフルエンザについてですが、知事は昨年末「危機来襲」と題する回顧録を出版され、そのなかで、48日間で終息宣言できたとひどく自慢をしておられます。しかし、一片の終息宣言ですべて終わったわけではありません。いまなお後遺症は大きく、現地の住民からは「鶏糞処理は始まったばかり」、「終息でなくとりあえずの休息」などと厳しい批判が出ています。この声にどう答えられますか。また、何の補償もなかった30キロ圏外の業者や農家、或いは鳥関連業者のことを、よもやお忘れではないとは思いますが、この際、どうお考えか、お聞きしておきたい。

【知事】  終息宣言については、発生農場や周辺地域での防疫措置が完了し、ウイルスがいないことをしっかりと確認し、出荷制限を受けた養鶏業者のみなさんの事業活動を再開し、また、風評被害に苦しめられていた関係の方々に対しての安全で、もういいですよという意味で終息宣言をだした訳です。ただ、今の松尾議員のご質問のなかでは、終息ではなく休息だとの発言がありましたが、これでは、ウイルスが死滅しておらず、再び活性化するという誤解を与えかねず、いたずらに不安をあおる発言であり、厳しい環境の中で、防疫対策に協力していただいた地元をはじめ、多くの方々の気持ちを踏みにじるもの、府議会でこの様な発言をされる事は、私は心外であり怒りを禁じ得ないものです。

 養鶏農家対策については、国の融資対策は、30km圏内と圏外で、貸し付け金の制度内容が異なっておりましたが、京都府では、圏内圏外を問わず、一律無利子の特別措置を講じたところです。さらに、当初30km圏内の防疫措置として実施した防鳥ネットや消毒施設等の助成についても、その後、府全域の農家を対象に実施するなど、30km圏外の養鶏農家の経営支援にもつとめてきた。

台風23号災害対応 最大の問題は土木事務所の体制問題 検討見直しを

【松尾】  台風23号災害の対応ですが、明かになった最大の問題は土木事務所の体制問題でした。振興局の広域再編で舞鶴土木は綾部に統合され、舞鶴は6人の駐在体制になり、被害の一番ひどかった舞鶴市域に直接の担当部署がなかったのであります。あのバス水没事件は、このような中で通行規制が遅れ、起こるべくして起こったといっても決して過言ではありません。台風は毎年必ずやって来ます。この教訓を生かし、府域全体の土木事務所体制について改めて検討・見直しを求めるものですが、お答えいただきたい。

【知事】  地域間の災害対応体制について、一昨年5月の地方機関再編では、振興局を4つに広域統合しましたが、災害対応の中で中心的な役割を担う土木事務所については、7つの中規模再編にとどめた。台風23号に対しては、非常時に職員を集中して動員できるという再編メリットもいかし、土木事務所をはじめ管内機関連携のもと速やかに初動体制を確保し、災害対応に全力をあげたところですが、今後とも広域振興局体制のもと、国、市町村等関係機関とも緊密に連携し、災害対応体制の一層の強化をはかり、府民の安心安全に万全を期していきたいと考えている。

安全安心問題 知事はまったく反省がたらず

【松尾】  ただ今のご答弁ですが、耐震強度偽装事件、或はフェロシルト問題、知事がご答弁なさった事は、例えばフェロシルトの問題では6月から問題が起こっている。ところが11月から12月段階のお話しかなさっていない。6月に岐阜県その他では、明らかに産廃だということで、県の動きも始まっている。それを京都府は何カ月も見過ごしてきた。これは知事がどうおっしゃっても現地のみなさん方からは納得出来る話ではない。耐震偽装問題に致しましても、知事が自ら今年の新年のご挨拶の中でも、マニュアルどおりやっていたというだけでは済まないんだと、それでまずかったからといっていくら言っても言い訳だという主旨のこともおっしゃっています。耐震偽装はやった人が悪いのは当然だが、構造計算を改めてやらずに安全宣言をする、あれだけ全国で問題になっている時にそういうやり方というのはやはり納得できないとうふうに思います。先程の知事のご答弁は全く反省が足りないのではないかというように思います。厳しく指摘をしておきます。災害対応で一番大きな役割を持つ土木事務所の配置についても、私は従来の細かな、狭い範囲で隅々まで目が届く体制がより好ましいということは当然ですから、その点についても見直しを強く求めておきたいと思います。

京都経済の問題/中小企業重視の府政に転換を

 第二に地域経済の問題です。

 昨年9月定例会でも提起いたしました「京都府中小企業振興条例」の制定について改めて伺います。知事は融資対策その他総合的に手を打っている、府の商工行政のすべてが中小企業対策だと言ってこられました。しかし、今日の府商工行政が企業誘致、ベンチャー育成に偏重していることは誰の目にも明らかであります。いま必要なことは、京都における中小企業の位置付けを法令として明確にし、中小企業振興が京都の経済、産業、府民生活全体にかかわる重要な課題であることを府民合意として確立し、中小企業重視への転換を計ることではないでしょうか。

 また、知事は「伝統と文化のものづくり産業振興条例」や振興局の「地域振興計画」で対応していく旨述べていますが、出荷額等では電気、機械金属、化学、印刷なども大きなウエイトを占めているのが京都の特徴でもあります。京都経済全体を視野に入れ、中小企業振興の基本方向を示すことが必要であります。中小企業振興基本条例の制定をあらためて強く求めるものでありますが、お答えいただきたい。

【知事】  京都経済の発展には、京都の産業の大半をしめる中小企業の活性化が不可欠であり、経営安定のための制度融資や伝統産業の職人さん支援など、全国でも最高水準となった施策を実施している。また、条例については、昨年12月議会で報告した産学公連携の促進による新産業の想定プランにおいて、中小企業の成長や第二創業などを支援していくという観点から、頑張る中小企業を応援する条例の制定をしたところです。

消費税問題 知事の「幼稚な議論」発言は撤回せよ/「考えは変わらない」…知事

【松尾】  消費税の問題ですが、財務大臣が来年には法案を出すと言っています。政府税調も公然と動き始めました。仮に10%になれば12兆円の増税です。家計を直撃し消費の落ち込み、内需の減退など地域経済はもちろん、日本経済に計り知れない打撃を与えます。消費税大増税は絶対にやるべきではありません。

 知事は12月府会で「消費税増税反対だけ言うのは幼稚な議論だ。受益と負担の問題をしっかりと議論する必要がある」と答弁されましたが、「国にもの申す」どころの話ではありません。「消費税増税は絶対に困る、なんとかして欲しい」という中小零細企業や商工業者、お年寄り、府民の切実な声にどう応えていくのか、はっきりとお答えください。また、「幼稚な議論」とは府民を馬鹿にした、失礼な言い分ではないでしょうか。この際、謝罪・撤回すべきと思いますが、いかがですか。

【知事】  消費税の問題について、公的サービス費用をまかなう諸税の負担水準の議論は、公的サービスの水準の在り方と表裏一体の関係で、負担の方だけを議論することは一面的です。したがって、少子高齢化の進展、企業活動や、個々の人のライフスタイルの多様化といった経済社会の構造変化をふまえ、持続可能な社会をつくるための国の行政水準全体に関わる受益と負担の問題として、その両方を総合的に議論すべきものであるという考え方に変わりはない。

【松尾】  消費税問題、考えは変わりないということだが、この間、負担と受益とおっしゃるが、受益は減る、負担は増えるというのが日本の社会保障全般の流れになっている。こんなことが放置できるか、その最たるものが消費税増税であり、10%で12兆円増税になる。高齢化社会のため、福祉のためと導入に当たって言ってきたが、16年余、国民が160兆円を超える消費税を納めている。この間、法人税の減税トータルで150兆円を超えている訳です。給付は減っている、結局消費税は大企業減税、法人税減税の穴埋めにまわったというのがこの間のそろばん勘定なのです。だからそういう消費税の増税は認められないと思いますが、それでも知事は受益だ、負担だということで、府民の痛みを分かろうとなさらないのか、もう一度お答え下さい。

【知事】  私が申し上げたのは、国において諸税の負担を考える場合には、受益と負担をしっかりと見つめて総合的に勘案するのは、持続安定的な我が国をつくるうえで当然であろう。そしてその中で、例えば私どもは今回、障害者のみなさんに対する緊急対策を行いましたし、介護保険に対しても、緊急対策を行いましたけれども、地方公共団体というのは、地方分権の時代にあって、住民の身近にあって、しっかりとした対応をしていく。この両方があいまって、私は日本という国が、持続安定社会になると考えている。そういう観点から今回緊急対策も出させて頂いたところだ。

【松尾】  消費税大増税はごめんだというのが、府民大多数の偽らざる切実な声ですから、これを解ろうとされない知事の姿勢はやはり知事としておかしいと思います。受益と負担とおっしゃいますが、とにかく給付はこれからどんどん社会保障は減ってるわけです。そして、負担だけが増えるということになるわけで、それはやはり考え直して頂きたいということを、強く求めておきたいと思います。

農業・農村対策について

【松尾】  農業・農村対策についてですが、国が今進めている「品目横断的経営所得安定対策」は京都の実状には全く合いません。品目横断的とは名ばかり、麦、大豆、甜菜、でん粉用馬鈴薯の4品目です。米、野菜なども対象に加えるよう国に求めると同時に、府独自にも一定の所得対策がどうしても必要です。いかがですか、お答えください。また、集落営農の組織化が強調されていますが、中心となる担い手がいなければ集落営農は成り立ちません。府独自の思い切った担い手対策が必要です。この対策をどう講ずるか、お答えください。国の政策の対象となる認定農業者、集落営農などの登録がこの夏から始まります。知事特認などを含め現在の取組状況も併せ、お答えいただきたい。

【知事】  品目横断的経営安全対策について、府はこれまでから、農家所得の確保をはかるため、野菜については、国の価格安定対策に加え、ブランド京野菜をはじめ、多種目少量生産を行う京都府の生産実態に対応した府独自の対策を講じてきた。また、米についても産地間競争が強まるなかで、安心安全でおいしい米作りの推進と地産地消を重視した販路開拓につとめている。

 今回の国の対策では、中山間地域を中心に、多くの農家が対象からはずれることから、府では、これらの農家の経営を守るために、これまでの対策に加え、受託組織の育成により、対象農家の拡大をはかるとともに、ブランド京野菜や宇治茶の生産拡大、小豆、黒大豆の新たな産地づくり等を総合的に推進する。

 地域農業を支える核となる担い手については、これまでから、京野菜や花卉、宇治茶などの収益性の高い農業の振興をはかるなかで、育成につとめてきたところであり、新規就農者の確保についても、実践農場等の取り組みを通じ、積極的にすすめているところであり、これらの取り組みと合わせて、さらに、受託組織の法人化や定年退職者の就農促進をはかるなど、多様な担い手を基本とした担い手育成に積極的に取り組んでいる。

 また、国による品目横断的経営安定対策の加入受付時期が、当初よりかなり遅れており、今秋から来春にかけて順次行われる状況になっていますが、府では現在、知事の申請により、要件が緩和される特例基準づくりを、市町村とともにすすめている。さらに、農作業受託組織に関する経営実態調査を合わせて実施中であり、今後この調査結果をふまえ府、市町村、農業関係団体で構成する地域担い手育成総合支援協議会において、法人化や経費の一元化等、施策対象組織の拡大にむけた経営指導の強化をはかっていく。

京都の農協の一本化について 鳥インフルエンザ関係の緊急融資について

【松尾】  なお、この際農協の問題についてお聞きしておきます。いま京都の農協を一本化する計画がすすめられています。この10年来、大規模合併がすすめられてきましたが、支店、営業所などが統廃合され、営農活動も弱まり、農協本来の役割が果たせなくなっているのが実態です。一本化の中で益々ひどくなるのではないかと心配されています。京都の農協一本化は行うべきではないと思いますが、知事はどう考えているのかお答えいただきたい。なお、JA丹後の吸収合併に際し、労働組合の解体を図る不当労働行為が行われ大問題になっていますが、指導・監督責任を持つ知事として、これらの問題についてもどうお考えか、お答えください。

 また、鳥インフルエンザ対策のなかで、農協が、養鶏農家、事業者にたいし、国が決めた対策融資を行わないわないという問題が起こりました。議会でも問題になりましたが知事はこれに対する指導を徹底せず、京都の養鶏農家、業者は国の融資が受けられないという、異常な事態となりました。知事はこの問題についてどう反省しておられるのか、この際、お聞きしておきます。

【知事】  農協は、農業者の共同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を目的としたものであり、合併など経営基盤や組織強化の具体的な方法については、こうした農協の性格上、各農協において組合員のみなさまの判断によることになっている。また、京都丹後農協の労働組合から出されている不当労働行為の救済申し立てについては、独立した行政機関である京都府労働委員会において現在審査がおこなわれているところであり、その動向を見守っている。

 鳥インフルエンザに関わる融資対策については、農協についても各金融機関と同様に、緊急融資の主旨をふまえた積極的な対応を要請してきたところであり、農協への融資相談の案件もいくつかありましたが、辞退者もあり、結果としてまとまらなかったというふうに聞いている。ただ、当資金について、養鶏農家にとって使いづらいという問題点もあったので、京都府として、国に対して養鶏農家の実情をふまえた無担保無保証人等の実効性ある緊急融資制度の創設等を、強く要望してきた。

【松尾】  鳥インフルエンザの農家・養鶏業者への融資の件は、使いづらいということで辞退があったというお話があったが、農協が扱わないという問題を、私は指摘しているわけです。これはまぎれもない事実ですから、こういう状況をそのまま放置された知事の責任は、大変大きいということは、きっちり指摘をしておきたいと思います。中小企業振興基本条例ですが、府の条例として法令で定めるということは、府がそういう方針をきっちり内外に示すということであり、これは府の中小企業振興にとって、大変大きな意味を持つということは間違いないと思います。頑張る中小企業応援条例検討に触れられましたが、府全体の京都経済、地域経済全体の立場にたって、ぜひこれはやって頂きたいということを要望しておきます。

子育て支援、子どもの安全対策と教育/子どもの医療費無料化 改善を急げ

 第三に子育て支援、子どもの安全対策と教育についてです。

 まず、子育て支援ですが、先ほど触れましたアンケートの中で「子どもの成長や教育に望むこと」の第1位は「子どもの医療費無料化の拡充」で、子育て世代の20歳代から40歳代では40%にものぼっています。子どもの医療費無料化はお母さんの強い要求です。

 京都府は平成15年、ようやく就学前までの改善を図りましたが、通院については八千円以上の制限があります。市町村の多くがこの制限をなくし、就学前、或いはそれ以上まで実施していますが、京都市ほかいくつかの市では府の制度のままで、3歳以上は八千円までの負担がかかっています。この数が圧倒的に多いのです。私どもは子どもたちが、住むところによって違う扱いを受けることのないよう、直ちに改善するよう強く求めてまいりましたが、知事は、「全国トップレベルの水準」と言い張り、全く聞き入れられませんでした。八千円のハードルを除いてこそトップレベルと言えるのです。今のままでは「絵に描いたもち」です。これ以上改善を遅らせることは許されません。先ほど、検討は述べられましたが、国も3歳児未満の2割負担を就学前まで引き上げる予定ですが、それを待たずに、ただちに改善するよう強く求めますが、お答えください。

【知事】  国における医療制度改革の動向もふまえ、この制度のあり方については、実施主体である市町村とも協議する必要がありますので、検討を深めていきたい。

【松尾】  関係の自治体と協議してということですが、この1月5日に知事、記者会見されて、子どもの安全対策などにふれておられるが、その中で、この乳幼児医療費の問題を補正で検討していくということですので、これは伺っておきますが、いつの補正のことを念頭においておられるのか。6月か9月か。いずれにしても、これは大変強い要求・願いであり、1日も早い改善を求めておきます。

【知事】  基本は、先ほど申した通りです。なお、選挙のあとの話しをここでのべるのは、やはり、差し控えるべきだと思います。

【松尾】  それだったらなぜ、記者会見であのようなことを述べられるのですか。ホームページにもきっちり書いてあるのですよ。それこそ、知事の方がこれはおかしい。いずれにしても、やっぱり一日も早くやるということを強く求めておきます。

私立高校などの授業料減免制度の拡充について

【松尾】  私立高校などの授業料減免制度の拡充について伺います。この制度は02年、わが党の国会質問などにより、3年間の時限措置として始まり、2年間延長され、今年度からは恒久措置となりました。対象も生活保護世帯にも拡大され、予算額も倍以上の6億3800万円が計上されています。これを大いに活用し、自営業の急激な経営悪化などを含め、経済的理由による中途退学者が出ないよう、一層の拡充を求めるものであります。お答えください。また、現在の制度では、学校ごとに適用基準に差があり適用生徒数に大きな開きがありますが、府が直接支援する制度に改善すべきではないでしょうか。併せてお答えください。

【知事】  府では、生徒や保護者の経済的理由によって、就学を途中で断念することがないよう、林田府政へ転換後の昭和56年度に、府独自のものとして私学の補助制度を創設した。この制度は、生活保護世帯はもとより、市町村民税非課税所帯の方や、病気、災害の場合にくわえ、失業・倒産や自営業者の経営悪化などにより、所得が減少した家庭についても幅広く対象としている。さらに、11年度には、補助率を2分の1から3分の2に、16年度からは、実質6分の5まで引き上げるなど、制度の充実に努めるとともに、学校に対しまして、説明会などで、府の制度内容について、周知徹底に努めてきた。この間、12年度からは、国において無料制度が確かに創設されましたが、対象が限られているため、ほとんどが府の独自制度によって対応している。府の制度は従来から、私学と京都府が相互に協力しながら運用を拡充してきたものであり、各私立学校においては、府の制度を活用しつつ、奨学金制度などとあわせ、各生徒の状況に応じて適切な対応に努められてきており、今後とも、この制度の周知徹底に努めるとともに、私学と緊密な連携をはかりながら、生徒の就学に支障が生じないようきめ細やかな配慮をしつつ、取り組みをしていく。

子どもの安全対策について

【松尾】  次に子どもの安全対策についてです。

 昨年頻発した子どもの悲しい痛ましい事件は多くの人々に強い衝撃を与えました。

 わが党議員団は、昨年末、子どもを守る地域の自主的な取り組みを発展させることを呼びかける緊急提言を発表し、市町村への財政支援、「見守り隊」などへの活動助成、通学路などの総点検、専門的な研修を積んだ、地域と連携して活動する「安全担当職員」の配置などを求めました。その後、府当局は全小学校区での「見守り隊の整備」と資機材の提供などを発表し、今議会に必要な予算を計上しましたが、一日も早く実効ある取り組みが行われるよう整備を急いでいだきたいと考えます。また、教職員や児童施設職員の増員とともに、安全担当職員の配置を早急に実現して頂きたいと思いますが、あわせてお答えください。

【知事】  子どもが被害者となる事件の多発によって、子どもの安全確保に対する機運が高まり、府内各地で子どもを見守るボランティア団体が数多く結成され、活動を開始しております。府としては、今後、予算案に議会の皆様のご賛成がいただけましたら、警察・教育委員会・市町村をはじめ、犯罪のない安心安全なまちづくり推進本部に参加する関係団体とも緊密に連携し、自治会やPTA、防犯推進委員との関係ボランティアに対し、早急に事業を周知し、子ども見守り隊の結成を促進し、早期に府内すべての学区で活動が展開されるよう推進する。

【教育長】  地域社会が一体となって、子どもを守ることが最も重要であることから、すでに警察官OBなど、防犯の専門家であるスクールガードリーダーによる学校の巡回指導や、スクールガードの要請セミナーを実施しており、住民意識の高まりとともに、地域ぐるみで子どもを守るという機運の拡大につながっているところであります。また、各学校では、学校安全計画に基づき、学校あげて地域の実情に応じた安全対策の充実に努めるとともに、スクールガードリーダーの巡回指導を全小学校区へ拡大することから、あらためて安全担当職員の配置が必要であるとは考えていない。今後とも、子ども地域安全見守り隊など、学校・保護者・地域社会が一体となった学校安全体制づくりにいっそう努めていきたい。

少人数学級の実施 全国最低レベル

【松尾】  次に、少人数学級の実施についてですが、この間、私どもは教育委員会が固執している習熟度別少人数授業について、その弊害を具体的に指摘し、30人学級の実現を強く要求してまいりました。習熟度別編成の本質は選別政策であります。これが子どもたちの人間的な成長を阻害するのではないかとの懸念は払拭し得ないのであります。

 いま、少人数学級が全国的な流れとなっているのはこのような弊害をなくしようという真剣な取り組みであり、教育関係者の多くがその効果を認めています。このような中で、府教育委会もその選択を市町村教育委員会や学校の主体的判断に任せるとしているのです。

 ところが、京都での実施状況は、約1割の学校、しかも一部の学年だけ、約15%程度です。全国と比較しても極端に低く、最低レベルです。「加配教員を活用すればすべての学校で少人数学級の実施は可能」、とこう説明していながらどうしてこのような状況になっているのか、不可解です。納得のいく説明をお聞かせいただきたい。少人数学級の本格的実施を強く求めますが、あわせてお答えください。

【教育長】  府では、児童生徒や学校の実情にあわせ、少人数授業、ティームティーチング、少人数学級の中から、学校現場に最も指導方法・体制を市町村教育委員会が主体的に選択して、実施しているところであり、少人数学級も実施されている。今後とも画一的な学級編成とするのではなく、発達段階にそくした柔軟で効果的な指導方法として保護者や学校現場からも、大変高い評価を得ている京都式少人数教育の充実に引き続き努めていきたい。

少人数学級実施 府教委が抑えているのではないか

【松尾】  今年の新年度予算を見ましても、752人の具体的人数もあげて、対応できる予算があるわけで、加配教員の枠の中で、これはもう十分できる。新たに財政的措置を特別にということにはなっていないわけです。できるのです。それをなぜやらないのか。市町村教育委員会等、あるいは学校現場でよく検討してということですが、それがなぜできないのかということは、やっぱりおかしいのではないかということを申し上げているわけです。納得できない。説明をお願いしたのはそこのところなのです。どうでしょうか。

 全国的な流れというふうに言いましたが、山形・福島などは小学校1年から6年まで全部やられているわけです。あるいは、ほとんどの府県で小学校1・2年生は、すべてでやられているという実態があるわけです。京都府でできない。全国で最低レベルというのはおかしい。やっぱり、少人数学級で子どもたちが教科によって分かれて、別々のところへ行って学ぶということではなくて、同じところで一緒の先生にきっちり教えていただくというのが、子どもたちにとって一番いいのではないかと思うのです。やっぱり、府教委が抑えているのではないかということを疑わざるをえないのですが、そのようなことはないのですか。このことは、はっきりお答えいただきたい。

【教育長】  現在、小学校でいいますと、6割を超える学級が、すでに30人以下となっております。こうした実態の上に府独自で現場が柔軟に選択できる少人数教育の各種の方法をすすめており、少人数学級もそのうちの一つとして、認めている。従って、全体の少人数教育の中で、少人数学級の実施状況だけをとらえて、実態を論ずるのは、私は、木を見て森を見ないという議論ではないかと感じている。

【松尾】  確かに、農村地域で自然に子どもが少なくなっているわけですから、そういう状況が広がっているということは事実です。しかし、子どもたち全体でいえば、そうでない子どもたちの方が京都市域中心にはるかに多いわけですから、そこのところをよく考えて、再検討をして一日も早く少人数学級の実施をしていただきたい。強く求めておきます。

医療改悪・北部医療問題/医療改悪 知事は小泉首相と同じ言い分

 第四に医療改悪の問題です。

 ご承知の通り国の新年度予算案では70歳以上、現役なみ所得のお年寄りの窓口負担は10月から3割に引き上げられます。また、療養病床の長期入院患者は食費、居住費が自己負担となります。定額制から1割り負担となったときにも大変な受診抑制が起こりましたが、今回はそれ以上の事態が予想され、お年寄りの健康破壊が心配されています。

 知事は12月府会で「給付と負担のバランスを考え、将来にわたり安定した制度を構築すべきである」と述べ、負担増を容認しました。これは小泉総理の言い分と全く同じ、まさに国言いなりではないでしょうか。知事は本当に制度維持のためにはこれぐらいの負担は必要と考えておられるのですか。お答えください。

 療養病床の長期入院にもホテルコストが掛けられますが、お年寄りにとっては大変です。この際、昨年の改悪により負担増となっている介護保険料、利用料の軽減措置について真剣な検討を行うべきと考えますが、お答えください。

 もう1つ、在宅酸素療法患者の問題です。重度心身障害老人健康管理事業の対象を1、2級から3級にまで拡大するよう繰り返し求めてきましたが、実現されていません。昨年の決算委員会でも、負担増で酸素ボンベを中断したため3例の死亡事例が起こっている深刻な実態を示し改善を要求しましたが、それは国がやることと冷たい答弁でした。全国で20都県が実施しており、京都でも20自治体が頑張ってやっているのです。府として直ちに改善するよう、改めて強く求めますが、お答えください。

【知事】  療養病床における負担の問題も含め、改革のあり方についてはまず、基本的に国が将来にわたり、安定した制度を構築していかれ、そしてその上で、府としては、その制度をうけて、地方公共団体として府民の皆様が安心して医療を受けられることができるよう、セーフティネットを構築していくとともに、地域や府民の実情をふまえ、どのように府民の健康を守るのかという観点から、国に対し、提案・要望を行ってきた。引き続き、市町村と連携をして、積極的に提案をしていきたい。

 在宅酸素療法についても、私どもは今、国に対し、提案・要望しているところであり、引き続き、しっかりと要請していきたい。

【松尾】  高齢者の医療費負担増問題は、医療保険制度そのものが破壊されてしまったら、元も子もないじゃないかというような議論もあるわけですが、いちばんの問題は、国の負担が80年の医療改悪スタート以来、一貫して減り続けていることです。国庫負担が80年比較、30.4%から25%まで、今、落ちているわけです。事業主負担も同様に落ちている。そして、患者負担だけが4%以上も増えているというのが実態です。今回の改悪も、社会保障の伸びを経済成長の枠の中で押さえ込もうというような、いわば財界の要求から出発しているというところに、1番の問題があるわけで、知事がこの本質をしっかり見ないで、いわゆる受益者負担論で、やむをえないという態度に終始されているのは、大変残念であります。こういう態度をあらためて、府民の立場から、痛みを押し付けるようなやり方には厳しく対処をしていただきたいということを求めておきたいと思います。

北部の医療問題 京都府に解決の責任

【松尾】  府北部の医療体制の問題についてお聞きします。

 京丹後市の弥栄病院の産科がなくなる、舞鶴でも医療センターの産科が今年いっぱいで閉鎖、出産予約停止で共済病院に妊婦が殺到、北部地域では安心して出産できないという大問題が起こっております。さらに、舞鶴市民病院の廃止に等しい大幅な縮小、民間委託が発表され市民に大きな衝撃を与えています。京丹後市の合併の中で弥栄病院や久美浜病院がなくなるのではないかとの不安も出され、北部地域の医療体制確保は、大変重大な問題です。この背景には深刻な医師不足の問題があります。

 これらの対策はまさに緊急の課題ですが、医師確保の問題は、個々の病院や自治体では限界があり、京都府が前面に出て取り組む必要があります。青森県の取り組みですが昨年9月、県健康福祉部長を責任者とする「地域医療・医師支援機構」を作り、医師確保対策監を置いて専任体制を確立しています。Uターン、Iターン医師を募り機構に登録し、県職員として安定した身分を保証して、必要に応じて県内の自治体病院などに派遣しています。府も今年度予算で一定の対策を講じましたが、府民の健康、命を守る立場から府立医大をはじめ、より広い協力を求める積極的な対策が必要ではないでしょうか。お答えください。

【知事】  特定地域、特定診療科の医師不足が、全国的に深刻な問題となる中、府としては、とくに中北部の医師確保対策として、実効ある対策を講じることが必要と考え、京都の場合には、府立医科大学というしっかりとした組織がありますので、ここと連携し、新たな医師派遣システムを構築する。さらに、医師バンクの設置も予定しており、今議会に必要経費の予算化をお願いしている。今後、この対策について、全力をあげていきたいと考えているが、公立病院のあり方については、医療ニーズや医療資源の状況、地域医療機関との連携のあり方などの観点から、それぞれの地域の実情に応じて、主体的な検討をされている。府としても、貴重な助言を行っていきたい。

経営改革について/自治体病院の縮小廃止などの引き金となった洛東病院廃止

【松尾】  この間、大江病院、精華病院などを含め、自治体病院の縮小、廃止、民間委託などの計画が相次いでいるのですが、府が行った洛東病院廃止がその引き金になっているとの、厳しい指摘があります。なにしろ洛東病院は不採算を理由に、わずか一月余で、まさに知事のトップダウンで廃止されたのです。舞鶴市民病院も同じことという住民の声は、まさに、むべなるかなであります。また、府が先ほど発表した「市町村経営改革支援シート」で自治体病院の経営指針として「統廃合や経営委譲」を検討課題としてあげていることは重大です。知事の責任が厳しく問われるのではと思いますが、どう思われますか。お答えください。

【知事】  「市町村経営改革支援シート」については、現下の市町村の厳しい財政状況をふまえ、市町村が自ら行政改革に取り組まれる場合の参考に供する趣旨で、市町村のすべての行財政運営に対して、これは400項目ぐらいありますが、この論点を網羅的に掲げたものですので、その1つ1つについて、府として方向付けをするものでは、これはございません。

【松尾】  統廃合・移譲について検討しているかというようなことが、わざわざ提起をされているわけです。その他、これは、多岐にわたっておりまして、市町村に、さまざまな改革を求める内容に、事実上なっているのではないかというふうに、いわざるをえないわけです。先ほど、洛東病院の廃止で知事がああいうやり方でやられたことが、舞鶴病院の廃止などにもいわば、見習われているということを指摘したわけですが、やっぱり、知事の責任は大きいと思うのですよ、これは、よく考えて反省をしてもらいたいということを求めておきます。

府民に痛みを押し付ける「経営改革」はきっぱりとやめるべき

【松尾】  知事は、府も一つの経営であり「経営改革」は当然だ。知事の持論であります。この間、振興局の広域再編が行われ、洛東病院の廃止が強行されました。高校の統廃合、さらに1500名もの新たな人員削減、人件費のキャップ制なども打ち出されています。

 このようなリストラが何をもたらすか、台風23号災害の対応の遅れを見ても明らかだと思います。洛東病院の廃止、公的責任の放棄に等しい保健所の統廃合も地域住民に大きな不安を与えています。自治体行政はマンパワーが支えです。人員を減らし人件費を減らせばよいというものでは決してありません。

 ところが知事は年頭挨拶でも「改革」を強調し、職員にその先頭にたつよう求めました。知事の言う効率的、効果的サービスは、結局のところ、リストラ、「合理化」です。いま求められているのは本当に府民の立場にたった真の改革です。府民に痛みを押し付ける「経営改革」はきっぱりとやめるべきと思いますが、お答えください。

 私どもはこの立場から不要不急の大型開発や公共事業の見直しを一貫して求めてきました。「丹後リゾート計画」やワールド・カップサッカースタジアムの後始末ともいうべき事業、バブルの後遺症とでもいうべき事業が、いまなお、続けられておりますが、このようなムダをなくしてこそ、本当に府民のための改革が可能になる。繰り返し指摘してきました和田埠頭建設、海と星の見える丘公園、木津川運動公園や畑川ダムなどはきっぱりと中止すべきであります。改めて強く求めますがお答えください。

 さらに、市内高速道路ですが、府はこれまで「渋滞が解消し温暖化防止に役立つ」と言ってきたわけですが、事実は逆であります。中心部の渋滞がひどくなり、逆行することになる。今年度予算で新たに「斜め久世橋区間」建設に3億円、継続の新十条と油小路線に17億円、あわせて20億円もつぎ込もうというのですが、やっぱりこれは京都市に見直しを求めるべきであります。お答えください。

【知事】  経営改革については、非常に厳しい財政状況の中で、しっかりとした府民サービスを維持するなら、やはり私は改革というものが必要だと考えている。私ども一生懸命改革をしてきたからこそ、例えば、台風23号の時も全国最高水準である住宅助成を打ちましたし、今回も、障害者の方々に対する負担緩和制度を打てるわけで、そういった点についても十分に考えていただきたい。

 そのなかで、公共事業についても私は、すでに徹底した見直しを進めており、これまでダムにつきましても南丹ダム、福田川ダムの2つのダムを中止いたしました。丹後リゾート公園と木津川右岸運動公園の整備計画の大幅な見直しをしました。そしてこうした見直しについては、公共事業の再評価委員会の審査も受けまして、見直すべきものは見直し、真に必要な事業につきまして、重点的に実施をしている。

 京都高速道路については、平成15年度3月の第2京阪道路の開通により、国道1号などの交通量が15%程度減少して、交通渋滞が大幅に緩和されたところです。新十条通及び油小路線についても、京都府および京都府南部地域における、交通の渋滞の緩和に効果を発揮するものと期待しており、今後とも府市連携して、早期の整備に努めていきたい。今回、斜久世橋区間につきましては、阪神高速道路公団の民営化に伴い、料金徴収期間が短くなりましたので、京都市施行の街路事業となったが、府市協調の立場から今後とも、支援をしてきたい。

市町村合併・道州制について/市町村合併の押し付け 絶対にやるべきではない

 市町村合併の押し付けもこれは絶対にやるべきではない。

 今、南部地域で新法に基づく動きが進んでいるわけでありますけれども、今まで府は自治体が自ら決めることと言いながら結局押し付けてきた。これはもう否定し得ないと思います。南部地域に押し付け合併を行わせることは絶対にやるべきではないと思いますが、改めてお聞きをしたい。

 それよりも、今、府が小さくても頑張る、例えば、伊根町は合併をやらないで、なんとか頑張っていこうということで、努力を始めているわけでありますが、こういうところに温かい支援を行うべきだということを申し上げたい。市町村支援をどう強化するか。長野県の例などにも倣って進めていただきたいということを思いますが、お答えいただきたい。

【知事】  これは各市町村が、今本当に一生懸命自らの手で、どういう形で市町村のあり方を考えるかということを議論されているわけですから、私どもはその議論に基づきまして、市町村からの要請を受けて支援をしていこうというものです。合併を選択しているところについては、合併協議についての支援をし、また例えば、共同化をして一緒にやっていこうというところには、そういう支援をしている。

知事は京都をなくしてもよいと考えているのか

【松尾】  また、道州問題ですが、知事は積極的な推進の立場をこの間示しておられる。昨年11月の近畿ブロック知事会議で、「スケジュール感をもち、第3者を入れた委員会を早急に立ち上げるべきだ」と、そこまでおっしゃられているわけです。知事はこの京都をなくしてもよいと考えておられるのか、改めてお聞きをしておきたい。

【知事】  京都は、豊な自然に恵まれていて、世界に誇る伝統文化、独創的な人材、優れたものづくりの知恵を生み出してきた歴史風土の中に、未来への大いなる潜在力を秘めており、私は、このすばらしい京都府、京都府民を愛することにつきましては、人後に落ちないと自負をしている。道州制はこの国のあり方の基本を議論するものであり、国の方でも議論が始まっているので、私がスケジュール感を持ってと言ったのは、そういう議論に対して、しっかりと近畿の各府県が意見を述べていかなければならないという立場で申し上げたわけで、これからも京都府民の立場に立って、議論をしていきたい。

市町村経営改革支援シートは市町村自治介入・破壊

【松尾】  市町村の経営改革支援シートですが、全面的に市町村行政のいわばリストラを進める内容の指導文書になっている。チェックをしなさいということで、こういう方向で進めなさいということになりかねないわけです。これは分権時代だといろいろおっしゃいますが、市町村自治に介入し破壊することにつながるんじゃないかということを指摘せざるを得ないわけで、再建団体になったら大変だという話は出てくるわけですけれども、支援の仕方はもっとあるということを申し上げているわけで、これは回答を求めたいと思います。

 道州制も知事は積極的に考えているわけではないという趣旨の答弁でございますけれども、府のプロジェクトも今の府県を越える広域地方制度を確立する根拠は見当たらないというのが中間のまとめの中で言われていることですから、このまとめを変えるようなことは推し進めるべきではないしやってはならないということを申し上げておきたいと思います。

【知事】  今市町村の財政は、非常に厳しい現状にありまして、場合によっては、再建団体を受け入れるような危険性もある中で、市町村はみんな努力されている。シート自身は、例えば風邪をひいたときに咳があるかとか熱があるかというチェックをしていくだけの話ですから、咳があるところにチェックしたら、咳をしなければならないというわけではなんでもないわけです。そういう症状にあわせて、しっかりとした対策を講じなければならないというチェックシートですから、なんら方向付けをするものではありません。それは申し述べておきます。

 憲法問題/最後に憲法問題について伺います。

 自民党の「新憲法草案」が決定・発表されました。前文から「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」との侵略戦争への反省を削除する。そして、九条二項を全面的に変えて「自衛軍の保持」を明記しました。そして、その任務として「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」への参加をすると、海外での軍事行動への参加も公然と打ち出しました。この規定ではアメリカがいまイラクで行っている掃討作戦にも当然参加できることになります。日本を再び戦争する国につくり変え、アメリカの先制攻撃戦争に、地球上、どこへでも参加する、ここに改憲の真の狙いがあるのです。

 九条一項の「戦争放棄」は残っているから、「平和主義」は生きているとの主張がありますが、憲法学者の奥平康弘氏は「一項の精神、理念を具体化したものが二項であり、二項がなくなれば一項の魂は奪われてしまう。二項があってはじめて平和主義は発露するのです」と語っておられます。

 そこで知事に伺います。知事は九条を守るのかどうかの問に、自衛権の解釈などを持ち出して、まともに答えてこられませんでしたが、九条一項、二項の全体、すなわち、戦争の放棄、戦力不保持、交戦権の否認について、これを一体的に守ることが、必要だとは考えないのか。自衛権には当然集団的自衛権も含まれるから、これを妨げる二項は邪魔だとお考えなのか、お答えください。

【知事】  憲法問題については、これまでからお答えさせていただいていますが、私はこの問題を議論するに当たりましては、憲法9条の理念を堅持いたしまして、真に各国の人々が、国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする憲法の精神を踏まえた形で、考えていくべきだ。

【松尾】  憲法ですが、9条全体1項の戦争放棄、2項の戦力の不保持、交戦権の否認。これは一体のものなのだと。国際協力云々とおっしゃいますが、そのもとで9条が今削除されようとしているわけです。つまり自民党の憲法草案というのは、そういうふうになっているわけです。そこのところをどう考えるのかということをお聞きしているわけです。イタリア憲法には、戦争放棄はある。しかし戦力不保持、交戦権の否認条項はありません。日本国憲法2項は、イタリア憲法にない。そういうなかで、イラクに行っているイタリアの軍隊から、27人もの死者がでているわけです。日本はそうはなっていない。ここのところの違いを知事はどう考えるのか。これは改めてお聞きしたい。

【知事】  憲法問題については、今いろいろ広範な議論があるわけですけれども、私は憲法9条の理念を堅持して、本当に、真に各国の人々が国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする精神を踏まえて議論していきたい。

衣笠知事の実現で本当に温かい心のかよう府政を

【松尾】  憲法9条問題について、知事は、まともに答えられない。答えていない。1項、2項全体をまとめて答えるよう言っているわけで、これはまた、引き続き質していきたい。

 最後に一言、申し述べさせていただきます。ただいま、切実な府民要望などをお尋ねしましたが、まともな答弁がいただけない。それから、また、この4年間の知事の府政運営についても、やっぱり、府民の切実な要望にこたえられるものではないと言わざるを得ません。4月は知事選挙ですが、私どもはこの府政を必ず転換を図って、衣笠洋子女性知事を実現して、府民の皆さんとともに力をあわせて、本当に温かい心のかよう府政をつくってまいりたいという決意を申し上げて、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。