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討論

かみね史朗府議の意見書案に関する討論

2006/10/07 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の加味根史朗です。日本共産党を代表して、わが会派提出の3意見書案、自民党など4会派提出の3意見書案に対する賛成討論をおこないます。

 まず、わが会派提案の肝炎問題の早期全面解決とウイルス性肝炎患者の早期救済に関する意見書案についてです。わが国には、C型肝炎患者がおよそ200万人、B型肝炎患者がおよそ150万人いるといわれ、その多くが、輸血や血液製剤の投与、不潔な医療行為などによって引き起こされたのであり、重大な社会問題であります。B型肝炎については、先般、集団予防接種による感染事例について、最高裁判決で国の責任が認められたところであります。C型肝炎については、大阪・福岡地裁判決で、血液製剤による感染が大きな原因であり、1970年代末にはそのことを知りえたにもかかわらず血液製剤の販売・使用を中止しなかった国と製薬企業の責任が断罪されたのであります。国と製薬企業は、その責任を認めただちに控訴を取り下げ、血液製剤によって感染させられたすべてのC型肝炎患者を全面的に救済しなければなりません。

 肝炎ウイルス感染の最大の問題は、感染の自覚のないまま、肝炎を発症し、肝硬変、肝がんへとすすみ、高齢化して発症しすでに手遅れというケースが多いことであります。そのため、国の責任で、血液製剤フィブリノゲンおよびクリスマシンを使用した全医療機関に対して、患者の追跡調査を指示し、特定された患者に対して、投与事実の告知と感染検査をすすめ、その結果を速やかに公表させることが必要なのであります。

 意見書案は、肝炎ウイルスの感染患者に対する救済がまだ十分といえないなかで、全会一致採択された京都肝炎友の会提出の請願にもとづき、フィブリノゲン製剤による感染調査の継続や治療費の自己負担の軽減措置、患者救済制度の創設など総合的な対策の実施を国に求めるものであります。議員各位の賛同をお願いするものです。

 4会派提案の肝炎対策の推進に関する意見書案についてであります。肝炎患者が感染にいたった原因と国や製薬企業の責任を欠落させているという大問題がありますが、国への要望事項は、請願にもとづくわが会派提案の意見書案とほとんど同じ内容であり、対案とは到底いえないものであります。なぜ、あえて対案として提出しなければならないのか理解できません。本来、全会一致の共同提案とすべきものであります。わが会派の意見書案に反対し否決する意図からであれば、まったくの党利党略であり、請願者の願いに真摯にこたえないものであるといわなければなりません。

 次に、わが会派提案の介護保険制度の緊急改善を求める意見書案についてです。本年4月から改正介護保険法が実施され、「要介護度が低い」とされた高齢者から、介護保険で利用してきた介護ベッドや車いす、さらにヘルパーやデイサービスなど生活に欠かせないサービスが取り上げられる深刻な事態が生まれています。

 これまでも介護保険制度は、年金から容赦なく保険料を天引きしながら、基盤整備の遅れから特別養護老人ホームに入所できない、1割の利用者負担によって低所得者はサービス利用を手控えざるを得ないなど「保険あって介護なし」ときびしい批判をうけてきました。

 今回の制度改悪は、介護施設での給食費・居住費の負担増に加えて、要介護度が低いとされた高齢者を介護保険制度のサービスから排除するものであります。このような介護保険制度のいっそうの変質・後退は、断じて許されないものであります。この点では、介護保険制度の相次ぐ改悪を強行した自民党、公明党、さらに今回の改悪介護保険法に賛成した民主党の責任がきびしく問われるのであります。

 わが会派提出の意見書案は、介護保険制度を緊急に改善するため、機械的な介護認定の改善をはじめ、要介護度が低い高齢者の介護報酬の改善と利用限度額の引き上げ、福祉用具とりあげの中止、介護施設の居住費、食費の負担軽減、地域包括支援センターへの支援強化などを国に求めるものであります。議員各位の賛同をお願いいたします。

 次に、わが会派提案の障害者自立支援法の抜本改正を求める意見書案についてです。10月1日には、障害者自立支援法施行から半年、その欠陥を明らかにする市民フォーラムが開催され、250人の障害者、関係者、市民が参加しました。私も朝から夕方まで参加して切実で生々しいお話をたくさんお聞きしました。会場で9月におこなわれた障害者300人のアンケート調査結果が発表されましたが、18%の人がサービス利用を手控えたことが明らかになりました。18%にとどまったのは生活のために減らすわけにいかないからであります。また73%の人が生活が苦しくなったと答え、81%の人が応益負担に反対であることが明らかにされました。分科会では、グループホームを9月末で閉鎖せざるを得なかった話など、事業者の方々の苦境が次々語られました。私は、障害者自立支援法の応益負担によって、いかに障害者や家族、事業者のみなさんが苦しめられているか、あらためて思い知らされました。この稀代の悪法を強行した自民党、公明党の責任をきびしく問うものであります。

 わが会派の意見書案は、障害者が安心して暮らせる社会をつくるために、福祉の理念に根本から反する応益負担の撤廃を求めるとともに、事業者の報酬単価の引き上げや日割り計算方式の見直しを求めるなど、障害者自立支援法の抜本改正をただちに求めるものであり、まさに時機にかなった意見書案であると確信するものであります。議員各位の賛同をお願いいたします。

 4会派の障害者自立支援制度の充実に関する意見書案についてでありますが、障害者の要求を反映したものとなっており賛成であります。しかし、障害者や家族、関係者がつよく廃止を求めている応益負担制度について、まったく問題にしていないことは重大であります。負担軽減は、激変緩和措置としておこなわれているものであり、応益負担の制度が続く限り、障害者への重い負担がのしかかります。応益負担が障害者福祉とは両立しないことを理解すべきであります。先の厚生労働委員会で民主議員が「1割負担は無謀であり反対」と述べましたが、この発言からかけ離れていることを指摘しておきます。

 最後に、4会派提案の私学教育の振興に関する意見書案についてです。私学教育の振興をはかることは、本府の公教育と社会発展に大きく寄与するものであります。本意見書案は、公私立学校間の格差を縮め、保護者の経済的負担の軽減や教育条件の維持向上をはかるため、私学教育振興のいっそうの充実を求めています。

 わが議員団は、私学振興の立場から私学の経常経費に対する二分の一の助成をすみやかに実現すること、高い授業料の父母負担を軽減するために、直接助成の充実を一貫して求めてきました。本意見書案は、明示していませんが、私学助成の一層の増額を含んだ内容であると受け取れるものであり、賛成するものであります。

 なお、国の私学助成予算が2004年度に6151億円から今年度の6225億円に増額しているのに、本府の私学助成予算は2004年度の197億円から今年度の195億円と2億円減額しています。本府の私学助成増額への努力も強く求められていることを指摘しておきます。以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。