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本会議質問

9月定例会 光永 敦彦府議の一般質問

2006/09/28 更新
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【光永】日本共産党の光永敦彦です。通告により知事ならびに関係理事者に質問します。

府立大学・府立医科大学の法人化について

【光永】  まず府立大学および府立医科大学の法人化についてです。

 7月4日の定例議会本会議で、知事は突然2008年度をめどに府立大学と府立医科大学の両大学を法人化する方針を明らかにしました。

 そもそも、2003年の地方独立行政法人法成立の際、衆参両院の付帯決議では「憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことがないよう、大学の自主性、自律性を最大限発揮しうるための必要な措置を講ずること」と述べられました。ところが実際はどうでしょうか。全国二十三大学で公立大学法人化がされていますが、実施状況をうかがうと、首都大学東京や私が直接お話を聞いた横浜市立大学では、トップダウンによる法人化により多数の教員が流出してしまいました。また大阪市立大学では、五年間で経費20%削減を強いられ、法人事務職員が人材派遣会社でまかなわれる、また北九州市立大学では、学生の授業評価や論文本数などを基に、大学が教員の業績を評価し、それに応じて給与や賞与だけでなく、研究費まで傾斜配分する仕組みを導入するなど、効率化や目先の成果を強いられる中、教員アンケートで「やる気が失せた」「客観性や公平性を担保できていない」との声が相次いでいます。これらは大学の自治と学問の自由をふみにじるものではないでしょうか。また、国立大学法人では、法人化後、89大学のうち88大学で授業料が値上げされており、学生の学ぶ権利を奪う事態がおこっています。それだけに、本府の法人化方針は撤回すべきです。また、全国の事例についてどう認識していますか。お答えください。

 さて、計画発表を受け、7月に議員団として「法人化」方針の撤回と、情報の公開、関係者や広範な府民による慎重な論議を申し入れましたが、理事者は「この問題では六年も論議してきた」と繰り返し述べました。しかし、自治が尊重されるべき大学内で法人化を合意した事実など全くないのです。しかも今回の法人化の対象には府立医科大学付属病院が含まれています。岐阜大学の黒木学長によると「国立大学付属病院が破綻の危機に面している。病名は『経営危機』、病因は医療と教育の重要性を考えない一律の財政改革」とのべ「ことの始まりは国立大学の法人化」と厳しく指摘されています。府民の医療に責任をもつべき病院のあり方が明らかにされないまま法人化をすすめることは絶対に認められません。しかも2008年4月の法人化など突貫作業なくしてはできないほど性急なものです。

 それだけに、トップダウンによる方針決定のやり方を改め、教職員や学生はもちろん、関係者や府民から意見を聴取し協議する場として府民会議の設置など府民的な合意が必要です。いかがですか。

 さて、府立医科大学および付属病院は、明治5年11月、青蓮院内の多くの仮療病院を起源に、今日まで府民の命と健康を守る拠点として、府内では卒業生が地域医療を守っておられます。また府立大学は、京都府簡易農学校と府立女子専門学校を母体として設立され、これまで農業や産業振興、文芸など、行政機関や試験研究機関、市町村等との連携により京都に溶け込んだ大学として地域の発展のため大きな役割を果たしてきました。府立大学や府立医科大学の府民からの信頼の深さは、両大学の100年を超える営々として築いてこられた地道な研究とそれを支えた人たちの賜物ではないでしょうか。

 そのことは、ノーベル物理学賞を受賞された東京大学小柴名誉教授も「応用研究は、3年もたつと目安がつくが、基礎研究は必ずこれこれの成果が出るとは限らない。しかし、基礎科学は非常に大切な分野だ。」とのべ、また京都大学益川名誉教授も「『今すぐ役立つかどうか』というものさしで『評価』するのはまずいと思います。」とのべられているとおり、大学の改革は歴史と伝統ある府立の両大学の独自性を生かすことこそ求められています。それなのになぜ法人化が必要なのですか。明らかにすべきです。あわせて、人員の充実や施設や設備の拡充などについての基本的考えをお聞かせください。

【知事】  府立両大学の法人化について、少子高齢化やグローバル化、情報化、めざましい科学技術の進展など社会経済が大きく変化する中で、大学も府民のニーズにしっかりと対応していくためにも、法人化のメリットとその問題点をしっかり踏まえたうえで、大学が意欲的に、柔軟に、教育研究や地域貢献をすすめ、府民に開かれた府民のための大学となるように法人化をすすめていきたい。現在、23の大学が法人化されており、平成19年度には13大学が法人化される予定であり、私どもは、非常に長い年月をかけて慎重にこの議論をすすめてきた。私自身も総務部長の時から、この議論に参加しているが、大学と一体となって、まさに、大学からの要請に基づいてこの議論をすすめてきた。こういう中で、繰り返し「大学のあり方懇話会」や「21世紀の府立大学の検討会議」などでも両大学の意志を十分に踏まえてきたところであり、今後は、議会はもとより広く府民のパブリックコメント等を通じて意見も聞くこととしている。

 人員や施設の拡充については、府立医科大学の外来診療病棟など、京都府をあげて大学の整備に取り組んでいる。これからもしっかりと対応していく。法人化により、府立の両大学が築いてきた伝統と実績を基盤にしながら、時代の変化を捉えた新しい分野の挑戦と、府民のみなさまへの積極的な説明責任を果すことによって、これからの時代に合った一層個性と魅力ある大学を実現できるようにしたい。

【光永】  先程知事が法人化は大学からの要請だという話しをされたが、これは全く事実と違う。大学の改革が時代に応じて必要だということは、確かに大学内で論議があった。しかし、法人化をするという合意は、これまでも一回も合意されたことは無いわけです。そのことは認識を改めて頂きたい。だから白紙撤回して府民的な合意をした上で論議をすすめるべきだということを、私は述べたわけです。改めて聞きますが、知事の答弁で説明責任だとか、情報公開、地域貢献ということを言われたが、これらは法人化をしなくても、これまでだって努力してきたし、今後も、今の時代の要請に応じて努力するのは当然だと思う。法人化せざるを得ないと知事が言うのは、結局、人件費の節減や経営の効率化、そこしか法人化する意義がないのではないかと、改めて答弁を聞いて思いました。その結果、大学の自治や学問の自由が今、ないがしろにされる事態が既に、公立大学でも国立大学でも起こっているわけです。だから、法人化は反対だと私は言っているのです。知事は、法人化以外の選択肢がないというふうに考えておられるのか、改めてお答え下さい。

【知事】  私どもがこの結論を出したのはまさに、府立大学も参加した中での懇話会等でやったわけですので、その点はご認識頂きたいと思います。例えば、予算の単年度主義では、十分な人材育成や長期の観点はできません。例えば、京都大学では、貸借対照表やそうした中でも、特に、国立大学法人業務等で、国民が負担しているコストを明確に出していく。これは府民責任を果す上で、私は当たり前ではないかと思うが、こうした観点からも、しっかりとした財務諸表等が今できてきている。さらには、組織定数・採用などが自主的で柔軟な決定が可能だ、または、権力機構という観点から、厳しい公務員の制限に対して、民間との連携がとられると思う。私は、京都大学の場合でも、一律と削減による弊害は指摘されているが、それは法人化とは全く違う話で、国がそもそもの交付金のあり方を変えているということであり、法人化とは関係ない。やはり、責任を持って大学が運営していく以上、私は、京都府の中でどういう位置にあるのか、予算の審議も含めて、大学がぼやっとした存在ではいけないと思う。しっかりとした大学を中心とした法人格を備えて、その中で説明責任を明らかにしていくというのは、私は、時代の流れとして当然のことであると思う。

【光永】  私は、知事の答弁を聞くと、結局、予算の問題、或は人員の問題、民間の導入、結局この効率化の部分ばかりだ。法人化が必要だという理由というのは。これは、大学100年の歴史の上に京都の府立大学、府立医科大学が存在しているわけですから、この歴史を活かして、よりよい改革を進めることが必要なわけで、まず効率化しか頭にないということは、大問題です。だから法人化は撤回すべきだということを言っています。府民的な論議をして、今後の改革についてはやって頂きたいが、法人化については、絶対だめだと指摘しておきます。

「認定こども園」について

【光永】  次に「認定こども園」についてです。先の国会で認定こども園に関する法律が成立し、現在、都道府県で「認定こども園」の認定基準等を定める条例の制定が始められています。

 認定こども園導入の最大の問題は、保育園や幼稚園などを民間に開放し、儲けの対象とするとともに、安上がりにすることです。「骨太方針2003」に突然設置が盛り込まれ、本年7月31日の規制改革・民間開放推進会議の「中間報告」で「社会福祉としての保育を、子育て支援サービスへと転換することが必要」であり、「民間企業の参入を促すことが急務」とのべました。これは、介護保険、障害者自立支援法、医療制度改革など連続する社会保障改悪につづき、保育の分野にも同じ考えを持ち込むものです。

 これまで、保育に営利企業が参入した結果、東京練馬区では昨年12月、区立保育園を株式会社ピジョンに委託し保育士の退職が相次ぎ、保育の質が問われる事態に陥り、また神戸市では2001年に開園した株式会社が運営する保育園が2004年に閉園するということも起こりました。

 こどもは社会の宝です。未来の宝です。それだけに乳幼児期の成長をはかるため、地域の実情をふまえた、よりよい条例を本府の責任で作り上げられるかどうかが問われています。

 すでに、私の手元には保育士や保護者のみなさんから多くの意見が寄せられています。中には「保育園や幼稚園、こどもや保護者のことを考えたものにしてください」「なんで子どもに使うお金をケチるの?」「子どもを守る私たちは必死の思いで毎日がんばっている。現場の声を聞いてほしい」など切実な声ばかりです。こうした声に応え、議員団は8月11日と9月21日の二回にわたり、知事に対し申し入れをおこないました。

 そこでまず伺います。条例制定の際には、子どもの権利条約にある「子どもの最善の利益を尊重する」という大原則を盛り込むべきですがいかがですか。

 「認定こども園」のもうひとつの重大な問題は、直接契約方式と保育料の自由設定方式を導入することで、国や自治体が負ってきた公的責任が大幅に後退する可能性があります。しかも「規制改革・民間開放推進三ヵ年計画」では「『認定こども園の実施状況をみながら』認可保育所にも直接契約制や保育料の自由設定の導入を検討」とのべるなど、今後、保育全般に広げようとしているのです。直接契約方式になれば、入所の可否が園の都合で判断されるなど、保育の必要な子が阻害される可能性もあります。しかも入所前のこうした事態を行政はつかむ責任も掌握する仕組みもありません。

 したがって、行政の公的役割を後退させないことを明記するとともに、入園判定委員会など第三者機関を設置させること、市町村の決める保育料にあわせることを、条例に盛り込むべきですがいかがですか。

 さて、教育や保育において人や施設は決定的に重要です。1970年代前後から「ポストの数ほど保育所を」を合言葉に、保育条件や保育環境の整備の取り組みが全国で広がり、保育園でも幼稚園でも配置基準の設定など一定の水準が保たれてきました。京都市では、保育園や職員、保護者をはじめとした粘り強い取り組みにより、保育士の配置基準を国基準より上回る制度を設け、また他府県に例のない保育士身分を保証する民間保育園プール制など、保育水準の維持・拡充の努力がされてきました。

 ところが、国から示された「認定基準」指針には、現行水準より低い基準の採用が設定され、しかも例えば職員配置について「満1歳に満たないこどもおおむね3人につき1人以上」などあいまいです。また、欠かすことのできない屋外遊技場は一定要件があれば代替地が可能とされ、食育やアレルギー対策など今日的な課題が多いにもかかわらず調理室は3歳以上は外部からの搬入を認めるなど大きな問題を含んでいます。

 こうした中、北海道では概要で「職員配置は0から2歳児は保育所と同様」とし、また大阪府基準案では「職員配置は3歳児について国の参酌標準(案)を上回る基準を適用」としておられます。そこで伺います。認定基準は、職員配置、職員資格、施設設備について、京都の到達点を踏まえ、より充実する方向で設けるべきですがいかがですか。また営利企業の参入はその質を低下させる懸念があります。子どもには必要なコストをかけるため、実施主体は公益的団体に限定すべきですがいかがですか。

 また認定基準以外についても課題はたくさんあります。例えばモデル事業で実施された施設で、保育士・幼稚園教員が有期雇用となるなど、保育や教育の継続性にかかわる問題や、また乳児へのノウハウがないこども園の安全確保、幼稚園教員や保育士資格を現場で生かす研修などです。これらについて実施計画を作成し、それにもとづく進行管理をすべきですがいかがですか。

【保健福祉部長】  認定こども園について、本制度は就学前の子どもに関する、教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律により、子どもが健やかに育成される環境を整備することを目的として創設されたもので、その運営については、子どもの最善の利益が尊重されるものです。認定こども園に関する行政の役割や、入所手続き、保育料の設定等については、利用を希望する子どもが入園できないことのないように、今回の法令により、制度的に担保されている。認定基準については、実態に即したものとなるよう、幼稚園、保育所関係者、利用者等で構成する検討協議会において、現場の視点からのご意見もお聞きし、教育水準や保育サービス水準の確保、しっかりとした情報開示、さらに、国の指針より踏み込んだ安心・安全の確保に配慮した基準案を現在検討中であり、この基準に適合したものについて認定することで、教育・保育の質が確保されるものと考えている。なお、今後、様々な課題については、関係者と十分議論の上、教育と保育を一体的に提供するために必要な研修を実施するなど、積極的に対応していきたい。

【光永】  認定こども園については、今後、委員会等でも審議をしていくが、率直に言って、部長もお感じだと思うが、法律そのものが、そもそも欠陥だと言わざるをえません。だからこそ、本府で条例をつくる際には、京都の到達点をしっかり条例に盛り込むこと、また、様々な認定基準以外の課題もあるわけで、その点、十分に担保されるように全力をあげて頂きたい。そのためにも、検討協議会での論議をまたやって頂く、関係者の意見をよく聞いてみんなが納得できるものにして頂きたい。このことは要望しておきます。

介護保険制度について

【光永】  次に介護保険制度についてです。

 介護保険制度が導入されて6年。3年ごとに保険料が上がるどころか、国の税制改悪などで毎年毎年介護保険料だけでも膨れ上がっています。こうした中、本府では介護保険不服審査請求が700件を超えるなど、府民から悲鳴が上がっています。

 私は、介護保険制度の改善を繰り返し提案してきましたが、今回の複雑で多岐にわたる改訂の中でも最大の問題は、介護が必要とされる軽度の方を介護サービスから排除するところにあります。本府は「医療が必要な人が医療を受けられ、介護を必要な人が介護が受けられる、そういった立場で国に言うべきは言い、府としてやるべきはしっかりやっていく」と述べてこられましたが、今回の介護保険全面改訂について、この点どう認識されていますか。お答えください。

 さて、本府では介護保険実施当初、約5万8千人だった要介護認定者が本年三月には9万3千人へと大幅に増え、しかも要支援・要介護1の方の比率が36%台であったのが、今では50%近く増えています。ところが今回の要介護認定区分の変更で、これまで要介護1の方のうち6割が要支援となっています。その結果、パーキンソン病の方は日によって状態が相当違い、歩行困難、転倒の危険やたちあがり困難などあるにもかかわらず「要支援」となるなど、要介護認定が身体状態に偏重し画一的にされたため、生活状態全体を見ないものになっていることは問題です。またある95歳の方は、大腿骨頸部骨折後、週2回のデイケアでリハビリをうけ歩行機能を維持してきたのに、予防給付となり、デイケアが週1回の利用となる、要介護1で訪問介護の生活援助を受けていた方が、要支援となり1ヶ月880円から、回数は変わらないのに1300円に上がるなど月額報酬制となったことも大きなしわ寄せとなっています。このような負担増と介護とりあげは絶対やめさせなければなりません。

 それだけに本府として今回の見直しに伴う在宅の方の実態を詳細につかむ必要がありますがいかがですか。同時に、訪問介護など回数制限され、それ以上は自己負担となってしまいます。せめて軽度者への訪問介護サービスは冠婚葬祭や病気等で家族が介護できないなど、回数制限を超えても必要性があった場合は緊急避難策としてヘルパー派遣への自己負担分への支援策を本府として設けるべきですがいかがですか。

 今回の制度改正で給付の効率化と重点化が行われ、新予防給付の創設と地域包括支援センターが施行されました。私は地域包括支援センターにいくつか訪問し、お話しを伺ってきましたが、どこの現場も大変混乱しています。

 私の地元・左京区で介護保険予防プランの取りまとめが行われましたが、プラン作成数だけを見ても毎月倍に増えており、実施後早くも総合相談支援業務など、やるべき課題と業務で大変です。ある支援センターでは「職員はやる気マンマン。でも予防プランが増え、地域ケア協議会の準備の仕事も複数の小学校区を担当し、三人では動けなくなる」と心配の声が上がっています。本府では現在90箇所を超える地域包括支援センターが設置されていますが、そのほとんどが三人体制です。体制の強化をしようとしても、低い介護報酬や介護給付費の2~3%など財政的上限が設定されており、責任ばかり現場にのしかかっています。したがって国が別立てで支援をすべきです。同時に本府として緊急に支援が必要です。いかがですか。

 また、特別養護老人ホームなどの食費・居住費の全額自己負担が昨年10月から実施されて以降、本府では利用料が払えない方が、今年三月末まで42名、負担困難でやむなく退所となった方が38人へと増加しています。減免制度の創設がどうしても必要です。同時に、介護保険利用者支援緊急対策事業として介護保険施設に入所されるご夫婦の場合などを対象に利用者負担の軽減が実施されましたが、現在わずか10件程度で、その理由のひとつに資産状況報告があることが指摘されています。この改善が必要です。いかがですか。

 一方、通所系サービスの食費は、社会福祉法人の四分の一に減らされた減免制度以外ありません。ある方は食費を入れて3回デイサービスを利用で約5千円だったのが、食費負担が増えたことで一万円を超えることとなり2回に減らすなど、大きな影響が出ています。北海道帯広市では、通所事業について、一般財源で補填し、在宅サービスの食費・滞在費・利用料を半分にし、今後も継続するとうかがっています。利用者の負担軽減のため、通所系の食費の減免制度の拡充や医療法人など社会福祉法人減免制度が使えないサービスへの減免制度が必要と考えますがいかがですか。お答えください。

【保健福祉部長】  介護保険制度について、制度改定にあたっては、介護を必要とする高齢者を社会全体で支え合うという制度の主旨を踏まえつつ、高齢者の経済的負担が過度とならないようにするなど、利用者本位の安定した制度とすることが必要。京都府としては、低所得者対策の充実、市町村等に対する必要な財源措置、新予防給付の円滑実施にむけての対応など、繰り返し国に提案、要請してきた。この結果、今回の制度見直しでは、低所得者に対して、居住費、食費の一定額を給付する補足給付の創設、社会福祉法人軽減制度の拡充等の対策が講じられるとともに、新予防給付の実施にあたっても、介護予防、地域密着サービス等、軽度者に対する新たなメニューが盛り込まれたところだ。府独自の取り組みとして、ショートステイを利用しやすい情報システムの構築、高齢者夫婦等の介護保険利用者に対する緊急支援事業などを実施したところだ。

 制度改訂後の実施状況については、現在、市町村と連携して把握をおこなっているが、軽度者を対象とした訪問介護については、利用者の状況、ニーズに応じた利用回数の変更等が可能な仕組みとなっており、その旨、利用者に周知をはかっているところだ。

 地域包括支援センターについては、市町村における介護予防の拠点として、地域の実情に応じて体制の強化を含め、様々な工夫をされて運営されているが、財源措置の充実等についても従前から国へ要望しており、今後とも、実態を踏まえて強く要求していく。介護保険利用者支援、緊急対策事業については、負担を感じておられる高齢者夫婦等を対象に、その生活実態に応じて軽減措置を講じる制度であり、要件として預貯金等の状況も含めた確認を行なっているが、申請窓口である市町村において、親切丁寧に相談に応じて頂いている。

 通所系サービスの食事負担や社会福祉法人軽減制度を医療法人にまで拡大することについては、昨年10月と本年4月に実施した実態調査および、サービス利用状況等からみると大きな変化はなく、今回の制度改定の低所得者への影響はみられないものと考えている。いずれにしても、制度改定後の運営状況について、市町村等と連携して点検・把握に努めているところであり、改善が必要な点については、引き続き国へ強く提案・要請をしていきたい。

【光永】  介護保険制度について、幾つか答弁があったが、実態は、負担が多くて利用回数を減らした、或は、回数制限がされたという事態が、現に起こっているわけです。ですから、これは本当に深刻です。だから、実態をしっかりつかむべきだと、私は提案した。先程、ご答弁であった市町村からの聞き取り、取りまとめ中という話しですが、今回の制度改定になって、介護のとりあげや、食費の影響など、そこまで踏み込んだ利用者の実態をつかむものにはなっていないと私は聞いている。だから、今後すぐ、そうしたものに踏み込んだ実態把握が必要だということを提案したわけで、この点を改めてお答え下さい。もう一点は、食費等の負担軽減制度について、これは施設の食費居住費の自己負担も深刻ですから、しっかりと実態をつかんで頂きたいのですが、施設については、特定入所者介護サービスの減免だとか、或は、京都府の保険料第四段階の一定条件の方への減免制度がありますね。しかし、通所系については、社会福祉法人だけ、国制度で法人負担もある。しかも、減免制度というのは本当にわずかですが。しかし、医療法人については減免制度がないということになっています。利用者からすれば、社会福祉法人に行ったら減免制度があるのに、医療法人等に行けば減免制度がない。これはおかしいのではないかという声がでるのは当然だと思います。だから、国にしっかりと制度を作れと言うことと同時に、緊急に、これだけ負担が大変で回数を減らしたという事態があるのだから、京都府としても制度をしっかりつくって頂きたいということを申し述べているので、その点、再度お答え頂きたい。

【保健福祉部長】  介護保険の実態の把握について、現在、市町村と認定状況やサービスの利用状況、あるいは地域包括支援センターの状況等について、実態の把握を行なっているところです。社会福祉法人軽減制度について、今回、従来所得第二段階であったものを一部拡充がなされたところだ。いずれにしても、低所得者に十分配慮したものとなるよう、引き続き国に提案・要望をしていきたい。

【光永】  介護保険制度は本当に負担が多くてサービスが利用できないという制度に、はっきり言って変質したと思います。そういう点では、やはり京都府が国に要望するだけでなく、国が緊急措置をやらないわけですから、京都府として緊急措置をぜひやって頂きたい。そのためにも実状をつかんで頂きたいと思います。いずれにしても、府民の命を守る社会保障制度は、命をないがしろにする制度になってはいけないと改めて感じています。「必要な人が介護が受けられる」と京都府は言ったわけですから、必要な措置をとって頂きたい。そのことを強く要望して私の質問を終わります。