原田 完府議の議案に関する討論
日本共産党の原田完です。日本共産党府会議員団を代表して、ただいま採択に附されております議案14件のうち、第9号及び10号議案の2件に反対、残るすべての議案に賛成する立場で討論します。
まず、第一号議案、平成18年度京都府一般会計補正予算についてです。予算編成の基本は、7月豪雨の災害復旧と防止対策、障害者自立支援法の実施にともなう障害児施設利用者の負担軽減措置、和装関連産業緊急対策など緊急課題に対応するためのもの、また、北部産業活性化拠点の整備、地域医療教育推進費など、自治体として当然求められる必要な措置であり賛成するものです。
しかし、府民の暮らしといのちを守る上では、より踏み込んだ対策が必要です。
まず、7月豪雨の災害復旧と防止対策についてです。一刻も早い災害復旧に全力をあげることを求めるものですが、今回の災害においても個人の住宅被害については、生活再建支援法の指定要件を満たさないため適用の対象外とされ、支援制度がありません。しかし、豪雨・台風、地震などの自然災害によって、府民の住宅が損傷・破壊されることはいつ起こるか分かりません。住宅再建は、生活再建の土台であり、府として、国に地域指定要件の緩和を強く求めるとともに、一昨年の台風23号災害の際、本府が行った被災住宅等に対する再建支援策を恒常的な制度として確立するよう強く求めるものです。
次に、障害者自立支援法の施行にともなう負担軽減対策についてです。
まず事業者の経営安定対策であります。今回、緊急の無利子融資が行われることになりましたが、事業者の経営困難を根本的に打開するためには、報酬単価の引き上げや報酬の日払い方式の是正が必要であり、国に強く要請すべきであります。同時に事業者の経営安定のために府独自に運営費に対する助成を実施するよう求めるものであります。
もう一つは、障害児の療育への負担軽減対策についてです。障害児施設を利用する障害児の負担軽減は実施されましたが、発達障害児などの療育をおこなう事業として障害者自立支援法に位置づけられた児童デイサービスについては、負担軽減の対象から除外されています。非課税の世帯で、同じ10日間、通所の療育を受けるのに障害児施設なら一ヵ月900円ですむのに、児童デイサービスなら7500円かかるというのは、均衡を欠く話ではないでしょうか。市町村と協力して、児童デイサービスを利用する障害児も同等の負担軽減が図られるよう求めるものであります。
さて、知事は久守議員の「応益負担の撤回を求めるべき」との質問に対し、「所得区分に応じて上限を決めてやっている。これを応益負担と思うのか。それをしっかり定義をせずに応益負担をおかしいとするのはおかしい」と声を荒げました。しかし知事、応益負担とは、厚生労働省も「サービス量に応じた1割の定率負担」としているとおり、障害が重く、多くの支援を必要とする人にほど、重い利用料負担を強いるものに他なりません。これは、「サービスは必要に応じて、負担は能力に応じて」という福祉の大原則を根本から突き崩すものであります。だからこそ、国も制度開始と同時に、申し訳程度の負担軽減制度を導入せざるを得なかったのであります。しかし、これも当面の激変緩和措置にすぎません。知事の姿勢というのは、結局、負担軽減制度をやっているから、応益負担に問題はないというものであり、国の代弁そのものであります。知事は、憲法に明記された障害者の人権と社会保障の根本は生存権の保障であることを改めて銘記すべきであります。このことを厳しく指摘しておきます。
次に、地域ケアあり方検討費についてですが、これは、療養病床を有する各医療機関の転換等の意向について調査集約するものであります。その目的は、国が医療保険給付費の抑制に筋道をつけるため、療養病床の廃止・削減などの数値目標の達成を都道府県に押し付けようとするものであり、今後、「医療費適正化計画」や「介護保険事業支援計画」「地域医療計画」等に反映させるものであります。
国のこうした医療費抑制策については、医師会をはじめ、医療関係団体からも厳しい批判の声があがっています。特に、療養病床を6割削減する方針について、このとおり具体化されることになれば、府内で現在7500床ある療養病床が3000床にまで減らされることになります。すでに、4月1日からの診療報酬の引き下げで療養病床をもつ医療機関が大変な経営難においこまれており、一般病床への切り替えや、休止に追い込まれる事態が相次いでいるのです。こうした中で、「在宅へ帰ったかたが2名なくなった。今後、医療難民、介護難民が出る」など深刻な声が出されており、こうした事態に拍車をかけるやり方は絶対に認めることはできません。
調査では、むしろ深刻な事態におかれた医療機関の率直な声や患者の声に耳をかたむけ、療養病床の削減中止、診療報酬の引き上げなど現場の切実な要望を改善するよう国に働きかけるべきです。強く求めておきます。
次に、産業・雇用対策についてです。
産業立地戦略21特別対策事業費補助金は、その名称が「雇用創出ための企業立地・育成条例」となっているように、雇用問題の改善につながらなければ補助金の目的は達せられません。
私ども日本共産党議員団が重ねて指摘しているように、いま非正規雇用の拡大が大きな社会問題となっています。知事も私どもの質問に対して、ようやく派遣労働者等の「実態調査」を約束されたわけですから、青年労働者のおかれている実態を詳細につかみ、特に本府が補助金を出す企業に対しては、立地計画の段階から雇用計画を求め、正規雇用の拡大と安定雇用に資するよう指導・改善される事を強く求めておきます。
また、京の着物元気づくり事業費についてです。3月の愛染蔵に続く8月末の「たけうち」の倒産で約750億円、和装需要の2割近くが減少する事態になり、債権者は2400社と言われ、室町や京友禅、西陣、丹後の産地は大変厳しい状況です。雇用問題でも、京都関係で1600人が職をなくすと言われています。
このような中で、丹後機業も深刻です。丹工では減産体制を敷き、8月には前年比-27%の生産調整がおこなわれ、秋の需要期に期待を持っていたにもかかわらず、今回の倒産が大変なショックを与えています。これ以上、京友禅や西陣、丹後の業界に生産意欲を失わせる状態が続けば、産地そのもの存続にも影響を与えかねません。さらに、「たけうち」の在庫が投げ売りされれば、異常な低価格新柄も含めた流通への影響が起こるのではないかと懸念されています。
いま、真に求められているのは、事業者の生産意欲の高揚、消費者の消費意欲を高めるための支援強化とものづくりと職人への支援です。本府として、業界の悉皆調査をおこなうなど、責任ある緊急の実態調査を行い、必要な対策を講じられるよう強く要望するものです。
次に、京都府射撃場の土壌対策費についてです。今回の予算計上を含め、土壌対策に要する費用は10億円を超えるものとなっています。この施設は京都府の施設ですが、直接の管理運営に責任を負っていた京都府クレー射撃協会に責任を求めることは当然のことです。協会の「応分の負担」について、府として協議・要請されることを求めておきます。
最後に、第9号及び10号議案の和田埠頭建設にかかる契約案件についてです。舞鶴・和田ふ頭建設は、これまでから、過大な貨物取扱量をもとにした建設計画であり、「船のこない港になる」と指摘してきました。このことは、いま、和田ふ頭建設の前提になっている舞鶴港「港湾計画」の大幅な見直しが迫られているように、明らかとなっています。こうしたムダな大型公共事業は中止し、住民にとって必要な道路建設をすすめるべきであり、この契約案件については反対です。
以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。