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本会議質問

2月定例会 原田 完府議の一般質問

2006/02/12 更新
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 日本共産党の原田完です。通告をしている数点について知事ならびに関係理事者に質問いたします。

大型店出店規制の条例を制定し、まちづくりと地域社会を守れ

 まず、大型店の出店と地域経済、住民生活にかかる問題について質問します。

 京都府南部地域は、大型店の異常な出店ラッシュが続いています。京都府のホームページでも、出店計画の売場面積の合計は12万8360 haを超え、南部地域の既存売り場面積の約5割が増える異常な事態となっています。

 住民生活への影響は深刻です。例えば八幡市では、最近、橋本地域の3つのスーパーが廃業・撤退しました。閉店の理由や経緯はそれぞれ異なりますが、現実に、ムサシやイズミヤなどの大型店出店の時期を合わせての閉店です。その結果、橋本地域にお住まいの方、特にお年寄りや病弱者は、日常生活の必需品を購入する場所と機会を失う事になりました。高齢者世帯の中には、「もう橋本では生活が出来ない」と、娘さんの家や他の地域にやむをえず引っ越しをする人まで出ています。交通手段を持たない買い物弱者と言われる人たちは、公共交通機関に乗って遠隔地まで買い物に行かざるを得ない状況なのです。町中に生活をしていながら、買物の場を奪われるという異常な実態を、知事はどのように受け止めておられるのかお答えください。

 個人商店、商店街への影響も深刻です。いくら消費者のニーズに応える努力をしても、圧倒的資本力で、広告媒体も総動員する大型店スーパーは、市場寡占を目指しています。中京区にある西新道錦会商店街と壬生京極会商店街は、高齢者への給食サービス、ファックスやインターネットを利用した宅配サービスなど、地域貢献と商店街活動に努力している商店街ですが、この10年の間に、商店街を取り巻く周辺500から700メートル半径以内に、昨年秋に出店したベルタウンマツモトなど、7店舗出店する大型店出店攻勢のもとで、大変厳しい状況です。両商店街のプリペイドカード事業は4年前と現在を比較すると約-30%と大幅に減少しており、当然来客数も大幅減少しています。地域密着で努力する両商店街でも、このような状況です。

 商店街等の努力があっても、最初から大きなハンデがあるもとでは、資本力を持った大型店が圧勝します。元々の格差を覆い隠し、誰もが平等なチャレンジのチャンスを持っているとする、新自由主義経済思想による規制緩和一辺倒が、さらに深刻にしているのです。

 2000年に中心市街地活性化法・改正都市計画法・大店立地法のまちづくり3法が施行され、有機的に活用すれば小売商業・商店街の活性化と大型店の出店規制が出来るとして、大店法が廃止されました。しかし、大店立地法は、アメリカと日本財界の要望でWTO等を理由に、法13条で需給調整の排除が明記され、大型店、スーパー等の出店行為を規制しない、基本的に世界にも例を見ない出店自由の法律となりました。

 結果は、出店が野放し状態で大型店は増え続けています。住民生活や商店の営業だけにとどまらず都市のスプロール化、中心市街地の空洞化・荒廃、地域コミュニティの破壊、道路や下水処理、ゴミ処理問題等々の社会コストへの自治体負担の増大、安定的雇用関係があった地域商業の疲弊とスーパー等のパートアルバイト等の不安定雇用層の拡大など、地域循環経済の連鎖を断ち切り地域経済を疲弊させています。

 このような野放しの事態に対して、規制を求める声が次々とあがっています。大店立地法見直しの審議会委員でもある大阪市立大学の矢作教授は、昨年7月に出版された著書で、需給調整排除の要求をしてきたアメリカが、まちづくりと地域社会を守るために、国内では需給調整を行なっていることなどを示し、アメリカの要求の不当性とアメリカ言いなりの日本政府の実態を明らかにし、大型店の規制は、まちづくりの観点からの規制であっても、経済規制は必然的に行わざるを得ないと述べておられます。

 日本商工会議所や日本商工会連合会、全国商店街振興組合連合会等々多くの商業者団体からも、大店立地法の見直し要求があり、地方自治体では、福島県を始め多くの自治体で独自規制条例制定や指導要綱づくりが行なわれ、国において中心市街地活性化法・都市計画法の一定の手直しをする事になりました。

 しかし、京都の現状は全く反対の事態が進んでいます。福知山や野田川のプラントの出店計画、木津町のコスモスタウン等や、京都市向日市にまたがって大型店スーパー出店する予定のキリンビール跡地などは、中心市街地の空洞化・荒廃を招くものであり、開発・出店に伴う社会的コストを府民市民に押しつけるものです。国の大店立地法の郊外立地規制の見直しや京都府の懇話会の設置の背景・審議方針からしても逆行する計画であり、出店に反対する態度表明が当然だと思いますが、京都府としてどの様な対処をしようとしているのでしょうかお答えください。

 京都府の中心市街地活性化懇話会の検討課題は大型店の規制ではなく、誘導で中心市街地活性化を目指すものです。しかし、今必要なことは、大型店の誘導でなく京都経済の立て直しに直結する地域商業、商店街、小売市場の振興であり、大型店スーパー・大型集客施設等の規制です。大店立地法の13条、需給調整排除規定の押しつけそのものが、地方自治の否定、地方分権に逆行し、良好な都市計画まちづくり推進の立場からも重大な問題です。

 地域住民が、歩いて行ける生活圏内で、日常生活の必需品購入を確保するには、従来の地域商業、商店街・市場が健全に維持・発展されてこそ守られるのです。

 京都府として、地域住民の日常生活をしっかりと支え、高齢者など買い物の社会的弱者の暮らしを守るうえからも、大型店の誘導方針に決別し、地域商業の振興と大型店の経済規制を含めた、京都府の独自条例の制定が必要です。小売商業調整特別措置法(商調法)では昭和53年の法改正で強化され、経済調整を含む法として機能しており、しかも、その法18条2では地方自治体における必要な措置も法の範囲で認めています。京都府として福島県等の先進部分の内容を取り入れながら、京都府独自の経済規制を含む大型店出店規制と地域商業商店街市場の振興をはかる条例制定を行うべきだと思いますが如何ですかお答えください。

【知事】  郊外型の大型店の出店は、これまで地域住民のよりどころとして、コミュニティの形成に大きな役割を果たしてきた中心市街地のあり方に、大きな影響を与えるものだと認識している。それだけに、それぞれの出店計画については、市町村のまちづくり計画との整合性が、なによりも求められる。

 この度、国会に提出されたまちづくり三法の改正案でも、大型店の立地については、市町村のまちづくりの中で、こうした問題に市町村が主体的に対応するとの基本のもとに、その権限をさらに強めていくという考え方が貫かれている。その上で、市町村間の調整について、都道府県がかかわっていくという形になる。ですから、これから市町村のまちづくりの状況を、市町村ともよくお話しをしながら、そのまちづくりの計画に調整が必要となる場合には、関係市町村の意見をきき、広域的な視点から対応していきたい。

 その中で、独自の条例については、福島県の条例を見ますと、現行の法の枠内で、できる限りということになっており、現行の法の枠内を超えるものではありません。ですから、それだけに今回、法の枠組み自身が変わってくるので、それに応じた形で、今後、中心市街地活性化懇話会で、基本的な方向を検討いただき、それに従って、しっかりとした対応をしていきたい。

【原田】  確かに、国の施策の変更は、ございます。しかし今、京都のまちづくりを含め、地域商業・商店街、そして地域の暮らしが、大変な状況になろうとしている現状への認識が、今の答弁だけでは、不十分ではないでしょうか。

 また、商調法の内容を理解されていない。商調法にふれていただけませんでしたが、商調法については、国の説明で、平成12年の地方分権推進委員会の地域づくり部会とくらしづくり部会の中で、当時の中小企業庁中小企業部長が商調法を「中小小売商団体と大企業者との間で紛争が生じた場合に、大企業者の事業規模の縮小等を勧告命令する事ができる等を規定している。」と説明し、しかも、平成11年11月の中小企業基本法の改正の時に「分野調整法等の調整制度を遵守し、中小企業の事業活動機会の適正な確保に努めること」を政府に求める付帯決議まで説明し、報告をしています。

 商調法を活用し、経済規制を含めた大型店出店規制条例の制定は論拠もあり、中小小売商業、また、地域商業の商店街の意義と役割が明確になっているなら、苦しんでいる中小小売商業者支援と大型店の経済規制を含む、京都府独自の条例制定は十分に可能であると思いますが、知事にもう一度答弁をお願いします。

【知事】  商調法についても、先ほど原田議員がおっしゃったように、WTOのもともとの法律の枠というものを、しっかりとはめられた中での我々の対応となってくる。国の見解についても、大規模小売店舗の出店を抑制したり、調整を行う法律ではないという形で、答弁が述べられている。それだけに、今回の法律により、あくまでまちづくりとの中での整合性というものを、しっかりと市町村と共同してはかっていくが必要だと考えている。

【原田】  今、本当に大変なのは、中小業者のくらしの実態ですので、そこへの応援、そして、地域住民のくらしを守るといううえでの、ぜひ、積極的な対応を要望して次の質問に移ります。

使いやすい借換融資制度を創設し、中小企業の要望にこたえよ

【原田】  次に、あんしん借換融資制度の問題についてです。

 バブル崩壊後、金融機関の倒産と大変厳しい経済状況のなかで、多くの中小企業者の運動と私どもの繰り返しの提案のもと、借り換えの融資制度が実現され、国の施策ともなって今日に至っています。

 借換融資の12月まで延長が、今議会に報告されていますが、扱い件数の圧倒的多数を占めていた、京都銀行、京都中央信用金庫、京都信用金庫などが7号指定からはずれ、府内で主な扱い金融機関は北都信金だけになりました。

 不況業種指定の5号も指定が半減しており、融資制度の実効性が形骸化しかねません。借換融資が必要な企業・事業所はまだ沢山あります。現状では利用できない業者が大量に発生するのではありませんか。知事は現状にどの様な認識をお持ちですかお答えください。

 また、お聞きしますと、京都市内の釣り具業者が借換融資を希望し、7号での申し込みを行なおうとしたが、金融機関が7号指定からはずれたため申請できず、5号を急遽調べたが不況業種指定でなく、資金調達が暗礁に乗り上げて大変苦労している。私が知っているだけでも、このような事例は多くあります。現在でも、その役割は重要な位置を占めているのに、実際には利用できない、「絵に描いた餅」になっている業者が多くおられるのです。

 京都の景況指数は上昇傾向と言っても、依然として水面下であり、京都の中小企業は全国よりも落ち込んでいます。先日、国民金融公庫の10から12月の小企業動向調査では-43.2%と報告されているように大変厳しい実態が続いています。

 京都府の中小企業は厳しい経営環境のもとで、本府として、引き続き要望の強い借換融資制度の実効性の確保を目指して、国への制度改善の要望を強く行うべきではありませんか。また7号指定の在り方や基準についての見直しを要望すべきではありませんか。また、5号指定についても中小企業の規模別で不況業種指定をする制度など、各地方の実態に即した指定方法や基準の見直しを要求すべきではありませんか、お答え下さい。

 また、中小企業基本法では第六条で「地方公共団体は、基本理念にのっとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」となっています。国の対応を待たずに京都府独自に不況業種認定制度を作り、借換融資利用の要望の強い業者に対して、資金調達の支援を講ずるべきです。金融庁がリレバン(リレーションショップバンキング)でも地銀・信金に地域貢献を求めており、地元金融機関の協力も得て、中小企業の経営力強化に資する融資制度として、新たな本府独自の借り換え融資制度創設を、早急に実施すべきときです。京都府としての所見をお答えください。

【商工部長】  府内の3金融機関がセーフティーネット保障7号を解除になった影響については、現在のところ出ておりません。今後の状況を、十分見極めていきたい。セーフティーネット保障は、中小企業の経営安定を金融面から支援する国の基本的な役割であるので、7号の指定基準の見直しも含めて、これまでから、機会あるごとに拡充について国に要望している。

 また、5号についても、府の実態に応じたきめ細かな適用を求めている。昨年の原油価格高騰に際しては、知事を先頭に要望活動を行った結果、染色整理業8業種すべてが対象となるなど、不況業種の指定拡大とあわせ、原油価格高騰により、利益が減少している中小企業者も新たに対象となった。

 あんしん借換融資は、府が全国に先駆けて独自に創設したもので、多くのご利用をいただいてきた。本制度を12月末まで延長していきたい。

【原田】  私が質問しているのは、12月まで延長したとしても、7号指定がこのような現状では、大変な事態だ。使えない人たちが多く出る。このことを心配しているわけです。5号認定業種は半減している。しかし、国金(国民金融公庫)の報告の通り、規模の小さな企業ほど、景気の回復にはほど遠い実態があります。今の答弁では、借換融資をうけて、経営を頑張ろうとしている中小企業者を京都府は切り捨てるのと同じではありませんか。再生融資は京都府独自施策だと大看板にしているのであれば、京都府独自施策として、現行の借換融資制度に準じた新しい融資制度の実施は、十分に可能ではありませんか。

 この借換融資制度が、スタートした翌年には5号指定7号指定中心となり、その後は7号指定が中心です。7号の利用は、15年度は71%、16年度は84%、17年度は89%の活用と、7号指定が圧倒的なのです。17年4月から12月の利用件数では、府市合計では4007件と要望の強い重要な融資制度です。7号指定からはずれた三行が借り換え融資制度に占める比率は9割近い件数を占めています。このままでは、制度としてはあるが、実態は使えない飾りだけの制度となってしまいます。京都府の現状打開への構えが求められています。新しい融資制度の創設で、圧倒的中小企業の要望に応えるべきであり、再度ご答弁をお願いします。

【商工部長】  セーフティーネット保障7号を指定解除になった3金融機関ですが、このうちの1機関が昨年の1月から、そして、2機関が今年の1月から指定解除となっているわけで、すでに、一部は1年余り経っているということですが、本年1月現在の速報値で見ましても、なお、前年比90%の利用というとことで、今後については、先行きを見極めていきたい。

【原田】  京都銀行が一年前から解除になっていることは、すでに、承知しています。しかし、現実に困っている人たちがいるわけで、この人たちの対応をどうするのか。このことが求められている。まさにそのときにこそ、京都府の果たす役割があるのではないかと思います。大変になる前に、ぜひ、実施をしていただけるように、お願いしておきたいと思います。

原油高騰 天然ガスボイラーへの転換を支援し、十分な保護対策を

【原田】  次に、伝統と文化のものづくり産業振興条例に関わって私を始め、我が党の同僚議員も本会議や委員会で取り上げてきた、原油高騰に関わっての重油から天然ガスへのボイラーのエネルギー転換について質問いたします。

 これまで、私どもの指摘と要望に対して、本府は相談窓口の設置、融資の斡旋だけを答えてきました。この問題で1月28日のサンケイ新聞夕刊に大きく報道されましたが、昨年13社あった蒸し水洗業者が昨年末に1社廃業し、1月更に2社が廃業に追い込まれる見込みと報じています。南区の蒸し業者の深刻な実例が紹介されていました。「年間売り上げが700万円で昨年春頃までは重油が160万円ほどだったが廃業前には300万円にもなった。」と報じられています。ガスへ転換していれば、200万程度の燃料費となるはずであり、私どもが指摘してきたように、もっと早い段階で京都府の対応がなされていれば、厳しい状況といえども、この廃業も違った経緯と結果になったのではないでしょうか。記事の中で浦川宏工繊大教授のコメントが「伝統工芸は十分な保護があって始めて継承される。保護が足りなければ伝統の技術が益々失われ、質の低下も」と言われています。

 京都府の実態は雇用確保の企業誘致には最高20億円の補助金を用意し、一方、雇用確保に大きな役割を果たす中小零細企業の経営の安定には、冷たい対応をしてきたのではなかったでしょうか。

 私は、早くから京都議定書の地、京都府として環境問題でも大きな効果を上げ、雇用確保・安定でも中小企業の果たす役割、京都経済の下支えの上からも、その例として蒸し水洗業のエネルギーの転換支援を要求してきました。18年度予算案で「中小企業地球温暖化対策応援事業費」として「資源エネルギーによる温室効果ガス排出抑制設備費」等に補助施策がつけられましたが、国が進めている天然ガス化推進補助事業との併用活用がはかれるように京都府として、十分な対応が必要ではないでしょうか。お答えください。また中小零細業者の支援を考えるならば、資源エネルギー庁の補助申請手続きは煩雑であり、本府の補助金申請を含め、申請手続き支援体制の整備と具体的支援が必要ではないでしょうか。いかがですか、お答えください。

【企画環境部長】  中小企業におけるエネルギー転換については、地球温暖化対策を推進するうえでも重要と考えており、18年度当初予算で事業活動にともなう、温室効果ガス削減に係る設備投資などに対して、助成を行う中小企業地球温暖化対策応援事業をお願いしており、実施にあたっては、二重補助にならないように、国の事業である天然ガス化推進補助事業と、府の事業がそれぞれの制度目的にそって、適正に利用されるように対応していきたい。

 なお、中小企業の支援については、京都府産業支援センターお客様相談室で、すでに、きめ細かい相談支援体制を整えている。

【原田】  二重補助にならないというのは、2つは重なり合わないという意味なのか、もう一度、その点をお答えいただけますか。

【企画環境部長】  制度も対象も違う事業が、たまたま同じ相手に二重に補助がされないように、対象を精査しながら、適正に活用していただけたらという趣旨です。

【原田】  今、本当に中小企業は大変だ。使えないというような事態が起きかねないということを危惧して、私はきいているわけです。中小企業をしっかり応援していくことが雇用の確保も含め、大きな役割を果たすということで、ぜひ、再検討をお願いして、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。